Talk Session: AmPm “音楽”ד旅” vol.1: TOKYO

AmPm×Nathan Hartono 初コラボ作「Tokyo On My Mind 」に描いた東京感

Talk Session: AmPm “音楽”ד旅” vol.1: TOKYO

AmPm×Nathan Hartono 初コラボ作「Tokyo On My Mind 」に描いた東京感

今、ダンスミュージックのシーンで世界中から注目集める日本の覆面ユニット、AmPm。今年でデビュー5周年を迎える彼らだが、現在は1stアルバムリリースに向けて制作を進めている。
そんな中、6月24日に先行配信シングル「Tokyo On My Mind feat. Nathan Hartono」を発表。
シンガポールを拠点に、中国、タイ、インドネシアなどアジアでシンガー兼俳優として活躍するNathan Hartono(ネイサン ハルトノ)をフィーチャーし、“朝の東京を旅したら”ということを表現している。本楽曲について、AmPmとNathan Hartonoによる対談を敢行。モニター越しに初のコミュニケーションとなった。


東京の朝を表現した楽曲“Tokyo On My Mind”

ーまず「Tokyo On My Mind 」において、Nathan Hartonoさんがフィーチャリングで参加するに至った経緯を教えてください。

AmPm:前段の話として、今年でデビュー5周年を迎えるにあたって、初のアルバムをリリースしようと考えたことがことの発端にあります。そのアルバムにおいて、AmPmが非常に大切に考えている“旅”の要素をしっかりと表現しようということを念頭に置きながら制作を進めていました。アルバム収録曲の中には東京をテーマにした楽曲が4曲あり、それを誰に歌ってもらおうかと考えながら、日本、及びアジア圏で活躍しているアーティストをチェックしていたんです。そんなときに、Nathanの歌を聴いて、以前から知っていたアーティストではあったんですけど、改めて今回の楽曲にぴったりだと感じたし、僕たちのプロジェクトに是非参加してほしいと思ってオファーしたんです。そしたら、すぐにOKの返事をくれて参加してくれたんですよ。

Nathan Hartono:私とAmPmには共通の友人がいて、彼から今回の楽曲の話を聞いたんです。そこからAmPmの楽曲をチェックして、「Tokyo On My Mind 」のトラックを聴き、絶対にトライしてみたいと思うようになりましたね。彼らのプロジェクトにワクワクしながら参加したんです。

AmPm:ありがたいです。5年間、活動を続けてきた間に多くのアーティストとコラボレーションする機会があり、その中で数多くの繋がりが出来て、知り合いが増えていたので、Nathanとの共作もスムーズに進めることができたのだと思います。

ーオファーするにあたって、AmPmからNathanさんへ、具体的にどのような依頼を出したんですか?

Nathan Hartono:AmPmから言われたのは、東京にインスパイアされた歌詞を描いて歌ってほしいということでした。東京についてではなく、そこから発想されることについての歌ということですね。日本には仕事や旅行で何度も行ったことがあったんですが、訪れる度に魔法をかけられたような不思議な感覚になったんです。すべてが美しくミステリアスで驚かされてしまうというか……。そのフィーリングを楽曲に落とし込もうと考えながら制作を進めていきました。

ーそういった思いで作られたメロディと歌詞があがってきたとき、AmPmとしては、どう感じましたか?

AmPm:最初に2バージョンのボーカル入りトラックをもらって、その段階では歌詞はまだなかったんですが、すでにすごく素敵な内容だと感じましたね。だから選ぶのに、すごく悩んでしまいました。その後、セレクトしたメロディに歌詞を乗っけてもらった曲を聴いたときに感動したんです。想像していた世界観や雰囲気がしっかりと歌詞の内容に表現されていて、それがNathanのボーカルで歌われることで、完璧にトラックとマッチしていると思いましたね。修正のオーダーは一切なく、1発でAmPmが思い描いていた楽曲になったと思います。

Nathan Hartono:そう言っていただけると、私もすごく嬉しいです!

東京への旅で感じた不思議な感動を表現

AmPm:Nathanへオファーする際、歌詞の内容やボーカルなどの指定はほとんどせず、解釈はすべてお任せしたいと思ったんですよね。唯一、東京以外の要素でお願いしたのは時間帯で、午前中だとか、朝の日中帯を描いてほしいと伝えたんです。そこに関して、Nathanはどのように考えてくれたんですか?

Nathan Hartono:東京の思い出は明るい時間帯の方が強く印象に残っていたので、わりとスムーズに歌詞を描くことができたと思っていますね。世界のどこにいても、朝早く起きてコーヒーを飲みに行ったり、朝食に出かけたりして人々が1日を始める光景を見るのがすごく好きなんですよ。

ー実際に、Nathanさんが東京の朝を思い返したとき、どんな感情になるのか。さっきお答えいただいたフィーリングに加えて、もう少し教えていただけますか?

Nathan Hartono:はい、さっきお話しした不思議で驚かされてしまうフィーリングは東京に行くと必ず感じることなんですが、それだけではなく、いかに東京が恋しいかという気持ちも歌詞として表現していますね。パンデミック以降、世界は大きく変わってしまったけど、早く元の状態に戻ってほしいと思うし、また東京へ行って、あの感覚を味わいたいと思います。

ーたしかにパンデミックに見舞われて以降、海外旅行が以前ほど簡単ではない状況が続いていますが、AmPmがアルバムで表現しているのは“旅”。これは現代に対するAmPmからのメッセージということになりますか?

