ART 2020.09.10

沖真秀がクマのぬいぐるみを100枚描いた個展「MATERIAL」

EYESCREAM編集部
EYESCREAM編集部

東京を拠点にイラストレーション、グラフィック、ペインティング、オブジェなど、さまざまな手法で作品を制作しているアーティスト、沖真秀の新作個展「MATERIAL」が、10月4日までVOILLDで開催中だ。

「マテリアル(原料・素材)」と題された同展では、幼少期に肌身離さず側に置いていたクマのぬいぐるみから着想を得て、クマのみをモチーフとし、100枚にも渡り描き続けるという行為に挑んでいる。

会場では、新作のペインティング作品、約100点を発表。VOILLDと沖真秀のコラボレーションによるオリジナルTシャツなどの新作アイテムも販売される。

ーFrom Artists

幼少期についた決して鮮やかではない色の染みをつけたまま、自分を上塗りも漂白もできず、ただただ地面の3mm上を転がる空虚な事実の霊体として時間を過ごしてきました。
昨今の世界の恥じらいなき待ったなしのフルチン具合を前にしてもなお自分のことを見つめられるほどの歪な娯楽性を私は持ち合わせておりません。
それでも自撮りをInstagramにアップしたり、メルカリで買った服を届いた瞬間に着て鏡の前で大きく目を見開いたり、髪をかきあげたりはしています。
今私がこうして語ること自体も自分のことを見つめることの一つだと思う人もいるでしょうが、それならそれで構いません。何でも良いです。
私には絶対的な穴があります。
私自身のほとんどが大きな穴であり、しかも下に向かう穴なのか、横に向かう穴なのか、天に向かう穴なのか、定かではありません。
穴の外側と皮膚の間の極狭空間には私の恋人や家族や友人たちが在ります。
世界の不協和音が大きくなるたび、何か物を手に入れるたびに穴は拡張され、極狭空間はさらに極狭になるわけですが、
恋人や家族や友人たちのスペースは立退かれることなくそこに揺るぎなく在ります。
恋人や家族や友人は他人です。
現実世界で他人に何かを担保して生きるつもりは毛頭ありませんが、実際自分の体内には穴とそのスペースしかないようです。最近気づきました。
いや〜すっかり自分のことを見つめてしまいました。
こうやってまた穴が拡張していくのでしょうね。
もうええわ。

INFORMATION

沖真秀「マテリアル」

会期:2020年9月5日(土) – 10月4日(日)12:00 – 19:00
会場:VOILLD(東京都目黒区青葉台3-18-10 カーサ青葉台1F)
休廊:月、火

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