MUSIC 2026.10.15

interview:提供じゃない、自分たちのための音楽。作曲家ユニット・7coが「sayonara radio」で見つけたもの

Photography_Hiroki Asano, Text_Chie Kobayashi
EYESCREAM編集部

ボーカル芦田菜名子と音楽プロデューサーRYUJAによる音楽プロジェクト・7coが、韓国のoceanfromtheblueを迎えた新曲「sayonara radio feat. oceanfromtheblue」をリリースした。提供のためではなく、自分たちが好きな曲を作るために始めた7co。芦田は自分の音楽を「ご飯が食べられない日に、少し踏みとどまれる存在になれたら」と語る。ルーツも好みも違うふたりが鳴らすポップスの、その手ざわりに迫る。

──芦田さんが音楽を始めたきっかけを教えてください。

3歳から親の方針でバイオリンを習っていたのですが、嫌々やっていたので、そのあとはスポーツに打ち込んでいました。転機は中学生のとき。ボイトレに通っている友達について行ったら楽しくて、そこから歌を始めました。同じ時期に作詞とアコギも始めて、高校ではライブハウスや路上で歌いながら、オーディションを受けまくっていました。高校卒業のころに受けたオーディションで賞をもらって上京。一度は別の事務所に入ったんですが、最終的にはそのオーディションで知り合った作家事務所にお世話になって、ずっと作曲家として活動していました。そこで出会ったのがRYUJAさんです。作家の仕事は依頼されたものを作ることが多いので、「自分たちの好きな曲も作りたい」と思って始めたのが7coです。

──音楽を楽しいと思えたのは、ボイトレが初めてだったんですか?

いえ、子どもの頃からカラオケがめちゃくちゃ好きでした。人が入れた曲でもマイクを奪って歌うくらい(笑)。朝ドラで知った「赤いスイートピー」を歌ったら、みんなに褒められたのをすごく覚えています。

──聴く音楽としてはどんなものが好きでしたか?

お姉ちゃんの影響が大きくて。お風呂でお姉ちゃんの好きな曲を聴かされて、歌えるようになるまで練習させられてました(笑)。お姉ちゃんがアニメ好きだったので、アニソンが多かったですね。その中で一番好きになったのが家入レオさんです。ライブに行って「音楽で人の心って変わるんだ!」と思って、いつか会えたらいいなという気持ちで音楽を始めました。

──ライブではどんな感動が?

純粋に元気をもらいました。だから当時は「私も誰かを勇気づけたい」と思って、人を元気づける曲ばかり作っていました。

──曲作りを始めたのはなぜですか?

ボイトレの先生に「菜名子ちゃんは曲を作ったほうがいいよ」と言われたんです。

──才能を見抜かれていたんですね! 言われたときはどう思いました?

正直あまり覚えてないんですが、ものを作るのは小さいころから大好きでした。クリスマスプレゼントに工作グッズをお願いするような子で、授業中もこっそり詩や絵を描いていました。今でも、歌うより作るほうが好きだなって最近すごく感じます。

──作家として活動するなかで、自ら歌う7coを始めたときはどんな思いでしたか?

本当に好きな曲を作りたいよねというところから始めたので、最初はあまりライブをするということも考えていなくて。好きな曲をリリースして、誰かが聴いてくれたらいいなくらいでした。

──「好きなものを作る」以外に、7coとして音楽的なイメージはありましたか?

最初は探り探りでした。お互い作家の仕事もあったので、その合間に自分たちのための時間をつくる感じで、とりあえず「2ヶ月に1曲出す」を目標にしていました。作っていくうちにわかってきたのが、RYUJAさんと私のルーツが全然違うということ。私はJ-POPが好きで、RYUJAさんはヒップホップやEDM、ポップスでも洋楽寄りなんです。お互いに薦めても聴かない、みたいな(笑)。でもそのミスマッチが面白くて。RYUJAさんが洋楽っぽいトラックを作って、私がポップスのメロディを乗せる。それが7coらしさなのかもね、という話を最近やっとし始めたところです。

──そもそもルーツの違うRYUJAさんとユニットを組むことに、迷いはなかったんですか?

