Interview: Jeremy Quartus x Skaai 3月19日開催! EYESCREAM NITE事前特別対談 ~お互いダサいと思われない活動をしていこう~

Photography_Masamichi Hirose, Edit&Text_Ryo Tajima(DMRT)

Interview: Jeremy Quartus x Skaai 3月19日開催! EYESCREAM NITE事前特別対談 ~お互いダサいと思われない活動をしていこう~

Photography_Masamichi Hirose, Edit&Text_Ryo Tajima(DMRT)

来る3月19日に第3回目となるEYESCREAM NITEが渋谷のVeats Shibuyaで開催される。今回、出演してくれるのはJeremy QuartusとSkaaiの2組。しかも、この日が初の2マンライブとなる。
この日を境に深い交流がスタートするのではないかと思うのだが、ここではイベントに先立って2人の対談を実施。自身が思う音楽論についての話を展開してもらった。

“EYESCREAM NITE” VOL.3

ワンマンを観て久々に悔しい気持ちになった
ーJeremy Quartus

ステージで起きていることは現象であり歴史
それを体現しなくては
ーSkaai

ー今回、2マンでイベントを開催するにあたって、まずEYESCREAMサイドからJeremy Quartusにお声がけさせていただき、そのうえでJeremy Quartusさんに<一緒にイベントをやりたいアーティスト>についてご意見を伺った際、真っ先にSkaaiさんの名前が挙がりました。その理由について教えていただけますか?

Jeremy Quartus:Nulbarichをやっている頃から、Skaaiくんはヒップホップシーンでも話題を集めていましたし、僕も注目していた背景があったんです。それに、現在こうしてソロとして活動をスタートしてから、これまで以上にソロで活動しているアーティストへのリスペクトを感じるようになって、いつかどうにかしてお近づきになりたい!と思うアーティストの1人だったんですよ。

Skaai:いやもうビックリですよ。ちょうどお声がけいただいた2025年は1年間を通して新しい挑戦をしていたんです。具体的に言うと、アルバムやライブを通じてバンドセットのSkaaiを提示するということでした。それを1月31日のワンマン(O-EASTで開催)へ繋げようとしていた段階で今回の『EYESCREAM NITE』での2マンのお話をいただけたのがすごく嬉しくて。その後、自分と一緒にライブを回っているメンバーがJeremy Quartusさんと繋がりがあることを知って、すごい縁だなって感じたんですよ。このライブは絶対に受けなくちゃいけないって思いましたね。

Jeremy Quartus:ワンマンまでの軌跡が伝わるように、1つのプロジェクトとして映像を提示したりしていたよね。そうやって行動している姿を見て、僕も絶対にSkaaiくんのワンマンに行かなくちゃいけないと思ったんです。でも、現場でライブを観れて本当によかった。

ーSkaaiさんのワンマンライブを観てどんなことを感じましたか?

Jeremy Quartus:たしか初めてSkaaiくんとお会いしたのはBREIMENのライブに急遽参加されていた時で、喫煙所でちょっとお話したんですけど、その時の印象はとにかく熱い男って感じで自分のイメージと違っていたんですよ。もっとスタイリッシュでスンとした感じの人なのかな? とか思っていたんですけど、ビジョンもしっかりしていたし、そこからSkaaiくんのファンになっていったんです。その人間的な魅力が存分に伝わってくるライブでした。一瞬一瞬にかける思いが強くて熱い。それと、これは自分だけが感動したポイントかもしれないんですけど、最後のMCで「Skaaiでした。あと、なんて言えばいいんだ。あー……Skaaiでした」って言ったんですよ。本人はテンパっていただけかもしれないんですけど、なんかそれがグッときちゃって。

ーその「Skaaiでした。あと、なんて言えばいいんだ。あー……Skaaiでした」というMCのどこが感動したんですか?

