結成以来、「KAWASAKI」「DSTM」「TOKYO DRIFT」など、日本のストリートカルチャーをグローバル・ポップへと翻訳する作品を次々と発表し、国内外で存在感を高めてきたボーイズグループ、ONE OR EIGHT 。
「日本発、世界基準」に活動する彼らは、アメリカや中南米を巡るツアーを成功させ、海外リスナーからも熱い支持を集めている。そんなONE OR EIGHTが新たにリリースするのが、デジタルシングル「YANKEE SQUAT」。タイトルの通り、日本独自のカルチャーであるヤンキー座りをモチーフに、ラテンミュージックの熱量とストリートの美学を掛け合わせた一曲だ。
しかし、この楽曲が描いているのは単なるヤンキー文化ではない。「俺たちがいれば、そこが居場所になる」というメッセージを掲げ、自分たちの手で居場所をつくり、仲間を迎え入れながら世界へ進んでいく彼らの現在地が刻まれている。
今回のインタビューでは、「YANKEE SQUAT」の制作秘話、日本のカルチャーを世界へ届ける理由、海外ツアーで感じた手応え、それぞれの音楽的ルーツ、そして「世界を目指す」とはどういうことなのかまでを語ってもらった。
―「YANKEE SQUAT」というタイトルですが、この曲にはどんなコンセプトがあるのでしょうか?
SOUMA: 日本のヤンキー文化を取り入れた曲ですね。MVでは、ボンタンと言われる丈の長い服を穿いたり、虎が登場したり、商店街の街灯の前でパフォーマンスしたりしてて。ヤンキー座りに表れる余裕のある態度というか、自信に満ちたカッコよさを最大限に出しました。
―ヤンキー座り自体は昔からあるものだと思いますが、それをこの曲では、「余裕」や「自信」の表現として導入しているんですね。
SOUMA: そうです。自分たちで居場所をつくっていきたいんですよ。「俺たちがいれば、そこが居場所になる」というスタンスを出したくて。新しいファンの方たちも、どんどん僕たちの居場所に迎え入れていくという意味も込めています。
―ラテンのリズムに、EDMっぽいシンセ。フェスで盛り上がりそうな、夏にぴったりの曲ですね。最初にビートを聴いたとき、どのような感想を持ちましたか?
MIZUKI: メキシコで聴いたんだっけ?すごくキャッチーだなと思った。
SOUMA: そうそう、メキシコだったね。すごくキャッチーだなと思いました。
MIZUKI: 僕は特に、Bメロのピアノが印象に残りましたね。2010年代のフェスEDMっぽいというか。カイゴやアヴィーチーまではいかないかもしれないですけど、ジョナス・ブルーあたりの雰囲気をすごく感じたので、懐かしさがありました。最初はレゲトンのビートなのに、ここへ行くんだ、という驚きもあって。サビをシンセで一気に攻めるのもすごくいい。
RYOTA: お客さんを煽ったり、声を掛け合ったりしながらパフォーマンスできそうな曲。これからのフェスをめちゃくちゃ盛り上げていきたいです。
―ヤンキースクワットってつまり「ヤンキー座り」のことですよね。
TSUBASA: そうです。僕、グループの中でヤンキー座り一番巧いと思うんですよ。MVの撮影で床に座るときも、自分で気がつかないうちに自然にヤンキー座りをしていて。
一同: (頷く)
NEO: MVを撮影するにあたって、海外でヤンキー研究をしている人にヤンキー座り講座みたいなのも開いてもらったんです。
―ヤンキー座り講座!? TSUBASAさんがヤンキー座りが巧いというのは、どういうことですか? サマになっているということ?
