FUTURE ARCHIVE
“ANTI VINTAGE”

FUTURE ARCHIVE“ANTI VINTAGE”
BEAMSによる新プロジェクトの本質を探る
#02 Talk Session with CANNABIS & Moore

Photography—Hiroki Asano、Text—Showgo Komatsu、Edit_Kazuhiko Yokoyama

FUTURE ARCHIVE
“ANTI VINTAGE”

FUTURE ARCHIVE“ANTI VINTAGE”
BEAMSによる新プロジェクトの本質を探る
#02 Talk Session with CANNABIS & Moore

Photography—Hiroki Asano、Text—Showgo Komatsu、Edit_Kazuhiko Yokoyama

昨年7月に始動したBEAMSによる新たなプロジェクトFUTURE ARCHIVE。10年後、20年後も色褪せない“未来のアーカイブ”を生み出すことを目的に、老舗から新鋭までのブランドやアーティストとコラボレーションし話題を呼んだが、待望の新シーズンが幕を開けた。
今回のテーマは“RETRO FUTURE”。ヴィンテージライクかつ色気あるスタイルを体現した前回を踏襲しながら、さまざまなテイストが交錯する2000年初頭のファッションシーンを、当時のフューチャリスティックなデザインを用いつつ現代流に再解釈したサイジングで提案する。2月28日(火)までの期間中、全12組とチームアップしたアイテムが毎週ローンチされ、DJイベントも開催されてゆく。
タッグを組むラインナップを見てみると、ふと気になったのがCANNABISMoore。ともにBEAMSと同じセレクトショップだが、どんなコラボレーションを展開するのだろう。そこで、CANNABISの早坂 向日葵畑中良太、Mooreの谷川直人を招き、『FUTURE ARCHIVE』を指揮するBEAMSバイヤー飯塚 昴を交えて話を聞いてみることに。BEAMSらしさが漂うけれど少しだけ趣の異なるプロダクツは、このようにして生まれた。

CANNABISとMooreがキュレーションして
2000年代初頭のムードを表現。

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L to R→飯塚昴、早坂 向日葵、畑中良太、谷川直人

「CANNABISとMooreが独自に築いているコミュニティはカッコいい」―飯塚 昴

―今回の『FUTURE ARCHIVE』も豪華な面々が揃っていますが、BEAMSと同じセレクトショップであるCANNABISとMooreも参加しているのが新鮮です。

飯塚昴(以下、飯塚):前回と同様に、BEAMSとお付き合いの長いブランドさんや、BEAMSに欠かせない老舗のブランドさんにもご協力いただいていますが、今回はBEAMSの枠からさらに飛び出して、CANNABISとMooreにもお力添えをいただくことにしました。『FUTURE ARCHIVE』は、10代後半から20代前半の、いわゆる若い人たちにBEAMSを知ってもらうことを目標にしているので、CANNABISとMooreは最適でした。

谷川直人(以下、谷川):去年のFUTURE ARCHIVEは、TAPPEIとかTTTMSWとかRANDYとか、よく遊んでいるメンバーとのコラボレーションが楽しみだったし、イベントも非日常的な感覚で楽しかった。

(左)飯塚昴 / BEAMS バイヤー
ig:@kou99999

―それらのブランドと繋がっているんですね。みなさんは付き合いが長いんですか?

飯塚:僕は2、3年前に知り合ったけど、3人は長いよね?

早坂 向日葵(以下、早坂):7年くらいかな。

―きっかけは仕事?

谷川:いや、遊んでいたら仲良くなっていました。

畑中良太(以下、畑中):僕はもともと、働く前からCANNABISに通っていたんですよ。その頃に共通の知り合いがタニ(谷川)を紹介してくれて、遊ぶようになりました。

早坂:良太は、CANNABISでTAPPEIも働いていた時のお客さんなんです。私がCANNABISで働き始めてからすぐにTTTMSWの受注会があって、そこでタマシャブ(TTTMSW デザイナー 玉田翔太)と仲良くなって、タニとも出会って。

谷川:その前に会ってるじゃん。アパレルで働く同い年のグループがあるんですけど、上京したばかりだった僕と良太もTAPPEIに呼ばれて行ってみたら、向日葵の誕生日会だったんですよ。

早坂:タニはタマシャブと学生の頃から仲良かったよね。

谷川:タマシャブも大陸(DAIRIKU デザイナー 岡本大陸)も地元が同じ大阪で、学校は違うけど高校生の頃から仲良かったです。

早坂:なにで知り合ったんだっけ?

