MUSIC 2026.07.23

イベントカルチャーの視点から見るジャイガ。フェスを“つくる”側から魅力に迫る 東京編鼎談

EYESCREAM編集部

今年で10周年を迎える「OSAKA GIGANTIC MUSIC FESTIVAL」ことジャイガ。開催を目前に控え、イベントカルチャーに携わる人々が、それぞれの立場からジャイガをひも解く鼎談が実現。

大阪編に続く今回は、「YATSUI FESTIVAL!」を主催するやついいちろうと、数々の大型イベントの企画を手がけるスペースシャワーエンターテインメントのイベントプロデューサー・多田、そしてジャイガスタッフが登場。ブッキングやフェス運営の裏側、10年以上続くフェスに欠かせないものとは。作り手だからこそ見えるジャイガの魅力に迫る。

やついいちろう
お笑いコンビ・エレキコミックの作・演出・ボケ担当。DJやついいちろうとして音楽シーンでも活動し、自身の名を冠したエンターテインメントフェス「YATSUI FESTIVAL!」を主催。今年で15周年を迎えた同フェスは、過去最大規模で開催され、大盛況のうちに幕を閉じた。


多田絵美
スペースシャワーエンタテインメントプロデューシング所属。FUKUOKA MUSIC FES.やGFEST.等のフェスの企画をはじめ、自社が主催するLIVE HOLIC、COSMIC CIRCUS、斎遊記ライブなどを担当。

―フェスの企画・運営をされていると思いますが、アーティストのブッキングもご自身で担当されているのでしょうか?

やつい:初期はほぼ僕がやっていましたけど、15年経った今はだいぶ世代交代が進みました。今は僕以外にも何人か担当がいて、バンドやアイドル、お笑いなど、それぞれ分担してブッキングしています。

多田::私はいろいろなイベントのブッキングを担当させていただいています。実は勝手に参考にしているのが、東はYATSUI FESTIVAL! 、西はジャイガなんですよ。なので、こうしてお話できるのが今回すごく嬉しくて。

やつい:ありがとうございます。

多田:今って本当にフェスがたくさんあるじゃないですか。YATSUI FESTIVAL!は、ミュージシャンだけじゃなく、お笑いはもちろん、占いの方まで出演されていて。こんな面白い企画はないなと思って、アイデアに煮詰まった時はとても参考にさせてもらっています(笑)。一方で、ジャイガのラインナップも毎回素晴らしいですし、他のフェスではトリを務めないようなアーティストがジャイガではトリを務めることもある。その背景には、ジャイガとアーティスト、事務所との間に築かれた信頼関係やストーリーがあるんだろうなと感じるんです。それはYATSUI FESTIVAL!にも共通していて、ラインナップを見れば主催者と出演者との関係性が伝わってくるんですよ。だから、他にはないバランスやユニークさが生まれているんだと思います。

―ブッキングを経験してきた立場から、今年のジャイガのラインナップをどう感じましたか?

やつい:タイムテーブルを見て、シンプルに羨ましいなと思いました。こんなビッグアーティストばかり、よくブッキングできるなって。自分もフェスをやっているからこそ、なおさら感じます。

多田:でも、YATSUI FESTIVAL!で今年モナキが出演していたのはかなり早いなって思いましたよ。先見の明があるなと思いました。

やつい:ブッキングしたときは、まだブレイクする前だったので良かったですね。

多田:ブッキングってかなり前から動くじゃないですか。だからいつ声をかけていたんだろうと、裏側を想像してしまうんですよね。YATSUI FESTIVAL!もジャイガも出演者が本当に多いし、作っている皆さんの顔が浮かぶようなフェスだなって、それぞれに感じています。

ジャイガスタッフ:初年度から積み重ねてきて、今のブッキングにつながっているところはありますね。この10年でお世話になったアーティストさんとのつながりも含めて今のラインナップになっていると思います。

