Breakthrough Music for 2019 #09 sankara

Photography-Moto Nagasawa, Sotaro Goto(live) Text-Mizuki Kanno

Breakthrough Music for 2019 #09 sankara

Photography-Moto Nagasawa, Sotaro Goto(live) Text-Mizuki Kanno

気づけばテン年代、最後の年。音楽シーンを振り返ってみてもいくつもの潮流/トピックスがあって、そろそろ総括もしたくなってくる頃だけどそれよりも“これから”に目を向けたい。「未来は過去のなかにある」とも言うけれど、いやだからこそ未来を見据えることが結果、過去(やそこに横たわる文脈)を知れることにもつながるんじゃなかろうか。ということで、本特集「Breakthrough Music for 2019」では、来たる2020年代に向けて、EYESCREAMが追いかけていきたいホットな新世代たちにフォーカス。その音楽や存在そのものでもって、今という時代をブレイクスルーしていくミュージシャンの動向から、2019年とその先を眺めていくことにしよう。

#09 sankara

耳障りの良いキャッチーなメロディーとエモーショナルなリリック、そのギャップがなぜか心地よい。それがsankaraの1st EP『BUD』を聴いた率直な感想だった。どうやら今のスタイルに辿り着くまでには、さまざまな苦悩を乗り越えてきたらしい。あの生々しさの所以はそこか、と思わず納得してしまった。
そんな本作を提げ開催された、Opus InnとのWリリースパーティーでは、ヴォーカルのRyoとラッパーのTossの息の合った掛け合いがオーディエンスのグルーブを高め、確かな人気と実力を証明していた。勢いよくスタートを切ったsankaraが今、シーンを揺らしはじめる。

一番やりたいことにようやく辿り着けた


L to R:Ryo(Vocal)→Toss(Rapper)

ーお2人の仲の良さが伝わってくる撮影でした。プライベートでも一緒に行動されることは多いんですか?

Toss:高校からここまでずっと一緒にやってきたので、自然と共通の知り合いだらけになっていて。結局一緒に呑みに行ったり、出かける機会はいっぱいあります。
でも、俺はどちらかというとアクティブなタイプ、Ryoは意外にインドアだよね。

Ryo:映画とかゲームとか、家で出来ることが好きです(笑)。

Toss:この間もBBQ誘ったら来なかったよね(笑)。

Ryo:今日はちょっと違う気分かなと………。行っといた方が良さそうな集いには顔を出しますし、全然旅行も一緒に行きますよ。

ーそもそも仲良くなったきっかけはなんだったんですか?

Toss:僕らが通っていた高校には、たまたま音好きが集まっていて、僕らもお互いなんとなく音楽やりたいよねっていう共通点があったんです。中学生の時にいとこがスカパンクのコピーバンドをやっていて、SNAIL RAMPとかが流行っていた時代だったので。その影響もあって僕も高校入ったらバンドやるって決めていました。ギターだったんですよ僕。でも、すぐに自分がやりたい音楽との相違に気がつきました。当時は、音楽やる=バンドっていう固定概念が僕の中にあって、ヒップホップっていう発想がなかったんですよね。そっちは聴く専門のジャンルだと思っていました。

Ryo:結局のところフロント願望があったんだよね。俺もフワッとバンドをはじめて、ベースを弾きながら曲によっては唄うっしょ的な感覚で機を待っていましたが、なんだかんだ違ったなと。

Toss:Ryoとは当時から気の合う友達だったから、イベントを主催している先輩に「2人でなんかやれよ」って言われて、じゃぁみたいな。当時、すでにDJを始めていた友達とレコードのインストで曲を作ったりして、気が付いたら、どっぷり音楽に浸かってました。昔から周りの環境に恵まれていたんですよね。

ー自由な校風だったんですね。

Toss:クラブにも行ってましたね。ヘッズとして行くというよりかは、最初から出る側みたいな。

Ryo:高校生なのにイベント主催とかもやらされたよね。

Toss:箱代の勘定とかね。

Ryo:今思えばちょっと特殊だよね。

ー大学に進学して就職して、みたいな流れは頭によぎることはなかったんですか?

Ryo:音楽は続けながら、それぞれ大学に進学しました。

Toss:親には本当に申し訳ないんですが、大学は自由な時間も多いし、音楽のスキルアップのために使う時間と僕の中では決めていました。

Ryo:音楽を特に辞める理由もなかったですし。卒業くらいのタイミングで運よくCDも出せて、売れたいみたいな欲も出てきたんです。

Toss:だけど、まぁそこから紆余曲折を経ましたね。ようやく今一番やりたいことに辿り着けたというか、自然体の僕らに戻れたなと思います。

ー先日リリースされた『BUD』も“自然体”がキーワードですよね?

