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muque「たりない」
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muqueがTVアニメ「LIAR GAME」第2クールのエンディングテーマとして新曲「たりない」を書き下ろした。作詞を手がけたAsakura(Vo, Gt)が、「LIAR GAME」の主人公・秋山に満たされなさや孤独を感じたことから生まれた楽曲だ。Asakuraは「LIAR GAME」という作品および秋山をどのように捉えたのだろうか。

─2026年から新体制になりました。そして4月にはフルアルバム『GLHF』をリリースしました。新体制になったことは、muqueの音楽や活動にどのような影響を与えましたか?
自分たち自身はそんなに変わってないつもりだったんですが、お客さんやファンの声を聞いて「そっか、そうだよな」と思いました。自分たちは変わっていなくても、お客さんにとっては全然違うよなって。そのあと、過去の楽曲を振り返るときは、自分たちの主観だけでなく、お客さんの気持ちや、お客さんから見た自分たちも考えるようになりました。『GLHF』の収録曲「STYLE.」では変わり続けていくことが自分たちだと歌っているんですが、これを言葉にできたのは、こういう経験があったからなのかなと思います。
─それまでは、ある意味ではお客さんからどう見えるかということは、バンドの活動に関係なかった?
私たちは、新しいことをやっていくことを信条にしていて。作曲をしているtakachi(Track make, Dr)はサーチ能力が高くて、世界で流行っているものをキャッチするのが上手なんです。だから、そういうものに自分たちらしさを足して活動してこられたなと思っていて。お客さんに寄り添っているつもりだったけど、意外と自分たちがやりたいようにやっていたと気づいたというか。
─だから新体制になったときに、お客さんからどう見えるかも気にしたと。
そうです。それこそ新体制になって一発目に出したのが「DARK GAME」で、今までと比べて音数も多い壮大な楽曲で、それまでのmuqueとは全然雰囲気が違ったんです。自分たちにとっては変わり続けることは普通のことだったけど、お客さんにとっては全然違うものに映るんだなと、ちゃんと感じたのはその時期でした。
─新体制になったタイミングで、これまでとの比較がわかりやすい曲を出したから、余計にいろいろな変化が目に見えやすかったんですね。でもそこで「変わり続けていくことが自分たちだ」と改めて覚悟が決まったのは良かったですね。
はい。変わらなかったら逆にmuqueじゃないなと思いました。どのジャンルに属したらいいのかわからないっていうのがmuqueで、そこが強みだから。新しいことをやり続けて、楽曲の幅があることが自分たちらしさだと思っています。

─「STYLE.」の歌詞について、先ほど「言葉にできたのがこのタイミングだった」とおっしゃっていましたが、こういうことを歌おうということはずっと思っていたことだったんですか?
そうですね。曲を作るうえで、今のmuqueの形を歌おうということになったんですが、そのときに「メンバーだけじゃなくてスタッフも巻き込めるような1曲にしたい」と思いました。メンバーが抜けることだけじゃなく、壁にぶつかることは今後も起こり得る。そういうときに「こういう曲を作ったよね」って戻ってこられるような曲にしたいなと思いました。
─そんな「STYLE.」も収録されたアルバム『GLHF』を携えて、『muque LIVE TOUR 2026 “GLHF”』のライブハウス編を3月に、Zeppツアー編を4月に行い、現在はアジアツアーの最中です。ライブハウスツアーおよびZeppツアーはいかがでしたか?
ライブハウスツアーはアルバムの発売前だったので、まだみんなが知らない新曲をどう届けていくのか、フロントマンとしてすごく悩みました。加えて、メンバーと「今までのライブじゃダメだ。ライブで楽しさ以外の何かを持って帰ってもらおう」ということになって、私が自分の感情を言うようなMCをすることになったんです。それが難しくて。
─どう難しかったのでしょうか?
