CULTURE 2021.12.03

ブラジル・ストリートを文化人類学的視点で追った映画『街は誰のもの?』が劇場公開

EYESCREAM編集部
EYESCREAM編集部

ブラジルのストリートを、グラフィテイロ(グラフィティアーティストの現地での呼称)やスケーター、踊り明かす人々たちとともに切り取ったドキュメンタリー映画『街は誰のもの?』が、12月11日(土)より渋谷シアター・イメージフォーラムにて劇場公開される。

監督は、東京を拠点にグラフィックデザインをベースとしながら文化人類学的アプローチで活動する阿部航太。2018〜19年のブラジル滞在を経て、本作のもととなる『グラフィテイロス』(2019年)を製作、日本各地で自主上映した際には人類学者や建築史家、グラフィティライターなどをゲストに招き好評を博してきた。それをもとに、より広い視点で都市を捉えなおし、スケーターやカーニバル、デモンストレーションなどの新たな映像を大幅に加えて編集し直されたのが本作となる。

ブラジルの4都市を巡り、人々と対話し、身振りを模倣し、街との関係性を観察していく過程で、“映し出された街”だけでなく、“鑑賞者にとっての街”の見え方までもが大きく揺さぶられていったという。監督は、本作に込めた思いを次のように語っている。

私たちはこの問いにどう答えるのか?

あなたは「街は誰のもの?」という問いにどう答えますか? 「みんなのもの」「公共のもの」「地域のもの」などの答えが予想できますが、その「みんな」「公共」「地域」の中に「あなた」は含まれているのでしょうか。昨今の大規模な再開発などを眺めていると、知らないうちに決断が下され、資本が投下され、自分の手の届かないところで街がどんどんつくり変えられていってしまう、私はそのような虚しさを感じつつもどこか「そういうものだからしょうがない」と諦めていた節がありました……ブラジルに行くまでは。

彼の地では、人々は路上を歩き、座り、踊り、叫び、描き、自らの身体をもってその街の風景をつくりあげていました。その風景の豊かさは、私の感じていた虚しさと諦めをグラグラと揺さぶります。もちろん日本をブラジルにしよう! と主張するつもりはありません。環境的にも習慣的にも無理があります。ただ、その風景には私たちの諦めを砕き、街と改めて繋がるヒントが埋め込まれているのは確かです。本作を観た後にあなたはこの問いにどう答えるのか? ぜひ自身に問いかけてみてください。

INFORMATION

『街は誰のもの?』

監督・撮影・編集:阿部航太
出演:エニーボ / チアゴ・アルヴィン / オドルス / 中川敦夫 / ピア
整音:鈴木万里
翻訳協力:ペドロ・モレイラ / 谷口康史 / 都留ドゥヴォー恵美里 / ジョアン・ペスタナ / 加々美エレーナ
配給・制作・宣伝:Trash Talk Club
日本|2021 年|98分

・12月11日(土)より渋谷シアター・イメージフォーラムにて上映
[上映後のアフタートークゲスト]
12/11(土)10:45の回:田中元子(グランドレベル代表取締役)
12/11(土)21:00の回:中川敦夫(グラフィテイロ from ブラジル)
12/12(日)10:45の回:荏開津広(DJ/ワーグナープロジェクト音楽監督)
12/18(土)10:45の回:宮崎大祐(映画監督)
12/19(日)10:45の回:三宅唱(映画監督)
12/25(土)10:45の回:宮越里子(グラフィックデザイナー)
12/26(日)21:00の回:高山明(演出家・アーティスト)
*全回、阿部航太監督は登壇

・以降の上映スケジュール
2022年1月2日(日)〜1/7(金):名古屋シネマテーク(愛知)
公開期間調整中:京都みなみ会館(京都)
公開期間調整中:シアターセブン(大阪)

https://machidare.com

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