[Interview]Survive Said The Prophet
それぞれが描いた目的地に辿り着くためには

PhotographyーTakaki Iwata EditーMizuki Kanno

[Interview]Survive Said The Prophet
それぞれが描いた目的地に辿り着くためには

PhotographyーTakaki Iwata EditーMizuki Kanno

「過去も未来も知っている預言者に、この世界で生き残るための方法を尋ねたとしても、ただ自分を信じて前に進めって言われるだろうなと思ったので、そこから」(Yosh)。Survive Said The Prophet、通称“サバプロ”は2011年に結成、英語詞を軸に日本語が散りばめられた歌詞とエモーショナルな楽曲で、日本のロックシーンを揺らしている。そんな彼らがこの度、ニューシングル「MUKANJYO」をリリース、アニメ「ヴィンランド・サガ」のテーマソングとして、早くも話題をかっさらっている。

そこで、精力的にツアーを行い、日本全国を飛び回るサバプロの束の間の東京ステイを見計らい、結成から現在に至るまでの軌跡や、彼らのプライベートについてのインタビューを敢行した。メンバー5人がこうしてメディアに出演するのは、なかなかにレアですよ!

L to R→Tatsuya(Gu)、Show(Dr)、Yosh(Vo)、Yudai(Ba/Vo)、Ivan(Gu)

ーまずは、現在のSurvive Said The Prophetに到るまでの経緯を教えてください。

Yosh:ロックをやりたくて東京に集いギリギリまで戦って、もうこれでラストかもしれないと思ったタイミングで出会えたメンバーです。元々は、僕と今はいない最初のギタリストで始めたバンドですが、ツーピースは現実的ではないので、まずはIvanのスカウトから。彼とはアパレルのバイト仲間として出会ったのですが、音楽のことを話したらガチッとハマりすぎて。僕らの音楽もまだ聴かせていないのに、「メンバーに入って」攻撃を繰り広げました。

Ivan:うるさかった(笑)。

Yosh:Ivanのシフトをチェックしたり、フェイスブックを見て彼が行くイベントもしっかりリサーチして。Yudaiと出会った時は彼が元々やっていたバンドを離れて、新しいバンドをスタートアップしている最中でした。彼がイベントに誘ってくれたことをきっかけに、お互いの引っ張り合いがはじまりましたね。

Yudai:当時僕のバンドはボーカルが不在だったので、ちょうど探していたところに出会いました。Yoshの方はベースがずっといなかったので、「俺サポートやるよ」って言ってスパイ活動していました。で、最終的に僕が駆け引きに負けた(笑)。

Yosh:Showも何人かいたサポートドラマーのうちの1人で。方向性的にもうちのドラマーじゃないって、僕も口に出して言っちゃってたくらいの感じだった。ただそれがサバプロに足りなかったピースだったんですよね。リズムってバンドの土台だからすごく大事なのにずっとサポートだったので、なかなか安定しなくて。Showと一緒にツアーを回ることが増えたことで、僕らに少しずつ心を開いてくれて。

Show:サポートを頼まれたものの別のバンドもやっていたし、そもそもジャンルも違ったので、サバプロには僕のドラムではないなと思っていました。お互いの利害関係が一致したうえでのサポートだったはずが、だんだん気が変わったようで僕にも攻撃が(笑)。自分なりにいろいろと考えたんですけど、やっぱり年齢も年齢だったし、信用できるメンバーとじゃないとこの先もバンドを続ける意味ないなって考えるようになって。Yudaiとは対バンしたりなんかで10年以上の付き合いだったし。

Yosh:Tatsuyaも一回音楽を諦めようとしたタイミングで、引き入れて。僕が集めたわけでは決してなく、全てのタイミングが重なっていい方向に進んだ結果が今のサバプロですね。それぞれが求めているゴールがあって、そこを一緒に目指す時、若ければ若いほどナイーブで互いの感情をぶつけ合うと思うんです。それがロックバンドの一番面白い時だと思うし、そのタイミングで成功するバンドを尊敬もしています。でも、僕らはそういうのを一周したから少し達観しているというか。タイミングと目的地がサバプロを導いてくれたんだと思います。

ーみなさんの音楽のルーツを教えてください。

Yudai:僕の青春時代の日本のロックはGLAYと L’Arc-en-Cielの活躍が凄くて。「L’Arc-en-Ciel Seven days」という写真集を読みふけっては、感化され狂っていました。その他にもルーツで言うと、THE BLUE HEARTSやビートルズはよく聴いていました。

Ivan:僕はメタル。王道ですけどスリップノットはよく聴いていました。僕は生まれも育ちも香港で、高校生のときに日本人のクラスメイトと仲良くなったことがきっかけで日本に来たんですが、それまでは香港のライブハウスもよく行っていました。メタルカルチャーは向こうにもあるので。

Tatsuya:ジャンルでいうとやっぱり、ニューメタル、ハードロック、ヘビメタ……..でも音楽への入りとしてクラシックピアノを習っていました。

Show:僕が恐らく一番幅広いかな。パンク、J-POP、アニソンも好き。

Ivan:ドラムマニアとか(笑)?