今年のジャイガのタイムテーブル。4日間で出演するアーティストは総勢100組以上。

やつい:僕は、アーティストもお金だけじゃなく、このフェスいいなと思える何かがないと出演してくれないと思うんです。僕自身も出演する立場になるとそう感じますし。場所が好きとか、運営している人たちが好きとか、そういう理由があるから毎年出たいと思ってもらえる。ジャイガも、そういう関係をずっと築いてきたんだろうなと思います。出演者自身が「また出たい」と思えるフェスだからこそ、あれだけのラインナップになるんじゃないかなと。大阪はフェス激戦区ですし、「本当に俺らのこと好きなんだな」と感じてもらえることをしないと、なかなか出てくれないと思うので。

多田:私はやついさんのフェスがとっても羨ましいです。私にはどう声をかけていいかわからない方ばかりで。

やつい:そこはやっぱりお笑い芸人だったからよかった部分ではありますよね。YATSUI FESTIVAL!だからこそ出会える人がたくさんいて、アーティスト同士も自然と交流が生まれるみたいで。そういう時間を楽しんでもらえているから、「また出たい」と思ってもらえているのかもしれないですよね。 出演者にとっても良かったと思えることが一つでも二つでもあれば、続いていくんだろうな。

15周年を迎えた今年の「YATSUI FESTIVAL!」会場の様子。
photo:冨田味我
©YATSUI FESTIVAL!

多田:あと、10年くらい前まではロックフェスってアイドルが入りづらい空気が少しありましたよね。でもジャイガは初年度から、いろんなジャンルのアーティストを迎え入れてきた。たとえば今年の初日、SUN STAGEのトリをFRUITS ZIPPERが務めたりしていますけど、それも急に変わったわけではなく、ずっとそういうシーンを追い続けてきたからすごい。

ジャイガスタッフ:ジャイガをきっかけにジャンルを越えて好きなアーティストが増えたり、アイドルファンの方がラウド系バンドのワンマンライブに行くようになった、みたいな話もよく聞くので嬉しいですね。

多田:もう一つジャイガのすごいところを挙げると、フェスって、トップアーティストを見るだけじゃなくて、これから伸びてほしいアーティストを応援できるのも魅力ですよね。タイムテーブルを見ると、今年の夏フェスはジャイガだけだろうなっていうアーティストもいたりして。「ファンを増やしてほしい」という思いでブッキングされたんだろうな、と感じるんです。きっとアーティストも、その期待に応えたいと思うようなラインナップになっていて、私はすごく勉強になるんですよね。

ジャイガスタッフ:普段はライブハウスを中心に活動しているアーティストもたくさん出演しているので、ジャイガをきっかけに、より多くの方に知ってもらえたらという思いもあります。そういう部分を感じ取っていただけているのは、すごくありがたいですね。

EPOCH STAGEには、次世代の注目アーティストや期待の若手が出演する。こちらもチェックしておこう。

―みなさん、10年以上続いているフェスに携わられていると思います。長くイベントを続けていく大変さ、続くフェスの共通点を教えてください。

やつい:YATSUI FESTIVAL!って、僕個人がやっている超アンダーグラウンドなフェスなので、赤字になったら終わりなんですよ。だから常に黒字化することが一番大変です。その分、ブッキングもフェスの広げ方も自然と独自の形になっていきますね。

多田:やついさんの話はまさにそうで、やっぱり面白さとビジネスとして成り立つこと、その両方がないとフェスは続かないと思っています。

やつい:集客できる人気者だけを集めたフェスって、一番続かないんじゃないかなと思うんです。地方の予算が付いて始まったものの、1〜2年で終わってしまったフェスもたくさんありましたし。だから人気のアーティストだけを並べれば続く、というものではないんですよね。

多田:今、福岡や群馬で開催しているフェスを立ち上げから担当させていただいているんですけど、本当に人気者だけを集めたイベントだったら続いていなかっただろうなと実感しています。

