Talk Session: AmPm “音楽”ד旅” vol.2: TOKYO

AmPm×Michael Kaneko 東京の昼を描くダンスチューン「Streets of Tokyo」

Photograph_Masashi Ura

Talk Session: AmPm “音楽”ד旅” vol.2: TOKYO

AmPm×Michael Kaneko 東京の昼を描くダンスチューン「Streets of Tokyo」

Photograph_Masashi Ura

日本人2人組から成る覆面ユニット、AmPm。デビュー5周年を迎えた本年、ついに1stアルバムをリリースすべく、その制作が進行中だ。
AmPmはとある都市をキーに、旅をテーマにした楽曲を発信し続けてきたアーティスト。このアルバムに収録される都市の1つに“東京”がある。7月22日リリースの「Streets of Tokyo」は、盟友であるシンガーソングライター、Michael Kanekoとの共作となるわけだが、本作には、どのような思いが込められているのかを話し合ってもらう。

※AmPmの表記はインタビュー中にインタビュアーから向かって右に座っていたのがAmPm(R)、左をAmPm(L)とする

東京で過ごす楽しい時間を描いた

ーAmPmとMichael Kanekoの出会いはいつになりますか?

AmPm(R):随分と長い付き合いになりますね。最初にコンタクトを取ったのは2015年頃だったと思います。

AmPm(L):最初はFacebookを介して、僕らからコンタクトを取ったのが始まりなんですよ。マイキー(Michael Kaneko)のオリジナル楽曲がすごくよくて。

Michael Kaneko:その頃は大学を卒業して間もなくて、音楽活動をスタートさせたばかりでした。色んなバーやカフェで1人で弾き語りをしたりしていた時期でしたね。最初はAmPm(L)さんが連絡をくれたんですけど、当時はまだAmPmのプロジェクトをスタートさせる前でしたよね?

AmPm(L):そうだったね。イベントに誘って出てもらったりしながらマイキーと仲良くなっていったよね。AmPmがスタートしてからは、曲にも誘って参加してもらったね。

Michael Kaneko:最初が「Best Part of us」でしたよね。

AmPm(R):そう、2017年リリースの「Best Part of Us」。あの曲でAmPmがデビューしたし、その後もマイキーとは一緒に音楽を作ってきたよね。ここ最近は少し間が空いていたけど、AmPmとして改めてアルバムという作品を出す以上、Michael Kanekoの存在は不可欠だと思って。

ーそれで「Streets of Tokyo」の共作に至ったというわけですね。AmPmからMichaelさんへはどういうオファーをしたんですか?

AmPm(R):東京という街感と昼過ぎという時間帯、あとは参考程度のムードボード(写真等)といった非常にシンプルな内容をマイキーに渡しました。あとは、トラックも事前に渡して自由に連想してもらった形です。

AmPm(L):東京という街にフォーカスした楽曲を制作するうえで、僕らとマイキーが出会ったのも東京ですし、マイキーのバックグラウンドには海外の要素も大いにあると思うので、また独特な東京の捉え方をしてくれると思ったんですよ。その感性を曲に反映させてほしいという思いがあったので、細かな指定を避けてメロディとリリックを考えてもらったんです。

Michael Kaneko:これまでAmPmとやってきた曲は、夜とか暗い時間帯に映える曲が多かったんですけど、今回は東京の明るい時間帯というコンセプトもあったので、よりポジティブな歌詞表現になっていますね。トラック自体も、これまでのAmPmと比べるとクラブ寄りだと感じたので、海外に住んでいる友人がクラブで盛り上がれるような曲に仕上げていきました。なので、東京で遊んで楽しい時間を過ごすといった内容になっていると思いますし、サビはクラブでオーディエンスが歌っている光景を想定して書いたんですよ。最後の<To conquer these streets of Tokyo>の一節なんかは、僕の海外の友達が歌っている光景が想像できるんですよ。「東京にいるぞー」って感じで(笑)。

AmPm(R):マイキーが言うように、これまで取り組んでいた曲は、歌詞の世界観的にも少し重たいものが多かったんですね。なので、「Streets of Tokyo」では、これまでやったことのない取り組みでいこうと思って、明るい時間帯の曲、力強いトラックで制作したんです。

AmPm(L):マイキーから上がってきた歌詞を読むと、当たり前だったクラブの日常が思い出されるところが大いにあってよかったですね。もうそろそろ、あの光景を目の当たりにしたいという気持ちになりました。実際にクラブの現場にハマる曲に仕上がったと思いますよ。

AmPm(R):これまでマイキーが書いてきた歌詞を振り返ると、失恋の曲が多かったので「恋愛(の話)じゃない!」と最初に思って。

一同:笑。

AmPm(R):全然これまでと違った世界観でボーカルの部分を作ってくれたのは良い意味で驚きましたし、アルバム全体を考えてみても、望んでいる1つのパートでもあるし、改めて一緒にやってよかったなって思いましたね。AmPm×Michael Kanekoという括りで考えると、絶対的に新しい部類に入りますね。

ーMichaelさんが東京から影響を受けているのはどういう部分になりますか?

