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Jeremy Quartus「Relapse」
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Nulbarichのボーカル、JQによるソロプロジェクトJeremy Quartusが、第3弾シングル「Relapse」を11月5日にリリースした。2024年をもって活動休止したNulbarichでは、作詞・作曲・編曲・プロデュースをマルチにこなしてきた彼が、より私的で本質的な表現を追求するために2025年7月よりスタートさせたこのソロプロジェクト。第1弾の「Back To Paradise」はChaki Zulu、第2弾の「Beat Tub」はSTUTSと、異なるプロデューサーを迎えて音の解像度を広げてきた中、3作目となる「Relapse」は満を持してセルフプロデュースでの一曲となった。自己の内面と向き合うように音を紡ぎ出した今作について、話を訊いた。

ー新曲「Relapse」をリリースされましたが、この曲を作ろうと思ったきっかけや、制作を始めた時期について教えてください。
JQ:これはソロを始めることになって、Nulbarichの活動を休止した直後に作った曲なんです。自分がソロでやっていこうかなと思ったときに作った、一番初期の楽曲ですね。
ー今回は初のセルフプロデュース作品ということですが、3曲目にしてセルフプロデュース作品を出そうと思った理由を教えてください。
JQ:いろんな理由があるんですけど、まずライブが近づいてきたこともあって、ライブを想定したときにこういう曲をアサインしたいなという思いがありました。そもそもこのソロプロジェクト自体が、頭によぎったものをまず具現化してみようというプロジェクトで。その中の一つとして、誰かにプロデュースしてもらうというアイデアがありました。
ただ、あくまで日常的に自分の思っていることをメモしていくような行為として曲を作るというのは、普段からやっていることなので、結果的に3曲目になりましたが、そもそもセルフプロデュースであることが自分の軸なんです。過去2曲はそこに飛び道具的にプロデューサーを入れていくという感覚でしたね。
ーむしろセルフプロデュースが先にあって、そこに他のプロデューサーを入れるという流れだったんですね。最初の2曲でChaki ZuluさんやSTUTSさんといったプロデューサーを迎えた意図は?
JQ:僕自身がたぶん世の中で一番自分のことをちゃんと見れていない人間だと思っているからです。自分の自我というものを取り除いて見ることができないので、他の人たちが僕を見たときの「俺がお前だったらこうするけどね」とか「君はこっちのほうがいいんじゃない?」という視点を、ソロを始める前にちゃんと吸収したいと思ったんです。
ーなるほど。客観的な視点を取り入れたかったと。
JQ:そうですね。プロデュースしてもらう感覚を実際にソロが走り出す前に自分でも感じたかったですし、それが世の中に出たときの体感も知りたかった。だから最初は他力本願で歌うだけで一回やってみて、それがどのぐらい擦り合わさっていくのかを実験的に見たかったんです。
そういう意味で過去2作は、本当に大尊敬する方々に一度僕というものを見てもらい、どう見えているのかを探る場でした。それを経た上で、逆のアプローチとして、フルに自分のことしか考えていない楽曲を今リリースしてもいいんじゃないかという感覚があって。そういう自分の中でのバランスが取れたことで今回リリースすることにしました。
ー先に「Relapse」ができていたというお話でしたが、この3曲をリリースされたことで、JQさん自身の中で音楽家としての変化や進化を感じている部分はありますか?
JQ:まず、バンドからソロになったことの違いについて言えば、実際Nulbarichをやっているときも自分で曲を作っていましたし、正直やっていること自体は何も変わっていないんです。ソロになった今のほうが他の方に曲を作ってもらえるという選択肢が増えましたね。ただ、この1年を過ごしてみて、本当に活動休止しているんだなと実感しました。やっていることは何も変わっていないのに、周りの環境や認識だけが変わるものだなとずっと感じていた1年でしたね。
あと、1年間スタジオにこもっていたので、よく言えば精神と時の部屋というか、感覚的には浦島太郎現象みたいなことが起きていて。自分の中での変化や成長はまだまだ見えていないという感じで、結構手探りなんです。どのくらい自分がレベルアップしているかについては、これからライブなどを重ねていくなかで見えてくるのかなと思っています。
ーこの曲はライブを想定して制作されたとのことですが、具体的にライブでどんなシーンや雰囲気をイメージして作られたのでしょうか?