作家としてよく一緒に曲を作っていたので、違和感はなかったですね。7coも最初は“7coという人に提供する”という感覚で作っていたので、あまり自分ごとじゃなかったんです。

──では自分のことを歌っているわけでもない? 作家さんのユニットだから、7coでは自分の感情を吐き出したくて始めたのかと思っていました。

それで言うと、最近思うことがあって。初期は誰かを勇気づけたい気持ちで作っていたけど、今はノリで作る曲が多いので、「これって誰のためになってるんだろう」と思うようになったんです。音楽って、ご飯や睡眠みたいに生きるために必要なものではないじゃないですか。でも、ご飯が食べられない日や眠れない日、嫌なことがあってドライブしているときに、少し踏みとどまれたり、ご飯がちょっと食べられたりするかもしれない。そんな存在になれたらいいな、くらいでいいのかなって。最近はそのスタンスで作っています。

──そうして作った曲が少しずつ多くの人に届き、ライブも含めて活動が広がっていきました。

実は、そうやって少しずつ7coが広まり始めていったとき、大人の人に「作家の暇つぶしだね」と言われたんです。

──ひどいですね。

ひどいですよね? 確かに暇つぶしではありましたけど、そこで火がついて、もうちょっと精力的に活動していこうという気持ちになりました。

──この活動を始めてから、作家活動にも何か影響はありますか。それとも、そこは変わらず?

最近は7coの曲を聴いた方から、作詞の依頼をしてもらうことが多くなりました。あとは作り方が変わりました。今まではメロディを作って、あとから歌詞を乗せることが多かったんですが、メロディと歌詞を同時に作るようになりました。7coではそっちのほうが合っていると思って作っているうちに、作家としての曲作りもそうなっていって。

──それはどうしてなのでしょう?

気持ちよく音が乗るんです。たとえば「マガジン」と乗せたいと思っても、先にメロディがあるとうまく乗らなかったりするじゃないですか。今まではそうしたら歌詞を変えていたのですが、今はマガジンが乗るようなメロディにするんです。

──それってもしかして結構大きな革命だったりするのでは?

そうかもしれないです。今まで、作詞がすごく下手だと言われていて。「メロはいいのにね」と言われることもあって、作詞はあんまりよくないんだなと思っていたんですが、この作り方にしてから作詞の依頼が増えました。

──ここまでお話を伺ってきて感じたのですが、芦田さんは反骨精神みたいなものが、ある種の原動力になっていますね。

確かにそうかもしれないです。オーディションを受けまくって落ちまくっていたときもいろんなことを言われていましたし。

──それでも音楽の道を諦めずにいられたのはどうしてなのでしょう?

何でなんだろう? ただ楽しい、それだけなんです。むしろやめるとか考えたことがないかも。

──続けてくださってよかったです。そんな7coの最新曲「sayonara radio feat. oceanfromtheblue」は、韓国のアーティスト・oceanfromtheblueをフィーチャリングゲストに迎えた楽曲です。oceanfromtheblueさんと一緒に作ることになった経緯を教えてください。

海外のアーティストとコラボしたいねという話になったときに、RYUJAさんがoceanfromtheblueとやりたいと提案してくれて、声をかけたら快諾してくださいました。基本的にレスポンスが早い方で、メロディもどんどん送ってくれてすごく助かりました。

──制作はどういう形で進めていったのでしょうか? ある程度7coサイドで楽曲を作って、それを元にやりとりをしたのか、どういう曲にするかというところから話し合ったのか。

私が候補として4曲くらい出したんですが、自分の中で最初に作った3曲はなんか違うなと思って、選択肢を与えつつも「私はこれがいいと思いますけどね」と4曲目を推して伝えたらそれになりました(笑)。

──oceanfromtheblueさんは制作にはどのように入ったのでしょうか?

私が1番を完成させたものをお送りして「2番にメロディを入れてください」とお伝えしました。そしたらすごくアイデアを持っている方だったので「2番に僕はこういう感じでバースを作ったんだけど、そのあとのブリッジはこういうのはどうかな?」と提案してくださって。さらに私もアイデアを出して、RYUJAさんがまとめるという形で作り上げました。

──<さびしくないよ あなたがいなくてもいいよ>と、強がりながら終わっていく恋愛の寂しさを歌った楽曲ですが、このテーマ性はどういったところから出てきたものなのでしょうか?