TSUBASA: たぶん、股関節が柔らかいんですよ。体自体はすごく硬いんですけど、関節だけ柔らかい。
RYOTA: 遺伝的なものですね。生まれ持ったヤンキーなのでは?(笑)
REIA: TSUBASAがすごいのは、ヤンキー座りをしても、かかとが全然浮かないんですよ。しかも、そのままお尻まで地面につけようと思えばつけられる。すごい。
―(笑)。これ、TikTokでみんなにヤンキー座りしてもらいたいですね。この曲に合わせて。
REIA: 学校の前とかでね。先生役はTSUBASAで(笑)
―実際、このヤンキー座りはダンスにも取り入れられているんですか?
SOUMA: そうですね。タイトルどおり「YANKEE SQUAT」なので、スクワットの動きを随所に入れてます。
TSUBASA: 足がパンパン。本当にずっとスクワットしているような感覚ですね。上下運動がすごいんですよ。飛んで、しゃがんで。
NEO: ヤンキー座りという名称は日本の文化ですけど、そもそもこの座り方自体はアジア人に多い姿勢なんですよ。西洋は椅子文化なので、筋肉や身体の使い方も違うみたいで。でもアジア圏では、床に座って生活する文化があるから、元々海外では「Asian Squat」と呼ばれてるらしいです。だからそこには、日本のヤンキー文化とともにアジアの文化も一緒に世界に届けていきたいという想いがある。
―これまでもONE OR EIGHTは、「TOKYO DRIFT」や「KAWASAKI」のように日本のカルチャーをモチーフにしてきましたよね。今回は「YANKEE SQUAT」や、歌詞に出てくるコンビニなど、もっと日常生活に近い日本が描かれているなと感じました。
MIZUKI: 「TOKYO DRIFT」は大きかったです。あれで日本や東京というものを大きく打ち出していけて、それをきっかけに日本に興味を持ってくれた人たちが、「YANKEE SQUAT」を通してさらに細かな日本の文化に触れてくれたら嬉しいですよね。MVでは、下町やアンダーグラウンドに近い日本の景色もたくさん映していますし、デコトラはなかなか見る機会がないんじゃないかな。サビで踊ってる場所も、本当に横須賀の海沿いの居酒屋街なんですよ。そういう場所を見て、「日本に行ってみたい」「ここで撮影してみたい」と思ってもらえるきっかけになれたらいいなって思います。日本には、まだまだ世界に紹介できる魅力がたくさんあると思うんですよ。僕たちも探していけば、きっとまだまだ見つかるはず。
―最近は、海外の方の日本文化に対する解像度がどんどん上がっている印象です。少し前までは、侍や富士山のような象徴的なものが中心でしたけど、最近はデコトラやヤンキー文化、ギャル文化、さらにビジュアル系などに至るまで、色んなサブカルチャーが人気ですよね。
TSUBASA: 次はビジュアル系やりたいな(笑)
SOUMA: そういえば「TOKYO DRIFT」では白塗りのスタイルもやったし。エキストラの皆さんも、平成っぽい日本のギャルだった。
RYOTA: うちら、いつかギャル男の曲やる?(笑)
TSUBASA: ギャル男もやりたい!(笑)
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―今回の曲も歌にラップにカマしまくってますけど、レコーディングで苦労したことや難しかったところはありましたか?
TSUBASA: 僕は一つあって、ラストサビ前に叫ぶパートがあるんですけど。レコーディングでは、発音をきれいにしようとすると声が裏返っちゃって。「SQUAT」を「スクワット」とちゃんと発音すると、どうしても高い音域で裏返ってしまうんですよね。それで、レコーディングスタッフの方と相談しながら、少し発音を変えて録ることにして。「スグワァ!」みたいなニュアンスにしたら、ようやく出せるようになりました。かなり高い音域だったので苦労した。
―正しい発音よりも、叫びとしての勢いを出すことを優先したと。
TSUBASA: そうです。楽曲制作ではよくあることなんですけど、発音を少し変えることで歌いやすくなる。今回はそれがすごく役立ちました。
RYOTA: 僕はラップパートですね。最初は普通の地声で録ろうとしていたんですけど、「もっと男らしさを出して」とディレクションをいただいて、ガナりというか、少しスクラッチ感のある声を入れることになったんですよ。メロディラップだったんですけど、その歌い方は初めてだったので難しかった。ブレスのタイミングも難しくて、最後まで出し切るのにかなり苦戦しました。でも録り終わったあとに、「それ、それ、それ!」って言ってもらえて、「オッケーオッケー」って。
―皆さんは「グローバル・ポップ」を掲げて活動されていますよね。すでに海外でもライブをされていますけど、異文化に触れることで感じることはありますか?
