FASHION 2023.04.09

Interview: Shin Sakiura Dr. Martens SHOWROOM TYOで開催中の初個展について

EYESCREAM編集部
EYESCREAM編集部
Photograph_Hidetoshi Narita, Edit&Text_Ryo Tajima[DMRT]

現在開催中で明日にでも会場へ行っていただきたいPHOTO EXHIBITONがあるので、それについて紹介させていただきたい。
展開されているのは音楽プロデューサーShin Sakiuraによる初の写真展示だ。場所は表参道にあるドクターマーチンの世界初のブランドコンセプトストア “Dr. Martens SHOW ROOM TYO”。
Shin Sakiuraと言えば、彼自身の音楽が好きな人も多いだろうがSIRUPやiriをはじめとするアーティストをプロデュースしていることでも知られている。そんな彼が音楽と一緒に大切にしていることが写真であり、撮影することで自分を振り返る時間を設けているのだという。そのようにして撮影され展示されている写真には、どこか音が感じられ衝動が込められているように感じた。
どんな内容なのか、音楽とカメラの関係性について。そんなことを聞いた。
このコンセプトストアにはドクターマーチンが展開してきたコラボレーションアーカイブや創業当時と同じイギリス・ノーザンプトンの工場で熟練の職人の手により生み出された英国製のコレクション「MADE IN ENGLAND」なども販売されており、展示以外にも楽しめる要素は満載だ。是非、会期中に遊びに行っていただきたい。

ガジェット好きが高じて音楽もカメラも好きに

 

ー今回が初PHOTO EXHIBITIONになりますが、写真はいつ頃から始めたんですか?

Shin Sakiura:去年の9月頃からで最近のことなんですよ。きっかけは自分がやっているYou Tubeチャンネルでの企画でした。カメラの機材を買って触っていたら面白くなってきちゃって。当初はEOS Kiss Mというビギナー向けのカメラを使っていて、持ち歩きながら撮影するようになってのめり込んでいったんです。写真はSNSにも使えるし、投稿のネタになるからいいかなってくらいの気持ちで始めたんです。
 

ーカメラの実機を扱うのはけっこう難しいじゃないですか。最初、その面白さをどこに見出したんですか?

Shin Sakiura:それで言うと、めちゃくちゃガジェット好きなんですよ。実は音楽が好きなのも、それきっかけなんです。
 

ーおお~、音楽もガジェットからだったんですか!?

Shin Sakiura:はい。もちろん演奏も好きなんですけど、楽器自体のモデルを調べたりしながら、どういう音が出るのかを研究するのが好きでした。カメラもその1つだと言えますね。実際に撮ることも好きだけど、新しい機種やレンズについて調べたりしているのが楽しくて。主力はこれだけど穴場的にはこれじゃないかな? だとか。常にそういう風に考えながらYou Tubeやネット記事を調べているんで、そういうのも大きいかと。

ーガジェット好きにはカメラはたまらないですよね。今メインで使っているカメラはなんですか?

Shin Sakiura:ソニーのα7 IV ですね。シグマのIシリーズというレンズの35ミリのf2をつけて持ち歩いています。キャノンから始まってここにたどり着いたような感じです。
 

ーそれこそ展示の内容にも関係してくると思うんですが、歩きながらどういう風景を撮影したいと思いますか?

Shin Sakiura:今のところ傾向で言うと、光が綺麗に差し込んでいる光景が好きですね。例えば、今回のエキシビジョンのメインビジュアルもそうなんですけど室内で日光が入ってきて床を照らしているところにドクターマーチンが転がっている光景だとか、自然の力で良い感じになっている状況に惹かれることが多いかもしれません。あの、バイクのカットもそうですね。夕暮れときの写真なんですけど。


 

ーそう言われてみると、光が効果的に入っている作品が多いですね。

Shin Sakiura:そうですよね、コインランドリーのもそうだし。太陽の光で偶然作られている光景が不思議というか運命的というか。その面白みが感じられて日常的に目がいきますね。
 

ー今回のメインビジュアルについて、もう少し教えてもらってもいいですか?

Shin Sakiura:はい、あれは自宅の写真なんですけど、今回の話をもらってブーツを入れた写真を撮ろうって話になっていたんですよ。物撮りもやってみたかったんでチャレンジしてみたんですけど、いざやろうとしたらどうしたらいいのかわからなくてめっちゃ難しくて。そんな悩んでいるときに、ふと自宅のスタジオの床をみたら、すごく良い感じに夕陽が差し込んでいて、ここに物を置いたら綺麗だろうなと。そんな風に撮影したんです。
 

中学生の頃から足元にあったレザーシューズがドクターマーチン

 

ーまさに偶然の産物というわけですね。ドクターマーチンですが昔から愛用されていらっしゃるんですか?

