Focus Skateboarder : TORA

スケーター特有のライフスタイルから、スケートボードとそのカルチャーの魅力を再検証する本企画、PROJECT FREEDOM。3回目にフォーカスするのはストリートで多彩なクリエイティビティを発揮するTORA。
仲間たちと共に日夜スケートボードが本来持つ楽しむことを体現し続ける彼のスタイルを探った。

“ニューヨークのアングラなスタイルに憧れますね”

スケーターが持つクリエイションの可能性は計り知れない。
それはかつてアーティストとしても成功を収めたゴンズがそうであったように、スケーターという属性、人種にその要素があるのかもしれない。ストリートをフィールドとするスケーターならばなおさら、街中に現れる様々な障害物と対峙し、独自のスタイルと方法を持って攻略していく。その瞬間にこそ個々の創造力が問われるのだ。

今回紹介するTORAという名のスケートボーダーもまさにそんな才能を持ったひとり。
いちスケートボーダーとしてストリートを主戦場に、都内のパークや地方までも足を伸ばし、気の知れたスケーター仲間と日々充実したスケートライフを送っているかと思えば、その側面ではグラフィックやビートメイキング、またスケートフィルマーとして映像を撮る側にも回り、編集までこなしてしまうというまさにオールラウンダー。
その背景には自身が生まれ育った家庭環境が大きく影響しているという。

「両親が地元でモノ作りをしていて、趣味で苔玉の展示をやったり、古民家を買い取ってアトリエにしたりしてとにかく変わり者だったんです。その影響もあってか僕も大学ではデザイン系を専攻していて、在学中からデザイナーのアシスタントをしながら毎日のようにスケートをしていたんですよね。そのまま気がついたらフリーランスでデザインやイラストをやるようになっていて、会社勤めなども経験しつつ今もスタンスは変わらずのらりくらりと気ままにやっています。最近はビートメイクを毎日のようにしていて、イベントに出たり、友達と曲を作ったりしています」

スケートとリンクするカルチャーに対しては自然と食指が動いてしまうというTORA。そんな彼の思い描く理想のスケート像はストリートスケートのメッカ、ニューヨークにあった。

「あっちはアングラなスケーターが多くて、彼らからは色々と影響を受けていますね」

そう話すTORAの得意なトリックはウォール(壁)を使ったノーズジャム。大技ではなくスタイルのある者が賞賛されるストリートにおいて、その生き様ともいうべきアングラなトリックが彼の身体には染みついているのだろう。

PROFILE

TORA

茨城県出身。大学進学を機に上京し、スケートボードと出会う。その後、WhiffDiaryを立ち上げ、現在はグラフィックデザイナー、映像編集、ビートメイクなど個人として多岐に渡り活動している。

[PROJECT FREEDOM]
Vol.01 HAKASE
Vol.02 SOUSHI