Breakthrough Music for 2019
#08 踊Foot Works

PhotographyーRyuta Seki EditーMizuki Kanno

Breakthrough Music for 2019
#08 踊Foot Works

PhotographyーRyuta Seki EditーMizuki Kanno

気づけばテン年代、最後の年。音楽シーンを振り返ってみてもいくつもの潮流/トピックスがあって、そろそろ総括もしたくなってくる頃だけどそれよりも“これから”に目を向けたい。「未来は過去のなかにある」とも言うけれど、いやだからこそ未来を見据えることが結果、過去(やそこに横たわる文脈)を知れることにもつながるんじゃなかろうか。ということで、本特集「Breakthrough Music for 2019」では、来たる2020年代に向けて、EYESCREAMが追いかけていきたいホットな新世代たちにフォーカス。その音楽や存在そのものでもって、今という時代をブレイクスルーしていくミュージシャンの動向から、2019年とその先を眺めていくことにしよう。

#08 踊Foot Works

ヒップホップなのかダンスミュージックなのか、はたまたロックなのか。多彩な表情を見せる自由奔放なサウンドと、琴線に触れる言葉巧みなリリックで、ポップスの新境地を切り拓く踊Foot Works。2017年3月、ファーストEP『ODD FOOT WORKS』のフリーシェアでシーンに狼煙を上げ、半年後に出演したFUJI ROCK FESTIVAL ’17ROOKIE A GO-GOを機に、彼らの快進撃は始まった。そしてこの度、2ndアルバム『GOKOH』を配信リリース、それを提げ5月3日には事実上初となるワンマンライブが渋谷WWWで開催される。EYESCREAMもその目覚ましい活躍にはこれまで度々フォーカスしてきたが、今まさにネクストステージへ飛躍しつつある彼らに、改めてインタビューを試みた。

願いも込めて『GOKOH』と銘打ちました

LtoR:fanamo'(chorus/DJ)→Tondenhey(guitar)→
Pecori(rap)→SunBalkan(bass)

ーまずは、4月24日にリリースされたニューアルバムについて伺っていきたいと思います。タイトルの『GOKOH』とは“後光”のことですか?

Pecori:光を当てて見てほしいという意味も込めて『GOKOH』。自信作です。

Tondenhey:今回は特にコンセプトは設けていませんが、強いて言えば“宇宙”とか“SF”の世界観を表現しています。ジャケットでも物語ってはいますが、そういう感じの音作りを目指しました。

Pecori:スペースシャワーって感じ。これ絶対言おうと思ってました。
(※EYESCREAMは株式会社スペースシャワーネットワークが運営)

ーありがとうございます(笑)。前作『odd foot works』では、リリックは主にPecoriさんとTondenheyさんが書かれたとのことでしたが、今作もお二人が担当されたんですか?

SunBalkan:自分のパートは基本的にその人がリリックも書いていて、今作から僕も唄っているんです。

ーメッセージ性と言うより抽象的な表現が多用されている印象でした。

Pecori:自分の感情をストレートに伝えるのが苦手なんです。本を一切読まないから、日常の中で入ってきた言葉をメモ帳に残すことが習慣で、ストックの中から言葉を繋いだ結果、自然と意味を持った文が生まれる感じです。でも今回そのストックを結構使っちゃって…….(メモを見て)地雷ジェダイとかしか残ってない。

一同:笑。

ー「GIRAGIRA NEON」のフック、“流線型が踊ってる〜”と言う表現が印象的でした。

Tondenhey:俺が書きました。車のガラス越しに雨が降ってる様子を表しています。

一同:お〜。

ーなるほど。AAAMYYYさんが参加されている「髪と紺」の“紺”も気になっていて。“あの紺を見上げた〜”など。

Pecori:曲の中にも夕日とかオレンジとかが出てくるんですけど、時間帯としては夕方をイメージして書きました。いろんな感情が混ざる時間。そのぐちゃぐちゃに混ざった色が“紺”かなと思って。ダーク寄りだけど、どこかは明るい。それと髪の色=黒を対比させました。髪と紺、君と僕、ぐりとぐら。

Tondenhey:デモで聞いたときはトランスフォーマーのキャラかなんかかと思ってた。カミトコン。

fanamo’:カミトコン。

ー頭から離れなくなりそうです。AAAMYYYさんのフィーチャリングはいかがでしたか?

Pecori:この曲のフックは女性に歌ってもらおうってちょうどそこ(渋谷)のサイゼで話して、想像したらAAAMYYYしか思い浮かばなかったところから話ははじまります。

SunBalkan:そしたら想像以上だった。冷んやりした感じと柔らかさを併せ持った声色がメロディーと相まってエモさが滲み出た。

Tondenhey:AAAMYYYが入ったら英語の発音がめっちゃスマートになりました。“〜moon child”とか。

Pecori:僕は日本男児なので強めの“ムーンチャイルド”で歌っていて。だいぶ可憐な仕上がりになりました。5月3日のリリースライブではどっちバージョンで行くのか。

Tondenhey:その他にも想定外のスペシャルセッションが繰り広げられるかもなので、そっちも漏れなく期待していてください。

1stが完成したとき、就職とか何もかも投げ捨てる覚悟ができた

ーここからは踊Foot Worksの人となりに迫っていければと思います。皆さんご出身はどちらなんですか?

Pecori:静岡!

