橙[dai-dai]as photographed by TAIGA vol.00 太賀

photography—Taiga Styling —RIKU OSHIMA Hair&Make—Masaki Takahashi Edit─Shu Nissen

橙[dai-dai]as photographed by TAIGA vol.00 太賀

photography—Taiga Styling —RIKU OSHIMA Hair&Make—Masaki Takahashi Edit─Shu Nissen

平成という時代は、どんな色をしていただろう。俳優 太賀がカメラを構え、平成に生まれた表現者たちの素顔と向き合う。

“平成という一個の橙の木を作っていくつもりで。”

ー写真に興味を持ったきっかけは?

太賀:地元の親友の実家が昔、写真館をやっていて、うちは両親が共働きだったんで、小さい時はよくそこに預けてもらってたんですよ。だから、僕の周りにいた身近な大人っていうのが、その写真館で働いている人たちでした。だから、カメラは大人の機械、大人が扱うもの。そういう印象がずっとあって、僕の大人への憧れ=カメラへの憧れって形で繋がったんだと思います。それで、お年玉とお小遣いを貯めて、サイバーショットを小学校6年生くらいの時に買ったんです。それが初めて買ったカメラでした。その頃は写真よりも、カメラという機械、本体そのものにすごく魅力を感じていたようで、買って満足した節があったのか、手にしたことでもう満たされていたんですよね。写真を撮ることには熱中しませんでした。その後、いつしか自分が俳優をはじめて、映画を見るようになって、今度は写真に興味を持つようになりました。ゼロ年代の日本の邦画にフィルムカメラを使った印象的な作品がいくつかあったりして。そこで自分の中での”カメラ”と”写真”が、初めて結びついたというか。それで中学生の時にフィルムカメラを改めて買いなおして本格的に写真を撮り始めました。きっかけはそんなところですね。

ー改めて写真を撮りはじめて、それまでとどんなところが変わりましたか?

太賀:最初に買ったのは、デジタルカメラで機能が多くて使い方が全くわからなかったんですよ。でも、フィルムカメラは露出を合わせて撮るっていうシンプルさが良かった。それに、その当時はフィルムカメラが流行っていた訳でもないので、レトロな風合いが自分には特別に見えて。フィルムを現像した時のあの感覚にすごく惚れたというか。そこから、もっと撮りたいっていうか、欲求がぐっと出てきたんですよね。それからは、行く場所行く場所にカメラを持ち運ぶようになって、友達、当時の恋人、綺麗だった景色を撮ったりだとか、そうやって撮り貯めていくうちに、自分と写真との相性をすごくよく感じるようになりました。人に誉められたりすると尚更で、フィルムカメラで写真を撮ってる自分はどこか大人っぽく思えたし、きっとそれが楽しかったっていうのもありますね。

ー役者としての演技と写真の表現で通じるものはあったりするんですか?

太賀:僕自身はあんまり、通じるものっていうのは感じないです。別のドキドキというか、また違った興奮が自分の中にあって。でも、言われてみれば、役を演じていて人と繋がってるのを感じることと、例えば誰かのポートレートを撮っていて、その人の本質を覗いたように思える瞬間があること、そのドキドキはちょっと似ているのかな。いずれにせよ、人を撮ることが僕はやっぱり好きなので、同じ感覚はあると言えるのかもしれません。


ーこの連載は今回をvol.00として、まずはセルフポートレートをお願いしました。企画のテーマや経緯について、太賀さんから説明をお願いします。

太賀:写真連載をEYESCREAMでスタートすることになって、何を撮るかを相談していく中で、もうすぐ平成も終わるし、平成生まれの人たちを撮りたいなって思ったんです。まずは、セルフポートレートから始まることになったんですけど、場所に悩んでいて、ふと思いたったのが、最初に話した地元の写真館。「とおる」っていうお店の名前なんですけど、僕の記憶では、何年か前に、先代のお祖父ちゃんが亡くなっちゃって、店を閉めたって聞いてたんですよ。でも、ダメ元で場所だけ借りられないかと電話してみたら、実はまた新しい写真館として再開することが決まっていたんです。それまでは、他のテナントが入っていたり紆余曲折あったみたいなんですが、ちょうどオープン準備をしている改装中という奇跡的なタイミングに、ご好意で貸してくださいました。昔、親友とかくれんぼや、鬼ごっこをしていた写真館が復活して、そこで僕が自分のセルフポートレートを撮れるなんて。すごく感慨深いですね。

ー打ち合わせ中の電話で分かったんですもんね。すごいタイミングですよね。

太賀:本当にびっくりしました。面白い巡り合わせだなって思います。まさか20年前は、自分が写真を初めて、写真の連載を雑誌で持てるなんて思ってもいなかったから。今回はセルフポートレートだったんで、試行錯誤しながらでしたが、次からはゲストを撮ることに専念できるんで、楽しみです。

ーセルフポートレートはどうでしたか?演じる(撮られる)っていうのも本来の仕事であって、今回は撮る作業も自分自身でやるっていうのが、見ていて面白いなと感じたのですが。

太賀:結構、普段使わない脳みそを使った感じですね。このライティングで、この角度で、こう撮られるっていう位置に自分もすっと入っていくのが難しくて大変でした。でも、不思議と見せ方の意識も自然にちゃんとしてるんですよね。取り繕ってる訳じゃないけ、無意識にどこかで演じようとしてるのかも。ある意味俳優の性(さが)かなって感じはしますけどね。

ーでは最後にタイトルの「橙(だいだい)」に込めた意味について教えてください。

太賀:写真のテイストをモノクロではなくて、カラーにすると決めた時に、色が入れたくて。考えた末に橙色が思いつきました。色自体も嫌いじゃないし、響きもいい。橙っていう言葉を調べてみたら、”代々(だいだい)何かを継ぐ”っていうのが、由来らしくて(※)。どんどん一つの木に、新しい橙と古い橙が混在していく。そういう柑橘の果物。それって平成のイメージに結びつくなと思って。平成31年間の中で生まれた、たくさんの素敵な個性を撮ることができたらいいなと思ったんです。割と響き先行で、意味は後付けなんですけどね。それもいいかなと思って。平成という一個の橙の木を作っていくつもりで続けていきたいですね。

※橙(だいだい):
ミカン科の常緑小高木。
実は大きく、酸味が強い。
冬に熟して黄色になるが、木からは落ちないで翌年の夏に再び青くなる。
実が木についたまま年を越すところから、
「代々、果実を伝える木、だいだい」といった意味があり、
物事の始まり・伝わりを祝い、正月の飾りに用いる。

シャツ ¥22,000(VICTIM)有限会社VTM tel 03-3499-8668、パンツ¥32,000(DRESSEDUNDRESSED)tel 03-6379-1214 その他 スタイリスト私物

太賀

平成5年生まれ、東京都出身。13歳で俳優デビュー。カメラに魅了されたのは小学生の頃。テレビドラマ「今日から俺は!!」に出演。映画「母さんがどんなに僕を嫌いでも」が公開中。

INFORMATION

スタジオトオル

杉並区阿佐谷北2-13-2阿佐ヶ谷駅前ビルパサージュ2階