JQ:ライブって、基本的に音楽が好きな人しかいないじゃないですか。だから、そこに来ている人を踊らせるというのは割とハードルが高いと感じていて。例えば、ワンマンなら他の曲もあるし、フェスになってくると他のアーティストもいる。耳の肥えた人たちの足を止めるという部分で言うと、とにかく「Relapse」にはいっぱい仕掛けを入れようと思いました。そういう意味では遊び心が増えた感じですね。


ー今回はミドルテンポの4つ打ちとHITサンプリングという構成でした。こういったアイデアを出していく上で苦労した点や、手応えを感じた瞬間について教えてください。
JQ:まず、バンドサウンドじゃないというところでNulbarichとは圧倒的に違います。過去2作もそうなんですが、自分で作った楽曲では久々に生音の入っていない楽曲。全部サンプルと打ち込みのビートでやっています。もちろん「これでいいのかな?」という不安はありましたけど、シンプルに「自然と身体が動くか、動かないか」というところにフォーカスしたというか、その現象をやめられないという曲にしたいなと思っていたんです。ちょっと攻撃的な言葉ではあるんですけど、中毒性というか。
ーその音楽が持つ中毒性が今回の楽曲の根幹になっているということですか?
JQ:そうですね。そもそも音楽をなぜやってきているんだろうと考えると、シンプルにやりたいからというのはもちろんあるんですけど、多分そこを通り越してやめられなくなっているだけなんじゃないかなという感覚があって。よく「好きなことだから努力できる」とか、「努力よりもやりたいという気持ちが勝る」みたいに言われますよね。でも正直、僕はそういうところをもうすでに超えている気がするし、好きだからという感覚ももうないなと。身体が動いたら曲を作りたくなって、いつの間にかヘトヘトになりながら曲を作っていて、作り終わった後にはボロボロになっている。だから、作りたい欲もない。そう考えると、これはもう中毒だなと思ったんです。
ー「Relapse」というタイトルには「逆戻り」や「繰り返し」という意味がありますが、この中毒という感覚はまさにその意味とリンクしますね。
JQ:まさにそうです。この曲では「結局ここに戻ってきてしまう自分」というものを表現したかったんです。このワードは割と世の中では悪い言葉として使われているというか、「Relapse」で検索すると、ドラッグをやめられない人だったり負のサイクルに陥っているときによく使われる言葉なので、超ネガティブなイメージがあると思うんです。でも、中毒になった先で戻される場所がポジティブであれば、誰にも迷惑をかけないじゃないですか。
ー歌詞の中の「君のいないライフはほぼ意味がない」という強い依存を表すようなフレーズが印象的でした。これも音楽に対する中毒性と関連しているのでしょうか?
JQ:好きでいることがゴールというのは、対人関係でも恋愛でもそうだと思うんですが、マンネリを超越してくると好きかどうかもわからないけど一緒にいるという状態になりますよね。もはや好きなんじゃなくて中毒なんじゃないかというのは、いろんなところに落ちているんじゃないかなと思ったんです。そこまで拡大解釈できたら、割と自分の人生も諦めがつくというか。それを中毒と割り切っちゃったほうが気持ちもブレないんじゃないかと。
ー歌詞では「Feels Like a Paradise」という表現も繰り返し出てきますが、この楽園という言葉にはどんな意味が込められているのでしょうか?
JQ:トリップ状態というか、無自覚な状態で繰り広げられているパラダイスのことを表現しています。自分が正気じゃないときの「なんだこれ?」みたいな感覚って、音楽でもあるなと思っているし、意外と日常的でもあるんですよね。現実に起きていることで、自分のコントロール外のものは全部トリップだと捉えたら、意外と楽しくない? みたいな。例えば、恋人とケンカをして、嫌なら離れればいいのに離れられない。だからケンカになる。そこをお互いに「もう私たちこれをやめられないのね」と開き直ってしまえば、そこでダンスできるんじゃない? みたいな感覚があるんです。
要は、いろんなところにパラダイスを感じる起爆剤があって、自分たちが「これは中毒だ」と割り切ってしまえばいいんじゃないかという曲なんです。僕自身、音楽をやめられなかったことをどう肯定したらいいんだろうと考えると、もう「中毒者でした」と言わないと成立しないんじゃないかなと。実際、過剰摂取しちゃっているので。
ー話を聞いていて、今回の楽曲では、JQさんの音楽に対する姿勢の本質が提示されていると改めて思いましたが、今後のソロ活動としての方向性ややってみたいことは決まっているのでしょうか?
