先鋭的な音楽、アート、人々が交歓/越境しあうBACARDÍ “Over The Border”をレポートする

photography_So Hasegawa, Masanori Naruse, Gaku Maeda, edit_Takuya Nakatani

先鋭的な音楽、アート、人々が交歓/越境しあうBACARDÍ “Over The Border”をレポートする

photography_So Hasegawa, Masanori Naruse, Gaku Maeda, edit_Takuya Nakatani

「Over The Border=既存の概念を超える」をテーマに掲げるバカルディ主催の完全招待制フリーパーティー「BACARDÍ “Over The Border”」が、去る11月5日に開催された。

舞台となったのは話題のニュースポット、渋谷ストリーム ホール。4・5・6階の3フロア構成で、それぞれを回遊しながら遊べる形だ。R領域の手がける、廃材や流木などを組み合わせてシンボリックな装飾が4階エントランスで出迎える形でパーティーははじまる。エントランスを抜けていくと、今回のメインヴィジュアルも手がけたアーティスト、JOE CRUZによる特大の壁面アートが目を惹く。トランスジェンダーのカップルがキスをしている、象徴的な作品だ。

同じく4階フロアでは、河村康輔やJUN INOUE、Hiroyasu Tsuri a.k.a. TWOONEの作品が配置され、それらのアートが放つエネルギーはハンパなく、否応なしに引き込まれる。

同フロアにはDJブースも設置され、まずはLil Mofoがプレイ。生々しく迫りくるインダストリアルなテクノやロウハウスは、アート作品とも共振するかのようだ。続くDJ SARASAはハウスのリズムを軸にラガやラテンにも展開させながら、オープンマインドでハッピーな空気で満たしていく。そしてラストのYOSA & TAARはハウス〜ディスコでゆったりと、といった流れだ。

5階フロアではYOSHIROTTEN擁するクリエイティブチームYARによるブラウン管テレビを使用したインスタレーションや、Naohiro Yakoによる近未来的な写真作品が展開され、それを抜けていくとフロアの奥ではモヒートワークショップが開催されている。好みのフルーツを組み合わせたオリジナルモヒートを自分で作れて堪能できて、すると気分も身体も、そしてパーティー自体も昂揚していく、というナイスさだ。

そして6階フロア。まずはYukibebがヒップホップクラシックスから入っていき、ゆっくりとフロアとオーディエンス、音楽を一夜のなかに馴染ませていく。DJ KOCO a.k.a. ShimokitaとJUN INOUEによるDJ×ライブペインティングのコラボレートは、即興の妙味と緊張感にシビれるのなんの。

ウガンダから初来日となったKampireがまたクール。現在、最も注目を集める“東アフリカ発のエレクトロニック・ミュージック”の立役者となっているDJだ。ググッとドライブしていくようでいてハウスミュージック本来のキープ感もあって、躍動するアフリカンな上音に気をとられがちだが、テクノの影響もあるのかボトムは硬質で、ストイックに進む。その音にまかせてモヒート片手に揺れる気持ち良さよ。

ラストはfromロンドン、新世代ヒップホップ・シーンを代表するフィメールラッパーLittle Simzの独壇場! グライム直系のベースラインと畳み掛けるようなラップにオーディエンスもハンズアップで応える。「ENERGY」という言葉をMCで何度も重ねて、鼓舞するかのようで、フロアの熱気も最高潮に!そうしてパーティーは着地する。

ちなみに階上のフロアへ移動する際にはエスカレーターで上がっていくんだけど、ガラス張りになった外を眺めるとちょうど首都高を見下ろせるようになっていて、パーティーの最中に見るその光景は、(昔に思い描いたような)近未来的でもあり今でもあり、迷い込んだ心地になるものだった。そうして遊び尽くすなかでこそリアリティは生まれて、それをたしかに感じる瞬間があって、その感触は人によってそれぞれだろう、そしてそれが残っていく。そんな夜を遊んでいたのは、たとえばこんな人たちだ。

音楽、アート、人、空間、そして遊ぶこと。表現はさまざまながらも目指す先は同じくしていて、だからこそ新たなものが生まれうる。その歓びたるや。「Over The Border」というメッセージの伝えんとするところはきっとそこにあるのだろう。次はどんな体験を味わえるのか。期待せずにはいられない。