[Interview]あっこゴリラ × TRI4THによる、アッパーに踊れるサマーアンセム

photography_Takao Iwasawa, edit_Takuya Nakatani

[Interview]あっこゴリラ × TRI4THによる、アッパーに踊れるサマーアンセム

photography_Takao Iwasawa, edit_Takuya Nakatani

蝉の鳴き声と入道雲、風鈴、かき氷、夏祭りで唐揚げにビール。となると無性に聴きたくなるあの曲、夕暮れ時に思わず口ずさんでいるあのリリック、夏の大三角、今夜見にいく? それぞれの夏の楽しみ、それぞれのサマーアンセム。そう、サマーアンセムだ。

ジャズをベースにロックやスカを取り込んだサウンドでオーディエンスを熱狂させるバンド、TRI4THのライブチューン「Shot The Ghost」を、フィメールラッパーあっこゴリラが大胆にリミックスした「Shot The Ghost -あっこゴリラREMIX-」もまた、夏のために制作された一曲だ。元々はあっこゴリラがナビゲーターを務めるJ-WAVE(81.3FM)のラジオプログラム「SONAR MUSIC」(月〜木 21:00-24:00)の、2019年番組サマーアンセムを作ろうというところからはじまったこのコラボレート。その経緯や裏話、そしてせっかくなので! それぞれのサマーアンセムも聞いてみた。ぜひ夏のお供にどうぞ。

L→R:関谷友貴(Bass)、織田祐亮(Trumpet)、伊藤隆郎(Drums)、あっこゴリラ、藤田淳之介(Sax)、竹内大輔(Piano)

—まずは「Shot The Ghost -あっこゴリラREMIX-」でのコラボレートから聞かせてください。「SONAR MUSIC」発の番組サマーアンセムとして制作されたとのことですが。

あっこゴリラ:はい。TRI4THの曲をリミックスするということは決まっていて、候補の3曲のうちから選びました。どれもノリノリだったんですが、そのなかでも一番ノリのいい曲を選びました。私自身、ゆったり感があまりないというのもあって。

伊藤:あっこゴリラさんは、ハスキーな声質が印象的だなという第一印象でした。「Shot The Ghost」は、自分たちの曲のなかでもハードで、テンポも速い曲だけど、きっとかっこよくなるんだろうなって楽しみにしていました。

あっこゴリラ:レゲエだとかのゆったり感がまだ得意じゃなくて。急き立てられるような、あの曲の感じがフィットした。

伊藤:逆に僕らからしたら、BPM速すぎやしないか? という心配はありました。でも、あっこゴリラさんは早口のラップもできるからこのBPMでもいけるのかなと思っていたら、リミックスが上がってきたらもっとテンポが上がっていた(笑)。

あっこゴリラ:でも、(新たに打ち込んだ)ビートのBPMは落としているんです。元のビートの速さにはさすがに無理だと思った。乗せようと思ったら乗せられるけど、そういうラップの乗せ方はしたくなかったので。

—リミックスをする際に、どういったイメージで進めていきましたか?

あっこゴリラ:ジャズバンドをリミックスするというところで、ジャジーヒップホップの方向というか、サンプリングをして組み立てていくのはしたくないなと。とにかくバカな曲にしたくて、いろんなビートを試していくなかで、バイレファンキかなと。それでデモの段階で一度投げたら、「ちょっと……」みたいな感じで戻ってきて、やべっ、やりすぎたかな、どうしようってなったけど、とりあえず突き進むか、って。探り探り、結果、貫いた。

伊藤:あれも好きでしたけどね。

あっこゴリラ:普段だとコラボする前に顔を合わせて話したり、スタジオに一緒に入ったりするんですけど、今回はあいだに大人がいて直で聞けないという状況だったので、最初はやきもきしました。「直で電話させてくれ」って言っても、「いや、そういう感じじゃないから」みたいな(笑)。一度も会えないままだったから、ミックスの前日に練習スタジオで偶然会えてよかったです。「はっ、会いたかったあ」って。

伊藤:あれはびっくりしました。スタジオで練習していたら、あれ? 緑の髪の人がいる、あっこゴリラさんだ! って。

あっこゴリラ:「電話したかったんですよ!」って。お会いするまではそんな状態でした。会って不安は消えました。

—TRI4THの皆さんは「Shot The Ghost -あっこゴリラREMIX-」を聴いて、率直にどうでしたか?

伊藤:あの曲は、ライブでもアッパーに煽りまくって、ガンガン盛り上げていく曲で。それが違う印象になったのはうれしかったですね。

織田:「こうなるんだ!」という驚きと「こうやって作ってるんだな」という新鮮さがありました。ミックス作業のときも、声の質感だったり、すごく細かいディテールにこだわっていて。そういうのって、僕らのようなジャズバンドにはなかなかない。基本的に僕らは「せーのドン」の一発録りになるから、どんどん塗り重ねて作っていく感覚はおもしろかった。エンジニアの方とタッグを組んで作っていっている感じというか。

あっこゴリラ:元々はバンドをしていたので、私も「せーのドン」派なんですけど、ラップを始めて、宅録もするようになってから作り方は変わったかもしれない。

—曲の中盤で挟み込まれる、異国の祭り感ある掛け声の反復がありますが、あれって元ネタは何ですか?