JQ:今までは、バンドとかメジャーでやっていたということもあって、パブリックとのバランスなど、ちゃんとフィルターがあったんです。でもソロプロジェクトは、僕が何かやると、もうそれが一つの表現になるというか。SNS一つとっても全部表現として捉えられるので、気をつけないといけないというのも含めてシャキッとしているんですけど、基本的にはこれまでよりももっと自由にできるなと思っています。
ーどんな面で自由にできると考えているのですか?
JQ:例えば、今回の「Relapse」のMVも、友達で映像監督の牛くんとスタイリストの高橋ラムダさんと一緒に考えて、「どうしたらおもしろくなるかね」という感じで作っていきました。彼は、いつもスタイリングしてくれるときに、ラックいっぱいにブワッと洋服を持ってきてくれるんですよ。で、撮影の2日くらい前にラムダさんと話しているうちに「MVの中でラックにある洋服を着せ替え人形みたいにボンボン着ていったらどう?」みたいなアイデアが出てきて。最初はそういう内容ではなかったのですが、その場で起きた会話が、MVの企画を根本から覆して、予定調和じゃない方向へ進んでいく。よく言えばノリでできるのは、やっぱりソロプロジェクトとかインディペンデントという環境にいるからこそというか。すごく幸せなことだなと思います。
ーJQさんの今の気持ちとしては、やはりインディペンデントでやっているほうがやりやすさがあるということですか?
JQ:やりやすさで言ったら、メジャーのほうがやりやすいかもしれないですね。ある程度やることが決まっていて「この中で考えてください」という感じなので。枠がないからこそ自由にできるけど、その分考えなきゃいけない。枠を自分で作らなきゃいけないというのは、実は結構不自由だなと思っているんです。やっぱりルールがあったほうが逆らえるじゃないですか。だから今は、どんなにはしゃぎ散らかしても怒られない校則のない学校に行っている感じです(笑)。縛りのないところで、自分が何を企画するか、何がおもしろいかというのは、以前よりも悩むようになりました。でも、難しいから楽しいんですよ。たどり着けないからやり続けちゃうし。
ーそこがまた、音楽を作るということとは別の楽しさになっているということですか?
JQ:今は「ドラクエをやってクリアしましょう」というところから、「ドラクエを作りましょう」に変わったという感じです。だからこそ、”ドラクエ”のすごさを痛感する。「やべえな、やっぱりメジャーって」とか「こんな座組があったんだ」とか。その中で自分がどうおもしろくしていくかというと、自分の中での基準となるポップスを作って、それに逆らうオルタナティブを自分のアートとしてやっていく。そういう感覚なのかなと思っています。
ーその”ドラクエ”に対して、それを超える新しい何かを作れそうな手応えはすでにありますか?
JQ:ドラクエってやっぱりすごいんですよ。かなり緻密で、どんなに僕が変態だったとしても、向こうは変態が1,000人以上集まって作っているし、すべてに理由がある。だからこそ他と差を作れるとか、唯一無二というのは奇跡的に生まれたものなんだなと思います。
ドラクエってマーケティングとかいろんなものを考えて戦略的に作られたかというと、全然違いますよね。トップに君臨するってそういうところだと思うんです。トップよりも下の層となると、トップを真似してビジネスできる部分がたくさんあると思うんですけど、僕自身はそこをうまく使ってビジネスするほど頭が良くないので。このまま変態を目指しながらやっていければいいかなと。今は自由にできることが多くなったので、手応えを探りながらどんどんやっていくつもりです。
ー最後にファンの方々に向けて「Relapse」をどんな風に聴いてほしいか、メッセージをお願いします。
JQ:踊れる曲なので、そういうバイブスを感じてもらって、ライブではしゃいでもらえたらと思います。聴いてもらえればきっと気分がアガるはずなので、とりあえず再生ボタンを押してください。そうすれば幸せになれるはずです。

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