OTHER 2022.03.24

Interview: 柴田聡子がRoadMovies+を楽しんでみたのなら

EYESCREAM編集部
EYESCREAM編集部
Photograph_Ryo Kuzuma, Edit&Text_Ryo Tajima[DMRT]

これだけTikTokやInstagramが生活に馴染んでくるとなると、毎日のようにスマホでショートムービーを作ることが当たり前になってくる。みな、数多あるアプリの中で、それぞれ使い慣れたもので動画作りを楽しみ発信しているはずだ。
今回注目したいのはスマートフォン用動画作成アプリ「RoadMovies+(ロード・ムービーズプラス)」だ。このアプリでは、簡単に素早く面白くショートムービーが作れてしまう。さらに、音楽的機能面も豊富ということで、ちょっとしたお出かけなどの移動時にも、カッコいいムービーがさくっと作れちゃう。
この、RoadMovies+がSPACE SHOWER MUSICとコラボし、旅・移動をテーマにしたアプリ限定オリジナル楽曲がリリースされているわけだが、そのうちの1人として柴田聡子が楽曲「どこへも行かないで」を制作し、現在公開中。
実際にRoadMovies+でムービーを作りながら、心地よいテンポで<どこへも行かないで>と歌う本楽曲がどのような音楽なのかを聞いた。

自由にショートムービーを作り込めるのが面白い

ー普段、スマホで動画を撮影したり、ショートムービーを作ったりしますか?

柴田聡子(以下、柴田):そうですね。ライブやリリースの告知のときに自撮りで、ちょっとしたムービーを作ったり、何かとスマホでムービー作成を行うことは多いです。スマホで撮影したわけではないのですが、映像制作という意味ではMVも作ったことがあるんですよ。自粛期間中に、基本的には全部1人で制作していきました。

ー2020年公開のMV「どうして」ですね。

柴田:はい。もともと映像学科を出ているので、そこで学んだスキルを活用して作った映像です。そのときは、Blackmagic DesignのPocket Cinema Camera 6Kというカメラを使わせていただきました。

ーもともと、Blackmagic DesignのPocket Cinema Camera 6Kを使用されていたんですか?

柴田:いえ、その頃、ネット配信を超DIYな形で行っていたんですけど、古いカメラを使っていたので、途中で映像が途絶えてしまったりと、トラブルだらけだったんですよ。それを見かねて……なのかはわからないのですが(笑)。ありがたいことにご連絡いただいて、使わせていただいていたんです。それで配信だけではなくMVも撮影しようと考えて。

ー柴田さんは、映像制作に関して専門的な知識もお持ちですが、アプリ“RoadMovies+”の使い心地はいかがでしょうか?

柴田:秒数を途中で変えられたり、組み合わせ自由なところが面白いですね。最初にムービーの長さを12、24秒とセレクトできる点もユニークだと感じました。このアプリ1つで何でも作れちゃいそうなところがすごくいいです。けっこう作り込めるアプリだと感じましたし、リズム感を持って編集ができると思います。

※柴田聡子がRoadMovies+を使って制作したロードムービー。三浦海岸への道のりを切り取ったものと、サツマイモご飯を作ったおうち時間を編集したもの

柴田:それに、カラーフィルターが用意されていて、色調整をスムーズに行えるのも楽しいですね。映像編集という観点から、こういう機能性が充実しているのは、すごく助かると思います。

ー今回、柴田さんが作られたムービーのように、RoadMovies+では、簡単に楽しくロードムービーが作れるのが特徴だと思います。こういった日々の記録をスマホで行うことは、普段からされていますか?

柴田:特にツアーに出たら写真やムービーを撮ることが多いですね。やっぱり、後になって見返すと良いものです。色んなことがあったなぁって思い出されますから。あとは、心を動かされた景色を収めておくこともありますね。

ーそうした日々の記録が音楽制作に活かされる局面はありますか?

柴田:例えば、歌詞を書くときに、言葉で表すと、あの風景は実際にどうだったっけ? ということを思い出すために、スマホで記録したものを振り返ることがあります。ヒントになることがあるんですよ。自分の記憶をフィードバックさせることで広がっていくことがあります。記憶の中だと壮大過ぎたり、綺麗過ぎたりするものが、写真やムービーだと、こんな感じだったっけな? って思ったり。

新たな発見があった「どこへも行かないで」の制作

ースマホにおけるムービーや写真は記憶の貯蔵庫的な感覚でもありますよね。一方で、RoadMovies+は音楽面の機能が充実しています。柴田さんもコラボし、オリジナル楽曲「どこへも行かないで」を制作されていますね。この楽曲のテーマについて教えていただけますか?

柴田:「どこへも行かないで」はBPM120くらいなんですが、これまであまり作ってこなかったテンポ感の曲です。制作にあたっては、ドライブしているような、お散歩しているような、あの心地良い速度にしたいと考えていたし、内容も爽やかなものにしていこうと考えていたんですよ。

ー楽曲の制作が進むにつれて、ちょっとずつ内容が変わっていった?

柴田:はい。最終的に、若干寂しさが残るような展開になりつつ(笑)。それに<どこへも行かないで>という強い言葉は、使うのに抵抗があったんですよね。それが、BPM120の中で歌っていくと、雰囲気が変わり、胸にグッと来る感じはするけども、この言葉に対して距離を測りかねている感じが出て、それが曲のテーマになったと思います。ストレートな表現ではありますけど、その意味だけじゃないと自分でも思いながら、淡々と気持ち良く曲が進んでいく一面を持ちながらも、どこか迷いが入り込んできたのが、自分的には良かったです。

ー曲として捉えると、非常に軽快で気持ちいいと感じます。

柴田:曲に関して、今回はリフでやろうと思ったんですよ。最近、私の中のテーマとしてリフが、また来ているんです。それをバンドメンバーにも伝えて制作を進めた結果、曲の途中には、これまであまりやってこなかった楽器同士の掛け合いのパートも入っています。「どこへも行かないで」は、いっぱい実験できたし、新たな発見もあって、本当に良い曲に仕上がったと感じていますね。

ー柴田さん的にリフが来ているという、何か心境の変化があったんですか?

