BEAMS×SPACESHOWER TVによる音と映像の実験プログラム〈PLAN B〉Season 4を振り返る

昨年6月からBEAMSとスペースシャワーTVとの共同プログラムとしてスタートした、アーティストの「B面」を探る音楽と映像の実験場〈PLAN B〉。現在の音楽シーンを彩るユースクリエイターたちによる、コラボレーションプログラムだ。番組の企画書には何も書かれておらず、アーティスト自身がその企画書を埋めていくため、僅少な時間と予算を除けば、自由度は無限。これを制約と捉えるか、無法地帯と捉えるかは、アーティストの手に委ねられている―。今回は「シーズン4」として今年9月〜11月を彩ったアーティストの軌跡を振り返る。

Yogee New Waves、二度とない夏のドキュメント
[9月:Yogee New Waves×小林光大]

近年のいわゆるシティポップリバイバルの代表格として、長くインディシーンを先導してきたYogee New Waves。

これまでメンバーを固定せず活動してきた彼らだが、年明けにギターの竹村、ベースの上野が加入し、新体制となることを発表。
今年5月には、フルアルバム『WAVES』を実に2年半ぶりにリリースし、リブートの狼煙を上げた。その結果、念願のフジロックフェスティバルをはじめ、例年以上に大型フェス出演の機会を得た今夏は、いよいようねりを上昇気流に変える大きなチャンスの時でもあった。そんな彼らの「今」を、フォトグラファー・小林光大がメンバーのプライベートから練習風景まで、数ヶ月に渡って密着。

渾身のドキュメンタリー作品を完成させた。小林と角舘はもちろん、プロジェクトメンバー全員がぶつかり合って出来上がった、ひと夏の結晶のような作品だ。

「不思議な縁で集まった男4人が、バンドとして音楽をやる……そのこと自体のおかしさ、ロマンみたいなものを撮りたかった」
(Kodai Kobayashi)

「自分のことは分かっているようで分からないことが多いけど、それでも分かろうとしていくことが「自分」なんだなって思った。」
(Kengo Kakudate/Vo.)

next》 10月、激変する中国のユースに映るミツメ

激変する中国のユースに映るミツメ
[10月:ミツメ×トヤマタクロウ]

シンプルな中に複雑さや混沌ををたたえたギターサウンドを鳴らし、今や東京のインディシーンをひっぱる存在となった4ピースバンド、ミツメ。

今回彼らが提出したプランは、8月にDYGLと中国・7箇所を巡ったツアーのドキュメンタリーを軸としたもの。ただしその主観は彼らではなく、「中国のユース層から見た」ミツメ及び日本のインディシーン、という一捻りが加えられている。
映像化はミツメのジャケット、アーティスト写真などを長く手がけている写真家・トヤマタクロウが担当した。

急激に成長を遂げている大国に生きるユースにとって、彼らはどのような存在なのか? ライブ会場での幾人へのインタビューを重ね合わせることによって、その実像が浮かび上がってくる構成となっている。

「(中国の子たちは)日本のインディー好きの子たちより詳しいんじゃないかなって。そういうカルチャーや教養のコントラストが激しい国だと思いました。」
(トヤマタクロウ)

「どこを周ったかよりも、やっぱりDYGLと過ごせたことが一番大きな収穫になったと思います。」
(川辺素/Vo.&Gt)

next》 11月、BEAMS原宿を、一夜限りの発光体へ変貌させたYOSHIROTTEN

BEAMS原宿を、一夜限りの発光体へ変貌させたYOSHIROTTEN
[11月:YOSHIROTTEN×発光する音]

これまでに、さまざまな空間演出を手がけ、国内外からの評価の高いグラフィックアーティスト・YOSHIROTTEN。

今回の彼が提出したプランは、閉店後のビームス原宿をキャンパスに、デジタルアートで空間を彩る新感覚のディスプレイ「FRAMED」を用いた一夜限りのインスタレーション。
映像と照明、そして彼が「発光」をイメージするUTENA DESTROY NAOMI、Qiezi Maboという2組のアーティストの演奏によって妖しい異空間へと変貌させた本企画は、その印象的なビジュアルとともに多くのメディアで拡散された。
映像では、YOSHIROTTENの監修のもと、インスタレーション当日から準備段階での彼のイメージを探るインタビューを軸で構成。DJとしても活動していた彼らしい、音楽のすぐそばにいるグラフィックアーティストならではの作品が完成した。

「(アーティストたちには)自由にやらせてあげつつ、その場の要素を巻き込んでハプニングになっていけば良いな、と考えていました。」
(YOSHIROTTEN)