FASHION 2019.06.12

[FOCUS]un/unbient
普遍性に新たな切り口を添えたリアルクローズ

EditーMizuki Kanno
EYESCREAM編集部
EYESCREAM編集部

現在発売中のEYESCREAM NO.171でフォーカスしているドメスティックブランドのun/unbient(アン)。2014年より鳥取県を拠点にデイリーなファッションに寄り添う実用的なコレクションを提案している。EYESCREAM.JPでは誌面に掲載しきれなかったデザイナー・中村和教のロングインタビューを掲載。物作りに対する思いや、鳥取から全国へと認知を深めていった軌跡などを話してもらった。

ーまずは“un/unbient”というブランドについて教えてください。

「un=無。僕はこの言葉を静寂と捉え、静けさの中に秘めた強い意思の様なものをイメージしています。それは僕のデザインのスタイルとも共鳴するところで、日常に寄り添うスタンダードなデザインに、un/unbientならではの解釈をディティールやマテリアルに落とし込んだものが、僕が提案するプロダクトです。」

ーun/unbientならではの解釈とは、具体的にどのようにアイテムに反映されているんですか?

「例えばテーラードカラーが特徴のシャツは、パンツポケットへのアクセスを考慮して、脇のガゼットを少し大きく設計しています。ポケットに手を入れる際シャツの裾が乱れてしまうので、そのストレスをデザイン性でカバーしました。また、M65ミリタリーパンツなどに使用されるアジャスターバックルを取り入れたプルパンツは、ウエストアジャスターの仕様を通常とは逆向きにデザインすることで、クイックなサイズ調整が可能になっています。このような些細なディテールが無意識のうちに生活に溶け込んでいることを目指しデザインしています。」

ライトコーデュロイ テーラードカラーシャツ
¥24,000+tax

ドライウールギャバジン ワイドプルパンツ
¥40,000+tax

ーそれでは、中村さんのデザイナーとしての原点について伺っていきたいと思います。洋服作りに興味を持ったのはいつ頃ですか?

「高校で出会った友人の影響でファッションに興味をもち、将来は自分のショップを立ち上げることを夢見て、岡山の服飾の専門学校に進学しました。当時はカリスマショップ店員がブランドを立ち上げるというような流れが隆盛を極めており、甘い考えでファッションビジネスを専攻しましたがもちろんそう簡単な話でもなく(笑)。地元の洋裁学校で服作りを学び直しました。その頃出会ったのが、あらゆるカルチャーをベースに持つ、ドメスティックブランドのis-ness(イズネス)です。当時のis-nessのHPって映像と音楽のビジュアル表現のみで、その尖った感じがかっこよくて。就職をきっかけに東京へと上京してきました。それから僕の師がis-nessを離れるまでの2年半、企画から生産管理までの全ての工程を学びました。その後、師の影響もあってイッセイミヤケに入社しましたが、充実した環境に身を置けている反面、大きな組織の中で働くことにどこか疲弊してしまい、仕事として服に携わることから一度離れ、再び鳥取に戻りました。」

ーun/unbientとして再び服作りの道に戻ったきっかけはなんだったんですか?

「鳥取に帰ってきてからも趣味の範囲での服作りは続けていました。そんな中、当時よく通っていた島根のセレクトショップ、CHAQUE JOUR BRAVO!(シャックジュール・ブラボー)さんが僕が着ていたオリジナルの洋服に目を付けてくださり、置いていただけることになりました。じゃぁブランド名が必要だという流れから、un/unbientが誕生しました。また服作りの道に戻ることができたきっかけですね。」

ー島根や鳥取に限らずアンの市場は今、大阪や東京にも広がっていますよね。どのようにして全国展開に至ったのですか?

「県外にも卸先を増やすべく、まず手作業での生産を辞めることにしました。僕はハンドクラフトの風合いより、工場で作られるプロダクト然としたものに美しさを感じていたので。ただ生産工場の当てなどもちろん無く、闇雲ではありましたが、近場の鳥取と岡山の商工会議所に電話をして縫製工場と附属屋を紹介していただきました。並行して理想の生地感を表現してくれる生地屋探しにも明け暮れ、問い合わせを続けるうちに徐々に道が拓けていきました。1stコレクションとしてジャケットとパンツと4型ほど作ったものを、キャリーに詰め込み全国のセレクトショップを巡りました。確か東京だと最初はHABERDASHERY(ハバダッシュリー)、あと埼玉のtwelve(トゥエルヴ)に伺いました。直接訪ねると意外と皆さん見てくださるんですよね。このスタイルを2、3年続けた結果、少しずつ置いてくださるショップも増え、今ではお取引の問い合わせをいただけるほどになりました。振り返ってみると工場生産での流れを把握していたのは、is-nessでの経験があったからこそな気がします。」

ー今後も拠点はやはり鳥取ですか?

「ファッションの世界を志す地方の若者の多くは、東京や大阪などの都心に出て行きます。だからこそ僕は、地元でデザイン事務所を成立させたいという気持ちがあります。東京などの都心部は特に情報や流行が目まぐるしい速度で変化して行く環境だと感じています。少し離れ落ち着いた場所から俯瞰する、という意味でも地元で活動を続けています。」

ーそれでは今の東京から生まれるファッションについてどのように捉えていますか?

「ファッションシーンというよりは世の中のムードを観察しています。現代は監視社会な側面がより強くなっているようなところがあって、窮屈感や閉塞感は無意識のうちに引き金となり、抑圧されたエネルギーは次第にSNSなどの過激な投稿に反映されているように思います。それはどこかグランジムーブメントを彷彿とさせ、またグラフィックなどを通し主張を表現するのも同様に感じます。そういった現状に対しての悶々としたパワーやエネルギー、ストリートを舞台とした現実的な装いに90年代のリバイバルを見ています。アンダーグラウンドとメジャーが逆転してきているということかもしれません。ではその後音楽的なムーブメントはどの様に推移していったのか、ということにもこれからのファッションの未来のヒントがある様な気もしています。」

ーだからこそ両者には、流行が存在するのかもしれませんね。それでは最後に、今後の展望を教えてください。

「今は西日本のお取引が多いので、この先東日本方面にも積極的に販路を増やして行きたいです。またアジア圏の海外の市場も視野に入れて精進していきます。あとはチームを持つこと。現状はインプットしたものを自分で咀嚼しアウトプットしています。チームによる複数の解釈を加えクリエイティブの幅を広げて行きたいです。その為にもまずは自分自身が健康でいることを大切にしたいですね。」

ウールコットンギャバジン バルマカーンコート
¥94,000+tax
梳毛ウールフラノ BDUジャケット
¥44,000+tax
シェットランドツイード 縮絨テーラードジャケット
¥62,000+tax

中村和教

un/unbientデザイナー。is-nessでアシスタントデザイナーとしてキャリアを積んだ後、地元、鳥取県を拠点に自身のオリジナルレーベルであるun/unbientをスタート。国内のセレクトショップを中心に注目を集める。また、2019秋冬から新シリーズ、“tat”をスタート。直感的に気に入ったテキスタイルを使い、既存のアイテムに落とし込んでいく同シリーズは、特殊な風合いや意外性のあるマテリアルを通して服の新たな面白さを表現したラインナップを揃える。
@unbient[ig]

INFORMATION

un/unbient

tel_0859-21-5420

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