谷川:デコログ。

飯塚:アツい!(笑)。

―懐かしい(笑)。2010年より少し前に流行っていたブログですね。

谷川:今のインスタみたいに、服好きはデコログにコーデをアップしていたんですよ。いいねしたりコメントしたりして、みんなと繋がっていって。デコログで知り合った友達が、デコログで知り合ったタマシャブを紹介してくれて仲良くなりました。当時からタマシャブはアンテナを広く張っていたし、インポートブランドを取り入れるのも早くて、めちゃくちゃオシャレな存在でした。

(左)早坂 向日葵 / CANNABISバイヤー・オーナー
ig:@h_mawari
(右)畑中良太 / CANNABISバイヤー
ig:@ryota_hatanaka

谷川直人 / Mooreバイヤー・オーナー
ig:@tani_70

―玉田さんが交友のハブになっているんですね。

飯塚:そうですね。僕がみんなと仲良くなったのも、玉田くんが誘ってくれた飲み会がきっかけ。TAPPEIと同時に、タニくんと良太と知り合いました。

谷川:そうそう。タマシャブが「BEAMSに同い年のバイヤーがいるから呼んでいい?」って言ってた。全員、今年30歳。TAPPEIもタマシャブも、相川(RANDY デザイナー 相川 龍之介)も同い年なんです。

早坂:仲良くなってから毎晩遊んでいます。

―ここ(渋谷のハンバーガーショップ、Whoopi Gold Burger)も、よく来ているそうですね。

早坂:そうなんです。ハンバーガーを食べたりお酒を飲んだりしていて。荒士さん(JOHN LAWRENCE SULLIVAN デザイナー 柳川荒士)と、馬渡さん(LITTLEBIG デザイナー 馬渡圭太)に連れて来てもらって以来、よく来ています。

谷川:今年、初Whoopiだからハンバーガー楽しみ。

―今回のFUTURE ARCHIVEは“RETRO FUTURE”がキーワード。2000年代初頭ってどんなイメージですか?

谷川:今と比べると、雑誌の影響力が大きかった時代ですよね。僕らがファッションに興味を持ったのは2000年代後半ですけど、TUNEFRUiTS(ともにストリート編集室刊、現在休刊)をよく読んでいて、大阪出身だからカジカジ(交通タイムス社刊、現在休刊)も好きでした。当時は雑誌のスナップに載りたくて、カメラマンの周りをウロチョロしてみたり(笑)。憧れの服装が、2000年代初頭にありました。

畑中:2000年代初頭の雑誌でスタイリングを見るのはおもしろいし、今のファッションシーンの最前線で活躍している人は、絶対に雑誌に載っているよね。

早坂:雑誌の情報がすべてだった。私はeggとかHappie nuts(ともに大洋図書刊)のギャル誌を読んでいました。今のギャル文化って、渋谷と原宿が混ざっちゃっている気がするんです。情報が多すぎるのかな。本当に自分の好きなものに対する探求心は、2000年代初頭のほうが強かったのかもしれない。

谷川:少し昔のほうが個々のスタイルがあったと思わない? もちろん今もカッコいい人は多いけど、当時はマネできない着こなしをしている人が多かったイメージです。

飯塚:確かに、スタイルは多彩だったかも。でも、その雰囲気をCANNABISとMooreからも感じているんです。CANNABISに関しては2人と知り合う前からチェックしていて、ファッションが大好きな、エッジの効いた人たちが通っている印象を、今と変わらずに持っていました。それがBEAMSにとって新鮮で、CANNABISとMooreが独自に築いているコミュニティがカッコいいのも、今回オファーした理由です。

「BEAMSだけでは実現できなかったアイテムに仕上がりました」―飯塚 昴

―今回の『FUTURE ARCHIVE』は、いつから動き始めたんですか?

飯塚:去年の8月くらいに、CANNABISとMooreにコラボレーションの相談をしました。

谷川:ぶっちゃけ、セレクトショップ同士でなにすんねん。って思いましたよ。そんな経験ないので。

早坂:そうそう。最初、なにすればいいの? って思った。

飯塚:僕もそう思う(笑)。だから、もう一組加わってもらい、トリプルネームでコラボレーションすることを提案しました。それは、CANNABISとMooreのそれぞれと親和性があるけど、BEAMSとは繋がっていない一組。

―MooreはアーティストのJUN INAGAWAさんと、CANNABISはオーストラリアのブランドP.A.M.とのトリプルネームにしたそうですね。

飯塚:JUNくんのことは知っていたけど、今までBEAMSと一緒に取り組んだことがなかったから、コラボレーションできて嬉しいです。JUNくん、今年アニメやるんでしょ?

