MUSIC 2022.03.30

Review:羊文学がトレンドランキングに続々とランクイン。
若者を中心に注目を集める理由を多方面のカルチャーシーンから考える

EYESCREAM編集部
EYESCREAM編集部

繊細ながら芯のある歌声と力強いサウンドを奏でるオルタナティブロックバンド、羊文学塩塚モエカ(Vo/Gt)、河西ゆりか(Ba)、フクダヒロア(Dr)からなるスリーピースバンドである彼らが、今注目を集めているという。

羊文学は2020年8月にF.C.L.S.よりメジャーデビューし、2021年にはFUJI ROCK FESTIVALをはじめとする数々のフェス出演のほか、新木場USEN STUDIO COASTワンマンも開催した。日々ライブハウスやフェス会場に足を運ぶロックバンド好きからすれば、羊文学はすでに人気バンドだというイメージを持っている人も多いかもしれない。しかし、昨今の羊文学の人気は音楽好きだけに留まらない。

「バズリズム02」の新年恒例企画「コレがバズるぞベスト10 」においては2021年の28位から、2022年は8位にまで急上昇。さらに「2022年春!高校生最新トレンドランキング 次に来るトレンドは?10選」では、6位を獲得した。こちらのランキングはジャンル不問であり、ランクインした音楽アーティストは羊文学だけである。SNSを中心に日々さまざまなアーティストが取り上げられている中で、唯一のランクインは率直にすごいとしか言いようがない。高校生を対象にしたトレンドランキングで上位を取ったことに驚いたファンも多いのではないだろうか。さて、これで羊文学の世間的な注目度が高まっているのは、十分伝わっただろう。この後は、そんな羊文学が若者から今注目を浴びる理由を紐解いていく。

神秘的な魅力を秘めた歌声と、オルタナ・シューゲイザー要素のあるバンドサウンドが組み合わさり、独自の世界観を醸し出す羊文学の楽曲。それは、時にキャッチーで楽しく、時に祈りを感じ、時にアンニュイな表情を見せる。コロナ禍を経てじっくりと音楽と向き合う時間が増えたからこそ、聴き手に寄り添いながらさまざまな表情を見せる羊文学の音楽はリスナーの耳と心を離さない。儚い透明感をしっかりと出すシーンと、思いきりサウンドを歪ませるシーンの切り替えも秀逸だ。塩塚の声を前に出しながらも、それをしっかりと支え、心地よく聴こえる楽曲に仕上げるリズム隊のバランスも絶妙。

羊文学を語る上で欠かせない楽曲といえば、やはり「1999」。彼女らの知名度をグッと上げた代表曲だ。2019年12月にリリースされた楽曲だが、いまだにInstagramやTikTokといったSNSでたびたび使用されているのを見かける。クリスマスソングではあるが、BGMとして使われるのはクリスマスシーズンに限ったことではないのがすごいところだ。一昔前の楽曲がリバイバルヒットしている中で、今の高校生や大学生の生まれる直前の1999年を歌っていることや、ロマンチックとエモーショナルを兼ね備えたサウンドが10代を中心にヒットしたのではないかと思う。

塩塚の多方面での活躍も凄まじい。ASIAN KUNG-FU GENERATIONの楽曲への参加や、連続ドラマ「惑星サザーランドへようこそ」出演、ファッションラバーとしてファッション雑誌「装苑」掲載など、音楽はもちろんのこと、他ジャンルのカルチャーへの露出も増えている。今や羊文学を知るきっかけは楽曲だけでなく、ドラマや雑誌などあらゆるところに溢れているのだ。幅広い分野へのカルチャーに敏感な若者が羊文学のことを見つけ、魅了されているのも、もはや当然のことのように思えてくる。さらに塩塚、河西、フクダの3人のビジュアルから生み出される唯一無二な世界観もまた、羊文学というジャンルを象徴するひとつのアイデンティティになっているのだろう。

