EVENT REPORT :

New Neighbors vol.4 @Shibuya TOEI

photography_Kodai Kobayashi, text_Naoya Sanuki

EVENT REPORT :

New Neighbors vol.4 @Shibuya TOEI

photography_Kodai Kobayashi, text_Naoya Sanuki

最後の梅雨が東京を覆った6月23日、Homecomingsとサヌキナオヤが主宰する映画と音楽のイベントNew Neighborsの第4回目が渋谷TOEIにて開催された。
昨年から京都で行われていたイベントの初の東京編ともあってチケットはソールドアウトし、大盛況となったこのイベントをレポートする。

慌ただしくまだ準備中のスタッフの前に開場前から多くの観客が列をなしている。渋谷東映ビルの7階、紫の絨毯と大理石調の館内には、ほんのりとアメリカンな風情が漂っており、このイベントのトーンをより正確に際立てている。ピンクの壁紙がかわいいシアター内に響くのは、メンバーの福富優樹(Gt)が毎回イベントごとに作るミックスCDによるもので、今夜の予感を手助けしていた。

開演前のロビーはグッズを求める観客と、始まるまでの時間をビールとポップコーンで楽しもうとする観客でごった返す。物販にはこのイベントのためのグッズも多く、イベント毎に作られる恒例のZINEはこの日パンフレットの役割を果たしており、イベントの楽しみ方をエスコートしてくれる。(今回のZINEには山崎まどか、しまおまほ、カネコアツシ、シャシャミン、カナイフユキなどが執筆。)

間もなく客電が落ち、あの有名なオープニンクレジットが流れ出す。今回セレクトされた映画「ゴーストワールド」は或るインド映画のサンプリングから始まる。テレビから流れる音楽に合わせて主人公イーニドは部屋で1人踊り狂っている。誰もが経験のある15歳のあの時間、夜中の部屋で1人踊る彼女だけの世界から映画は始まる。「ゴーストワールド」は多くの誰かにとっての特別な青春映画である。

111分の上映後、休憩を経て予告編が流れると、続けて不意にアニメーションが写し出される。この企画を始めるきっかけとなった映画「アメリカン・スリープオーバー」が上映されたvol.1のイラストをアニメーションにした1分間の短編は、イベントの意図が明快に、そして完璧に表現されており、完璧なイントロダクションとなった。そして、その流れでHomecomingsのメンバーが入場してくる。

“アコースティックライブ”としながらも、ステージ上に設置されるアンプやエフェクター、ドラムセット、キーボードなどに期待が高まる。シアター内の余韻を邪魔しないような足取りでライブは始まる。いったんは仕舞い込んだ映画の余韻を再び取り出して、まどろむような時間が与えられる。

印象的だったのはメンバーの前に立てられた4つのライトが暗闇の中からゆっくりと灯っていくこの日の演出。
スクリーン前に佇み、徐々に浮かんでくるバンドのシルエットには、“言葉ではなく理解する”ことの感動があった。それは映画の最高な1シーンを目撃してしまった時と同じ感動だった気がする。

New Neighbors vol.3で上映された映画「SMOKE」に影響を受け制作した新曲、映画「Her」の劇中歌でkaren Oのカバー「The Moon Song」、映画「天才マックスの世界」のオマージュともいうべきその名も「New Neighbors」と、このバンドがいかに映画と一緒に在るかが示されるように丁寧に曲が演奏されていく。

「ANOTHER NEW YEAR」「LEMON SOUNDS」とミドルテンポな曲が続いた後、「ゴーストワールドに出てきそうな子の曲を…」と「HURTS」、そしてその精神的な続編、映画「リズと青い鳥」主題歌の「Songbirds」が演奏される。どこまでも飛んでいくような伸びやかな畳野彩加(Vo)の歌声に、福田穂那美(Ba)と石田成美(Dr)のコーラスにより他のどのバンドも持ちえない鮮やかなレイヤーが加えられ、ステージは徐々に熱を得て1つのクライマックスを迎えた。

MCで福富は盟友Hi,how are you?と、京都にあるギャラリートランスポップへの想いを口にし、アンコールである「PLAY YARD SMPHONY(for New Neighbors)」が演奏された後、スクリーンには映画さながらのエンドロールが流されイベントは締めくくられた。

この日、ステージで畳野は「映画のエンドロールの続きを見ている感じで、楽しんで」と言った。
それはこれからライブを見る客席に向けた、ささやかで素敵なヒントの1つだった。しかし同時にそれは、バスに乗って行ってしまったイーニドに向けたせめてもの言葉であったかもしれないなと思う。とにかく、とても素敵な台詞だった。

映画とHomecomingsの関係を、僕はこれからも見続けていきたい。