-未来で、未来に、未来を鳴らす音 Vol.10-

自分たちの今を作り出す音楽アーティストに注目する企画、FUTURISTIC SOUNDS 。中でも音楽シーンを騒がせているorこれから騒がせることになるであろうユースをEYESCREAMが独自の観点でピックアップ。インタビューを通して彼らのアイデンティティ、ルーツに迫る。ロックもHIPHOPも、今年から何かが変わり大きく動き出すはず。新たな音楽カルチャーを知り、サブカルチャーの未来がどんな姿なのかを知る1つの材料としたい。EYESCREAM選、注目の音楽アーティスト2017下半期。第10回目にフォーカスするのは、バンドodol。

9月20日に1st EP『視線』をリリースを予定し、感度の高い音楽リスナーの注目集めているインディロックバンド、odol。彼らのクリエイティビティの源泉、表現する音の正体に迫る。インタビューに答えてくれたのはミゾベリョウ(Vocal,Guitar)、森山公稀(Piano,Synthesizer)の2人。

“バンドというものに対して何か漠然とした憧れがあった”
ーミゾベリョウ

“まだ見ぬ美しさを表現していくことができたら”
ー森山公稀

聴いたことのない音楽を作ること
それを常に考えて制作している

ーodolが奏でるサウンドは、現代の音楽シーンにおいても稀有なものだと思います。まず、どのような経緯でodol結成されたのか教えてください。

ミゾベリョウ(以下、ミゾベ):僕と森山は中学校の同級生だったんですよ。当時から『高校に入ったらバンドをやろう』という話しをしていて。それでバンドを始めたんですね。東京には僕の方が1年ほど先にきていて、そこで、ギターの井上とベースのShaikhとドラムの垣守に出会ったんです。翌年、森山が東京にきたタイミングで一緒に“odol”を始めようーーという流れに。そして、去年の11月にDATSの早川さんがギタリストとして正式加入し、現在の6人編制になりました。

ーDATSの早川さんがバンドに加入した流れについては?

ミゾベ:ギターの井上が出演できないライブがあって、そのときにサポートメンバーとして弾いてもらっていたんです。元々、共通の知り合いを介して知り合ってはいたので。その流れですね。

ー最初の話に戻りますが、odolのメンバーはバンドをやるべくして集まったんですね。

森山公稀(以下、森山):そうですね。

ー結成当初から、サウンドの方向性は決まっていたんですか?

森山:明確に決めていたわけではないんですが、僕とミゾベは高校の頃から、今と同じように作詞と作曲を振り分けて担当しているので、odolも、その延長線で違和感なく制作活動を進めていきましたね。odolとして新プロジェクトを立ち上げようとしたわけではなく、“高校の頃からやっているバンドの続きをやろう” という感じでした。

ー高校時代のバンドから、作詞をミゾベさん。作曲を森山さんと分けているんですね。いきなりオリジナルの楽曲で活動されていたんですか?既存曲のコピーなどはせずに?

ミゾベ:高校の頃から、森山がピアノを弾けたこともあってオリジナル曲が作れたんですよ。
森山:ピアノは昔からやっていたんですが、実はバンドを始めた当時、特に憧れのバンドもいなかったんですよね。だから、バンドのコピーをしようという思考にならなかったし、バンドで音楽を演奏することと、作曲することが同じように“新たな取り組み”として自分の中で並列にあったので、そんなに気負わずにできたのかなと思います。

ー森山さんに対してミゾベさんはバンドへの憧れが強かった?

ミゾベ:そうですね、典型的な“バンドやりたがっているヤツ”だったと思います(笑)。ギターを買って、下手だけど、弾けるものだけを弾いて、といった感じでしたね。当時はJ-POPやロックぐらいしか聴いていなかったんですけど、何かバンドという形への漠然とした憧れがありました。

ー中学や高校の頃に聴いていた音楽というのは、無意識のうちにバンドのサウンドにも影響を与えるものだと思います。2人のバックボーンと呼べるバンドは何ですか?