やつい:続くフェスって、何か背骨が通っていると思うんです。ジャイガも10年続いているということは、ちゃんと軸がある。ラインナップの組み方だったり、ステージごとの色だったり、このアーティストが好きなら、次はこのアーティストも好きなんじゃないかという流れまで考えられている。YATSUI FESTIVAL!はジャンルだけ見ればバラバラなんですけど、YATSUI FESTIVAL!という名前が付いていることで、「僕が好きなもの」という背骨がある。それがあるからこそ、違和感なく共存できているんだと思います。

―イベント運営における大きな危機といえば、2020年からのコロナ禍があったと思います。皆さんはどのように乗り越えられたのでしょうか。

やつい:毎年6月に開催していたので、100%無理だと判断して中止にしました。でも、あの時期ってアーティストだけじゃなくて、ライブハウスやVJ、音響、照明など関わる人たちみんなが何の仕事もない状態になった。だから、「やっぱり何かやりたい」という声がスタッフからも上がってきて。当時はまだオンラインライブも今ほど浸透していなかったんですけど、「やってみよう」と決めて、クラウドファンディングで資金を集めて無料配信をすることにしました。

多田:すごい!実際どうやって開催されたんですか?

やつい:ライブハウスを周遊するイベントなので、その感覚だけは残したかった。そこで思いついたのが、TwitterやInstagram、ニコニコ生放送など、それぞれの配信サービスをライブハウスに見立てることでした。あの時は、全部がライブハウスに見えたんで(笑)。それでプラットフォームごとのタイムテーブルを組んで、時間だけ決めて自由に配信してもらいました。配信を行き来する感覚が本当にライブハウスを回っているみたいで面白かったですし、クラウドファンディングでも想像以上に支援が集まって、赤字も補填できました。一番苦しかったタイミングを乗り越えられたのは、本当に大きかったですね。結果的に、YATSUI FESTIVAL!を知ってもらうきっかけにもなりました。2021年、2022年はまだ大変でしたけど、ここ数年は動員も伸びていて、あの時の配信が今につながっているのかなと思います。逆に、多田さんはどうでしたか?

多田:私は、とにかく寂しかったですね。他の地域にも行きづらい空気があって、できることも本当に限られていました。おかげで配信文化が進んだという面もあるんですけど。そんな中で、イベント用に準備して作っていたグッズが販売できなくなってしまったので、ライブはなくなったけど、通販だけはさせていただこうと思います、とSNSで発信したら、今まで来てくださっていたお客さんが買ってくれて。直接会ってお礼は言えない分、メッセージをくださった方には、できる限り自分で返信しました。あの時はお客さんへの感謝と、また会えた時に何を返せるだろうと考え続けた時間でしたね。

―ジャイガはコロナ禍をどのように乗り越えたのでしょうか。

ジャイガスタッフ:ジャイガのスピンオフイベント「THE BONDS」の立ち上げがちょうどコロナ禍と重なりました。当時はイベントが次々と中止になって、会社全体も暗い雰囲気でしたね。ジャイガも中止という話が出ましたが、それでも「やろう」ということになって。チケットもぎりや搬入・搬出はもちろん、演出で使用する着ぐるみの中に入る役まで、部署を問わず社員総出で担当しました。そんな中でも出演を決めてくださったアーティストの皆さんには、本当に感謝しかありません。そのときのご縁もあって、節目となる今年のジャイガでも改めてお声がけしています。

スピンオフイベントとして行われるTHE BONDS
こちらも人気イベントのひとつ。

―フェスの話に戻りますが、アーティスト以外のコンテンツについてはどうご覧になっていますか?

多田:ジャイガのグッズは本当にすごいと思いました。年々種類が増えてません? 在庫のことまで考えると、よくここまで攻められるなって。

ジャイガスタッフ:グッズチームの熱量がすごいんです(笑)。担当しているスタッフも自分の業務とは別でジャイガのグッズを手がけていて。本当にジャイガへの愛だけでここまでやっています。