私はMCで自分の感情を口にしたことがなくて。もともと言葉選びがめちゃめちゃ下手なので、そういうものはギターのKenichiさんに任せていたんです。だけど今回は私にそれをやってほしいと。言葉で表すのが苦手だから歌詞にしてきたのに、それを包み隠さずにまっすぐ言わないといけないというのが私的には戦いでした。
─戦い!
はい。最初は反発していたんですよ。「こういうMCをAsakuraにしてほしい」と言われても「嫌だ」と言っていた。歌詞の鮮度が落ちてしまうと思ったから。だけど、実際にやってみたら、お客さんが私の拙い言葉を頑張って噛み砕いて理解して、何かを持ち帰ってくれたみたいで。難しかったけどやってよかったなと思いました。
─お客さんからすると、言葉にして伝えてくれると「心を開いてもらった」という感覚になりそうですよね。もちろんAsakuraさんとしては、それまでも心を開いてステージに立っていたとは思いますが。
確かに、これまでもお客さんは楽曲やライブを好きで来てくれてはいたと思うんですが、しっかりそのお客さんの手を握れていない感覚はどこかにあって。今回のライブでぎゅっと手を握れたお客さんが増えたなと、なんとなく思いました。
─思いを伝えるMCを始めたことで、Asakuraさんご自身には何か変化はありますか?
うーん、シンプルに話せるようになった(笑)あとは、人との付き合いもマシになったかも。以前よりはバンドマンと話せるようになった。本当に少しずつですが。
─先ほど、MCをすることで歌詞の鮮度が落ちてしまうことが怖くてMCをすることに抵抗があったとおっしゃっていましたが、そこに関してはいかがですか?
そこはやっぱりちょっと難しくなっちゃったなって思っています。
─それを乗り越えた先に、また違う歌詞が生まれてきそうですね。
そうだといいんですけど……。

─では、現在真っ只中のアジアツアーはいかがですか?(※取材は6月下旬に実施)
アジアでのワンマンライブは今回が初めてなんですが、「めっちゃ歌ってくれるやん!」って思いました。日本では自分がマイクを向けたら歌ってくれる感じなんですが、海外は自分たちが自分の好きなタイミングで歌ってくれるんですよ。それが私にとっては心地よくて。私は自分以外のライブ映像を見るときに、バンドじゃなくてお客さんを見てしまうんです。そこでは歌いながら笑顔になっているシーンが何より好きなので、アジアツアーで熱唱してくれたのが個人的にはすごくうれしくて。また行きたいなと思っています。
─さらに6月9日にはファンクラブライブも行いました。ツアーの最中に行うファンクラブライブではどのようなことを感じましたか?
muqueを知ってくれている人たちの前なので、ふざけてもいいのかなと思って、結構ふざけまして。ビンゴ大会をしたんですよ。面白かったです。
─ビンゴ大会!? バンドのファンクラブライブって、レアな曲をやるとか、そういうものだと思っていたので驚きました(笑)
ファンの方も同じ気持ちだったと思います(笑)。でも親戚の集まりみたいな雰囲気で楽しかったです。それこそツアー中だったので、気軽にできていい時間でした。
─MCで「あれをしゃべらなきゃ、これしゃべらなきゃ」みたいなプレッシャーから解放されて。
はい。全く何も考えずにペラペラとしゃべってました(笑)
─そんな充実の日々を経て、7月8日に新曲「たりない」がリリースされました。「たりない」はTVアニメ「LIAR GAME」第2クールのエンディングテーマですが、最初にこの話を聞いたときはどう思いましたか?
「難しそうだな」と思いました。昔、ドラマ「ライアーゲーム」を見ていたので、「LIAR GAME」には「面白いけど難しい」というイメージがあって。だから、エンディングのお話を聞いたとき、最初に「あの作品のどこをどう歌詞にしたらいいんだろう」って思いました。
─そこから楽曲制作はどのように?