谷川:4月から。『魔法少女マジカルデストロイヤーズ』っていうアニメがテレビで放送されるんですよ。JUNくんが10代の頃に描いた漫画を元にしているそうです。

飯塚:すごく楽しみ。コラボできたのはMooreのおかげだよ。

谷川:JUNくんも2000年代初頭が好きだから、このトリプルネームは意義があったと思います。

飯塚:CANNABISも同じく、BEAMSと繋がっていないアーティストとのトリプルネームを提案しようと思ったけど、“RETRO FUTURE”がテーマと話したら、CANNABISからP.A.M.を提案してもらいました。

早坂:P.A.M.はBEAMSで取り扱っていないし、そのテーマに合っていると思いました。CANNABISとP.A.M.は付き合いが長くて、何度かコラボレーションや別注をやらせてもらっていますが、もう一度コラボしたいと思っていたからちょうどいいタイミングでした。

―P.A.M.は、このコラボレーションの申し出にどんな反応をしていましたか?

早坂:去年、CANNABISは親会社から独立したんですよ。それをデザイナーのミーシャも知っていて、「独立記念に、またコラボレーションしたいと思っていたところだった」と言ってくれました。

畑中:P.A.M.とCANNABISは、密接な関係にあると思っています。

早坂:私たちがCANNABISに入るずっと前から取り扱っているブランドで、良くしてもらっています。2019年にP.A.M.が初めてパリコレに参加した20SSコレクションで、私をランウェイのモデルに選んでくれたこともありました。P.A.M.は服がかっこいいのはもちろんですけど、デザイナーのバックボーンとライフスタイルもかっこよくて、すべて、なんて言うか……。

谷川:酒にやられてるやん。言葉が出てこなさすぎ(笑)。

早坂:単純にうまく言えない(笑)。

畑中:デザイナーがテクノ好きだったりDJをやっていたりしていて、音楽においても共感できるんです。オーストラリアのブランドだけど距離感が近くて、デザイナーとも頻繁にやりとりしています。

飯塚:JUNくんの作品もP.A.M.のグラフィックも、言葉で説明しがたいですけど2000年代初頭の空気感があって、キーワードの“RETRO FUTURE”とマッチしています。BEAMSだけでは実現できなかったアイテムに仕上がりました。

「自分たちじゃできないような、やりたいことを形にしてくれたのは本当にありがたかった」―早坂 向日葵

―現状で完成しているサンプルをお持ちいただきました。まず、Moore × JUN INAGAWA。

飯塚:2種類のデザインでスウェットを製作しました。

谷川:いいプリントだね。

飯塚:ボディはFUTURE ARCHIVEのオリジナル。フェード加工などを施したラグランスリーブのシルエットで、ヴィンテージ調にしています。そこにJUNくんのグラフィックを載せました。

JUN INAGAWA×MOORE×BEAMS
SWEAT CREWNECK / カラー:BLACK・WHITE・RED ¥19,800(税込)

谷川:色もいい。

飯塚:レッドとブラックと、オフホワイトの3色展開です。

谷川:JUNくんはモノクロの作品が多いから、黒が映える白ボディと、白の線がはっきり出る黒ボディを選びました。あと、JUNくんの好きな色の赤も採用しています。同色のプリントがカッコいい。XLは作った?

飯塚:今回はちょっと……。

早坂:ないよ。タニは着れないよ。

谷川:じゃあ、Lを2つ買って繋げて着るか。

早坂:リメイク品としてMooreで販売したら?(笑)。

飯塚:あと、まだサンプルが完成していないけど、スクエア型のリングもリリースします。

谷川:“Mad Magic Orchestra”と刻印したデザインです。

早坂:JUNが主催しているイベントの名前だ。

谷川:JUNくんがずっとリングを作ってみたいって言っていたけど、Mooreとのコラボじゃ作れないから、今回BEAMSに叶えてもらいました。MooreとJUNくんがコラボする時も、JUNくんが完成したアイテムを見て、ワクワクしてくれることを意識しているんです。

―CANNABIS × P.A.M.も、スウェットを製作したんですね。

飯塚:このボディも『FUTURE ARCHIVE』オリジナルで、P.A.M.のグラフィックを前後にプリントしました。同じデザインを使用したトートバッグも製作しています。

―デザインに関して、CANNABISからP.A.M.に伝えたことはありますか?