Tondenhey:東京都多摩市。近々、港区に(出身地を)移転する予定です。

SunBalkan:僕埼玉県。

fanamo’:島根松江市。

ーみなさんの出会いはfanamo’さんが当時働いていらしたスタジオでと伺いました。

SunBalkan:みんな留年したから出会えた説もある。

Pecori:fanamo’は少し大人だから関係ないかもだけど、俺とキイチ(Tondenhey)は多分留年してなかったら話してなかった。俺が大学5年のときにキイチが4年で、俺は就活しながら暇潰しにスタジオに遊びに行ってて、キイチはバンドの練習をしていました。

fanamo’:2人が合いそうだなってなんとなく思って、そこからみんなで集まるようになりました。

ー留年の原因は?

SunBalkan:単純に勉強が嫌い。

Pecori:学校にも行ってなかった。

SunBalkan:fanamo’とか一見勉強得意そうなのに。

fanamo’:全く。俺は卒業できなかったというより、2年を2回やった感じ。怠け者だった。

Pecori:キイチの場合は2単位くらいでしょ、足りなかったの? 俺も就活してて、fanamo’も転職しようとしてたタイミングだったから、キイチに一回お前も留年してみなよって。

Tondenhey:そうミスった。悪魔の囁き。

SunBalkan:オド(踊Foot Works)はじめたときは、まだ学生だったもんね。俺は短大だけど留年したから3年生やってて、就活中に遊びに行ったサークルでメンバーに出会いました。何回か一緒にバンドやったこともあって、気にかけてくれていて。オドの1stのリリパにバンドセットで出たいからベースが必要ってなって、声をかけてくれたのがきっかけでした。

ー留年していなかったら今頃普通に就職されていたかもしれないですね。

Pecori:音楽で食って行きたいとは思っていたけど、現実が厳しいことも分かっていたから。でも、オドの1stができた時全て投げ捨てる決心がついた。これは食っていけるアルバムだと思いました。

Tondenhey:思った思った。

fanamo’:みんなそのタイミングで思った?

SunBalkan:俺フジ(FUJI ROCK FESTIVAL ’17)。

fanamo’:俺も。

Pecori:フジはやばかった。当時、音楽やってる友達と一緒に住んでて。帰った瞬間何も言わずにそいつを抱きしめたら「どうしたパチンコ買った?」って(笑)。あれは忘れられないけど、やっぱ俺は実際口にだして「これ売れるわ」って言えたのは、アルバムが完成したときだな。とは言え今でもたまに見ますけどね、マイナビ。

Tondenhey:気は抜けないよね(笑)。

Pecori:俺今日髪ぺちゃんこだ。

一同:可愛い〜。

ー(笑)。ライブでも他のアーティストと共演される機会が多いと思いますが、気になる方はいますか?

SunBalkan:全然共演とかはないけど、俺ビリー・アイリッシュ。Tondenheyとレイジ(OKAMOTO’S)さんに教えてもらった。

fanamo’:俺はやっぱりAAAMYYYちゃん。Tondenheyがサポートでギター入ってる影響もあるけど聞き入っちゃう。

SunBalkan:AAAMYYYの新譜が良すぎて衝撃だった。

Pecori:俺はTohji。今一番ライブ一緒にやってみたい人。

Tondenhey:俺ジョン・メイヤー。

Pecori:それ言ったら俺は長渕剛。

ー音楽以外でハマってることは?

fanamo’:全員そう言えば趣味ないよね。

Pecori:いや俺は多趣味なので。今月は永野芽郁ちゃんのインスタライブが趣味。大人気女優なのに普通に芽郁ちゃんの家とかでフラットにはじまるんですよ。最近結構コメントとかもしちゃってる。ハートとか送っちゃってね。でもこれ言いすぎたので、この趣味はもう終わり(笑)。

fanamo’:じゃぁ俺、料理と神社。巡りはしないけど本読んで調べて、知識増やす系。神様同士の繋がりとかを調べる。

Tondenhey:LAVA(溶岩)ブーム。YouTubeに“LAVA”っていう動画があって、マグマを作ってそれをひたすら何かに流し込む動画。コーラにもマグマ入れてた。熱いのが流れてる様子を見てるのがすごい快感。

SunBalkan:趣味を見つけるのが趣味。

Tondenhey:自分探し、よくしてるもんね。

SunBalkan:僕バイクがめっちゃ好きだけど、免許もってないんですよ。だから金持ちになってサーキットとかで免許持ってなくても乗れるサービス受けたい。

Tondenhey:SMAPの森くん目指そう。めっちゃ稼げるよ。

SunBalkan:じゃぁそれで!

ー壮大な趣味もできたところで、最後に今後の予定について教えてください。

Pecori:個人的には文字を書く仕事がしてみたくて。エッセイとかね。あとはナレーション。音楽以外でも活躍の場を広げていきたい。

Tondenhey:劇伴です。映画は同世代だったら一番見ているんじゃないかって自負があるくらい好き。あ、映画も趣味だわ。アイディアがいっぱいあるから作りたいですね。

SunBalkan:最近オドの中でも曲を作ることが増えてきて、独り立ちみたいな。ベーシストとして、トラックメーカーとして、もっと力をつけて僕個人の評価をあげたい。それでオドに還元したい。

fanamo’:俺も曲作るの上手になりたい。あと、来年くらいはまたフジみたいな大きいステージに立てたらいいなと。

Pecori:あと、海外でツアーをやる。これは壮大な目標。アジアの音楽シーンは進んでいるから憧れるけど、目標はアメリカ。今の俺たちのままで、“ムーンチャイルド”って力強く言っちゃうままで、海外で勝負できたら思い残すことなし。

INFORMATION

『GOKOH』

on sale

「ODD FOOT WORKS」
@渋谷WWW X
2019.05.03(金)
17:15/18:00
https://www-shibuya.jp/schedule/009956.php

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