アニメサイドから「今回は明るめの楽曲がいい」というリクエストをもらっていたので、「ちょっとシティポップっぽいのがいいかもね」という話をして、まずはtakachiがトラックを作ってくれました。
─作詞はAsakuraさん。先ほど「この作品のどこをどう歌詞にしたらいいんだろうと思った」とおっしゃっていましたが、歌詞は作品のどういったところから着想を得て書きましたか?
アニメサイドから「秋山(主人公のうちの一人)の心情を書いてほしい」と言われたのですが、ゲームに囚われすぎて秋山の感情を見るのがめちゃめちゃ難しくて。
─確かに騙し合いのゲームがメインの作品ということもあって、秋山に限らず、誰の心情も読みづらいですよね。
そうなんです。でも、そのなかから作品のキーパーソンの秋山さんと直さんの関係性をどうにかポップに描きたいなと思いました。同時に、どこか寂しそうな彼の背中も描きたいなと。
─感情を読み取るのが難しいとおっしゃっていましたが、Asakuraさんは秋山をどのような人だと解釈しましたか?
めちゃめちゃ暗闇のなかにあるろうそくみたいな感じ。ロウを足してあげればめっちゃ燃え上がるみたいな。そのロウを注いであげるのが直ちゃんで、直ちゃんがロウを足してあげるだけで、優しい炎が盛り上がるような……そんな方なのかなと思いました。
─「どこか寂しそうな彼の背中も描きたい」ともおっしゃっていましたし、本作についてAsakuraさんは「『たりない』は作中に登場する秋山が抱える、心の一番深いところにある“満たされなさ”や“孤独”。それを『たりない』という言葉に込めて制作しました。」というコメントも発表されています。秋山のどういったところから、満たされなさや孤独といったものを感じたのでしょうか?
秋山って、結局ずっと誰かを助けているじゃないですか。誰かが助かって一つ問題が解決しても、また誰かを救うために飛び込む。その姿を見て「満たされているようで満たされていないんだな」と感じました。その満たされなさって、優しさからくるものだとも感じたので、その優しさを哀愁で表現できたらと思いました。
─確かに秋山の原動力は「お金が欲しい」ではないですよね。
そうなんです。

─だから「たりない」というテーマになったんですね。そのほかに「LIAR GAME」ならではのポイントがあれば教えてください。
テレビ尺にはないんですが、2番のAメロ。<散々メニーマネー完済 愛情の女神の到来>の「愛情の女神」は秋山から見た直です。
─それこそ先ほどおっしゃっていた、秋山のろうそくにロウを注いであげる存在として。
そう。直は無自覚ですけど、強いからこそ、いくらでもロウを注いでくれる女神みたいな存在だなと思って入れました。
─トラックはtakachiさんが作られましたが、サウンド面で「LIAR GAME」らしさが入っているなと感じるところはありますか?
takachiの意図とは違うと思うんですけど、途中のいろんな人の声が入ってくるところが、お金がばら撒かれて騒いでいる姿がイメージできて。面白い音の付け方をするなと思いました。
─確かにお金に翻弄されるような雰囲気はありますね。
音も、乾いているけど乾ききっていないようなもので、そこに「お金はあるけど心は乾いている」みたいな情緒が表現されているような気がしました。
─そんなトラックに乗ったボーカルですが、歌う上ではどのようなことを意識しましたか?
感情を入れすぎず、ドライブしていても邪魔にならないような歌い方を心がけました。この曲、実はレコーディングを2回しているんです。1回録ったものの、全然掴めなくて。どういうふうに歌えばいいのかわからないままレコーディングを終えたんですが、ずっと納得いかなかった。だから数ヶ月後にtakachiと2人で「やっぱり違うかな」って話をして、録り直させてもらいました。
─その数ヶ月の間に、どう歌うべきかが見えた瞬間があったんですか?