ミゾベ:1番のルーツと言えばやっぱりMr.Childrenかもしれませんね。今でも、自分が何を表現したいか迷ったときに『この人は何を表現したかったんだろう』と考えながら、辿っていくアーティストは他にもいますが、歌詞の乗せ方、リズムや歌い回しだったり、無意識にMr.Childrenには影響を受けているのかな、と感じます。
森山:僕は、その頃からYellow Magic Orchestraが好きですね、何か1つ、ルーツを挙げるならYMOだと思います。YMOも時期によって、スタイルや表現しているサウンドは異なりますけど、そういったすべてをひっくるめて、別の次元で讃称しています。

ーでは、odolで表現している音楽とは? あえて自分達で表現するとしたら、それはどんなものでしょうか?

森山:作品を制作するうえで、常に念頭にあるのは、まだ自分が聴いたことのない音楽を作りたいという考えなんです。世界には、一生かけても聴きれないくらいの音楽が存在しますが、それでもなお、まだ聴いたことがない音があると思っていて。そんな、まだ見ぬ美しさを表現していけたら、と思っています。だから、ジャンルに縛られることもないし、常に意識している音楽もないんですよ。

ー美しさ、というのはどういうものだと考えていますか?

森山:美しいって形容は難しいですよね。音楽で言えば構造的な美しさもあれば、単純に聴いたときに心に浮かんでくるイメージの美しさであったり。大きな意味で心地良さという感性を作ることができたら、と思っています。

“しっかりと常に止まることなくバンドを次のステージに進めたい”
ー森山公稀

“今もこれからも。常に自分たちの考えで音楽を作り行動していく”
ーミゾベリョウ

バンドに関わるリソースの幅を
広げるような活動を展開していく

ー歌詞と楽曲は、2人別々に制作しているんですか? お互いに意見交換しながら作っているんですか?

森山:実際に音を作る時間より、話し合う時間の方が長いかもしれませんね。メロディを聴きながら『ここはこんな言葉が合うよね』とか。作品制作をしているタイミングじゃなくても、何をどう感じたか、などは2人で常にコミュニケーションを取っています。

ー予め曲のテーマを決めたりなどは?

森山:テーマを決めて制作する、というのはないですね。日々の疑問とか、他愛ない会話の中から、それを見つけています。こうやってバンドをやっていると、ほとんどの生活サイクルが同じになっていくものなので、そんな中で、お互いに感じたことや、歌にしたいことを意見交換したりして。そうやって積み重ねたことを、歌にしていくーーという感じです。

ー歌詞については、どんな風に制作されているんですか?

ミゾベ:“強く思ったこと、心を動かされたこと”を意識して作っています。そのうえで、今まで発表した1st Album、2nd Albumは自分が思ったことを残していくといった作業に近かったかもしれないです。綺麗な景色だから写真を撮って残しておくーーといった感覚で書いていました。でも、新しいEPの曲たちは、自分のために残しておく、というだけではなく、他者に向けての発信といった要素が強くなったように思います。その中で、こういう方が綺麗な表現だな、こんな方が良い表現だな、と思える言葉を選んでいるつもりです。

ーそこには、バンドのメッセージとして発信することも考えたりしますか?

ミゾベ:バンドとしてのメッセージというか、僕が思ったことをメンバーに共感してもらって歌詞にする、という感じですね。でも、僕が思ってることは、結局、皆、同じようなことを考えていたりすることが多いので。同じ気持ちで演奏してくれているだろうと思っています。

ーなるほど。ちなみに先ほど『会話しながら作品を制作していく』という話がありましたが、2人は日々プライベートも一緒に遊んだりしているんですか?

ミゾベ:森山とは、思ったことや歌にした方が良いのではないか、と感じたことを共有しておくべき。という考えが自分の中にあるんです。例えば、この取材が終わった何分間とか。ライブの合間とか。そういうときに『ちょっと時間いい?』って具合で考えを共有しています。時間を合わせて遊んだりすることは、最近はあまりないかもしれませんけど(笑)。
森山:何せ中学の頃から一緒ですからね。散々遊んできたので、もう遊びきった感じはあります(笑)。
ミゾベ:今では遊ぶより、音楽について2人で考えていることの方が楽しいからね。
森山:そうだね。そんな一番楽しいことを仕事にしていきたいと、今は考えています。

ー音楽をビジネスにしていく、という観点ではodolは、どのようになっていきたいですか?

