[FOCUS]Deep Sea Diving Club
福岡から時代の変わり目へ捧ぐ
TENJIN NEO CITY POP

Photography—Masashi Ura Edit&Text—Ryo Tajima (DMRT)

[FOCUS]Deep Sea Diving Club
福岡から時代の変わり目へ捧ぐ
TENJIN NEO CITY POP

Photography—Masashi Ura Edit&Text—Ryo Tajima (DMRT)

2019年に福岡を拠点に活動をスタートさせた4人組のバンド、Deep Sea Diving Club。3月30日は1stフルアルバム『Let’s Go! DSDC!』を発表し、彼らにしか表現できないサウンドを音楽シーンへ届けた。自らが掲げるのはTENJIN NEO CITY POP。シティポップという音楽が馴染んだ今、どんな音をどんな思いで鳴らしているのか。

好きな音楽を自分たちらしくポップに昇華させる

ーバンドが掲げる“TENJIN NEO CITY POP”とは何でしょうか?

出原昌平(以下、出原)「ひと言で言うなら新しいシティポップの形をイメージしています。僕らのローカルでもある福岡は今、街としてもどんどん新しくなっている最中にあって、その光景も掛け合わせています」

ー福岡発というところを大事にしているように感じますが、その点についてはいかがでしょうか?

一同「非常に重要ですね」

出原「地元ではあるけど、本当に良い場所だなって思うんですよ。もう普通に福岡最高!って言えます」

大井隆寛(以下、大井)「僕だけ山口県出身なんですけど、音楽に関しても寛容な街だとすごく思います。無料の音楽イベントが多かったり、アーティストが活動しやすい環境があったり」

鳥飼悟志(以下、鳥飼)「街おこし的な感覚でやっているので、僕らとしても活動しやすさを感じますね」

谷颯太(以下、谷)「あと、東京のイベントでは出演するバンドのジャンル感が近いものが多と思うんですけど、福岡では完全にミックスされていて異種格闘技戦なんですよ。そういうジャンルの垣根に対してオープンな感覚があるし、やっている音楽性だけではなく人間性を見てアーティスト同士が繋がっていくので、そういうミックス感が面白いと思いますね。その流れでラッパーのRin音とコラボして「フラッシュバック’82」もできましたし」

ー楽曲制作の際に、バンドとして大切にしていることはどんなことですか?

谷「バンドとして1本芯を通している部分としては、みんなが聴いてくれて、楽しくなれるような音楽を作っていこうというのはあります。だから、ポップにしようっていうのはみんな口グセのように言い合っていますね。曲をどうするかで迷ったときにはポップな方を選択する。どれだけ多くの人へ届けられるのかというは常々考えています」

ーそのようにして表現されているDeep Sea Diving Clubの表現には楽曲に限らずMVやアートワークにもノスタルジックな風合いを感じます。まさにシティポップというか。そこは意識している部分ですか?

出原「そこは自然にそうなっている感じなんだと思います。僕たちがシティポップと公言しているのって、そういうバンドとしてやっていますという意味ではなくて、あえて形容するとしたらシティポップなのかなって感覚なんですよね」

大井「そうですね。僕に関して言えば、R&Bやブルースを聴いてきた人間なので、自分たちがやっている音楽がシティポップと呼ばれるならそうなんだろうなという感じなんです。だから、意識的にそうしているというよりは、出原さんが言うように、たまたまそうなっているんじゃないかと」

谷「でも、自分の場合は音楽に限らず芸術作品や映画も同様なんですけど、いいと感じるものには必ずノスタルジックな要素があるし、歌詞のフレーズもノスタルジーを大事にしているんですよね。好きなものがそこにあるので、それがMVやアートワークにも伝播している部分があるのかもしれません。ただ、バンドとしてノスタルジックなことをやろうと話しているわけではなくて、自然と4人で出した音が向かうべきところへ向かっているんじゃないかなと」

ー3月末には1stフルアルバム『Let’s Go! DSDC!』が発表されたわけですが、この作品はどういうものになったと思っていますか?

出原「統一のコンセプトを設けてアルバム制作に挑んだわけではなく、単純に良いものを詰め合わせていったらできた作品という感じなんですよ。でも、1曲目から順番に聴いていったら、そこにストーリー性を生み出すことができたんじゃないかなと」

鳥飼「ごちゃ混ぜでいこうって話をしていたけど、最終的にしっかりとアルバム作品になったって感覚がありますね」

谷「曲順は自分が考えたんですけど、めちゃくちゃ悩んだんですよ。曲を並べたときにバラバラに見えていたものでも、ずっと考え抜いていくと、ちゃんと筋が通っている部分があって。うまく言語化できないんですけど、Deep Sea Diving Clubらしさを、ようやく自分たちでもわかってきたような感覚が今作でありましたね。レコード好きなんで、いつかレコード化したときのことも考えて順番を決めたんですけど、4曲ずつ4つのコンセプトを打ち立てて決めたのが功を奏したのかもしれない」

出原「裏設定ね」

ーその裏設定を教えてもらえますか?

谷「最初の4曲をダンスサイド、5から8曲目までがシティサイド、9から12曲目までをサマーサイド、13から16曲目までをシネマティックサイドと名付けて、2LP仕様で考えたんです。それぞれ、コンセプトに基づいた楽曲が入っている流れですね」

ーでは、今後バンドとしてどんな存在になっていきたいですか?

谷「自分たちでそれを決めるというより、メンバー各々、切磋琢磨して自分たちがやりたいことを表現できるようになれば、きっと誰かが名付けてくれるだろうし、自ずと自分たちの形が生まれるんじゃないかと思うんですよね。だから後追いでもいいのかもしれないです。まずは自分たちがやりたいことを楽しんで自由にやるってことが第一目標ですね。ただ、個人的に漠然と考えている場所としては日比谷音楽堂でライブしたいっていうのはあるかな。メンバーはどうなのかわからないけど、僕は勝手に憧れの場所的な感じで野音に出たいって言ってます」

出原「いいよね、やりたいよね。そういう夢も全部叶えていきたいし、今の時代にバンドという形を選択して音楽をやる以上、バンドにしかできないことを追究していきたいね。大井ちゃんは目標、ありますか?」

大井「僕は……自由になりたい」

谷・鳥飼・出原「で……でっけー!」

大井「いや、それはバンドの知名度や個人の技術も含めてそうで、自分たちの振れ幅が大きくなればなるほど、表現できる音楽や、やれることが増えていくでしょ。それに付随して自由度が上がっていくと思うんで、自由になるためにスキルを磨いていきたいってことで」

出原「なるほど。鳥飼さんはどう?」

鳥飼「いや、的確に大井ちゃんがまとめてくれたよ。自由になりたいんだ、オレたちは」

INFORMATION

Deep Sea Diving Club

1st album 『Let’s Go! DSDC!』
発売中
https://deepseadivingclub.jp/

Let’s Go! DSDC! Rele se tour!
2022年6月23日(木) SHIBUYA ”
OPEN/START•18:15 / 19:00
2022年6月24日(金) OSAKA NOON + CAFÉ
OPEN/START•18:15/ 19:00
2022年6月30日(木) FUKUOKA BEAT STATION
OPEN/START•18:15/ 19:00

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