というよりも、1回目のレコーディングは、takachiが同席できなくて。2回目は、takachiと、さらには編曲をしてくれたSomaさん(Soma Genda)という方が2人で「こう歌ってみたらどう?」とアドバイスをしてくれて掴めたんだと思います。スタッフの皆さんには迷惑をかけましたけど、納得いくものが録れてよかったです。
─それこそ『GLHF』は人間味の歌い方をしている楽曲が多いので、ひさしぶりにカラッとしたボーカルにたどり着くのに時間がかかったのかもしれませんね。
そうかもしれない。「たりない」の制作時期はアルバムとほぼ同時で。アルバムではいろんな歌い方をした分、自分の歌い方がわからなくなってしまって、頭の中がぐちゃぐちゃになっていたのかもしれません。

─最初に「LIAR GAME」のエンディングテーマを手がけると知ったときは「難しそう」と思ったとおっしゃっていましたが、いざ「たりない」が完成してみていかがですか?
まずは「できてよかった」とひと安心しました。あと、曲を乗せたトレイラーをSNSで解禁したときにお客さんが「新しいはずなのに、今までのmuqueを感じる」と言ってくれて。いいとこどりができているのかもと思えたので、リリースが楽しみです。
─アニメのキャラクター・秋山の抱える“満たされなさ”は、Asakuraさんも理解できますか? 例えば、「常に枯渇感があるから前に進める」とかそういう人生観を持っているとか。
それでいうと、自分はネガティブなほうが歌詞が出てきやすい人間で。楽しすぎると、面白くない言葉しか出てこないので、そういう意味では枯渇しているほうがいい歌詞が出てくるのかなと思います。
─そういう職業とはいえ、常に楽しいほうがいいですよね。
はい。でもそういう職業なのでしかたないです。
─ではバンドの状況に対して、今はどのように捉えていますか? はたからみると、それこそ海外ツアーも回っていて、すごく充実しているように見えますが、「もっと上に」という気持ちがあるのか、それとも自分たちの満足いく音楽を突き詰めることが最優先なのか。
今は流行りの移り変わりがものすごく早いので、流されないように飲み込まれないように、常に名前をあげておかないといけないなという気持ちはあります。その心配をなくすためには、もっと前にいって、圧倒的な位置にいないといけないなとも思います。曲に関しては、「数字の出る売れ線のものを作ろうぜ」という話はしているんですが、結局そのときにやりたいことが出てきちゃって。わかりやすく言うと、作る前は「音数が少ないほうが好まれる」とか「結局は四つ打ちだ」とかいう話になるんですけど、海外アーティストの新譜を聴いて「これかっこいい!」って思って、結局自我が出ちゃうという(笑)。だから、やりたいことをやれているんだと思います。
─素敵なことですね。では「たりない」の「無関心をそっと 興味に変えていけ」という歌詞にちなんで、Asakuraさんが最近興味を持っているものを教えてください。
えー、家の間取りを見ること(笑)。今も福岡に住んでいるので、「もし東京に自分の住む場所があったら?」と想像しながら東京の間取りを見るんです。自分は東京の土地勘がまったくないんですが、マネージャーはわかるので「ここからだったらここまで一本で行けるから、いいと思う」とか言ってくれて2人でいつもきゃっきゃしています(笑)。この間も大阪からの帰りの車の中でずっと2人で間取りを見ていました。
─楽しそうですね。間取りで絶対に譲れない条件はありますか?
自分は基本的に家から出ないんです。友達から誘われたらすぐ行くんですけど、自分のためには出ない。だから1部屋で1日中過ごすと息苦しくなりそうなので、2部屋か3部屋欲しいですね。
─ではいつか東京に引っ越した際は、お部屋のこだわりを聞かせてください。
お願いします!
─では最後に、muqueとして下半期の活動の予定を教えてください。
「夏フェスにたくさん出ます! そのほかにもいろいろと楽しみなことを考えていますのでお楽しみに!」
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