サビ頭で感情を言う曲を作りたくて。「愛してるよ」とかでも良いんですけど、感情から入る曲が作りたいというところから「さびしくないよ」を思いつきました。

──発想が面白いですね。

あと、ポエマーな公務員の友達がいて。何を書こうかなとその子のメモを見ていたら、「早く帰ってこないと、ラピュタが始まっちゃう」っていう一文があったんです。本人はポジティブな意味で書いていたんですが、私はそこから「金曜の夜、帰ってこないで飲み歩いてる彼氏がいるのかな」「ということは同棲中か」って想像が広がって。長く一緒に暮らしてきたけど、そういう些細なことが積み重なって、「あ、別れちゃおう」と思った瞬間の女の子を書こうと決めました。

──そこに続けてoceanfromtheblueさんがつけた歌詞とメロディを聴いたときはどう思いましたか?

一発で「いいな」と思いました。すごく汲み取ってくれていて。しかも、日本語を入れてほしいって言おうと思っていたら、入れてきてくれていたので。あとは、私が「金ロー」とか「デカい犬」とか具体的なワードを入れているので、「2番もそういう感じでいけますか?」と聞いたら、すごく良いものを出してくれました。

──スニーカーのくだりとか?

そうです。

──サビにひらがなが多いのも気になりました。

そうなんです、わざとです。韓国の方って日本語を知っている人が多い印象があったので、ひらがなだったら読めるかなと思って。それと、「さみしい」って漢字が2つあるじゃないですか。どっちもしっくりこなくて、じゃあひらがなかなと。

──「寂しい」も「淋しい」も違う、と。なるほど。

あと、普段は「あなた」も漢字で書くのが好きなんですけど、今回はあえてひらがなにしました。

──この曲を歌うときに意識したことはありますか?

悲しく歌おうと思っていました。自分と重なる部分がある曲だったので、最初のデモはすごく悲しい感じで、いい仕上がりだったんです。でもoceanfromtheblueさんとのやり取りなんかもあって、レコーディングまで1ヶ月近く空いてしまって。いざ録るときにはちょっと幸せになっちゃってたんですよね(笑)。だからRYUJAさんに「サビはもうちょっと悲しく歌おうね」って何回も言われました。頑張って当時の悲しい気持ちを思い出しながら歌ったのを覚えています。

──逆よりはいいですよね。悲しい気持ちのまま、ハッピーな曲を無理やり明るく歌うよりは。

確かに(笑)。

──楽曲にちなんで、ラジオの思い出があるかを伺ってみたくて。どうして「ラジオ」だったのかも含めて教えてください。

ラジオって日常にスッと入ってくる、聴いていて心地いいものというイメージがあって。それを手放す、という意味を込めて題材にしました。“一緒にいてめちゃくちゃ楽だった人にさよならする”みたいな感じで「sayonara radio」かなって。

──芦田さんにとって、ラジオは心地いいものだから。

そうです。居酒屋やお店のトイレで、ラジオが流れていたりするじゃないですか。あれが結構好きで。つい長居しちゃったり、お便りを1通だけ聴いてから出たりするくらい(笑)。車に乗ったときも、曲じゃなくてラジオをかけてみたりします。「ラジオネーム〇〇さんからのお便りです」っていう、あの瞬間が好きなんですよね。

──ちなみにラジオに投稿したことは?

ないです。でも確かにやってみたかったし、やってもいいな。

──これからでも目指せるのではないでしょうか、はがき職人!

確かに。はがき職人になりたい!(笑)

──oceanfromtheblueさんとのコラボや「sayonara radio」の制作を通して、何か発見や得たものはありましたか?

単純に、また韓国に行けたのがうれしかったです。韓国の方からのコメントも増えたので、ここから少しずつ広がっていったらいいなと思っています。

──そもそも海外のアーティストとコラボしようと思ったのも、海外に届けたいという狙いがあったからですか?

そうです。海外の方にもいっぱい聴いてほしいなと思ったのが始まりです。

──では曲作りにおいても、海外のリスナーも意識していた?

そうですね。デモ4曲のうち、1曲目は韓国語をしっかり入れていたんですよ。それがだんだん薄れていって(笑)。

──作家としても活動されている芦田さんなら、海外のリスナーに向けて狙った曲を作ることもできるはずです。それでも7coではそうせず、作ることそのものや、その過程を楽しんでいる。だからこそ、このユニットを続けているのだと感じます。

そうですね。ずっと好きな曲を作っているという意識はあります。その気持ちは薄れないようにしています。

──薄れそうになるときもありますか?