森山:音楽にしても芸術にしても、表現というのは、お金があればあるほど、その幅が広がるものだと思います。それは、いくら綺麗事を言っても変わらないもので、絶対にそうだと思うんですね。そういう意味でしっかりとビジネスとしても成功することを意識しています。ただ、それが第一優先になってしまって、メイクマネーするためにバンドをやっていくようになるのは違います。作品のことを第一に考えたうえで、お金が必要であるのならば、協力者を募ったり、どうしたらお金が集まるのかを考えたり、そんな意識で活動していくと思います。

ー音楽を芸術と捉えるかビジネスと捉えるか、非常にセンシティブな部分ですよね。

森山:そもそも、僕らは音楽を芸術だと認識してやっていて。もちろん、ある作品が客観的に芸術なのかどうかは、誰にもわからないところではあるのですが、僕たちのナチュラルな活動、音楽をやっていくということは、芸術をやっていくということに繋がるんだと思うんです。
ミゾベ:大学で受けた授業の話になるんですけど、80年代くらいにライブでモッシュやダイブする文化が生まれ、オーディエンスが同じ動きを共有することに楽しさを見出す感覚が生まれてきて、そこで大学の教授は“音楽は鑑賞からスポーツになった”と講義していたんですね。それで言うと、僕たちの演奏を聴きに来てくれる人たちは、体を動かすことではなく、主には演奏を聴きに来てくれているのだろうと思っています。
森山:鑑賞者だよね。
ミゾベ:そうだね。odolで演奏していて、最前列にいる人が体を動かしてくれることも、もちろん嬉しいです。けれど、静かに聴いている人の姿を見ても、その人なりに音楽から何かを感じてくれているのがわかって、同じように嬉しいんですよ。

ー9月20日には1stEP『視線』がリリースされますが、今後、odolはどのような活動をしていくのでしょう?

森山:繰り返しになりますが、お金によって表現できる幅が広がると僕らは考えていて。その側面は無視できないし、時間も限られています。与えられた環境の中で、最大限に良いものを作ろうと努力はしているのですが、今後は、その環境の幅、リソース自体を増やしていきたいと思っています。つまり、しっかりとバンドとしてのステージを進めて行きたい。止まることなく進んでいきたいですね。『視線』は、僕たちにとって、3作品目になりますが、作品を重ねるごとに、表現の純度が上がっているし技術も向上している。自らの表現力に対して不安を抱くことなく、これからも、より新しい何かを生み出せていけたらいいな、と思います。
ミゾベ:3作品目ではありますが、音楽を生み出すにあたって、根本的な姿勢は変わっていないんです。曲ごとに、また、その時々によってのやり方はありますし、少しずつマイナーチェンジしているんでしょうけど、目指す方向性は同じ。『視線』に関しても、今までの制作活動と同様に自分たちが生み出した純粋な作品であることに変わりはない。だから、次作も、これからの活動についても、自分たちの考え方でやっていくんだろうと思います。

ーそれはライブをやるハコのキャパシティも重要だったりしますか?

森山:確実に重要です。
ミゾベ:出音が良くなるのもあるし、ライブの演出だったり表現の幅が広がりますからね。
森山:キャパシティが大きくなるほど、1度に関わることができる人数も増えるわけじゃないですか。僕らは不死身じゃないので、出会える人の数にも限度があると思っていて。そう考えれば、1度により多くの人に伝えられる環境であった方がいいに決まっていますよね。例えば、ビートルズって本当に世界中の人と関われたと思うんですね。それって本当にいいなぁ、と思うんですよ。YMOだったり、Mr.Childrenにしてもそうですけど、そうやってたくさんの人と関わることで、次の表現や新しい何かが生まれてくる。1つでも多くの関わりが増えることが僕たちは幸せだし、次の何かに繋がると思うので、大きなところでライブをやって、1人でも多くの人に聴いてもらえることを目指していきたいと思います。

odol
ミゾベリョウ(Vocal,Guitar)
井上拓哉(Guitar)
早川知輝(Guitar)
Shaikh Sofian(Bass)
垣守翔真(Drums)
森山公稀(Piano,Synthesizer)

FUTURISTIC SOUNDS ARCHIVE

01. DATS
02. 集団行動
03. CHAI
04.MONO NO AWARE
05.PAELLAS
06.Aun beatz
07.NAHAVAND
08.JP THE WAVY
09.Weny Dacillo

INFORMATION

odol 1st EP『視線』

2017年9月20日(水)リリース
UKCD-1168 ¥1,600+税
1.GREEN
2.狭い部屋
3.私
4.またあした
5.その向こう側
6.虹の端
http://odol.jpn.com/