NEO: 「TOKYO DRIFT」のイントロに「イチかバチか」というフレーズがあるんですけど、それを使った動画を海外の1DERZ(※ONE OR EIGHTのファンの総称)の皆さんもたくさん作ってYouTubeにアップしてくれてるんです。だからか、実際に海外で「TOKYO DRIFT」を披露すると、「イチかバチか!」って日本語で返ってくるんですよ。僕たちが楽曲を通して日本語や日本のカルチャーを届けて、それがライブで返ってくるというのは感動する。
―ちなみに、国内のお客さんと海外のお客さんでは、やっぱり違いがありますか?
RYOTA: 全然違いますよ。国内のお客さんは、すごく細かいところまで鮮明に見てくださる。REIAくんが少し振りを間違えたりすると、「今日ここ間違ってたね」ってコメントが来るくらい。
REIA: (笑)
RYOTA: 一方で海外のお客さんは、全体を見ている感覚。「もっと来いよ!」という空気で、ものすごくエネルギーをぶつけてくる。熱がすごい。「もっと盛り上げろ!」という感じで来てくれるので、僕らも負けないようにテンションを上げていこうという気持ちになります。ライブは本当に全然違いますね。
―盛り上がる曲も国によって違いますか?
SOUMA: 「TOKYO DRIFT」はどこの国でも安定して盛り上がる。あとは「DSTM」も盛り上がりますね。岩手のフェスに出演したときもすごく反応が良かったし、海外でも良い。英語詞が多いこともあると思うし、公式に許諾をいただいてマイケル・ジャクソンとリアーナの楽曲をサンプリングさせてもらってるので、そういう背景もあって盛り上がってくれた実感がありました。
―ONE OR EIGHTは多くのビッグネームと楽曲を制作したり、コラボレーションしたりされてますよね。そのなかで「この人との共演はすごかった」と感じたエピソードを知りたいです。
NEO: やっぱりビッグ・ショーンさんかなぁ。
―そうですよね。
NEO: まさか、あれほどの大スターと自分たちがコラボするとは本当に思っていなかったので。僕自身、中学生くらいの頃からすごく聴いていた。その人と肩を並べてやらなければいけないというプレッシャーもありましたし、「これはやばいな」と思って。ビッグ・ショーンさんと一緒にMVを撮影する機会もあって。「ものすごいオーラなんだろうな」と思ってたんですよ。もちろんオーラはすごかったんですけど、それ以上にすごく気さくに話しかけてくれて。一緒にTikTokまで撮ってくれた。僕は(恐縮して)スタッフの方に「さすがにTikTokはお願いしない方がいいですよ」と言ってたんですけど、むしろご本人がすごく乗り気で撮ってくれて。それに救われたというか、逆に身が引き締まりました。トップまで行った人が、新人の僕たちにこれだけ気さくに接することができる。それも、一つの自信なのかなと思いました。自分もいつかそこまで行けるように、頑張りたいと強く思いましたね。
―今ビッグ・ショーンの話が出ましたけど、皆さんは普段どんな音楽が好きなんですか? ルーツは近いんでしょうか?
一同: ばらばらですね。
SOUMA: 僕は幼い頃からマイケル・ジャクソンが大好き。両親の影響ですごく好きになって、そこで音楽というものを知りました。そこからラップを聴くようになって、2パックやドクター・ドレを通してヒップホップを知り、さらにいろいろな音楽へ広がっていった感じです。ベースにあるのは、やっぱりそこですね。
―ダンスを始めたきっかけもマイケル?