Michael Kaneko:やっぱり人との出会いは大きいです。色んな人と話したり同じ時間を過ごしたりすることで、間接的に自分の音楽に影響を与えられていると思いますね。そうやって蓄積された経験が作詞作曲するときに反映されているように感じます。東京から得る刺激がインスピレーションを与えてくれると思っていますね。

今1度ダンスミュージックで繋がろうという思い

ートラックという点では、今話題に上がったように踊れるダンスチューンになっています。これはAmPmの音楽性を考えても、けっこう珍しいことではないかと思ったのですがいかがでしょう?

AmPm(L):たしかに、こういうダンスチューンは初挑戦に近いと思いますね。2018年にマイキーとやった「Turn Your Love Around」もアッパーな楽曲ではありますけど、アプローチがもう少しバンドサウンド寄りでしたからね。「Streets of Tokyo」のような楽曲をアルバムに入れたいと思ったのも、コロナ禍以降のご時勢的なものが理由の1つとしてあるんですよね。なかなか海外への行き来がしにくい状況が続いて、クラブに行っても自由に踊れるムードじゃなかったりするじゃないですか。でも、もうそろそろダンスミュージックを介して一緒に何かを始めよう、繋がろうという思いが改めて出てきているんですよ。そういう意味ではアルバム収録曲は全部ダンスミュージックなんです。全曲DJとしてプレイしたいと思っていますから。

ーでは、改めて旅から獲得できる音楽へのインスピレーションはどんなものなのか教えてください。

Michael Kaneko:やっぱり東京と同様で、海外で出会う人との会話や出来事が大きいと思いますね。まったく違う考え方やライフスタイルを送っている人との時間から生まれるものはあると思います。その経験を経て、自分も成長することができますからね。特に自分の場合はずっと部屋にいるだけじゃメロディも曲も出てこないと思うんですよ。外に出て、色んな国を巡って色んな出会いを得ないと、よい音楽は作れないと思いますね。

ーMichaelさん的に、思い出される思い出深い旅先と言えば、どこでしょう?

Michael Kaneko:随分昔になるんですけど、カリフォルニアに住んでいる友人の家族がメキシコシティに住んでいてクリスマスのときに彼の家族と過ごしたんですけど、超パーティでめちゃくちゃ楽しかったですね。サルサなんて踊れないのに、みんなで踊って。そういう経験って大事じゃないですか。あの思い出が、今でも自分の性格や考え方にも繋がっている部分はあるだろうし、それによって出てくる音楽も変わってくる部分はあると思うので。直接的ではないけど、そういう繋がり方はしていると思いますね。色々見て、音楽を作ろうってときに、そういう経験が滲み出てくるものがあるんだと思います。

AmPm(R):まったく同感で旅することで色々影響を受けたり、得た刺激が創作に繋がると思うんですよね。この2年、なかなか海外に行けなかったことは心苦しいものはありましたけど、世界中の人が同じ気持ちだったとは思うので、それを受けて、また色んな人と、今後どういう会話ができるのか、どんなことが起こるのかっていうのはすごく楽しみです。個人的な話なんですけど、明日からタイに行くので、久しぶりの海外で本当に楽しみなんですよ。

Michael Kaneko:いいなー!

AmPm(R):いいでしょ? 行って帰ったときに、どういう気持ちになっているのかは楽しみですね。今までは行き過ぎていて、フレッシュさに欠けている部分もあったと思うので。改めてどういう気持ちになれるのかなって。

AmPm(L):マイキーが言うメキシコでのパーティはきっと自宅でやってたんでしょうけど、そういうのは本当にいいですよね。今回、マイキーもそうだけどアルバム制作にあたってコラボレーションしたのは海外のアーティストが多いんですが、まだオンラインでしか繋がっていない人もいるんですよね。彼らに会いに行くような旅をしたいし、今回共作したアーティストと海外を旅して回って一緒に音楽をやって、その経験を元に、また一緒に創作するってことができたら、それが理想的かなって思いますね。何よりAmPmらしいと思うし、そんな繋がりを生むプロジェクトになっていってほしいと思います。

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