初恋をやり直す、という覚悟。At The Drive Inインタビュー

photography_Ray Otabe, text_Megumi Yamazaki

初恋をやり直す、という覚悟。At The Drive Inインタビュー

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僕にとってオマーは、常にパラレルな存在なんだ

—これは1人のアーティストとして訊きたいんですが、まずその前置きとして。ATDIのようにこれだけ課外活動の多いバンドもそうはいないと思います。

うん(笑)。

—その中でいうとあなたは少ない方というか、ATDI以降もほとんどのバンドでオマーと一緒です。そしてこれは勝手な推測ですが、たぶん日本のファンの99%は「オマーとセドリックは常にセットでいてほしい」と思ってます。

あはははは(笑)。

—そのうえで訊かせてください。歌や表現、そして長年の盟友であるオマーと一緒に音楽を作ることは、あなたにとってどのような意味を持つのでしょうか。

まあ何というか、常にアイデアをやりとりできる仲間がいるのはありがたいことだよね。いつも共犯者がいてくれるというかさ。これはあくまで僕が思っていることだけど、オマーの直感や感じ方というか、物事へのアクセスの仕方は、自分とは常にパラレルなんだ。そういう人物と、こんな形で出逢えるなんてね。もし、僕とオマーと出逢わせてくれた人がこの宇宙に存在するなら、その人こそが僕の人生のチャンピオンだと思ってる。あいつの存在は例えるなら踏み台や滑走路のようなもので、一緒にいることで僕はいろんなところへと飛んでいけるんだ。

—今の言葉、長年のファンはずっと待っていたと思います……。

アーティストとして、ATDIのような表現の場所があるのは本当に素晴らしいことだよ。でもそれ以上に、あの男がここにいるということが僕にとっては重要なんだ。そしてそういう存在を認めて感謝することも、とても大切だと思う。あいつがいてこそ自分の表現のプラットフォームがあると、今は心から思えているからね。

—では、最後に。あなたたちがこの17年の間に築いたポジションは本当に独特です。時に「伝説」と呼ばれながら、次もきっと新しいものを見せてくれると、コアなファンだけでなく世界中の人が信じているということが本当に素晴らしいです。こうした状況を自分たちの中ではどう捉えていますか? こうありたい、という理想はあるのでしょうか。

僕らの目指すところは、17年前に思い描いていたものと今も変わってないんだよ。ATDI、マーズ・ヴォルタといくつものバンドを同時に進行させて、その全部をみんなに認めてもらうことなんだ。だってバンドを始めた当初は、まさか自分たちの音楽をこんなにたくさんの人が聴いてくれると思っていなかったからさ。だから、今もこうして僕らの音楽をきちんと受け止め、反応して、大事に思い、楽しみにしていてくれるのはすごく幸せなことだと思ってる。みんなには本当に感謝しているよ。

PROFILE

At The Drive In

1994年にテキサス州エルパソで結成。2000年9月に1stアルバム『Relationship Of Command』でメジャーデビュー。パンク、ハードコア、プログレとあらゆる要素を飲み込んだ音楽性で世界的な評価を得るも、直後にバンドは無期限活動休止を発表。メンバーはマーズ・ヴォルタやスパルタでそれぞれの活動を開始する。2012年に、突如再結成を発表。その年のあらゆる音楽フェスでヘッドライナーを務め、日本ではフジロックフェスティバルに、翌2016年にはサマーソニックにも出演を果たした。2017年5月、実に17年ぶりとなるニュー・アルバム『In・ter・A・li・a』をリリース。9月には東名阪をまわるジャパンツアーも敢行した。
http://hostess.co.jp/atthedrivein/

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