Show:ゲームセンターにあるドラムマニアがうまくなりたいがために、本物のドラムをやりはじめたので、そもそも楽器自体には当時あまり興味がなかったんですよね。

Yosh:小学生なのに結構な額をドラムマニアに貢いでいて引きました(笑)。僕もパンクロックが好きです。ギターを弾いてみたいなと思ったきっかけは、アメリカのブリンク182というバンドの影響が強いです。そこからラウド系に広がり、一時期はレコーディング業界に就職することも考えていました。その頃は、流行のヒップホップやDJ音楽とかも幅広く聴いて、ディグって。

ーライブではピアノも披露されていますよね。

Yosh:音楽好きの親父に勧められてとりあえずレッスンに行ってはみたものの、どうしても音符が読めなくて。先生が弾いているのを聴いて覚えました。ピアノは練習をしなくてもなぜか弾けたので、レッスンがつまらなすぎて一時期ピアノに触れなくなりましたが、DTMをいじるようになってからは必要性を感じ、また弾いていますね。

ー音楽の他にも何かはまっていることや趣味などはありますか? 皆さんスケボーには相当詳しいと伺っています。

Yosh:僕もTatsuyaもYudaiもIvanもみんな乗るよね。昔はオーリーや50-50などもやっていましたけど、今はリスクが高すぎてなかなかできないのが寂しいです。この間たまたまボードを持っていて、久しぶりに軽くやってみたんですよ。そしたら足首がゴリって。はい、終わった。と思った瞬間、みんなの顔が頭を過ぎりましたね(笑)。

Tatsuya:サバプロに入ったばかりの時は横乗り系注意報を発令されましたよ。スノボも好きだったし、スケボーもオーリーでステアとか飛ぶのが好きで、それで骨折して、ギター弾けなかった時もある。

ーファッションもストリートが好きでした?

Yosh:当時はパンクロックとスケボーってがっつり繋がっていたので、そういったファッションが好きでした。

Tatsuya:サンタクルーズ使ってた人たちは特にパンク系の印象だった。ストーリー・オブ・ザ・イヤーっていうロックバンドが家にランプを作るドキュメンタリーとかもあって、そういうロックスターへの憧れからスケートをはじめた節もあるし。

Yosh:スピットファイヤーとかあのロゴがカッコよくて当時20ドル〜30ドルくらいで買っていたけど、今どこを探しても同じものはもう売られていなくて。エアウォークの靴とかも同じようなデザインで新しいものが今も出ているけど、やっぱりあの当時のものに魅力を感じますよね。僕がよく行く楽器屋さんの上にショップがあるので、行くと必ず上の階からチェックするんですよ。最近はこういうのが流行ってるんだって。自分の世代のものが押されていたりするとテンション上がりますね。

ーEYESCREAMも年に1回、必ずスケボー特集を作っているので、ぜひです! Showさんはインドア派ですか?

Show:今のスケボーの話とか一つも単語がわかんなかった(笑)。未だやったこともないですね。

Yosh:Showは座っていることが好きなので(笑)。

Tatsuya:あと、ゲーム好きだよね?

Show:家庭用のゲームよりもゲームセンターにあるような筐体ゲームのほうが得意かな。

ーお休みの日は何されているんですか?

Show:うーん。酒呑んでますね。唯一のアウトドア要素といえば、燻製かな。ダンボールみたいなものを燻製のボックスにして簡易的にやってますね。でも遠出はしないです。家でやったら煙で苦情が来ちゃうので、それが回避できる程度のエリアに移動するくらいです。

一同:爆笑。

Tatsuya:僕は休みとなれば自然に飛び込みたくなるタイプだから、真逆だな。

Yosh:あとは釣りチームがいますね。

Yudai:僕とTatsuyaですね。でも特にこだわりはなくて、何釣りでもいいんです。

Yosh:この2人は仙台出身チームでもあります。

ー地元での接点はあったんですか?

Yudai:初めて出会ったのは小学生の頃だよね。僕もTatsuyaもバスケをやっていて、彼は覚えていないと思うけど、勝手にマークしてました(笑)。

Yosh:スラムダンク状態だな。かっこいいな。

Yudai:18歳くらいでまた再会してバンドをやっていて、釣りもスケボーも好きっていう共通点もあって、僕が上京する時に一回誘ったんですよ彼を。

Tatsuya:ちょうど当時入っていたバンドが動き始めた頃だったので、その時は仙台に残ったんですけど、また何かの縁でここにきて巡り合いました。

ー運命ですね。

Tatsuya:確かに出会っては別れて、また出会って、今ようやく一緒になれました(笑)。

ー6月末まで「Now more than ever Tour」で全国47都道府県を回り、9月からは「Made In Asia Tour」がはじまりますね。日本各地、さまざまなところを回られていると思いますが、特に印象的な場所や出来事などはありますか?

