MUSIC 2024.09.03

Interview: luv ーポップなブラックミュージックとは? 2020年代の回答を示す次世代バンド

EYESCREAM編集部
EYESCREAM編集部
Photography – Yuta Fuchikami Styling - Hideyuki Kanemitsu Hair & Make - HIRO Edit&Text – Ryo Tajima(DMRT)

Vo&GtのHiynの友人が集まって結成されたバンド、luv。2003年生まれ、現役大学生、完全な次世代バンドだ。そのサウンドはソウルやファンク、R&BなどブラックミュージックとJ-POPをミックスさせたシティポップ的サウンド。先人が気づいたスタイルや音像を吸収し、今の時代に慣らすluvのフレッシュ音楽について聞く。

アジアにおける1バンドとして
世界に向けて発信してきたい

ーバンドをやるにあたって、こういう音をやろうだとか。そういう話し合いはあったんですか?

Hiyn:「もうめちゃくちゃあって。僕らは海外の音楽も大好きなんですけど、まずは日本で人気を得て集客を増やしていきたいので、僕らが青春時代にずっと聴いてきた音楽を参考にしたいと考えたんです。例えば、Suchmos、SANABAGUN.、Yogee New Waves、cero、D.A.N.だとか。僕らが物心つく頃からテレビに出たり活躍していたバンドの音を自分たちらしく昇華して、もっと自分たちのフィルターを通して表現して、僕らが今の日本に再びそういう音楽のムーブメントを作りたい、という感じです。日本においては。で、具体的なサウンドとして影響を受けてきたものとしては、90’sのブラックミュージックになります。もちろんメンバー各々にちょっとずつ異なりますけどね」

Hiyn (Vo&Gt)

 

ーそうした、いわゆる日本のシティポップシーンを生み出したバンドたちは、luvにとってどんな存在なんですか?

Hiyn:「彼らがいなかったら、いかにしてブラックミュージックをポップスとして多くの人に聴いてもらえるかということが形になってなかったと思います。自分たちが好きで信じているカッコいい音楽を聴いてもらうためにどうするか、というマインドは自分たちも勉強させてもらったと思いますね。本当に偉大なバンドだと思います」
 
Ofeen:「CM曲もイケてるし、フェスの映像を観てもカッコよくてイケてる人がいるなって思うし。本当にもう憧れというか。自分たちは小中学生でしたけど、お洒落ってこういうことなんだろうなと。言葉では説明できないような何かぐっと惹かれるものがありました」
 
Sho:「2人が言うように、その辺りのバンドは大好きで参考にしてきたんですけど、ただ模倣するだけではなく、ルーツを大切にしながら自分たちで新しいものを作り出そうとしながらやっている感じでluvはやっていますね」

Rosa (Key)

 

ー共通項を持ちながら各々が大切にするルーツは少しずつ異なるものだと思いますが、Rosaさんはいかがでしょう?

Rosa:「僕はもともとクラシックピアノをやっていたのもあって、近現代クラシックが好きなんですけど、徐々にクラシックからポピュラーミュージックに移り変わっていく過渡期にある時代の音楽なんですよね。そういう時代の転換点にある音楽が好きです。あとは、両親の影響もあって、大瀧詠一さんや山下達郎さん、はっぴいえんど、といった日本のAORを聴いていました」

Sho (Ds)

 

ーそうした音楽的な影響はluvの音楽にも引き継がれていると感じます。最初のライブはいつだったんですか?

 
Hiyn:「この5人でちゃんとやったのは2023年9月が初だったと思います」
 
Ofeen:「お客さん全然いませんでしたけどね。ライブハウスの人だけで(笑)」
 
一同:「いなかったな~」
 
Hiyn:「お客さんがいるなって思ったのは12月の入場無料イベント『exPoP!!!!!』(O-nestで開催)のときでしたね」
 
Zum:「そうだね。初めて写真撮ってくださいだとか、サインくださいだとか言われてね」
 
Hiyn:「サインって言われてもないからなぁ。ってことで何人かフルネーム書いてる」
 
一同:「笑」

Ofeen (DJ)

 

ーわずか3ヶ月で一気に集客が変わったというのは、どういう理由があったと思いますか?

 
Hiyn:「うちのTikTok大臣(Ofeen)がね。あげたやつが次々にはねるっていう」
 
Ofeen:「東京行きの新幹線でアップしたやつの通知が止まらない! ってなって。そこからリスナーが増えて広まっていった感覚があります」
 
Hiyn:「あれはサード(「Lee Un Vile」のこと)だったっけ? 1stシングル以来のダンスチューンだったんですけど、その反応がよかったんですよね。その曲が収録されたEP「Garage」は他の曲は静かな曲ばかりなんで肩透かしだったかもしれないですけど。でも、あのEPに収録されている「Cooen」が1番僕ららしいかな、なんて思っているんですけどね」

Zum (Ba)

 

ーそんな中で、ニューシングル「Fuwa Fuwa」はダンスチューンです。しかも初スタジオ収録曲なんだとか?

 
Sho:「スタジオで録音しながら、探り探りではあったんですけど、改めてluvのドラムを作っていくのは楽しいなって感じましたね。曲も乗れるリズムなので、自分としてはすごく気に入っています」
 
Zum:「僕らはセッションで作ることが多いんですけど、この曲はスタジオ録音だけど、その熱量をうまく録音することができたかなと思っています。そういう意味で今までとは全然違う感じなんじゃないかと」


 
Hiyn:「曲の作り方って意味では、luvの初期曲は僕が1人で家で制作しているんですけど、「Fuwa Fuwa」は全員で作っているし完全にライブ仕様の曲でもあります。僕史上、1番ハキハキと日本語を歌っていますからね。そこもちゃんと歌詞も伝わるように、と思って。だから僕らとしてはけっこうチャレンジ曲でもありますね。今までで1番ポップな曲だと思うし」
 

ーそんなメジャー1曲目をリリースし、8月、9月と新曲が発表されていきます。今後、どのように活動していきたいと思いますか?

 
Hiyn:「僕ら、2024年で初めてバンドとして夏を迎えていて。この状況は来年でもいいんじゃないかとも思っていたっていう、ちょっとイキったうえでの予定通りって感じですかね」
 
一同:「笑」
 

ーバンドとして世界も見据えていると思いますが、アジア感というのは意識されていますか?

 
Hiyn:「それはめっちゃありますね。世界規模での活動ということを考えると、日本ではなくアジアのバンド、という風に必然的になりますし。まずは台湾、東南アジアだとか。海外を目指すうえでアジアを意識して活動していきたいと考えています」

INFORMATION

luv

ニューシングル「好人紀行」9月4日配信

https://luv-band.studio.site/
https://www.instagram.com/luv_official2023

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