早坂:テーマである“RETRO FUTURE”が、P.A.M.の世界観と合っていることを伝えたら、P.A.M.のアイコニックなエイリアンの目が落とし込まれた蝶々のデザインと、以前CANNABISで別注したスカルのグラフィックをアップデートさせたデザインの2種類を上げてくれました。

PAM×CANNABIS×BEAMS
SWEAT CREWNECK / カラー:BLACK・WHITE ¥16,500(税込)

飯塚:蝶々のデザインは’50年代のヴィンテージの風合いを感じるカラーフロッキープリントで、スカルのデザインはひび割れが入るクラック加工のインクジェットプリントで施しています。

早坂:めっちゃカッコいい。思っていた以上の仕上がりです。オリジナルボディであるうえに加工も多いから、自分たちじゃできないような、やりたいことを形にしてくれたのは本当にありがたかったです。BEAMSの力があってこそ。

谷川:というか、飯塚 昴の力かも。

飯塚:言い過ぎ! 絶対記事に書かないでくださいね!

―(笑)。でも、このコラボレーションは飯塚さんの交友関係があってこそだと思います。つくづく、遊んで繋がっていくことの大切さを感じましたよ。

谷川:年末のコウちゃん、朝5時なのにasia(渋谷のクラブ)へ遊びに行こうって、ずっと言ってたよね(笑)。

飯塚:みんな、なんで帰っちゃったの?

谷川:俺は仕事だったから!

―今回のFUTURE ARCHIVEでも、そんな遊び場となるようなイベントを開催するそうですね。

飯塚:リリース日に、BEAMS HARAJUKUでローンチパーティを開催します。2月3日(金)はCANNABISによるパーティで、向日葵と良太たちのDJと、スペシャルアーティスト(情報解禁をお楽しみに!)のライブも。2月10日(金)はMooreによるパーティで、JUNくんたちがDJをしてくれます。そして、それぞれの期間中は、CANNABISとMooreのSHOP IN SHOPも併設。もしBEAMSに通っているお客様に、CANNABISやMooreへ行ったことがない人がいたら、SHOP IN SHOPで雰囲気を感じてもらい、実際にお店にも行っていただきたいです。

畑中:お互い、いろんな人に来てもらいたいですね。

飯塚:僕らも、今回コラボレーションしてくれたブランドやショップやアーティストのファンが、BEAMSに集まってくれることを楽しみにしています。

谷川:ところで俺のハンバーガーは?

Whoopi Gold Burger スタッフ:やっぱり? 1つ注文足りていなかったけど、タニは取材に集中するために食べないのかと思った。取材の邪魔しちゃ悪いから、聞けなくてさ。

早坂:本当ごめん。私がタニの分を注文し忘れてた……。

谷川:おい! めっちゃ楽しみにしていたから誰よりも早く来てたのに。俺が一番ハンバーガー似合うから、食べてる写真、絶対必要でしょ。

一同:(笑)。

過去に敬意を払いつつ、ファッションとカルチャーの価値観を更新していく『FUTURE ARCHIVE』。すでにリリースが開始されているので、ぜひBEAMS HARAJUKUへ足を運んでもらいたい。このコラボレーションから新たなファッション性が身に付き、イベントでは新たな繋がりを紡げるはずだ。EYESCREAMでは引き続き、このプロジェクトを追ってゆく。

コラボレーションアイテムの情報はFUTURE ARCHIVE公式Instagramにて随時公開される予定なのでそちらをチェック。

INFORMATION

FUTURE ARCHIVE“ANTI VINTAGE”

■『FUTURE ARCHIVE』参加ブランド
PUMA/TAPPEI/ICE & TECHNO/WILD THINGS/CANNABIS × P.A.M./
Wave of Sand/JIAN YE/Moore × JUN INAGAWA/Hamer’s WholeSales/
Sound Sports/PWA/RANDY

■Event Schedule.
2023.02.03 19:00〜
CANNABIS × P.A.M. × FUTURE ARCHIVE
Launch Party

2023.02.10 19:00〜
Moore × JUN INAGAWA × FUTURE ARCHIVE
Launch Party

@BEAMS HARAJUKU
詳細は『FUTURE ARCHVE』のInstagram(@futurearchive_beams)をご確認ください。

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