Toss:一言で表現するならば、今作は自己中なEP。制作しているさまを僕自身が俯瞰的に見て、描いています。等身大の自分らをそのままリリックに落とし、そこにこれまでの道のりや、ここから羽ばたいて行くことへの希望を加えました。

Ryo:リリックは今回、Tossのパートが完成してから自分の分を足していきました。そこで初めて僕も、彼が今見ている景色を知ったと言うか。これだけ長いこと時間を共に過ごしているので、結構共鳴できるんですよね。だけど僕はあえて少し違う視点から書くようにしていて、その対峙が作品として昇華するといいなと思っています。

Toss:日々の葛藤をメインに書いていても、Ryoのフックがあるから結果的にポジティブにまとまる。結局、僕らの音楽を聴いて、ハッピーな気持ちになってもらえるのが一番なので。

ー『BUD』のリリックは2人が会話しているような印象を受けました。

Toss:それは嬉しいですね。音楽というフィルターを通す時は、かっこつけたり、嘘は言わないようにしているので。最近、ようやく伝えたいこと、表現方法が見えてきました。

Ryo:そんな感じで身近に感じてもらえるのが一番嬉しいです。

ー海外にルーツを持ったお二人と言うこともあり、英語が多用されていますよね。

Ryo:英語の方がストレートに伝わることも多いので。日本語は複雑ですから。

Toss:日本語の方が適している時もあるしその逆も然り。そこの使い分けを判断できるのが、僕らの強みでもあります。僕のリリックに英語が多かったら、Ryoが日本語を足してくれたり、楽曲を通してのバランスも大切にしています。

ートラックはsankaraと近しいトラックメーカーが制作されているとのことですが、お2人も今後トラックメーカーとしての一面を見せる予定はありますか?

Ryo:僕らがトラックを作るタイミングは今後もないと思っています。恵まれ過ぎていて、今更、目覚めることはないです。

Toss:いいトラックがあって、ラップがいて、ヴォーカルもいて、全員が自分の役目を徹底した結果、すごくいい作品ができました。自分の得意な分野を最大限の力で発揮するスタイルを、今後も続けて行こうと思います。

Ryo:まぁ僕らの出番が来てしまった時は、トラックメーカーに見放された時だと思ってください(笑)。

ートラックメーカーの方が一番お二人を応援している気がします。

Toss:僕らとしてはそれが活力に繋がっています。彼らに恩返しするためには、売れることが一番でしょと思わせてくれる存在ですね。

Ryo:何度も言いますけど、本当に僕らが生活してきた環境は、恵まれていたんです。

ー今回、ジャケットのアートワークは、通常盤がニシクボサユリさん、タワーレコード限定が、たなかみさきさんによる描き下ろしのイラストですよね。ここに何か意図はあったんですか?

Toss:テーマでもあった“等身大のsankara”を表現する上で、ちょっと肩の荷を下ろしたような、ナチュラルな感じを表現したいなというのは頭にあって。柔らかいイラストがイメージには合うのかなというのはざっくりありました。なのでお二方にも“自然体で”とオーダーしたところ、この素敵なイラストをあげてくださいました。今は配信メインの時代なので、残したくなるジャケっていいですよね。

Ryo:このジャケを見ていいなと思ってくれて、僕らのことを知ってくれるきっかけになったら嬉しいですよね。出来上がったものを見て、今回イラストにしてよかったなと改めて感じました。


通常盤:ニシクボサユリ
タワーレコード限定:たなかみさき

ー先日開催されたOpus InnとのWリリースペーティーはいかがでしたか?

Toss:全くジャンルの異なるOpus Innと同じステージに立ち、楽曲まで共作できたことは本当に貴重な経験だったなと改めて感じました。ファン層も多分僕らとOpus Innとでは異なるので、僕たちの音楽を知っていただくいい機会でした。

Ryo:あとは純粋に楽しかったっていうのが1番の感想ですね。

ーめちゃめちゃ盛り上がってましたよね! この夏は他にフェスやライブへの出演は予定されていますか?

Toss:立川で開催される「夏びらき MUSIC FESTIVAL 2019」というフェスに出させてもらうんですけど、すごく楽しみにしています。特にラッパーであるBASIさんや唾奇さんと同じステージに立てるので、(出演アーティストに向けて)皆さんぜひ聴いてください! って感じです。そして率直にジャッジしてもらえたら嬉しいです。以前もBASIさんとはご一緒させてもらって、僕がソロでやっていた「Weekly Lab」という企画の曲を知ってくださっていたんです。蒔いてきた種が実りはじめたなと感動しました。そこからは、もっと愛してもらう、認知を深めて行くことを目標にしています。それはファンに対しても。まだ僕らはそのレベルに到達できていないので。

Ryo:リスナーを大事にするのはもちろんですが、先輩アーティストのことも結構意識しています。ずっと身近に音楽をやっている先輩がいて、その人たちにいい、ダサいをジャッジされながらここまできたので。それが僕らの価値観になっているんですよね。

ー最後に、今のsankaraが目指す次なるステージを教えてください。

Ryo:直近の目標としては、ワンマンを開催することですかね。そのために頑張っているところはあります。僕らは当初からライブを大事にしてきたので。そこから、次はリリース提げてツアーやって、目指すところはワールドツアーですよね(笑)。

Toss:僕の目指すところとしては、2人でやっているこの音楽で、ヒップホップの固定概念を覆したいです。

Ryo:そうそう。僕らは勝手にsankaraの音楽を、ヒップホップという定義で括っていますけど、ジャンル関係なくsankaraの音楽として、皆さんに響いてくれたらいいなって。

Toss:例えばですが、英語も多くてラップもある音楽が、NHKで流れちゃうみたいな。僕は実は昔からずっと言っていて。新しいジャンルをsankaraが作っていきたいですね。

INFORMATION

『BUD』

On Sale
https://sankara-itf.com/