SOUMA: 実はダンスはまた違ってて、そっちのきっかけは三代目 J SOUL BROTHERSさんです。
―そうなんですね!
MIZUKI: 初めて知った! 自分の場合はEXILEさんの「Choo Choo TRAIN」だったからね。
SOUMA: 微妙な世代の違いが(笑)。Wiiのマイケル・ジャクソンのゲームで遊んだりして、踊ること自体には触れていましたけど。でも、本格的にダンスレッスンへ通おうと思ったきっかけは、「R.Y.U.S.E.I.」を聴いたこと。
(一同、その場で「R.Y.U.S.E.I.」の振付を披露)
―自分は全然違う音楽を通ってきました、というメンバーはいますか?
TSUBASA: 僕はロックですね。ずっと日本のロックを聴いてきました。これも親の影響が大きいんですけど、GLAYさんやX JAPANさんを聴いていて、特にhideさんが大好きです。
―え、もしかして赤い髪はhideオマージュ?
一同:(笑)
TSUBASA: 気づいてもらえてめちゃくちゃうれしい(笑)。髪型や髪色も、かなりリスペクトを込めてやってますね。実際、今はギターにも触れていて。今後はロック調の曲も作っていきたいと思っているので、今のうちから練習を始めてるんですよ。あと、僕はグループではボーカルを担当していて、高音のパートを任せてもらう機会が多い。そういうところには、これまで聴いてきたロックがすごく活かせているなと思います。
SOUMA: いろいろな音楽を聴いてきたからこそ、それぞれに意見があってONE OR EIGHTの曲ができていると思う。R&Bがすごく好きなメンバーもいますし。
YUGA: はい。僕は甘い声が好きだったり、R&Bを聴きつつ韓国の音楽にも触れてきてて。
REIA: 僕自身は最近、またマイケルをよく聴いています。テンションを上げたいときが多いので、聴くと一気に気持ちが入る。
—マイケル好きがこちらにも。ちょうど映画『Michael/マイケル』も公開していますね。めちゃくちゃ良くて2回観ました。
REIA: 凄かった! 僕も2回観ました。
SOUMA: 僕も2回観ました。今のところ、メンバーのうち4人は全員2回観てます(笑)
―皆さんのルーツがそれぞれ違って、でもマイケルという共通点もあることが分かりました。皆さん自身は、ボーイズグループとして新しいことをやっているという自覚や認識はありますか?
MIZUKI: もちろん、色々と新しいことをやっていると思ってます。ただ、昔からあるものや、以前から存在しているものを、僕たちなりに解釈し直して発信している感覚も強くて。その時代ならではの良いものを僕らはサンプリングしていて、ONE OR EIGHTらしく再解釈してリニューアルしていけるといいなと思いますね。僕らは挑戦することが大好きなグループなので、新しいことにはこれからも貪欲にトライしていきたい。
TSUBASA: 世界を目指すと掲げている以上、最終的にどうしてもマディソン・スクエア・ガーデンにたどり着きたいんですよ。あそこで単独ライブをすることは、絶対に叶えたい夢。もちろん、そこへたどり着くまでには、手探りで進まなければいけないこともたくさんあると思います。貪欲に、かつ泥臭く取り組まなければいけない部分もたくさんある。これからのライブもそうですし、こうしてインタビューをしていただくこともそう。一つひとつを大切に積み重ねて、最終的にはマディソン・スクエア・ガーデンを余裕で埋められるくらい、大きなグループになりたい。
MIZUKI: ヨーロッパにも行きたいよね。
一同: 行きたい!
MIZUKI: 最近ヨーロッパで、自分たちが予想していなかった国で楽曲が広がっているみたいで。
NEO: DJイベント〈Boiler Room〉でONE OR EIGHTの曲が流れるくらいになりたい。NewJeansさんの曲は流れているので、そこに「TOKYO DRIFT」とかが入ったらいいな。