Jeremy Quartus:いや、自分もそうだったと思ったんです。どうしてもバンドスタイルでやるライブって、ボーカリストが立つために後ろにいる存在っていう構図になりがちなので、そうじゃなくてバンドも含めて1つの存在なんだってことをちゃんと提示しないと伝わりにくいんですよね。メンバーと日常を共にして一緒に音楽をやらないとグルーヴを生み出せないですし、それが「Skaaiでした」って2度繰り返したところから感じられて。バンドへの経緯や、その日のためだけに生み出されたグルーヴを観れたし、Skaaiくんもそれを表現しようとしていたと思う。ライブを観たというよりも1つの音楽を感じられた日になったので、なんか久々に悔しくなりました(笑)。

Skaai:そんな風に思ってもらえるなんてマジで嬉しいです。やってよかったですし報われた気がしました。僕、音楽歴が浅いんですよ。アーティストとしての心構えが身についたのも4、5年前で。なんならインストゥルメンタルを好きになってきたのなんて最近だったんです。言葉のいらない音楽に心を動かされてバンドってすごいなって。そういう目線でライブを観ていると印象がガラッと変わるんですよね。ステージで起きていることは単純な音楽じゃなくて現象であり歴史だなって。アーティストである以上、それをやらなくちゃって思っています。ただ、自分には知識も経験も足りていなくて熱量と思想しかない。だから、すべての手柄がSkaaiにあるように見せるのは違うなって最初から思っていたんですよ。Skaaiを構成しているものは自分1人だけではなく、たくさんのものから成り立っているんだよってことを、あのMCで言いたかったんです。ワンマンライブ自体が2年ぶりくらいのことで、そこで終わりだと思って臨んだんですけど、終わった瞬間には今日から始まるんだなって気持ちに変わって、また挑戦できるのがいいなって考えになりました。こうしてバンドセットでやるようになって、引き算というか、周りにグルーヴを強要しないことがすごく大事だと考えるようになったんですが、Jeremy Quartusさんは自分の曲の中で、それをどう意識されているんですか?

Jeremy Quartus:僕の場合、音源は自分1人でほとんど構築して、それをメンバーに託して好きにやって~って感覚でやっているんだよね。「グルーヴってなんぞや?」談義ってあるじゃないですか。

Skaai:はい、ありますね。

Jeremy Quartus:僕的にはバンドが仮に5人だったとして、その全員が同じノリでやっている現象のことをグルーヴと呼ぶと思っていて、みんなで3、2、1って手を叩くことができたのならそこには共通のリズムとグルーヴが生まれていると思うんだよね。Skaaiくんが引き算っていうのはまさにそうで、1つのノリに対する共通認識が生まれやすくなるように100ある選択肢ではなく、それを削っていくという。結局こう、言葉じゃなくて何か繋がった時に生まれる現象がグルーヴだと思っているし、ステージ上はまさにその渦。そういう感覚的なものなのかもしれないです。僕にとってのグルーヴは。Skaaiくんはそれを体現していたんで。これからSkaaiくんはそれをお客さんと一緒に作っていくということになると思うんだけど。

Skaai:そうですね。

Jeremy Quartus:中にはリリックだけを聴きに来ている人もいるかもしれないし、普通に歌ってくれよって言われるかもしれない。だけど、負けずにそのマインドを貫いてほしいなって。Skaaiを観にきている人に対してバンドを聴けって言うのは難しいかもしれないけど、あれを好きになる人が増えていけば、どんどん違ったことになってくるはず。あのワンマンで生まれていた現象を常にいろんなところで起こしてほしいと思うわけです。

当事者意識を持っているからこそ
今のままでいいのか?
と疑問に思います
ーSkaai

それこそシーンは活性化するだろうし
いちファンとして見ていたい
ーJeremy Quartus

Skaai:グルーヴってそれぞれの中にあるじゃないですか。メンバーが1人変わるだけで違うグルーヴが生まれるし呼吸するように変化していく。そんな中で歩幅が合ってくる瞬間に生まれるものに取り憑かれているし、そういうものに取り憑かれたやつが狂った連中が周りに偶然いたんですよね。だから僕は自分のメンバーに狂わされているんですよ。それが幸せです。あとは自分がそれを証明し続けるだけだと思っているんですけど、特に日本でそういうことを証明しようと思ったら、業界構造的な難しさもあるなと思っていたんですね。でも、あのワンマンライブを経て希望があると感じられたし、全然10年やれると思います。

ーSkaaiさんはメンバーと一緒に自分の音楽を作り上げるというところにすごくフォーカスされている状態ですが、現在のヒップホップシーンでは、そうではないバンドセットのヒップホップもあると思うんですが、そこに対して何らか思うことはありますか?

