PERIMETRONに所属する二人組・Margtによる悪ノリ全開通販企画。「ニーズがないモノほど、価値がある」をモットーに、スーパー・エクスクルーシブなプロダクト、通称『Margt’s Gold Edition』をその道のプロたちとのタッグにより、完全受注で制作/販売している。今回のパートナーは、職人の技術が落とし込まれた一点物のラグを提案するMIYOSHI RUG。ご覧の通り、ラグの概念が覆される巨大なアートピースが出来上がった。EYESCREAM WEBでは、MYOSHI RUGの運営を担当する市川氏と、タフティングの技術を用いたクリエイティブチームOZを主宰し、本ラグの製作も手がけた刺繍職人のNaru、そしてMargtの3者による対談の模様をお届け。製作の裏側からラグシーンの現状について。モノづくりのプロたちによって興味深い会話が交わされた。
H200×W198
ーまずは、今回MIYOSHI RUGとMargtのコラボレーションが実現した経緯を教えてください。
ARATA:かねてから僕らの中で、“めっちゃバカだけどかっこよくて、今まで見たことのないようなラグを作りたい”という構想はあって。MIYOSHI RUGさんのことは、ジュエリーデザイナーのKOTA OKUDAに紹介してもらいコラボレーションをお願いしました。皆さんが作るラグはカラフルで、毛足の遊びも効いていたりと、僕らのデザインとの相性の良さを感じていて。
市川:いろんな方と関わる中でラグが持つ可能性を広げていきたい、とことんこだわった一点物を作っていきたいと考えていた矢先の話だったので、今回一緒にやらせてもらうことにしたんです。
ARATA:まずは、僕らがデザインしたグラフィックを基に、リモートで打ち合わせをしました。正直、最初はここまでカオスなグラフィックを絨毯で表現するのは難しいって言われると思っていたんですよ(笑)。
Naru:難しいからこそ、とことん自分を追い込もうと思いました。僕自身もめんどくさいものを作りたくて(笑)。何種類ものパイルを使ってイラスト毎に毛足の長さを変えたり、タフティングガンの機械やその打ち方自体も変えてみたり。ラグの質感や表現方法にこだわりました。僕が知っている知識や技術をフル活用しています。
ISAMU:毛足の長さの違いによってラグに立体感が生まれていますよね。とにかくすごいクオリティのものが完成してめちゃめちゃ感動しましたし、ラグの奥深さを知りました。
ー完成までにどれくらいの時間を費やしましたか?
Naru:打ち合わせも含めると100時間近くはいっています。2週間近く丸っとスケジュールを空けて、この絨毯を作ることだけに打ち込みました。
ーそもそも、Naruさんがラグ職人を目指すきっかけはなんだったんですか?
Naru:物作りが好きで、そういった仕事がしたいとはずっと思っていました。何を作ろうかいろいろ探していたときに、海外の人がタフティングをやっている動画を見つけて、面白うそうだなと思い、自分で機材とかも買って独学でやってみようと思ったんです。そしたら、徳島に工場があるらしいことを知って。その頃僕は香川に住んでいたので、これは直接行くしかないなと。
ーそれがMIYOSHI RUGとの出会いだったんですね。
Naru:「雑用でもなんでもいいんで、その技術を身につけたいんです」ってめちゃめちゃお願いして、弟子入りしました。
ー工場にはNaruさん以外にも若い方は働いているんですか?
Naru:そうですね。今は若い人が中心になっています。
市川:50年くらいやっている工場で、もともとは社長夫婦とベテランの方で回していて、一番若い職人さんでも60歳以上だったんです。Naruくんに教えてくれた方は70歳を超えていて、年内にはその方が引退します。その様な状況の中で、昔からの日本のタフティングの技術を若い世代に引き継ぐと言う事が、MIYOSHI RUGの取り組みです。
ーNaruさんが思うタフティングの魅力を教えてください。
Naru:表現することへの自由度が高いところです。実際にタフティングをはじめてみたら、自分が思っていた何倍も奥深くて。今もまだまだ修行中です。
ISAMU:ARATAも言っていた通り、今回のようにこれだけ細かいデザインをラグにするって、機械的な制限などもあって現実的に難しいんだろうなって思っていましたが、実際はめちゃくちゃ再現度が高くて。職人さんの技術の賜物ですよね。僕の中のラグのイメージが覆されました。
ISAMU:今後、どんなラグを作ってみたいですか?
