MUSIC 2025.10.25

LIVE HOLIC Relationship Vol.02 清水英介(Age Factory)× ハルモトヒナ(ジ・エンプティ)

EYESCREAM編集部
Edit&Text_Ryo Tajima(DMRT)

2014年から始まった、スペースシャワーエンタテインメントプロデューシングが企画するライブイベント『LIVE HOLIC』。2025年も各地を回る本イベントは“先輩VS後輩の初顔合わせガチンコ2マンイベント”という異色のコンセプトを持っている。
そんな“はじめまして”のライブを盛り上げるべく、2マン前に対談を実施! ひと足早くお互いのことを知っていただこうというわけだ。
そんな連載形式でお届けする対談、第2弾はAge Factoryから清水英介、ジ・エンプティからハルモトヒナ、フロントマン同士でWEBを通じて対談をしてもらった。それぞれ、奈良と福岡という地元を拠点に活動を続ける2バンドである。各々のローカル感を踏まえてバンド活動について話してもらう。
Age Factory × ジ・エンプティの『LIVE HOLIC vol.41』は11月11日(火)、京都MUSEに集え。

自然とバンドに流れているであろう奈良・福岡の“血”

ー今日が初顔合わせになりますね。お互いのバンドに対してはどんな印象がありますか?

ハルモトヒナ:Age Factoryの皆さんは、やっぱりちょっと怖い兄さんっていう印象がありますね(笑)。とあるフェスの裏側で増子さん(Dr/Choの増子央人)とお話する機会があって、すごく優しくしていただいたので、もしかしたら僕らのことも温かく受け入れてくれるんじゃないかなって予感がしています。そもそもAge Factoryのことを知ったのは地元、久留米の先輩バンド、THE FOREVER YOUNGのクニさん(Vo/Baのクニタケ ヒロキ)から教えてもらったんですよ。それで、ずっと聴いていました。特に「CLOSE EYE」が好きで。イントロのズンズンって刻むギターリフが自分の鼓動に重なってくるような感じがあって、奮い立つような気持ちになるんです。ライブ前のルーティンとして聴いています。

清水英介:おお、嬉しいですね。ジ・エンプティが久留米のバンドだと聞いて、なるほどなと。どんな曲をやっているのかなと思って聴いていたんですが、今の話を聞いてすごく合点がいきました。たしかにTHE FOREVER YOUNG感があるし、個人的にはちょっとSIX LOUNGEっぽさも感じる。九州独特の温かみというか、ヒューマニズムが存在する。すごく久留米というルーツを感じました。楽曲の中にはシンガロングも採用していて、俺らにはできないような伝え方をしているし、日本人らしいメロディの組み立て方もいいですね。

ハルモトヒナ:ありがとうございます! 自分ではわからないんですけど、九州の血が音楽にも表れているものなんですかね?

清水英介:うん、あると思いますよ。俺には奈良の血が流れていると自覚しているし、ちゃんと地元があって、そこで生活して音楽を作っている人には土地の系譜ってものが自然に存在するものだと思うので。俺はそうやって自然に形成されたものの上で音楽をやっていたいなとめっちゃ思うんですよ。例えばですけど、ライブハウスで店長が選ぶBGMのチョイスだとか。そういう小さなことの積み重ねが人間を形作っていくものだと思うので。

ーAge Factoryは奈良、ジ・エンプティは福岡と、お互いのローカルを大切にしながら、今も地元に住んで活動しています。そこに対するこだわりについて教えてください。

清水英介:こだわりってわけではないんですけど、こうして奈良で生活しながら、10年以上活動してきて、今のチームの中で音楽を作っていてすごく居心地がいいし、逆にそれが唯一の武器でもあって自分らの特色であると認識できるようになってきたわけなので。だから、もうこのまま奈良を離れることもないだろうし、むしろ外から招いて奈良のノリを友達のアーティストに体感してもらったうえで、一緒に曲作りしたりライブしたり表現に繋げることができればいいなと思うようになりました。

ー今の奈良のノリや空気感はどんな感じでしょう?

清水英介:例えば、NEVER LAND(奈良を代表するライブハウスの1つ)では、俺ら世代のスタッフが店長になったりメインを張るようになったり、自分の話で言うと古着屋を始めたり、事務所兼スタジオを作って、みんなで制作をするようになり、ついに自分たちの世代が奈良のシーンを引っ張る感じが見えてきたなって思いながら活動していますね。俺が初めてライブハウスに出たのは15歳の時だったんですけど、その日、Age Factoryのメンバーは各々違うバンドをやっていて、最近店長になったレオナくんも含め、全員が一堂に会してたんですよ。その日から1人も欠けることなく15年間やってきて、各々が成長して今に繋がっているというのはすごく面白いと思います。変人たちが集まっちゃったっていう。もしかしたらすごく運がよかったんだと思います。

ハルモトヒナ:全国をツアーしてみると、時間の流れ方が街ごとに違っていて、やっぱり地元の久留米に戻ると安心するんですよね。いざライブをするとなったら、ハルモトヒナという人間がバンドのボーカルとして歌ってMCをするわけで、その人間がどこで形成されたのかってことを考えたら、やっぱり久留米という街なんですよ。なので、僕を作ってくれた街に居続けたいという気持ちが強いですし、どこに行っても地元の空気感を自然体で表現できるようになりたいと思いますね。大きなこだわりがあるわけじゃないですけど、そんな風に久留米に対して考えています。

ーでは、福岡のジ・エンプティ周辺の空気感は今、どんな感じですか?