ときどき「売り出さなきゃ」みたいな感覚は出てきます。自分が作りたい曲を作ることと、それを誰が聴いてくれるのかということの距離感には悩んでしまうんですけど……RYUJAさんは「気にしなくていいよ」っていう人なんです。RYUJAさんのそのスタンスに毎回救われています。

──10月16日には東京・Shibuya WWW、11月6日には台北・THE WALL LIVE HOUSEにて初のワンマンライブが控えています。先ほど「歌うより作るほうが好き」とおっしゃっていましたが、ワンマンを控えた今の心境はどうですか?

7coを始めた初期は「歌うのはもういいかな」と思っていましたが、やっぱりライブをすると楽しくて。どんなライブにするか、みんなで作戦を練っているので、来てくれる方がどんな顔で見てくれるのか、すごく楽しみです。

──では最後に、7coとしての今後の目標や理想の活動を教えてください。

作曲家のユニットなので、7coとして楽曲提供をしてみたいです。別名義での提供はありますが、7coとしてはまだやったことがないので。あとは、やっぱりものを作るのが好き。今回の「sayonara radio feat. oceanfromtheblue」のリリックビデオもそうですし、ライブの演出で使う映像も自分で作ったりして。音楽以外でも、作ることはどんどん増やしていきたいです。

──昔から工作がお好きでしたもんね。

はい。まだサンタさんを信じていたころ、クリスマスプレゼントに工作グッズをお願いしていたんです。そしたら届いたプレゼントに「Made in China」って書いてあって。私の中でサンタさんはヨーロッパやオーストラリアのイメージだったから、お姉ちゃんに「なんでアジア製なの?」って聞きました(笑)。お姉ちゃんに「世界中に子どもがいるから、ヨーロッパやオーストラリアだけじゃサンタさんも手が回らないんだよ。アジアにも手伝ってもらってるの」と言われて納得して、そのまま小学5、6年生くらいまでサンタさんを信じていました(笑)。

──かわいいエピソードをありがとうございます。ぜひ、そのころの気持ちを思い出しながら、これからもいろいろなものを作っていってください。

はい、いっぱい作りたいです。

INFORMATION

sayonara radio feat. oceanfromtheblue

Now on sale

https://www.7co-official.com/

1st ONEMAN LIVE “夢中人”
■東京公演
[日程] 2026年10月16日(金)OPEN 18:30 / START 19:00
[会場] Shibuya WWW
チケット代:(一般)\5,500/ (学割、U-25)\3,500
※ドリンク代別

■一般発売 10/3(土)12:00~
イープラス:https://eplus.jp/7co/ 
ローソンチケット:https://l-tike.com/7co/
チケットぴあ:https://w.pia.jp/t/7co-t/

※先着順での販売となります。予定枚数に達し次第販売終了となりますので、予めご了承ください。
※本公演はオールスタンディングの公演となります。
※整理番号順でのご入場となります。
※1ドリンク代(600円)が別途必要です。
※未就学児童のご⼊場は出来ません。(⼩学⽣以上チケット必要)
※学割/U-25チケットは当日入場時にチケットチェックあり(顔写真付き身分証明証にて)
※学割/U-25チケットは、小学生・中学生・高校生・大学生・大学院生・専門学生または公演当日に25歳以下のお客様が対象です。
※入場時に顔写真入りで生年月日が確認できる本人確認書類(マイナンバーカード・学生証等)の提示が必要です(コピー不可)。
※顔写真付き本人確認書類をお持ちでない場合は生年月日が確認できる本人確認書類(健康保険資格確認書等)をご持参ください。
※年齢が確認できる書類をご持参いただけない場合、一般料金との差額を頂戴いたします。
※入場後の受付はいたしません。必ず、会場入場前に窓口にて本人確認書類をご提示ください。

お問い合わせ先
SMLライブクリエイティブ
https://sonymusic-lcg.com/contact/

■台北公演 
[日程] 2026年11月6日(金)OPEN 19:00 / START 19:30
[会場] THE WALL LIVE HOUSE
(台北市文山区羅斯福路四段200号B1)
チケット代:前売 NT$1,690 / 当日 NT$1,890 / 障がい者割引チケット NT$900
発売日時:2026年8月19日(水)台湾時間12:00
https://offtimemusic.kktix.cc/events/7co2026


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