Shin Sakiura:たしか中学生の頃から履いていますね。ようやく自分で服を買うようになってきた思春期の頃に、大阪のミナミかどっかの古着屋で売っていた3ホールシューズを買ったんですよ。初めて履いた革靴がそれでした。もうボロボロになるまで履きこみましたね。大人なってからは3、4足ぐらいかな。ADRIAN(タッセルローファーのモデル)は何度も買い替えながら履いてきましたし、今も愛用しています。今日履いているのは8ホールブーツで、これから長く履いて育てていきたいと思っていますね。手入れしながらシワが入っていくまで愛用したいです。
 

ードクターマーチンと言えば、パンクやロックの印象も強いブーツじゃないですか。中学生の頃に、それを選んだのは音楽的な意味合いもあったんですか?

 
Shin Sakiura:ああ、それはめっちゃあるかもしれません。僕はもともとロックから音楽に入った人間で、Hi-STANDARDやELLEGARDEN、ストレイテナーは本当に聴き込んでいたしライブやフェスにもよく行っていたんですよ。そこは絶対にありますね。海外のロックアーティストもドクターマーチンをめっちゃ履いていますし。どこかで意識していた部分はあると思います。


 

ー今日の取材場所となった、ここドクターマーチンのコンセプトストア “Dr. Martens SHOW ROOM TYO”ですが、どんな印象がありましたか?

Shin Sakiura:入ってすぐに過去のコラボレーションモデルがタワーになっているじゃないですか。これは印象的でしたね。歴史を感じられるのが楽しいです。ここに並んでいるものを見ると、ドクターマーチンが作ってきたものの幅広さやカルチャーにおける存在感の大きさを再確認できますね。そのカッコよさを体感できる場所だと思います。その世界初の場所が東京にあるっていうのも、またいいですね。
 

新しいことを始めるのはめっちゃいい! 改めてそれを伝えたい

 

ーちなみに、音楽制作と写真撮影を比較したとき、表現における共通項みたいなものはありますか?

Shin Sakiura:自分はけっこう似ている部分が多いと感じますね。音楽にもカメラにも主題と副題がどうなってるかを意識することが多いんです。音楽でいえば、メインとなる1番聴かせたいものが歌なら、それを引き立たせるための伴奏は支えに徹するアレンジにするような、そういう手法が写真においても共通する部分だと感じます。
 

ーなるほど、いわゆる演出であったり編集面における手法ということになりますか?

 
Shin Sakiura:そうですね。例えば、バイクのカットでは、バイクがメイン、主題で、それが夕方のコントラストの強い光、街がバイクを引き立たせるように照らしています。編集ではさらにコントラストを上げて明暗差が際立つようにして夕陽のオレンジ色を強めに調整しているんですよ。そういった、主題と副題、メインメロとコード伴奏の関係のように、自分が見せたい部分を強調させるっていうのは、すごく音楽制作と似ているんです。また、どれくらい抽象性を残すのかってことも同様ですね。見てすぐに何かわかる、キャッチーさとあえて隠したりぼかすような曖昧さのバランスを考えることだったり、表現における中立性を意識する感覚も音楽と写真は通ずるものがあると思います。
 

ーそのうえで、Shinさんにとって写真はどういうものだと言えますか?

 
Shin Sakiura:僕にとって写真撮影はすごく内省的なことなんですよね。いわゆる自分のことを観察するツールみたいなものになっている節があると思っているんです。これは、今回の展示を通じて伝えられたらいいなと思っていることなんですけど、新しいことをするのってめっちゃ良いっていうことを言いたくて。ありきたりなんですけどね。でも、今まで自分が持っていなかったものを学んだり吸収することで、新しい自分に変われるんだなって実感が持てたことが大きな出来事なんです。僕の場合はそれがたまたまカメラだった。みんな各々そういう何かがあると思うんで、新しい何かを探してチャレンジしてほしいと思うんです。何かを新しく身につけていっているという実感は人生を豊かにしてくれるものです。今回、こうして初めて写真の展示ができたのはすごく嬉しいことですし、写真は難しいですけど、今後も日常的に撮り続けるので、何かを写真で形にしていきたいと思います。次はある程度ジャンルとか世界観を統一して、具体性を持たせても面白いかもしれないですしね。音楽の方と合わせて、どっちも楽しみにしていただければ嬉しいです。

会場の模様より

INFORMATION

Dr. Martens SHOWROOM TYO|Shin Sakiura PHOTO EXHIBITION

会期:2023年3月30日(木)~5月8日(月)
時間:12:00~19:00(定休_火・水)
場所:Dr. Martens SHOWROOM TYO
東京都渋谷区神宮前 5-2-28 1F
TEL:03-6746-4898
https://jp.drmartens.com/SHOWROOMTYO/
https://jp.drmartens.com/topics_detail.html?info_id=805
Shin Sakiura 在廊予定日
2023年4月8日(土)
2023年4月29日(祝)
※スケジュールは変更になる可能性がございます。
※入場無料・作品の販売はございません。予めご了承ください。

Shin Sakiura
https://www.instagram.com/shinsakiura_tokyo/
https://www.shinsakiura.net/

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