MUSIC 2025.12.21

Live Report: Suchmos Asia Tour Sunburst 2025 at Zepp Haneda 2025.12.12「東京の名物はライブハウスなんじゃないか」

EYESCREAM編集部
Photography_Takayuki Okada, Edit&Text_Ryo Tajima(DMRT)

2025年12月12日にZepp Hanedaで開催されたSuchmosのツアー『Suchmos Asia Tour Sunburst 2025』の模様をレポート。東京公演ということを考えると何年ぶりだったのだろうか。今やSuchmosのライブをアリーナやホール以外の場所で観れることは実に貴重だ。だが、バンド側からしたらライブをする規模感なんて関係ない。どこまでのSuchmosのロックを表現していたライブであり、帰り道では会場の外まで幸せな空気が漂っていた。そんな一夜をレポ。

どこまでも純粋なSuchmosの音楽愛を全身に浴びる幸せ

2025年6月、横浜アリーナ2日間連続公演『The Blow Your Mind 2025』を持って活動を再開したSuchmos。修行期間を経て帰還したSuchmosは、どこまでも今まで通りのSuchmosであり、同時に真新しいSuchmosでもあった。それと同時に開催が発表されたのが今回の『Suchmos Asia Tour Sunburst 2025』。10月29日のKT Zepp Yokohamaを皮切りに、ソウル、上海、台湾、バンコクといった都市を含む13都市を巡ったアジアツアーだった。本ツアーは本来、2020年1月から行われる予定であった『Suchmos ASIA TOUR 2020』のリベンジでもあって、5年の歳月を経て、アジア各国各都市のSuchmosラバーが報われることになった。

その『Suchmos Asia Tour Sunburst 2025』の最終場所となったZepp Hanedaの12月12日のライブをレポートする。Suchmosのライブを通じて誰もが感じることが<音楽というカルチャーへのリスペクト>であり、バンドという集団を心から愛して大切にしていることが、そのパフォーマンスから伝わってくる。そこにオーディエンスがしっかり共鳴している。例えば、4曲目に披露されたのは「Ghost」はグランジやグラム、オルタナの世界観を持つ楽曲であり、音源としては未発表曲なのだが、しっかりとフロアが右へ左へゆったりと揺れていた。

「羽田、静かにしてますか? 東京の人ってこんくらいのテンションでしょ?」というのが、この日のファーストMCだったのも実にSuchmosらしい。変に客席を煽らずに思ったことを思った順番にMCするYONCEのMC構文は凝り固まった都会の人間の冷たい心を温かくしてくれる。フロアからのヤジにもちょいちょい応じながら、さながら下北沢GARAGEのようなライブハウス然としたゆるい空気感がZepp Hanedaに溢れていた。

OKと山本蓮が織りなすグルーヴィなリズムに乗って、YONCEのメロディに耳を傾けながら、ライブ序盤にして、音に乗って溶けてしまいたくなる心持ちになり、早くも多幸感に包まれてしまった。ステージ全体を使って均等にフォーメーションを組まれたバンドの陣形も俯瞰して見るとカッコよく、「DUMBO」などのハイテンポが楽曲では背面の幕にメンバーの影を折り重なるように映し出され、Kaiki OharaのDJからのリフパートではTAIKING、山本蓮がステージ前方に躍り出てフロアを煽るなど、アグレッシブなアクトに食らってしまった。

そのように楽曲の世界観に合わせてステージの雰囲気をガラリと変化させていくのが、さすがのライブバンド、Suchmosだ。今回の13都市を巡るツアーを経て、再び、今のSuchmosをどう運転すると面白いのか、ということを体得した6人が、曲に乗ってフロアを踊らせにくる。私たちは、ただその演奏とアクトの上に寝転んでさえすれば気持ちよくなる。そこには確固たる頼もしさと往年のロックンロールバンドが醸し出す風格すら感じられた。

