-未来で、未来に、未来を鳴らす音 Vol.04-

自分たちの今を作り出す音楽アーティストに注目する企画、FUTURISTIC SOUNDS 。中でも音楽シーンを騒がせているorこれから騒がせることになるであろうユースをEYESCREAMが独自の観点でピックアップ。インタビューを通して彼らのアイデンティティ、ルーツに迫る。ロックもHIPHOPも、今年から何かが変わり大きく動き出すはず。新たな音楽カルチャーを知り、サブカルチャーの未来がどんな姿なのかを知る1つの材料としたい。EYESCREAM選、注目の音楽アーティスト2017下半期。第4回目に登場するのはMONO NO AWARE。EYESCREAM7・8月号よりのスピンオフ。彼らが奏でるのは“一切の固定概念を取り払った、ドレスコードのない音楽”。

今は、行き当たりばったりで好きなことをとことんやる、でいい

ー玉置さんと加藤さんは八丈島出身ですが、それは楽曲にも影響を与えている?

加藤成順:いや、ほぼ関係ないというか(笑)。メンバーそれぞれ好きな音楽を聴いたうえでバンドとして音を出し ているので、音楽に直接的に影響を与えてはいません。 けど、歌詞にはあるのかな?

ーどうですか?

玉置周啓:やっぱり生まれ育った環境なんで、自分のパー ソナルな部分には大きく影響していますよ。僕の歌詞には2種類あると自覚しています。1つが、地元の温かい人たちに囲まれて育った経験に基づいて、人にも同様に接したいと思って描くもの。もう1つは、封鎖的な社会から抜け出したいという思い。封鎖的であるということは、日本全体にも言えることかもしれないんですけど

ー“MONO NO AWARE”実はバンド名も気になっていたんですよ。どういう意味なんですか?

玉置:不特定要素の感情を当てはめた日本の古語が由来しているんです。この名前には、僕らの音楽は特定のルーツを持っていないという意味も込めています。行き当たりばったりでやりたいことをとことんやる、僕らはそんなスタイルなんです

加藤:バンドをコンセプト的にやっているのではなくて、メンバー集めにしても“こんな音楽をやろう”という明確な目標があったわけじゃないんです。面白いと思うからバンドに誘って一緒にやっているんです

ーやりたいこと、作りたいものというのはメンバー皆で話し合って決めているんですか?

加藤:曲自体は玉置が作っていますからね。自分たちは曲をどう活かすか、なので。今はどんな感じなの?

玉置:最近の若い世代の人たちと音楽観を共有して、それに寄り添ったものを作りたいとは思っています。でも、最近の流行音楽のパクリだとも思われたくないから、自分で作っていて『コレ、パクリなんじゃないか??』とか困惑しながら作ってます。後で、誰かの曲に似ていると思いたくないし

ーMONO NO AWAREの楽曲は最近のトレンドにもマッチしているように思います。

玉置:音楽的流行が、たまたま僕らが聴いていた音楽と共通しているんだと思います。お陰で、僕らの音楽を聴いてくれる人もいる。それって僕らにとってはラッキーなことで

ー聴いていた音楽と言うと?

玉置:例えば、The StrokesやArctic Monkeys、Phoenix とかですかね。僕らのルーツってわけじゃないし、ジャンル的な共通点もないけど、カッコいいと思っていて。あとは Radiohead も好きなんですよね…。音楽的知識が深く難解な音楽も作れるけど、そのうえでポップに音楽を表現している人たちが魅力的だと思う、自然に惹かれてしまいますね

ー多くの人からの注目が集まってきていると思いますが、そこにはシティポップムーブメントの影響も感じますか?

柳澤豊:僕らは、シティポップと呼ばれている、とあるバンドに似ているって言われるんですけど、それもラッキーだと思っていて。流行っているのと似ているんでしょ? じゃあ聴いてよ!って感じ。流行に寄せているわけじゃないけど、似た部分があることで多少なりとも受け入れられている。それには感謝していますね

加藤:だから今は、シティポップだと言われてもいいかなって。それでちょっとでも興味を持ってくれる人がいるならそれでいいというか。これからついてきてくれる人と繋がれることが今は大事だと思います

ーちなみに、なりたいアーティスト像、目標とするバンドはありますか?

一同:ないです

ーでは、属するシーンやライブハウスなど。自分たちのホームと呼べるところは?

一同:それもないです

玉置:コンプレックスとの表裏一体というか……。シーンに収まらないことは望んでいたことなんですけど、その反面、後ろ盾も肩を組んで共に歩ける仲間もいない。寂しいな…。でも、やりたくてやっていることですからね。今は好きなことをやって、かつ、理解してくれる人がいるのが最大の条件。そういう人がいてくれるから音楽活動ができていると思っています

ーこれから、バンドとしてどんな景色を作りたいですか?

玉置:僕らは他のバンドと違って、まだカラーがないと思うんです。お洒落にこだわっている人が聴く音楽、という感じでもない。別にシティボーイでなくても、どんな格好をしている人でもいい。普通に音楽が好きな人にありのまま、好きに聴いてほしいですね。ドレスコードのない音楽を、と

柳澤:もちろん、お洒落な人にも聴いてほしいし

玉置:そう。ライブのときは、国籍もファッションもバラバラで雑多な光景になるのが理想です。そういう人たちが繋がってくれるようなコミュニケーションの場を作りたい。こう思うのは、やっぱり故郷である島のコミュニティに触れてきたからだし、そこに憧れがあるんですよね。この気持ちはこれからもブレずにやっていきたいと思います

MONO NO AWARE – イワンコッチャナイ(OFFICIAL VIDEO)

profile

MONO NO AWARE
2013年に結成した、柳澤豊(Dr)、玉置周啓(Vo&Gt)、加藤成順(Gt)、竹田綾子(Ba)からなる4人組バンド。今年の3月に1stアルバム『人生、山おり谷おり』をリリース。耳に残る情景的な日本語詞。アンビエントなサウンドから、どこか温かみを感じる楽曲も。表情豊かでポップな音楽を表現している。フジロック’17にも出演予定。
http://mononoaware-band.tumblr.com/

FUTURISTIC SOUNDS ARCHIVE

01. DATS
02. 集団行動
03. CHAI
05.PAELLAS
06.Aun beatz
07.NAHAVAND
08.JP THE WAVY
09.Weny Dacillo