多田:日本にはフェスがたくさんありますけど、ここまでグッズの種類が多いところってあまり見たことがないです。タオルだけでもものすごい種類がありますよね。

ジャイガスタッフ:多いんですけど、それでも売り切れるんですよね。

オリジナルに加え、アーティストやブランドとコラボしたタオルが10種類以上ラインナップ

多田:すごいなあ。フェスグッズってもう飽和状態なのかなと思っていたんですけど、その話を聞くと全然違いますね。YATSUI FESTIVAL!は普段使いしやすいシンプルなデザインだったり、タオルで少し遊んだりされていますが、ジャイガのデザインはかなり攻めてますよね。フェスごとに個性が全然違うのも面白いですよね。

やつい:アイテムはすごく絞ってるんですね。デザインの種類は多いけど。参考にしたいですね。

ジャイガスタッフ:幅広いジャンルのアーティストが出演する分、お客さんも幅広いので、グッズも自然とそういう方針になっています。

やつい:なるほど。多ジャンルのお客さんに向けてデザインを展開するという考え方なんですね。

多田:あと勉強になるなと思ったのが、事前購入すると少し安くなるんですよね。

ジャイガスタッフ:そうなんですよ。今年から始めました。

多田:あれは初めて見ました。上手いやり方ですよね。

やつい:これって当日にネットで買って、会場で受け取ることはできないんですか?

ジャイガスタッフ:できます。ただ、予約受け取りは時間制で運用していて、13時までは事前の予約受け取りの方限定なんです。その後は、枠が空いていれば予約購入できます。 もちろん当日販売もしているので、並べば買えます。

やつい:理想としては、当日欲しくなった人も並ばずに買える仕組みがあったらいいなと思います。僕は当日のその場の熱量で買おうかなって思うタイプなんで。ライブを観て、ご飯を食べて、またライブを観て……ってしていると、意外とグッズを買う時間がないんですよ。「欲しい」と思った瞬間に買える仕組みは、これからもっと広がってもいいんじゃないかなと思います。もし僕にお金があったら、ライブをスマホで撮影したら、その画面からアーティストのグッズ通販につながるような仕組みとか作りたいですけどね(笑)。それならアーティストにも還元できますし。

多田:それいいですね!(笑)。それにしても、ジャイガのグッズ販売の仕組みはもっと知ってほしいですよね。事前購入で少し安くなる取り組みも含めて、すごく参考になります。こうやってフェスもどんどん進化していくんだなと感じました。先に謝っておきます。私もジャイガの真似していたらすみません(笑)。

INFORMATION

OSAKA GIGANTIC MUSIC FESTIVAL

日程:2026年7月25日(土)、7月26日(日)、8月1日(土)、8月2日(日)
会場:大阪・舞洲スポーツアイランド
チケット:
4DAYS:大人 ¥42,000、小学生 ¥16,500
3DAYS:大人 ¥33,000、小学生 ¥14,000
2DAYS:大人 ¥22,000、小学生 ¥10,000
1DAY:大人 ¥12,000、小学生 ¥5,500
※小学生以上チケット必要・未就学児入場無料・小学生以下の入場は保護者同伴のみ入場可能。

一般発売チケット受付:
イープラス:https://eplus.jp/giga/
チケットぴあ:https://w.pia.jp/t/giga-osaka/
ローソンチケット:https://l-tike.com/giga/
楽天トラベル:https://experiences.travel.rakuten.co.jp/experiences/62579

■駐車券(自動車) ¥4,000、駐輪権(バイク) ¥2,500
販売受付URL:https://eplus.jp/giga-pk/

■シャトルバス:往復 前売¥2,000 / 当日¥2,500
バス運行時間(予定):各日共通【往路】8:00-13:00【復路】18:00〜
※待機列終了次第運行終了
シャトルバス乗降所:コスモスクエア駅下車徒歩 5 分 WTC ビル横シャトルバス乗降所
シャトルバスチケット受付URL:https://eplus.jp/giga-bus/

■OSAKA GIGANTIC MUSIC FESTIVAL x The Day Osaka フェス限定スペシャルコラボ宿泊プラン
詳細・購入URL:https://theday.osaka/news/586

■ジャイガ公式アプリ:https://giga.link.fespli.com

■「ジャイガ」オフィシャルサイト:www.giga-osaka.com

-->