柴田:最近は、歌にしろ、楽器の弾き方にしろ、感情が前に出てきがちな表現が多くなってきていたんですが、もとを辿ると、1stアルバム『しばたさとこ島』の頃は、ずっとリフがメインで曲作りをしてきたんですよね。それが、なんでこんな風に感情が前に出てくるようになっちゃったかなって、最近考えていて。感情的な表現を経て、今1度、リフ先行の曲作りに立ち返ってみてもいいかもしれないぞと。そしたら、リフのキャッチーで耳に残る感覚もありつつ、エモーショナルに感情表現できるかもしれないって思って。そういう気持ちが今、高まっているんです。

ー5月25日にはニューアルバム『ぼちぼち銀河』がリリースされますが、その考え方の変化は、本作が関係しているんですか?

柴田:そうですね。このアルバムは「どこへも行かないで」制作前に作られた曲が収録されるんですが、俯瞰してみると、感情優先に作っていったようなところがあったし、あまり変化球的な曲も少ないので、全体的に、すごくオーソドックスな形をした作品になっていると思います。この作品の制作を経て、バンドメンバーとレコーディングを進めていく過程で、リフのことを再び考えるようになったんですよ。このアルバム制作が「どこへも行かないで」へのヒントになったんです。

諦めからの希望を描く新作『ぼちぼち銀河』について

ーアルバム『ぼちぼち銀河』には、どんなコンセプトが込められているんですか?

柴田:私はアルバムを作るときに、特定のコンセプトを設けて制作を行うのではなくて、ある一定の期間に出来た曲をまとめると、どういうことなのかが、後からわかるといった作り方をするタイプだと感じています。今作に収録される曲は、2020年6月に出来たのが1番古い曲で、2022年1月まで曲を作っていました。『ぼちぼち銀河』という感覚が出てきたのは2021年8月頃なんですよ。それが、何となく、この2年ぐらいの私の作った曲に共通する感覚なんじゃないかと。そういう作品になっているんです。

ーこの2年間というと、やはりコロナ禍が相当すると思うのですが、その時代から影響される部分はありましたか?

柴田:あったと思います。去年の8月頃って、コロナ禍の中においても指折りの厳しい時期だったと思うんです。その状況の中で、「ああ、もう本当に、ぼちぼち銀河だよなぁ」って。周りの人にもそう話をしていて、自分でも何を言っているのか若干わからないままだったんですけど(笑)。

ー2021年8月の夏、非常に厳しい時期でした。そのときの感情が『ぼちぼち銀河』という言葉に繋がったということなんですね。

柴田:それぞれのバラバラな感じをすごく感じていたときでしたね。みんな連帯しているようだけれども、それは幻のようなものなんじゃないかっていう。そう考えると、急に寂しくなっちゃったんです。でも、それしか方法がないんだよなって思っていて。それで「ぼちぼち銀河だな。行くしかないか、すれ違うまで」って。星と星がひゅっとすれ違うってぐらいの偶然しかないのかもしれない。近寄る、一緒に思い合うだとかは、かなりの偶然だよなって。それにかなり期待していたところはありましたけど。そんなものは宇宙の一瞬の煌めきだわって。なので、残された人生、頑張ってぼちぼちやりますかって感じです。諦めからの希望という感覚ですね。

ーアルバムの方も非常に楽しみです。柴田さんは音楽以外にも、小説など様々な形で表現を行われていますが、今後も小説など文章を書くことはやっていかれるんですか?

柴田:小説の方は……今は休業中の状態ですね。書く機会をいただいて、実際にやってみて思ったんですけど、長い文章というのは、そう簡単にできるもんじゃないぞと思ったんですよね。歌詞を書けるからって出来るものではないし、そこに挑むには相当な覚悟が必要だと思うんです。ちょっと怖さも感じますね。ただ、そういう取っ掛かりになること(小説を書いたこと)をやらせていただいて、すごく不思議な感覚はあったんですよね。なので、日記やエッセイではなく、長く文章を書くということは、始めていきたいと思っています。いつ読めるものになるかはわからないし、大分時間がかかりそうだと思うんですけど。

ー大変で怖さを感じても、それでもやってみたいと思ったんですね?

柴田:そうですね。せっかく言葉や詩のことを考えて活動しているので、無関係なことではないですから。それに、この段階で自分には向いていないと決めつけてしまうのも、まだ早いと思うので、もうちょっともがいてみてから決めようかなと思っています。

INFORMATION

RoadMovies+

https://www.honda.co.jp/appli/roadmoviesplus/
https://roadmoviesplus.page.link/BHBK

柴田聡子 New Album
『ぼちぼち銀河』

DDCB-12118 | 2022.05.25 Release | 3,000Yen+Tax | Released by AWDR/LR2
先行配信曲「雑感」「サイレント・ホーリー・マッドネス・オールナイト」を含む全11曲。
(全作詞曲/編曲:柴田聡子)

5月22日リリース
https://shibatasatoko.com/
https://www.instagram.com/batayanworld/

予約特典
本作品を2022年3月17日(水)~2022年4月17日(日)の期間中に対象店でご予約のお客様に「柴田聡子の四万十周遊記 [DVD]」をプレゼント。
https://ssm.lnk.to/BochiBochiGalaxy

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