Skaai:僕からみたらステージにいる人と一緒に音楽を作らないといけないと思うんですが、フロントマンだけが脚光を浴びているようなステージもあって、それを見るとバンドでやる必要はないんじゃないかな? ってよく思うんです。でも、そこに対してオーディエンスはすごく盛り上がっていたりするので、自分の受け取り方とは随分と差があると思うし、その距離に対してはすごく考える部分がありましたね。なんでこのメンバーにしたのかが見えてこないし何を目指しているんだろう? と疑問に思うこともあります。

Jeremy Quartus:うん。それも1つのエンターテイメントという括りにしてしまうのであれば納得せざるを得ない。だけど、自分がやるならそうはしたくないなと。というか、できない。そういう音楽と自分がやっているものが別物と思えば何とも思わないんだろうけどね。ただ、僕もSkaaiくんと同じで音楽以上のエンターテイメントができないから、これだけを武器にいろんなミュージシャンと戦わなくちゃいけないっていうのはあるよね。きっと今、Skaaiくんはミュージシャンに対する愛があって、音の魅力にすごく取り憑かれている状態だと思うから、自分とは見えるものや思うことが違ってくるのかもしれない。

Skaai:スーパーボウルのハーフタイムショー、あるじゃないですか。自分はあれ、めっちゃ好きなんですよ。

Jeremy Quartus:うん、俺も好きだよ。

Skaai:Dr. Dreや50CENTが出た時のショーは完璧だなって思うんですけど、あれはアメリカ的な演出であって、アベンジャーズ的な打ち出しはカッコいいんですけど、日本で似たようなエンタメをやる必要があるかな? とも思ってしまうんです。まだ日本ではヒップホップミュージックはどうなってほしいのかっていうこと自体がシーンとして見えていない段階にあると感じていて、そこでアメリカの演出をそのまま日本でやっちゃうのってどうなんだろうと。次を考えずにすごい演出をして、すごく盛り上げて、一時的なバズを狙って成り上がるだとか。そういうことだけでいいんだろうかって考えちゃうんです。きっとこれから、自分だけの音楽をヒップホップシーンの中で確立させていくフェーズにどんどん入っていくと思うんですよね。そうなっていったほうが健全だと思っています。自分は過度に当事者意識を持って日本のシーンに接しているので、極論ではあるんですけど、このままの状態でいいのかって考えてしまいますし、自分みたいなやつもいるんだぞってまずは言わないとなって。よかったね、楽しかったね、本当に100%そう言い切れるのかって思うやつがいなくちゃいけないと思っていますね。こんなことをインタビューで言うこと自体どうなんだろう? っていうのはあるんですけど(笑)。

Jeremy Quartus:いや、いいんじゃないかな。今をとにかく盛り上げようとする人たちがいたとして、Skaaiくんのような考え方を持っている人たちは1個のアンチテーゼを掲げて、オルタナティブな存在としてシーンを支えているとも考えられるし、そういう人がいないと活性化もしないからね。ライブの時も感じたけど、ここまではっきりとしたマインドがあって、それを発言できるのはすごいと思う。

Skaai:普通に苦しいから言っちゃうんですよね(苦笑)。2025年の活動は投資がメインで評価が付いてこない中で、そこに何の意味があるんだろうと思うこともありましたし、だからこそ焦点が狭まってしまうこともあるんですけど、やっぱりシーンが盛り上がっているからこそ思うんです。王道のルートで世界を目指そうとするアーティストもいるわけなので、じゃあオルタナティブなアーティストはどういうルートがいいんだろうって考えられるきっかけにもなるし、その両端が必要なんだと思いますね。

Jeremy Quartus:どんなシーンにおいても、結局自分をしっかりと思っていない人は淘汰されて流行り廃りで消化されてしまうと思う。それは僕にも言えることで、そうならないために、いかに自分が信念を持って続けて歩み続けることができるのかが大切だね。そうすることで自分に対するメディテーションにもなるし。今、Skaaiくんがいるヒップホップシーンはまさに当事者意識が強い人が意見を持ち合うことで活性化していくのではないかと僕も思っているので、それを見ている1人のファンとして、負けじと意見を言い続ける人と触れ合えるのは嬉しいな。「いいぞ、もっとやれ!」と。そんな風に応援したくなる(笑)。

ーJeremy Quartusは2月11日に初のミックステープ『UP TO THE MINUTE MIXTAPE』を発表しましたね。今作がどんな作品なのかざっくりと教えていただいてもいいですか?