ハルモトヒナ:福岡にはバンドが増えてきましたね。僕らがスタートしたのはコロナ禍だったので誰もいない状況だったんです。で、気づいたら高校からの友達がバンドを始めていたり新しい顔も増えてきたので、こうやってバンドが活発になってきて面白いなと思いながら見ています。

清水英介:ジ・エンプティの作詞作曲は誰がやっているんですか?

ハルモトヒナ:新しいEP『覚醒少女 e.p.』は4人が1曲ずつ作詞作曲しているんですけど、それまではベース以外の3人で曲ごとに作ったりしていました。

清水英介:なかなか珍しい構築の仕方ですね。面白い。

ローカルだからこその特殊環境で突然変異バンドが生まれる

ーさっき、英介さんの話にもありましたが、Age Factoryは自分たちのレーベルを立ち上げ、事務所兼スタジオを作って、そこに友人を招いたりしながら制作を行われているんですよね。そういう拠点みたいなのはジ・エンプティにもありますか?

ハルモトヒナ:僕らにもアジトみたいな場所があったんですよ。周りが田んぼしかないようなところにポツンと建っている牛舎の隣の一軒家があったんですけど、夜中も音を鳴らし放題だったんで、そこに機材を入れてやっていました。でも、半年前くらいに撤去しなくちゃいけなくなっちゃったんですけど。

清水英介:いいね。俺らも今のスタジオができるまでは、レイブゲイトっていう小さいライブハウスの上にあるスタジオを占拠してたんで。そこで真夜中でもリハをやったりしていましたね。指がちぎれるんじゃないかってくらいまでギターを弾いていたからこそ、今やれているっていう自負もある。そういうのって地方だからこそできる特殊環境だと思うし、そういう場所があるから突然変異を遂げるバンドが出てくるんじゃないかと思います。きっとジ・エンプティもそういうところから生まれてきているわけなので。そういうローカルならではの特別なところに誘ってあげたいという気持ちが最近はすごくあります。そこへ引っ張っていくのが、俺ら先輩バンドたちなんだなって感じがします。

ー現在、2バンドともツアー中です。Age Factoryはアルバム『Sono nanika in my daze』、ジ・エンプティはEP『覚醒少女 e.p.』。この新作に収録されている曲は『LIVE HOLIC』で演奏されそうですか?

清水英介:自分らはアルバム発表以降、リリースツアー以外ではまだアルバム収録曲を演奏してないので、ちょうど『LIVE HOLIC』辺りから既存曲と新曲が混ざり合った新たなフェーズでのセットリストで挑めるかなと思っていますね。これからバンドにとって初のZEPPツアーが始まるんですけど(※)、1本のセットリストとワンテーマのアルバムのリリースツアーをZEPPでやるとなると、想像もできない気づきが自分の中に生まれてくるだろうし、その未知数な感じがすごく楽しみです。同時に、その表現を劣化させることなく更新し続けていかなくちゃいけないということを考えると、なかなか余裕がないというか(笑)。そういう状況です。
※対談はAge FactoryのZEPPツアー開催前の10月10日に実施した。

ハルモトヒナ:僕らもEPからの新曲をセットリストに組み込んでいく予定です。今、ジ・エンプティはツアーをやりながら4人のベクトルが同じ方向をピシッと向いている感じがあります。自分たちが想像していた以上に自分たちのグルーヴが上がってきていると思うし、各地で多くの人が僕らのことを待っていてくれて、早くも幸せな気持ちで胸がいっぱいです。

ー11月11日の京都MUSE、どんな1日にしたいと思いますか?

清水英介:2マンの対バンっていうのは音響や照明も含めて、チームとして自分たちが何をよしと思ってやっているのかを明確に見せ合うことなのかなと。だからこそ、そこから新しいものを得ることができるんだろうし、自分たちにあるよさにも気づけるものなんだと思います。だから、この日も今、自分たちが何をやりたいのかをジ・エンプティにも、お客さんにも見せたいと思っています。

ハルモトヒナ:僕らはまだまだ場数を踏めているわけではないので、ライブ中に自分の中にある引き出しを引っ張ってきて、その日に当てはまるものをみんなに提示できたらいいなと思っています。1日を噛み締めながら精一杯頑張って、そして、最終的にはAge Factoryの皆さんに後輩として可愛がってもらえるようになれたら! と思います(笑)。

清水英介:『LIVE HOLIC』は最初に静岡のSOUND SHOWER arkで出させてもらったのが、もう6年前なんだなと。『MURO FESTIVAL』に出演してからダブルヘッダーでそのまま向かってやったんですけど、あの日は俺らが後輩側でした。そして、今回は先輩側にしていただいたということで、気づいたらこんなところまで来てしまったのかと。時間を経た分、俺たちが教えてあげられる部分が絶対にあると思いますし、あの日、coldrainがくれたものを同じイベントでジ・エンプティにも渡すことができたらいいなと思います。

ARCHIVE

LIVE HOLIC Relationship Vol.01 Tatsuya(Survive Said The Prophet) × 夕日(NEE)

INFORMATION

LIVE HOLIC vol.41

Age Factory × ジ・エンプティ
2025.11.11 (火) at 京都MUSE
OPEN 18:00 / START 19:00 (予定)
ticket ¥5,300+1D
https://event.spaceshower.jp/liveholic/2025/vol41.html

Age Factory
https://agefactory.biz/

ジ・エンプティ
https://the-empty.com/

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