Yudai:この間の「Now more than ever Tour」で事件が起こったよね。

Tatsuya:熊本のジャンゴというライブハウスで、Yoshが気絶しかけるわ、半裸になるわ。

Yosh:ファンの方の熱気で湿度がとんでもないことになってるプラス、酸素も限界で。一応酸素ボンベを用意していましたが、吸っても吸っても足りなくて。ライブの終わりと同時に倒れました。あそこは伝説のライブハウスになりましたね。9月からはじまる「Made In Asia Tour」では全部で10都市を回るので、新たな伝説を作りたいです。

Yudai:あとツアーで訪れた先々でみんなで万代書店に行くのも名物の一つです。僕はもともと中古屋さんがめっちゃ好きで。

Tatsuya:地方ごとに名前も変わるし、その場所柄特有の個性があるので、面白いんですよ。

Yosh:だいたい近くにゲーセンがあるので、そのついでにゲームしたり。

ーツアー中は結構みなさん一緒に動かれるんですか?

Ivan:打ち上げとかで呑んだりね。

Yosh:みんなで呑んで呑まれたりしますよ。最初の頃はもっとそういうのがあったけど、年齢も年齢なので、最近はバランス感を保つことを学びました。頻繁にヒートアップする必要ないじゃんって。

Show:僕らの場合ツアーが一回一回長いし次のツアーとの間隔も短いので、ほぼ毎日会ってる感じです。

ーお休みってあるんですか?

Ivan:う〜ん。多分(笑)。自分が休もうと思えば。

Tatsuya:Showがアメリカに行ってる最中、僕は裏磐梯に行きます。

Show:そうなんです、僕だけレコーディングでアメリカに行くんです。今までは全員同じ場所に行って録っていたんですけど、今回は環境を変えて。ポートランドにドラムだけ。でももう行くの4回目とかなんで慣れましたね。

Yosh:休みでも結局みんななんだかんだバンドのことやっちゃうし、呑みに行くってなってもその界隈になるから、もはやオンオフの切り替え方がわからないですね。でもオンをより楽しむために、たまにはマインドを本当に休めることも必要になってきた時期なのかなとも思います。

ーツアーや夏フェスと大忙しの最中、ニューシングル「MUKANJYO」がリリースされますね。

Yosh:「ヴィンランド・サガ」というアニメのオープニングに起用されている楽曲です。その物語の世界観が今回のテーマなのですが、例えば本って棒読みするだけじゃ面白くもないし、伝わりづらいですよね。自分なりの感情の起伏をつけることでそのストーリーがリアルな描写に変わっていくと思うんです。イマジネーションが働きやすくなるというか。なので、そのストーリーを歌詞に起こすだけじゃなくて、自分の状況に置き換えて作りました。

Tatsuya:だいぶドープな内容だけどね。

ーひとつひとつの言葉が強いですよね。

Yosh:ストレートに自分の感情を言葉に起こしたので、これじゃリスナーには届かないよ、みたい表現はYudaiに調整してもらいました。今回歌詞の中で「殺すか殺されるかのちっぽけな世界」という強い表現をしているのですが、最近のエンターテイメントにはそういったストレートさが欠けているから退屈しちゃうんじゃないかと思うので、あえてそのまま使いました。僕らの楽曲はアニメのオープニングに起用していただくことが多いのですが、僕たちの音楽がこれから展開されるストーリーと視聴者を繋ぐ役目を担えるのは光栄なことですし、エモーショナルを大切にしているサバプロだからこそ、多くの人の心を動かすアニメの世界観と一致することが多いのかもしれません。

INFORMATION

MUKANJYO

On sale
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「Made In Asia Tour」
9月15日(日) 香川 高松DIME w/waterweed
9月16日(月) 広島 広島VANQUISH w/lynch.
9月18日(水) 宮城 仙台Rensa w/Nothing’s Carved In Stone
9月20日(金) 北海道 札幌PENNY LANE24 w/KNOCK OUT MONKEY
10月01日(火) 新潟 新潟GOLDEN PIGS RED STAGE w/SHADOWS
10月04日(金) 福岡 BEAT STATION w/SIX LOUNGE
10月08日(火) 大阪 BIGCAT w/Hump Back
10月09日(水) 愛知 名古屋BOTTOM LINE w/fox capture plan
10月15日(火) 東京 ZeppDivercity(TOKYO) w/a crowd of rebellion
10月18日(金) 沖縄 桜坂セントラル w/Newspeak
チケット:¥4,000
http://survivesaidtheprophet.com/

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