そんな羊文学は1月12日にテレビアニメ「平家物語」のオープニング・テーマ曲にも起用されている「光るとき」を配信リリースした。抜けのいいドラムとギターサウンドがドラマチックに彩るイントロから始まる曲で、「何回だって言うよ 世界は美しいよ/君がそれを諦めないからだよ」「永遠なんてないとしたら この最悪な時代もきっと続かないでしょう」と羊文学らしい優しさを歌っている。本曲のMVは公開からわずか3ヶ月足らずで、240万再生を突破した。

ここまで羊文学が“今”人気という紹介の仕方をしてしまったが、彼女らはバズる、すなわち瞬間的な流行ではなく、長く愛してくれるコアなファンを徐々に増やしている印象がある。早耳リスナーからの口コミやタイアップ、音楽以外のカルチャーなど様々な切り口から名を広めている羊文学は、これからもあらゆるシーンで目撃することになるはずだ。4月20日にリリースするメジャー2ndアルバム『our hope』ではどんな表情に出会えるのか、期待が高まるばかり。

Text_Misaki Ito

INFORMATION

羊文学
2nd Album『our hope』

2022年4月20日 発売
https://fcls.lnk.to/uDMwn2vVIn
初回盤:CD+Blu-ray 価格:¥5,000
[Disc1/CD]
01.hopi
02.光るとき (TVアニメ「平家物語」オープニングテーマ)
03.パーティーはすぐそこ
04.電波の街
05.金色
06.ラッキー (ahamoX music webキャンペーンソング)
07.くだらない
08.キャロル
09.ワンダー (コニカミノルタ プラネタリウムドラマ「流れ星を待つ夜に」主題歌)
10.OOPARTS
11.マヨイガ (アニメ映画「岬のマヨイガ」主題歌)
12.予感
[Disc2/Blu-ray]
「羊文学Tour 2021 “Hidden Place” at USEN STUDIO COAST 2021.9.24」
※2021年9月に行われた単独公演のライブ映像をフル収録
01. mother
02. ブレーメン
03. 変身
04. 踊らない
05. 砂漠のきみへ
06. おまじない
07. 花びら
08. 人間だった
09. powers
10. ハロー、ムーン
11. ロックスター
12. Girls
13. 涙の行方
14. マフラー
15. 1999
16. ghost
17. あいまいでいいよ
[アンコール]
18. 銀河鉄道の夜
19. マヨイガ
20. 夜を越えて
通常盤:CDのみ 価格:¥3,300
[CD]※初回生産限定盤と共通内容
[店頭特典]
Amazon.co.jp:メガジャケ
楽天ブックス:ポストカード(楽天ブックスオリジナル絵柄)
TOWER RECORDS全店(オンライン含む/一部店舗除く):ひつじちゃんステッカー
羊文学応援店:ポストカード(応援店絵柄)
※羊文学応援店は追って発表いたします。

羊文学 TOUR 2022 “OOPARTS”
・2022年5月29日(日)
宮城・仙台PIT
OPEN 17:00 / START 18:00
・2022年6月9日(木)
福岡・Zepp Fukuoka
OPEN 18:00 / START 19:00
・2022年6月11日(土)
大阪・Zepp Namba
OPEN 17:00 / START 18:00
・2022年6月16日(木)
愛知・Zepp Nagoya
OPEN 18:00 / START 19:00
・2022年6月24日(金)
北海道・Zepp Sapporo
OPEN 18:00 / START 19:00
・2022年6月27日(月)
東京・Zepp DiverCity Tokyo
OPEN 18:00 / START 19:00
[追加公演]
・2022年6月28日(火)
東京・Zepp DiverCity Tokyo
OPEN 18:00 / START 19:00

[チケット販売スケジュール]
5月29日~6月27日までの公演チケット一般発売:
2022年4月23日 10:00~

6月28日追加公演の抽選先行申し込み受付:
2022年4月20日 10:00~2022年5月1日 23:59
※お申込みには4月20日発売のアルバム「our hope」封入チラシ記載のシリアルナンバーが必要となります。
6月28日追加公演のチケット一般発売:
2022年5月14日 10:00~

新型コロナウイルス感染防止対策ガイドライン
~ご来場いただく皆様へお願い~
https://smash-jpn.com/guideline

問い合わせ:SMASH 
https://smash-jpn.com/
羊文学 official HP:
https://www.hitsujibungaku.info

POPULAR