AmPm:パンデミックで移動が困難になったというのも、今作のコンセプトに至った理由の1つにあるんですが、それよりも5周年というタイミングで、自分たちのコンセプト、ルーツである“旅”を改めてしっかりと打ち出したいと思ったことが大きな要因ですね。このプロジェクトを立ち上げたとき、アルバムがリリースされるタイミングでは、もうパンデミックが落ち着いていて、誰もが自由に移動できているように、という希望も含めてリスナーに喜んでもらえるような内容にしたいと思いながら制作を続けているんです。

Nathan Hartono:世界を自由に旅するというのは、私も強く願っていることですね。ほとんど海外へ出かけられない中で、過去の記憶や体験を思い返したりしながら、東京などの昔訪れた国々を恋しくて切望しています。AmPmが描く“旅”で得られる感覚が、とても恋しいし、そんな気持ちが「Tokyo On My Mind 」に表れていると思います。

ーちなみにAmPmが今作で旅する場所として東京にフォーカスしたのは初めてのことですか?

AmPm:以前もインストのダンストラックのタイトルに“東京”を入れたことはあったのですが、「Tokyo On My Mind 」のように、シンガーとコラボして楽曲を制作していくというのは初めてのことでした。

旅は潜在的問題点を洗い出し新たな発見をくれるもの

ー自身の活動拠点でもある東京を選んだのには何か理由がありますか?

AmPm:それは、「Tokyo On My Mind 」だけではなく、アルバムで描いている世界観が理由になっているんですが、今作では東京、ジャカルタ、アムステルダム、ニューヨークの4都市を旅のテーマとして制作しているんですね。この4つの街はAmPmが強く影響を与えられた場所なんですよ。特に東京に関しては自分たちのルーツでもありますしね。アルバムからの第1弾であり、まず最初に発表する楽曲として、AmPmのルーツでもある東京を描いた楽曲にしたいと思って進めていたんです。

ー改めて“旅”はどんなインスピレーションを与えてくれるものだと思いますか?

AmPm:旅をすることによっていま自分がどんな課題を抱えているのか、何に悩んでいるのかがすごく鮮明になると思っています。創作にあたってのアイディアを出すという意味では同じ環境に居続けるとマンネリ化してしまう部分が気づかないうちにあるものなので。そういう潜在的な悩みを明覚にしてくれるものだと思いますね。

Nathan Hartono:私も同感です。海外に行ったとき、私はスーパーだとか人々が生活している場所へ行って、普通のことをあえて体験するようにしているんですよ。そこからインスピレーションを受けることが多いし、自分の中にはなかった新しいものを発見した気持ちになるんですよ。その体験を経て、自分の家に帰ると、当たり前だったことが新鮮に見えたりしてくるんですよね。まるで魔法のように。

AmPm:わかります。私も海外で長期滞在する際は地元の人と同じ生活を送ってからクラブに行くことがありますし、そうすることで地元の人たちがどのような音楽で楽しんでいるのかをより深く理解できると考えているんです。

Nathan Hartono:是非、シンガポールにも来てください。きっと色んなところを案内することができると思います。

AmPm:嬉しいです! 一緒に行動したいですね。Nathanも東京に来るときは連絡してくださいね。1つ質問なんですが、こうして初めて会話させていただいて、Nathanからすごくポジティブなマインドを感じました。一方で、日々の中にはさまざまなストレスが潜んでいます。その中で、どのようにモチベーションを維持しているのか、何か心がけていることがあるのかを教えてもらえますか?

Nathan Hartono:なかなか難しいことなので、明覚な答えが思い浮かばないのが本音です。この2年間でライブの数は減ったし、音楽シーンを取り巻く環境が大きく変化しましたよね。そのときに、なぜ今日それを行うのか、と自問自答を繰り返しすことが大切なんだと感じたんです。あるときはファンのためかもしれないし、別の日は家族のためだと思うかもしれません。でも、どんな答えであっても間違いではないですし、自分の中で答えを出して、それを追いかけながら、自分を自分で導くことが大事なんじゃないかと考えているんですよ。

AmPm:なるほど。それはメンタルをコントロールするうえで非常に良い考え方ですね。ありがとうございます。

ー最後に、リスナーには「Tokyo On My Mind 」をどう楽しんでほしいと思いますか?

Nathan Hartono:自分が東京に対して感じているフィーリングに共感してくれたら嬉しいですね。海外から東京を訪れた人は、必ず何らかに対して不思議で素晴らしいという驚きの気持ちに包まれると思うんです。その体験をした瞬間に戻って温かい気持ちになってくれたら何よりですね。

AmPm:そんな風にNathanが東京へのイメージを膨らませてくれたように、聴く人によって東京の印象は異なって響くものだと思います。この楽曲を通じて、東京に遊びにきたような気持ちになってくれればいいですし、世界のどこかにいる人が気持ちを東京へ向けてくれたらいいですね。何かのきっかけになるような1曲になってくれたら、と思っています。

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