MUSIC 2024.02.14

Interview:KD from tenbin O
直感で描く幽玄なサウンドスケープ

Photography_Hiroki Asano
EYESCREAM編集部
EYESCREAM編集部

2023年12月に1stアルバム『Lack Of Heroism』をリリースした3ピースバンドtenbin O。彼らが生み出す自由で幻想的なサウンドは国内外問わず支持を集め、2024年1月24日には、オランダのアーティスト・猫 シ Corp.による「Orphans (猫 シ Corp. Remix)」がリリースされた。
オルタナティブロックシーンに彗星の如く現れたtenbin O。彼らの実像に迫るべく、バンドの中核を担うKD(Ba/Vo)に話を聞いた。

KD(Ba/Vo) from tenbin O

「イメージにとらわれず、独特なバンドであり続けたい」

ーまずは、tenbin O結成の経緯を教えてください。ドラムの松浦空洋さんとは、以前も同じバンドで活動をされていたと伺いました。

KD:そうですね、2021年にバンドが解散することになり、新しいバンドの結成に向けて当時のディレクターの渡邊文武さんに相談したところ、ギターは石井ちゃん(石井さやか)がいいよ!って紹介してもらって。元々石井ちゃんは余命百年でギターを弾いていて、過去に対バンしたこともあったのですが、話したことはほぼなくて。DMでデモ送って、「バンドやりませんか?」ってところからスタートしました。2022年1月にtenbin Oを結成したので、もう2年が経ちますね。バンド名のOは、ヤー・ヤー・ヤーズのボーカル、カレンOの曲を聴いていたときに、Oって見た目も響きもいいなと思い、直感的に決めました。

ーKDさんの音楽的なルーツを教えてください。

KD:学生時代はいくつかの音楽サークルに入っていて、邦楽洋楽問わず色々聴いていました。特に、ヴェルヴェット・アンダーグラウンドにはまっていましたね。あとは、ブラックミュージックのサークルでボーカルをやったり、ソウルバーで働いたり。自分で音楽をつくることになるとは考えてもいませんでしたが、とにかく色んな曲をコピーして、歌ってばかりいました。

ー昨年末にtenbin Oの1stアルバム『Lack Of Heroism』がリリースされましたね。テーマや方向性について、バンド内でどのようなやりとりがありましたか?

KD:前のバンドを解散して間も無く、私のデモを元にスタジオで合わせて練習し、制作に取りかかったのですが、当時の自分は疲れ気味だったので、とにかく「楽しむ」ことを大切にしていました。エンジニアの飯塚さんとは出会ってまだ数年だけれど、好きな音楽やDTM周りのことを教えてもらったりして交流があったし、みんなが目指すサウンドのイメージを伝えながら、良い雰囲気で制作できたと思います。作曲の時点では、特にこういう曲を作ろうという決まりはなかったのですが、その頃私が感じていたことがそれぞれの曲に滲み出て、曲調は様々だけれど、どこか共通するムードを持つ仕上がりになったと思います。

ー楽曲の制作は普段、どのように進めているんですか?

KD:結構アカペラから作ることが多いです。自然に思いついたメロディや言葉をボイスメモに録音して、後からコードをつけたり、歌詞を整えながら、構成まで決めていきます。前はギターやキーボードまで入れてしっかりめにデモを作っていましたが、最近はボーカル、簡単なリズム、ベースだけのデモをバンドメンバーに渡しています。あとはスタジオでみんなでアレンジを練っていきます。

1st Single 「Happy Medium」

ー詞の文学的な表現が印象的でした。

KD:怒りや悲しみなどの感情が生々しいままだと、押しつけがましくなってしまうことがあるので、そうならないような言葉を選んでいます。勘と語音を大切にしているので、詞とメロディを分けて制作するのではなく、同時に出てきたものをそのまま使うことも多いです。

ーNeelam Khan Velaが撮り下ろした今作のジャケットも印象的ですよね。

KD:『Lack Of Heroism』のイメージをアートワークで表現するために、“印象的な人の表情”を撮影できるフォトグラファーを探していて、Neelam の写真に出会ったんです。Drug Store Romeosとか、世界中のアーティストのライブ、ヘッドショットを撮影していて、その写真がとても素敵だったので、ぜひお願いしたいと思いメールしました。Neelam は本当に音楽が好きで、だからこそ彼女が撮影したアーティストは、みんなとても良い表情をしているんですよね。今回に限らず、tenbin Oの作品を通じて、自分たちが心から素敵だなと思えるクリエイターと一緒に、作品作りをしていきたいなと改めて感じました。

『Lack Of Heroism』 JK

ー2月28日(水)には下北沢のライブハウス「THREE」でアルバムのリリースライブも開催されますね。

KD:ライブではダンサブルな曲もやったりしていて、音源とはまた違ったtenbin Oの一面を楽しんでもらえると思います。今は、この先発表予定の楽曲制作を行っていますが、1stアルバムを聴いてtenbin Oに興味をもってくれた人たちが、少し驚くような、でももっとハマってしまうような、そんなユニークな作品にしたいと考え中です。ひとつのイメージにとらわれず、その時やりたいことを表現して、独特なバンドであり続けたいです。

tenbin O

2022年1月結成。
KD(Ba,Vo)、石井さやか(Gt)、松浦空洋(Dr)で構成される3ピースバンド。ポストパンクからモダンソウルまで様々なジャンルを織り込み、オルタナティブロックを革新するトリオバンド。欧米のインディ/サッドコアにも通じる美しいメロディーとシュプレヒゲザングのような歌唱が同居し、Matador や4AD といった老舗だけでなく、Fire Talk のような新進気鋭のレーベルからも続々登場してくるオルタナを指向するバンドたちとの親和性も高い。
https://tenbin-o.i-deal-music.com
@tenbinoband
@tenbinOband

INFORMATION

『Lack Of Heroism』

2023.12.06 Release
https://ssm.lnk.to/LackOfHeroism

「Orphans (猫 シ Corp. Remix)」
2024.1.24 Release
https://ssm.lnk.to/Orphans_t

tenbin O first album release party
“Lack Of Heroism”

Date_2024.2.28 OPEN 19:00 / START 19:30
at Shimokitazawa THREE
¥2,400+1D
[ACT]
tenbin O + Guest Band! (TBA)
otenbin@gmail.com

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