odolインタビュー。「人の海で」「four eyes」のエクスクルーシブなスタジオライブ映像も!

photography_So Hasegawa, text_Takuya Nakatani

odolインタビュー。「人の海で」「four eyes」のエクスクルーシブなスタジオライブ映像も!

photography_So Hasegawa, text_Takuya Nakatani

最新アルバム『往来するもの』において、odolは大きな成長と音楽的飛躍を遂げた。シューゲイザーのきらめきも捉えたバンドサウンドにエレクトロニック・ミュージックの要素/手法を溶け合わせる、というのはこれまでと同じくだが、その強度、ポップネス、そして風通しの良さと表現の広がりは驚くほどに増している。​今回、彼らはSPACE SHOWER TVが企画する新たなスタジオライブシリーズ「RED & BLUE」の第一弾として、同アルバムのキーとなる「人の海で」「four eyes」の2曲を Red Bull Music Studios Tokyoで収録。そのライブ映像と合わせて、中心メンバーのミゾベリョウ(Vo/Gt)と森山公稀(Pf/Syn)に行ったインタビューをお届けする。

—最新アルバム『往来するもの』へと至る、この1年半くらいはライブに向き合ってきたとのこと。振り返ってみて、どういった変化がありましたか?

ミゾベ:これまでは、自分がどう考えているかを純粋に言葉にすることを最重視して、詞を書いていたのが、ライブを意識することによって、届きやすさや伝わりやすさを考えることができるようになりました。逆に、伝わりづらいようにつくってみる、ということも含めて。

森山:ライブの本数自体が少なかった頃は、「音源のための音源」をつくっていたけど、そこから「音源のためにライブをする」ようになった。今はライブのためのライブだし、ライブのために音源をつくれるようになってきています。そういう思考回路を得たことで、ライブでしか出せない表現もつくっていけるようになりました。

ミゾベ:人と対面して演奏することで、自分たちのなかでも曲への解釈が深まっていったというか。

—少し前にライブを拝見したときに感じたのは、「ロマンチックさ」でした。

森山:僕は詞を書かないので、メロディー含めて、音でそういったロマンチックさみたいなところを入れたくなっちゃうのはあるかもしれないですね。

ミゾベリョウ(Vo/Gt)

森山公稀(Pf/Syn)

—それぞれが曲に込めた思いというのは、二人のなかでは共有しながらつくっていくんですか?

森山:ある曲をつくったときに、それが僕の個人的な感情からつくったものだとしたら、その部分は話しますね。それに対して、ミゾベが個人的な体験をもとに詞を書くならそれも話してもらう。そこで違和感があったらそこを詰めていきながら、ですね。

ミゾベ:その作業のなかで、それまで言葉にできていなかった感覚だったり感情に気づけることもある。教え合うというよりは、見つけていく。

森山:すでに歌詞はできた状態で、曲名を僕から提案することもありますね。

—ミゾベさんは、曲名にはあまりこだわりや挑戦がなかったりするんですか?

ミゾベ:曲名がある必然性はあまりないというか。

森山:むしろ曲名がなくても成立しているのがあるべき姿である、というふうには思っています。

—それは、曲名があることで先入観が生まれるから?

森山:そうですね。それがいい効果を生む場合はもちろんありますけど、基本的には、曲のなかだけで完結させたい、というのはありますね。

—odolは、さまざまな音楽を吸収/実践しながら、あくまでポップへと着地させているのも見事です。

森山:ポップネスを一番真ん中に置こうとは思っています。ヴォーカリストがいるバンドなので、真ん中にくるのは歌と言葉、メロディーになる。コードやリズム、音色などに対するこだわりや挑戦は、最後にはポップネスが待ち構えているからこそ、何をやっても大丈夫というか。

「人の海で」

—アルバムの中盤、潜っていくように、かつ美しく響く「人の海で」。今の東京の空気をうまく捉えているなと感じました。少し冷めた視線で、でもそれを共有もしている。

ミゾベ:これは、今年のフジロックに出演した直後くらいに森山からメロディーがあがってきた曲。そこから歌を録音するまで数日しかなかったけど、その前日まで全然書けなかった。そのときふと、フジロックに出たときのことを思い出して。僕らがバンドをはじめた頃は数人のお客さんしかいなくて、一人ひとりのお客さんがどんな表情で見ているか、全部わかる状態で演奏をしていた。それこそ一人ひとりに歌いかけるように。でもフジロックはたくさんの人がいて、それができなかった。フジロックは僕らにとってすごくプラスの出来事だったんですけど、「楽しかったぜ」という感じだけじゃなくて、少しネガティブに捉えてしまったところを素直に書いてみようと。自分の素の部分が一番出た曲ですね。

—おふたりにとって「東京」という街は、どう映っていますか。

森山:地方出身者としては東京にいるだけで、自分のことがドラマチックに見えたりするじゃないですか。そういった部分と寂しさが、東京にはあるなと思います。それを定期的にわざわざ音楽にしたくなるような街。2ndアルバムに入っていた「夜を抜ければ」という曲も、同じような成り立ちです。

ミゾベ:焼き増ししたものじゃなくて、焼き増しされるほうのオリジナルなものが東京にはたくさんある。だから地元の福岡に住んでいた頃は、東京に対する憧れがありました。今は、焼き増しされるほうに自分がなれるのか。それを手に入れたり手放すときがくるかどうかは、僕だけじゃなくて、東京という街が持っているテーマだなと思っています。それを手に入れられる数は少ないからこそ、そこに切なさや寂しさ、冷たさがあるなと感じています。