6曲目「FRUITS」後には、「こんばんは、Suchmosです」という挨拶から、フロアからの『生きてる?』という大ヤジに「めっちゃ生きてるぜ(笑)」と応じるYONCEに拍手と和やかな笑い声。「今日がSuchmosのライブ、初めて来ます。そもそもライブハウスに初めて来ましたって人もいると思う」という言葉を投げかけると、実際に初めてライブハウスに来たであろうオーディエンスもいたようで、そんなフロアの様子を見ながら、Suchmosがこういう場所(ライブハウス)で育ってきて今に至ることを語りつつ、「ライブハウスって楽しい。バンドってカッコよくない? ってことをちょっとでも思ってくれたら嬉しい」と、ライブハウスへの新たな入学者を歓迎するように笑顔を見せるメンバーたち。
「自由にどうぞ!」という言葉からの「MINT」。「Alright」からSEを経ての「To You」では「良い子のみんな、変なおじさんには気をつけよう!」とおどけたYONCEの痙攣アクトで軽快なロックチューンをかまし、完全にZepp Hanedaを地下のライブハウスのような熱気溢れる空間に変えてしまったかと思えば、次曲「Hit Me, Thunder」哀愁たっぷりのブルースを聴かせてくれたり。Suchmosが織りなす音楽のジェットコースターが爽快で今、音楽を楽しんでいるなと存分に感じさせてくれた。1つのクライマックスであると感じたのがEP「Sunburst」収録の「Marry」だ。家族の小さな幸せを連想させる歌詞とメロディで、Zepp Hanedaが幸せそうに揺れる。これ以上ない至福の一体感である。

後半のMCタイムでは、「各都市の名物をMCで話してきたけど東京は何だ? ってずっと考えていた」という話題に。この話の結論はアンコールで回収されることになる。このあとの5曲は壮絶で、YONCEの「ここから過激な演出が続きますので要注意!」という言葉通り、Suchmosを代表する楽曲、踊れるナンバーが矢継ぎ早に届けられフロア歓喜! 本編最後は「YMM」で締めくくられた。

長い拍手を経て再びメンバーがステージに。「東京はこういう盛り上がり方をするのは珍しいと思う。最高ですね、みんな!」と熱気おさまらぬフロアに笑顔でTAIKING。「先ほど話していて、東京の名物はライブハウス(やクラブ)なんじゃないか。音楽とくっついている場所が東京にはいっぱいある、2025年12月現在の一旦の結論としてよろしいでしょうか?」とのYONCEの言葉に『おおーー』という納得の声。とことん、ライブハウスとバンド、つまり音楽を愛するSuchmosの結論に大納得し、その後は「Whole of Flower」を聴き、「Life Easy」で2025年の憑きモノを落とし、最高の時間が幕となった。

本編最後のMCでは、2026年もSuchmosが「何かを開催する」ということがYONCEの口から語られた。それも東京だけではないかもしれないということで、今回のツアーから引き続きSuchmosと音楽を楽しめるのだという約束ができて非常に嬉しく思った、2025年の暮れ。そんなZepp Hanedaが煌めいた一夜だったということで、あの場にいた皆様、よろしいでしょうか?

INFORMATION

Live Report: Suchmos Asia Tour Sunburst 2025 at Zepp Haneda Day.01

Set list

1. Pacific
2. Eye to Eye
3. ROMA
4. Ghost
5. DUMBO
6. FRUITS
7. MINT
8. Alright
9. To You
10. Hit Me, Thunder
11. Marry
12. A.G.I.T.
13. STAY TUNE
14. 808
15. VOLT-AGE
16. YMM

encore
17. Whole of Flower
18. Life Easy

https://www.suchmos.com/
https://www.instagram.com/scm_japan/

EP「Sunburst」
1. Eye to Eye
2. Marry
3. Whole of Flower
4. BOY

Streaming https://fcls.lnk.to/wof
CD購入 https://fcls.lnk.to/Sunburst_EP

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