あっこゴリラ:最初、ノリでめちゃくちゃ語でやっていたんですよ。あの部分は「アバジベバベボ」って私が言っていて、それが気に入っちゃった。何これ? みんなもアバジベバベボやろうよ、重ねよ重ねよって。でもマジ意味わかんないね、なに「アバジベバベボ」って? あっ、「アーバン ジンベイ バット ベイビー ボーイ」にしちゃおう、みたいな。ああいうバカなノリが好きで、よくやっちゃう。何の意味もない、ただの宇宙語です。

藤田:今までにボーカルとのコラボはあったんですけど、その場合はある程度、想像がつく。でも今回は全然違った!

あっこゴリラ:そうだと思った。「あーこれ、こういう感じだろうな」みたいな。

藤田:それはしねーよ、って。

あっこゴリラ:しねーよ、って。ライブだったら曲の勢いにそのまま乗っかって、アゲてアゲてっていうのが絶対いいなと思ったんですけど、音源にするにしたらそれは違うなと。

藤田:こっちの発想にはないようなものが出てきた。

あっこゴリラ:よかった!

藤田:たしかに、会わないほうがよかったのかもね(笑)。僕らのほうから「こういう方向でいきましょうよ」とかオーダーしちゃってたら、また違っただろうから。

あっこゴリラ:でも、ライブで一緒にすることがあったら、リミックスのほうじゃなくて、オリジナルの勢いに乗ってやりたいです。そこはライブバージョンでまた作りますよ!

—ちなみに、皆さんにとってのサマーアンセムもぜひ教えてください。

あっこゴリラ:あーなんだろう、いっぱいあるなサマーアンセム。さっきは「急き立てられるようなのじゃないと」とか言っておいてチルいほういっちゃおうかな。ヴィック・メンサの「Orange Soda」を空眺めながら聴きたい。

竹内:僕はプリンセス プリンセスの「世界でいちばん熱い夏」ですね。小学生の頃に、運動会の出し物で演奏して。僕はキーボード担当だったんですけど、運動会の練習って夏のあいだにあって、でもキーボードは陽に当てちゃいけないからテントのなかにいるんです。それ以外の生徒は炎天下のなかにいるのに。夏というとそれを思い出しますね。

関谷:僕は、ベタですけどレッチリ(レッド・ホット・チリ・ペッパーズ)の「カリフォルニケイション」。高校3年のときにリリースされたんですけど、ちょうどその頃にバークリー音楽院のジャズキャンプに参加して、そこで知り合ったアメリカ人も同じ盤を持っていて仲良くなった思い出ですね。今年、サマソニで同じ日に出させてもらいますが、ベーシスト的にヤバいですね。

あっこゴリラ:ヤバいですね。私もフリーとチャド(・スミス)の二人が大好き。

藤田:僕はゆず「夏色」ですね。このあいだもゆずのライブに行きました。

織田:かせきさいだぁの「じゃっ夏なんで」は毎年必ず聴きますね。日本の夏をヒップホップで歌っている。

伊藤:アルバム単位だとDeterminations(編集註:大阪のオーセンティック・スカ・バンド。2004年に解散)はずっと聴いていられるけど、一曲となると……。ランシドの前身バンドのオペレーション・アイヴィーの「サウンド・システム」が、いつ聴いても楽しくて夏っぽいかなと。

あっこゴリラ:あと、 最近レディオヘッドにハマっている。昔は難解で苦手だったんですけど、いろんな音楽を経て再度聴いたら、めっちゃよくて。特に『キッドA』は好きなドープさだった。夏の夜のジメジメ感、超好きなんですけど、夏のジメジメした夜に汗ダクダクでヘッドフォンでレディオヘッドを聴きたいですね。「うわーっ、逃げられない」って。結構ぶっ飛べる感じがしますね。ニッチな夏の楽しみ方かもしれない。

—たしかに夏の楽しみ方はいろいろありますよね。

藤田:夏と同じく僕らもアツいライブを繰り広げているので、ぜひ来てほしいですね。自分で掴み取りに行かないと勝ち取れないものもある。そういうのも夏の楽しみ方じゃないかなって。

あっこゴリラ:夏=ウェイウェイだよね、って思われがちだけど、ひとりでクーラーで涼んでもいい。自分の夏なので。他がどうだろうが、「てめえの夏、てめえでやれ」ですね。

INFORMATION

TRI4TH
【SING ALONG TOUR】
10/13(⽇)仙台 MACANA
10/18(⾦)⼤阪 MUSIC CLUB JANUS
10/19(⼟)福岡 BEAT STATION
11/02(⼟)札幌 BESSIE HALL
11/16(⼟)広島 セカンドクラッチ
11/17(⽇)名古屋 ボトムライン
11/27(⽔)東京 マイナビBLITZ赤坂
※チケット:各公演 ¥4,300(税込/ドリンク代別)/一般発売:9/14(土)10:00

あっこゴリラ
【LIVE】
8/25(日)Limited Express(has gone?)×PrrrttyStrike presentsフォーメーション!!!
8/30(金)SWEET LOVE SHOWER 2019
9/7(土)OTODAMA’18-’19〜音泉魂〜
9/8(日)THE M/ALL 2019
10/12(土)FM802 30PARTY MINAMI WHEEL 2019

【RADIO】
J-WAVE(81.3FM)「SONAR MUSIC」にて毎週月~木 21:00~24:00、メインナビゲーターとして3時間生放送O.A中

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