CASE STUDY IN
GIBIER CREATORS
自ら猟銃を持ち、仕留めたジビエを料理するハンターシェフにフィーチャー。肉を突き詰めていくとジビエに行き着くとも言われるが、2人のシェフがジビエにハマったきっかけとは。
元々はベジタリアンだったというハンターシェフの竹林氏。
「肉は嫌いじゃないのに、牛肉はアレルギーを起こしてしまうため、食肉の生産・流通過程に疑問を抱きはじめて……。マクロビのインストラクターをやっているときに、『肉は悪』として扱うことにも抵抗があり、オーガニックミートを求めて狩猟免許と銃の所持許可を取りました。もちろん、野山にも殺虫剤が撒かれていたりするので100% オーガニックミートはあり得ないんですけど。家畜は抗生剤投与や遺伝子操作を受けているのに対して、自然な生命力の強さを持つジビエ肉だと、私は食べてもアレルギーを起こさないんです」。
手前のシカ肉カレーとバスマティライスから時計回りに、ジャガイモのカレー、シークワーサーのサンバル、
エビとレモンのカレー、豆腐とインゲンのカレー、エシレバターで作るバターチキンカレー、ヨーグルト。
中央は副菜の盛り合わせ。ビートイートカレープレート ¥2,400
一般的な猟解禁とされる11月中旬から2月中旬には、自らがハントしたシカやイノシシも登場する。
「11月の猟解禁後の狩猟可能な地域ではツキノワグマが獲れることもあるので、熊肉を使用したビリヤニも。食べた後は皆さん体がポカポカして帰られます。一般的にジビエは普及してほしいけれど、うちの店では無理に一年中種類を揃えたりはしません。旬のあるジビエはその美味しい時期に、消費できる量だけをいただけばいい。これはマクロビオティックの基本にある、健康に必要な栄養を必要な分だけ摂り、自分が心身ともに健康であることで世界も平和になる、という哲学にも近いんです。必要な栄養素は目に見えない分、見極めるのは大変ですが、狩猟を通して自然と向き合っていると五感以上の感覚を使うようになり、“感じる” ことしかできなくなる。猟を始めて、動物がまさにそうだと感じたので、同じ感覚で立ち向かわないと、彼らも獲らせてくれない気がするんです」。
まさに“beet eat” を冠し、命に対する敬意が伝わってくる。
beet eat/ビートイート
address 東京都世田谷区喜多見9-2-18 喜多見城和ハイツB1F tel 03-5761-4577
open 12:00-15:00(L.O.14:30)/MON, TUE, FRI-SUN 18:30-22:00(L.O.21:30)/MON, TUE, THU-SUN
holiday WED*temporary closure ※ジビエのコースは要予約
東京・渋谷で突出した人気を誇っていたビストロ、decoから昨年8月に独立した、室田拓人シェフ率いるラチュレ。
某有名グルメサイトでは早くも全国TOP100以内にランクイン。7年前に狩猟免許と銃の所持許可をとり、自身もハンターとして活動する室田シェフのジビエ料理は、より本格的に分子ガストロノミーへと昇華し、レストランとしてはかなり希少な専用の食肉処理施設も設けられている。
「昔働いていた時に、仕入れていたジビエの肉の臭いが気になって。でも、ハンターの人はたいてい趣味で撃っているので、仕留めた後の状態まで気を遣わず処理施設に持ち込むから仕方ないんですよね。それなら自分が獲って、自分で処理施設に持ち込んだ方が安定して良質な肉を提供できると考えるようになりました。ジビエは撃った時に身体がまだ温かいため、すぐに冷まして、腸をすぐに捌く処理を行えば、臭みが一切なくなります。命をいただいた瞬間から、調理は始まっている。自分が獲った野生鳥獣肉には責任が生まれるし、食材として血まで大切にしよう、お客さんにも美味しく食べてほしい、というモチベーションにも繋がります」。
コースの前菜4種。左からシカのサラミと胡桃のケークサレ、エゾジカのブラッド(血)マカロン、
ハトのリエット、イノシシのベーコンとキノコのタルトレット。
また、ジビエはブームだけでは続かないジャンルと考え、
「ブームではなく文化として根付かせていかなくては」と話す室田氏。「現代の感性に響くような料理の工夫を施すことで、こんな風に食べられるんだ!と驚いてもらい、味も豊かなことで二度楽しんでもらう。ジビエを美味しく食べてもらえれば、食物連鎖がより正しく回っていくと思うんです」。
LATURE/ラチュレ
address 東京都渋谷区2-2-2 ルカビルB1F
tel 03-6450-5297
open 11:00-14:00(L.O.)、 18:00-21:00(L.O.)
holiday SUN*temporary closure
www.deco-hygge.com