Jeremy Quartus:そもそもバンドという一人称が止まって、名義=I(自分)になった時に自分が何を言うんだろうってところからJeremy Quartusは始まっていて、そこから出てきたものに素直に音を乗せていくだけっていう感じなんですよ。それをやっていけば自然と自分の描いた道になるので。ただね、作っている時は絶望なので。

ー絶望なんですか?

Jeremy Quartus:何やってるんだろう……みたいな。丸2日間デスクトップにかじりついて『今録らないとヤバい』、『もうしんどい』とか言いながらやっていて。どんなに苦しんでも得たい何かがあるような感覚になってきちゃって。ただね、やっぱり好きでやっているんだってことは改めてすごく感じています。「嫌ならちょっと休んだらいいんじゃないですか?」って周りは言ってくれるんですけど、でも、そうじゃないんだよって(笑)。きち~~!とか言いながらやって、そうだ、音楽をやるっていうことはコレだってところに来ているんですよね。自分自身と好きなものを1分1秒感じながら制作をするモードに入っていますね。今が人生で1番音楽を好きなのかもしれない。今回のミックステープはそれが表現できたかどうかもわからないんですけど、現状はこんな感じっていう内容なので。正解にはいつも辿り着かないんです。曲が出来てミックスエンジニアに(曲のデータを)投げた瞬間は、世界が変わったって気持ちなんですが、ミックスが上がっていて聴いている時は、もっとこうしておけばよかったと後悔しているんです。でも、それって1歩でも前進しているということの裏返しで日々成長しているということですからね。その成長にもう少し時間を使いたいなって考えているところです。

ーありがとうございます。『EYESCREAM NITE』では初2マンです。今後、両者の関係がスタートすると思うと楽しみですね。

Jeremy Quartus:僕としてはもう繋がっちゃっていると勝手に思っているので。これから先2人で何かを話す時には今回のイベントを軸に話すことになるんです、多分。そこに僕はSkaaiくんが1月31日に開催したワンマンを記憶のファンデーションとして、<あの時こうだった俺たちがこうなった>っていう1つのラインとして見えてくると思うので。今日、こうやっていけしゃーしゃーとカッコつけたインタビューをしちゃって、そんな姿をSkaaiくんに見せてしまったもんで、ここからの僕の余生はSkaaiくんにダサいって言われない人生を歩むってことですよ。まぁ、Skaaiくんに限らず出会った人には誰からもダサくなったって言われないようにやっていこうと思っているんですけど。こうして出会ったからには、Skaaiくんもダサいと思うことをやらないでほしいし、僕のことをダサいと思ったら言ってくれよって感じでいけたらいいな。

Skaai:それがいいです! あと、Jeremy QuartusさんのLAにあるスタジオにも行ってみたいです。まだ行ったことがないですし好きなアーティストを多く輩出している街なので。

Jeremy Quartus:LA、面白いよ。最後の楽園みたいなイメージ。タイミングがあったら遊びに来てほしいな。

INFORMATION

EYESCREAM NITE Vol.03

2026.3.19(thu)
OPEN 18:15 / START 19:00

LIVE ACT
Jeremy Quartus(Nulbarich)
Skaai

TICKET
プリセール(先着)
2026.2.6(fri)12:00 ~ 2.15(sun)23:59
スタンディング ¥6,900 (税込・ドリンク代別途)

チケットぴあ
https://w.pia.jp/t/eyescream-nite/

Jeremy Quartus
https://www.instagram.com/mrjeremyquartus/

Skaai
https://www.instagram.com/skaai_theprof/