早川知輝(Gt)

Shaikh Sofian(Ba)

—「音楽家が何を信じて/言葉を受け入れる?」という内省的な歌詞が歌われます。

ミゾベ:僕がそのフレーズをつくったのは、「森山からいつもメロディーをもらうな」と思ったので。“音楽家”が彼で、“言葉”が自分です。自分がつくった曲に他の人が歌詞をつけていることを許せるってどういう感情なんだろう? という。聞きたいですね。

森山:この歌詞を見たときに、その意図はわかりつつ、でもそこに対してのツッコミは入れなかった。……この場で答えるのはちょっと恥ずかしいな(笑)。

—そこをなんとかぜひ(笑)。

森山:それは当初から向き合ってきた問題でもあるんです。僕が、最初に0から1にする作業を担っている。それって自分の作品だから、人の意味が乗っちゃうのは違和感がある、あまりピュアなことではない、ということはずっと気づいてはいた。その思いはずっと変わってなくて、違和感のあるものでいいと思うんですけど。それも含めて自分の作品と思う術を手に入れてきたから、そこに対する嫌悪感は今はないですね。その状態にするまでに労力と時間はかかりました。もちろんどうしても違和感のある言葉は変えてもらうこともあるし、逆に気づけなかった感情に気づかせてもらうこともある。違う色が混ざって濁ってしまうんじゃなく、より魅力的な、見たことのない色にすることができるようになってきたから、今は普通に受け入れています。

「four eyes」

—「four eyes」は、森山さんが初めてクラブを体験したことが起点になっている曲とのこと。実際、どこに行ったんですか?

森山:今年の春くらいに、渋谷のコンタクトに行きました。クラブミュージック自体はオーディオで聴いているものはあるし、どういった場所なのかはもちろん知っていましたけど、頭では情報としてわかっていても、いざ行ってみるとやっぱり違った。空気の振動に任せて踊りたい、という気持ちもあるけど踊り出せない……という状態でした。もちろん初めて行って、踊りたいという本能に従って身体が動く人もいると思うんですけど、僕の場合は理性のほうが上回ってしまって本能を押さえつけるというか。それに気づいて、帰りの始発の電車のなかでそのことをエモーショナルに考え直したりして。そこからできた曲ですね。自分に対するフラストレーションと音楽のフィジカルさを、というところが出発点になっています。

—でもクラブって、別に踊らないといけない空間でもないというか。いいクラブは、踊ってなくても居心地がよかったりするもので。

森山:たしかに、みんな自分自身に集中しているから、誰も僕のことを見ていないし、無関心。だけどみんなそれぞれ楽しんでいて。そういう意味では居心地よかったですね。その空気感はすごくいいなと思いました。その日もし踊れていたら、また違った曲になっていたと思いますけど。

ミゾベ:僕はそのときに行っていなかったので、後から森山にその話を聞いて。自分だったらどういったフラストレーションがあるのかなと思って詞を書きました。

垣守翔真(Dr)

井上拓哉(Gt)

—昨年のEYESCREAMでのインタビューで、森山さんが「音楽にしても芸術にしても、表現というのは、お金があればあるほど、その幅が広がるものだと思います」と話していたのが印象的でした。とても大事なことです。現在地において、いかがでしょう。

森山:基本的な考えは変わらないですね。パトロンみたいな人から3億円もらえるならもらいますし、それをうまく使える自信はあります。

—なぜ「3億円」だったんですか(笑)?

森山:想像できうる、多い金額かなと(笑)。いい場所にスタジオをイチからつくるのに2億くらいで、あとは機材で、みたいな。お金がなくてもそのことを恨んだりはしないですけど、あればあるほどいい。芸術家にはパトロンがいればいいなと思っているので。「パトロン募集中です」って書いておいてください(笑)。

ミゾベ:僕は、そのインタビューで森山が言ったことが印象に残っています。EP『視線』は、どこまで自分の表現にピュアになれるかをなるべく究めようと思ってつくったものだったので、それが売れてお金になることは、自分の考えと反対になるなって僕は困ってしまった。でも森山は、お金が増えることはイコール関わる人数が増えることで、その人数が増えれば増えるほど、それぞれが反射しあったり、そこに込められる気持ちは大きくなる、と話していたことに、なるほどなと思った。深く潜っていた自分が開けた感じがあって、そこから考え方が変わりました。なので、今回のアルバムはそのときのインタビューからの影響もありますね。

INFORMATION

odol
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-リリース情報-
odol NEW ALBUM
『往来するもの』
1.光の中へ
2.大人になって
3.four eyes
4.GREEN
5.人の海で
6.発熱
7.時間と距離と僕らの旅
8.憧れ
9.声
https://odol.lnk.to/ouraisurumono

-ライブ情報-
odol TOUR 2018 “往来”
2018年12月16日(日)東京・渋谷WWW(ワンマンライブ)
OPEN 17:30 / START 18:00
http://eplus.jp/odol/

Wordplay vol.59
2019年1月29日(火)東京・渋谷La.mama
OPEN 19:00 / START 19:30
出演:Analogfish / odol
https://l-tike.com/order/?gLcode=76004