CULTURE 2025.10.07

Report: 乾杯できる喜びに満ちあふれた焼酎カルチャー×音楽の新たなフェス「SHOCHU MUSIC FESTIVAL」

Photography_Daikichi Kawazumi
EYESCREAM編集部

焼酎カルチャーと音楽が融合する新たなフェス「SHOCHU MUSIC FESTIVAL with Honkaku Shochu and Awamori in Nikotama」が去る9月23日、東京・二子玉川ライズ スタジオ&ホールで開催された。秋晴れのもと、陽の光が差し込む広々とした会場で明るいうちから本格焼酎や泡盛片手に、かりゆし58、チャラン・ポ・ランタン、眉村ちあきという3組のライブを全身で堪能した、至福の1日をレポートする。

「音楽は人をより自由にさせるものだと思います。お酒は、焼酎は人をより自分らしくさせるものだと思います」
ー前川真悟/かりゆし58

「自分の人生に乾杯して」
ーもも/チャラン・ポ・ランタン

「この世のすべての命に(乾杯)! 私たちは焼酎を飲み交わす」
ー眉村ちあき

参加費1,000円で本格焼酎・泡盛2種とペアリングおつまみ2種のセット付きという破格さ。本格焼酎や泡盛とは、米・麦・さつまいもなどの主原料と麹と水のみを使用し、単式蒸留機で通常一度だけ蒸留される焼酎のことで、沖縄県産のものは泡盛と言う。本格焼酎・泡盛は必ず麹を使うのがポイントで、麹の働きによって原料の豊かな風味がしっかり引き出される。

会場には芋・麦・米・黒糖・泡盛など全国18銘柄の個性豊かな本格焼酎・泡盛が集結。それらを飲み比べながら、ペアリングおつまみとの組み合わせも楽しめる、もちろんライブやDJも満喫できて、という構成だ。本格焼酎・泡盛と音楽が渾然一体となって1日中、怒涛の盛り上がりを見せていたが、その口火を切ったのが眉村ちあきだ。



1曲目、その1音目からフルスロットルで、常に全力投球。真っ昼間から本格焼酎や泡盛を飲んで、一緒に歌う。投げキッスにコール。「顔ドン」ではステージを降りて客席を巻き込みながら「あんたにわたしはもったいないよね」と歌い切る。そして「みんなの心の中に凸凹があると思う。みんなのデコとボコが合わさってこの会場ができている」というMCに続けて「凸凹」。後半にかけてのリリックも最高で、縦横無尽にステージも思考もアルコールも駆け巡ってライブは終了。

眉村ちあきが楽しんだのは、麦焼酎と米焼酎の飲み比べセットとフードペアリング。麦焼酎の香りの基本は、ライ麦パンやビールの麦芽、ナッツなど。スモークサーモンなど、パンに合う料理と相性がぴったり。米焼酎の香りは、蒸し米や少し発酵した米ぬか、わずかな焦げ香、ナッツ香が特長。牛肉との相性がよく、玉ねぎの香りや、ごまなどのナッツ香もよく合う。

少し休憩を挟んだのち、トークセッションも。MCの芦沢ムネトとは普段から飲み仲間のようでその掛け合いはゆるくも鋭く、いつもは芋焼酎や泡盛を飲むという眉村ちあきだが、名言を言わんとしての迷言(!)を連発と、彼女らしさ全開のトークとなった。



2組目はかりゆし58が、レアなアコースティックセットで登場。曲の合間には、ヴォーカルの前川真悟の音頭で会場のみんなで乾杯! 「なによりあなたの遊び心に乾杯」と前川は話しつつ、芋ソーダ(芋焼酎の炭酸割り)を飲みながらステージは続く。ライブ終盤に名曲「アンマー」が歌い上げられると、口ずさみながら感涙するオーディエンスも。地元・沖縄の話題にも触れ、「沖縄にはたくさんの酒造所がある。今も、おじいが作った酒造所を、その孫が受け継いでがんばっているのを知っているだけに、地元の誇りである泡盛が遠く離れたこの東京の二子玉川で飲まれているのがうれしい」と感慨深く話す。

かりゆし58が楽しんだのは、芋焼酎と泡盛の飲み比べセットとフードペアリング。蒸したさつまいもや、爽やかなフルーツを感じさせる芋焼酎。穀類の風味と脂を感じる豚肉が相性抜群。豚肉にナッツ香やオイル感をプラスしてもよく合う。汐風や珊瑚、海藻のようなミネラルを感じる泡盛。潮の香りのある貝類や海藻とよく合う。

トークセッションでは沖縄流の乾杯の掛け声である「カリーさびら」「カリー!」で乾杯。バンドを組んだ当時は、週2〜3回はメンバーみんなで飲んでいたという彼らだけに、お酒の場での笑い話や失敗談も尽きない様子で、泡盛への愛情もひとしおだった。

DJ 53+84



そしてラストはチャラン・ポ・ランタン。ヴォーカルのもももMCで話していたように、「お酒と言えばチャラン・ポ・ランタンでしょう」という相性の良さで、ふと外を見やると夕暮れに近づいたなか、すでにほろ酔いの人多数の会場全体を音楽でも酔わせていく。「皆さん、お祭りは好きですか?」と始めた「お祭りマンボ」に、「スーダラ節」。歌とアコーディオンが一体となって、艶やかで、喜劇的で、身に染みるステージだ。最後の曲は「愛の讃歌」。外は逢魔時、そこにぽかんと浮かぶように会場は燦々としていて、そんななかをももは客席後方まで歩み寄って行き、熱唱する。ぐっとくる。

チャラン・ポ・ランタンが楽しんだのは、芋焼酎と黒糖焼酎の飲み比べセットとフードペアリング。芋焼酎については前述しているのでここでは省くとして、サトウキビで作る黒糖が原料の黒糖焼酎は、カラメルっぽい香りが特長。鶏肉にカラメルっぽい香りや、素材や調味料の甘みを感じる料理と好相性。

続くトークセッションでは、「乾杯の音頭だーいすき」というももの、「今日も一日おつかれさまでした。かんぱーい!」という音頭でこの日もう何度目? かの乾杯を。メジャーデビュー前はお酒の場でよく演奏していた彼女たちだけあってエピソードは盛りだくさん。普段から芋焼酎を愛飲しているというももが話していた「乾杯できる喜び」に満ちた1日はこうして大団円となった。

本格焼酎・泡盛についてはSHOCHU MUSIC FESTIVALオフィシャルサイトにも詳しく紹介されているので、合わせてチェックしてほしい。

INFORMATION

「SHOCHU MUSIC FESTIVAL with Honkaku Shochu and Awamori in Nikotama」

Instagram:@shochumusicfes
https://shochumusic-festival.jp

「11月1日は本格焼酎と泡盛の日」

■ 関連イベント
「進化つづける​伝統​「本格焼酎と​泡盛フェア」
日程:2025年10月31日(金)
時間:17:00 – 21:00
会場:東京ミッドタウン八重洲ガレリア(東京都中央区八重洲2-2-1)
出演:柏木由紀、リュウジ
コンテンツ:トークセッション、カクテル講座、大抽選会 etc.
料金:当日券1,000円
/ 前売り800円(本格焼酎・泡盛100銘柄の試飲飲み放題付き) ※料理とカクテルは別途有料
詳細:https://honkakusyochu-awamori.sakutto.biz/

■ 日本酒造組合中央会
https://www.japansake.or.jp/
Instagram:@japan_shochu

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