-未来で、未来に、未来を鳴らす音 Vol.05-

自分たちの今を作り出す音楽アーティストに注目する企画、FUTURISTIC SOUNDS 。中でも音楽シーンを騒がせているorこれから騒がせることになるであろうユースをEYESCREAMが独自の観点でピックアップ。インタビューを通して彼らのアイデンティティ、ルーツに迫る。ロックもHIPHOPも、今年から何かが変わり大きく動き出すはず。新たな音楽カルチャーを知り、サブカルチャーの未来がどんな姿なのかを知る1つの材料としたい。EYESCREAM選、注目の音楽アーティスト2017下半期。第5回目に登場するのはPAELLAS。EYESCREAM7・8月号よりのスピンオフ。彼らが奏でるのは“デジタルネイティヴ世代による、現代のスタンダード”。

都会の夜に揺蕩う音とエモーショナルな感情

ーまずは結成の経緯を教えてください。

MATTON:きっかけは、僕とbisshiが同じ大学の先輩後輩で、Ananはmixiのメンバー募集で出会ったんです。ほどなくして Ananはアメリカに留学したので、そこから残った2人で別のメンバーを入れながら活動していたんですけど、Ananが日本に帰ってきて『東京に行こうかな』という発言から一緒に上京しました
bisshi:msd.とRyosukeさんの2人は、こっちにきてから出会ったんです。Ryosukeが加入してから1年くらい経ちましたね

ー今、自分たちがやっているサウンドを言葉で説明するとしたら?

bisshi:ジャンルで言うとR&B、ハウスあたりですかね
MATTON:色々と自分たちの好きなものを取り入れながらも、PAELLASらしさが出る曲を作っています
msd.:MATTONのボーカルだったり、ギターもみんなそれぞれ独特の味があるので

ー常に最新の音楽の、一番気持ちいい所をいち早く押さえているように感じるのですが、そこにもバンド的な狙いがある?

Anan:いえ、単純に5人の好きなものが“今っぽい”と言われる音と合致していたから、そういう風に聴こえるんじゃないでしょうか
MATTON:正直言って、トレンドは意識しているし、流行の音も好きですけど、その中で取捨選択しています。一瞬で消費されるようなバンドにはなりたくないので。流行と昔から変わらない良いもののちょうどいい間をついていきたいな、と

ーPAELLASのルーツとなる音楽は?

bisshi:1つはKindness。ハウスというジャンルの入り口というか。上京してからは、ベースが活きるR&Bをシャッフルしたような音を作るようになっていたんですが、2012年のサマソニでKindnessを聴いた時に、コレだ!って思いました
Anan:あとは、割とテンションが上がらず平熱な感じは、The Strokesあたりから来てるとも言えるかな……。そこからシンセとか打ち込みに結構ハマって、今に至ります

ーあの平熱感を保ちつつ、ジワジワと染みてくる感覚もPAELLASの特徴ですよね。

MATTON:自分が音楽を創る時、映画『ドライヴ』の世界に流れているような楽曲がいいと思うんです。夜のLAみたいな。まぁ、行ったことないんですけどね(笑)人との繋がりがない都会の寂しさって、映画だとLAを舞台に描かれていることが多いような気がしてて『クラッシュ』『ヒート』『コラテラル』とかもそうですけど。ああいう世界観。僕らの成り立ちでもありますが、皆、シティボーイではないので
Anan:確かに、みんな幼馴染みで同じ地元の仲間でーーみたいなチーム感はないよね
MATTON:そういうクルーみたいなのもいいとは思うけど、僕らは違うところで勝負したいですね。こういう集団だからこそ、できることもあると思いますし
Anan:映画もそうだけど、僕は写真からインスパイアされることも多いです。別に誰かの写真集を買うことはないけど、インスタグラムやタンブラーでイメージを漁って、その世界で曲を創っていた時期もありました
MATTON:昔は写真って、名のある写真家の作品じゃないと広まらなかったはずだけど、今はSNS上で、いい感じのやつを簡単に探せちゃうからね

ー話を聞いていると、まさにデジタルネイティヴ世代ならではの制作スタイルだと思いました。

Anan:インターネットに生かされていますね。ネットがなかったら音楽やってなかったと思う、僕の場合は
MATTON:できてないよね。まず出会ってなかっただろうし

ーファッションについて、バンドとして統一感を持たせたり考えることはありますか?

Ryosuke:ライブの時はトーンだけは合わせようという話をしますね。全員が黒でもキャラがバラバラだから、逆にそれぞれ個性が出るというか
MATTON:例えるなら、ドラマの『フリークス学園』みたいにスクールカーストから、ちょっと外れたアウトサイダーとギークが仲良くなるようなバランスになっていれば面白いな、と思っています

ーちなみに仲の良いアパレルショップはありますか?

MATTON:自分は祐天寺のnitakoで、msd.は黒BENZという古着屋で働いていたりもしてます。みんな新宿のjackpotにもお世話になっているので、新しいものを見るとしたらそこかもしれませんね
Anan:僕は下北沢のFILMはすごく仲が良いですね。あと、ついさっき今日の撮影用にcame unto meで買い物してきました(笑)
msd.:たまにみんなで古着屋で買い物したりしますよ
MATTON:音楽の思想にも通じるのですが、古い物をメインに使って、今の時代感にリンクするスタイルでありたいというのはありますね

―今後のPAELLASの展望は?

MATTON:日本って今まで何においても遅れていたように感じるんですけど、今は、みんなリアルに2017年の音をしっかり聴けているので、その中でスタンダードとなる音楽をやりたいです
bisshi:僕らは1年ずつ階段を上がっていくようなバンドだと思ってます。年先に何をやりたいかではなく、今までの曲から、もう一歩先に進もうというところかな……
MATTON:とにかく自分たちで納得したい。まだできていないので。『このフェスに出たい』とかそういうのより、自分たちがちゃんとした楽曲を創って、それを発信すれば自ずと結果はついてくると思っています

PAELLAS 「Fire」

FUTURISTIC SOUNDS ARCHIVE

01. DATS
02. 集団行動
03. CHAI
04.MONO NO AWARE
06.Aun beatz
07.NAHAVAND
08.JP THE WAVY
09.Weny Dacillo

INFORMATION

PAELLAS

bisshi(Ba.)、Satoshi Anan(Gt.)、msd.(Sp.)、MATTON(Vo.)、Ryosuke Takahashi(Dr.)からなる次世代の東京インディーシーンを担う5人組。あらゆるジャンルをミックスし洗練を極めたサウンドで独特の存在感を放つ。また、セレクトショップへの楽曲提供を行うなど、ファッション界からも熱い視線を集めている。

2017.09.06
NEW MINI ALBUM『D.R.E.A.M.』 RELEASE

http://paellasband.com/