Naru:個人的な作品なども作っていきたいと思っているんですが、作れば作るほど、前作よりも、さらにめんどくさいものを作りたくなっちゃうので、とにかくこだわった一点物を手がけていきたいなとは思っています。
ARATA:今回のよりめんどくさいってなると相当ですよね(笑)。例えば、あれくらいのクオリティのラグが100mくらい繋がったホテルの廊下とか。ワンフロア全てに、MIYOSHI RUGのカラフルなラグが引き詰められているとか。エースホテルも部屋毎に置かれているアートやラグの色が違ったりするから、それができたら面白そうだなって勝手に想像していました(笑)。
ISAMU:美術館とかの大きめの部屋の全ての面が、種類の違うラグでできているのとかも面白そう。
ARATA:立体物もよさそう。車とか、お台場のガンダムとか(笑)。ラグで囲まれてたら相当可愛いですよね。
Naru:うちの工場で作れるラグのサイズが、3m×3mくらいが限界なんですが、ラグを繋げていけば、それくらいのレベル感のこともできちゃうんですよね。最終的には、そこまでいきたいと思っています。まだ誰も見たことのないような作品。そのためにも、もっと技術と知識を増やして、いろんな人と関わっていきたいと思います。
ISAMU:今回のクオリティのようなラグを量産するのはやっぱり難しいんですか?
Naru:難しいですね。人の手でやっていることだから、全く同じものは作れないですし。今回のラグも同じものは2度と作れません。
市川:工場としても、量産ありきではない作品を積極的に作っていきたいとは思っています。タフティングってこんなこともできるんだよっていうのを、いろんな人に知ってもらいたいですね。ビジネス的なことを考えると量産することも大切ですが、でも職人さんにとって、とことんこだわっていいものを作るって楽しいと思うんですよ。なので、そういう環境は作っていきたいですね。仕事だとしても、楽しい方がいいと思うので。
Naru:まだまだ発見だったり、学べることがたくさんあるので、必死に頑張っています。この工場が昔から大切にしている技術を継承することも大事ですが、もっと新しい技術を開発したいという思いもあって。機械を触ったり、打ち方を変えたり、試行錯誤を繰り返すことで新しい発見に繋げていきたいと思っています。
ARATA:そもそもタフティングの機械は誰が作っているんですか?
市川:日本にひとつだけ、タフティングガンを作るメーカーがあって。うちの工場以外も、その機械を使っています。でも、5年くらい前にその工場が音信不通になってしまって。今は、壊れたら、現存の機械のパーツを移植して延命することで、なんとか使っています。MIYOSHI RUGではこの問題を解決するために、海外のタフティングガンメーカーの協力によって、海外製のガンを、今まで使用していた日本製のガンの精度に近づける取り組みを行っているんです。このガンは現在一般の方向けにも販売されています(販売サイト:Tufting Studio KEKE)。工場内では、この輸入したガンを更に改造して、毛足の揃いや打ちやすさなどの精度を高めて使用しており、半分以上の商品の生産で使いはじめています。人材不足や高齢化、機械の問題、工場の閉鎖など、そういう部分も全て含めて、僕らの課題ではありますね。
ISAMU:海外のラグのシーンはどんな感じなんですか?
市川:海外では結構盛り上がっているんです。3年前くらいから火がついて、韓国やアメリカなどでは個人の趣味として流行っているくらい。そんなことが起こるなんて、僕らも予想外でした。僕らも10年以上海外のストリートブランドのラグを作ったり、ずっと輸出してはいるんですが、最近、突然流行ってきた感があります。海外のブランドも、MIYOSHI RUGのクオリティには絶対の信頼を寄せてくれていて。その技術を基に、タフティングをもっと身近に感じてもらうためのワークショップも東京で開催しているんです(ワークショップ:Tufting Studio KEKE)。
ARATA:絨毯ってすごくポップですもんね。日本でもこれからさらに話題になっていきそうですね。
本来値段のつけられない一点物のラグだが今回は、¥1,000,000(excluding tax)で先着2名さま限定で購入のチャンスが! 購入をご希望の方はこちらのフォームより、「ラグ購入希望」と明記の上ご連絡ください。※納品タイミングは追ってご連絡いたします。
MIYOSHI RUG / ミヨシラグ
タフティングガンと呼ばれる銃の様な刺繍機を用いてラグを製作する徳島県のラグブランド。まるでキャンバスに絵を描くように、手作業で柄を打ち込んでいく。オリジナルアイテムの販売や、BRAIN DEAD、gakkin、BLACK EYE PATCH等国内外様々なブランドやアーティストのラグの製作を行っている。@miyoshirug
Naru / ナル
MIYOSHI RUGの刺繍職人であり、タフティングの技術を用いた製作チーム「OZ」を主宰。@oz_rug
INFORMATION
EYESCREAM No.182
発売:2022年6月1日(火)
Tokyo Daily Vintage Fashion
Cover story_Kroi
starring_Reo Sano, ano, Daichi Izumi(DISH//), LEO(ALI), JUBEE, Eisuke Shimizu(Age Factory), chelmico, MANON, Johnny Hiramoto, yonawo, Cody・Lee(李), etc
Back Cover_CHAI with Topologie “Freedom of Choice”
¥1000(TAX IN)
取り扱い:全国の書店およびECサイトにて
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