韓国新世代アーティストの肖像

Korea’s New Generation -韓国新世代アーティストの肖像-

韓国新世代アーティストの肖像

Korea’s New Generation -韓国新世代アーティストの肖像-

Korea’s New Generation

4 DEAN : 高みを目指し続ける韓国R&Bシーンの王子

DEANは勢いにのる韓国の音楽シーンの中でも、異例の待遇を受けているシンガー・プロデューサーだ。彼は2015年にまずは本国ではなく、アメリカでデビュー。楽曲の緻密な構成とメロウなサウンドに、世界のリスナーを釘付けにさせた。その後本国でもデビューし、一気にトップアーティストの位置まで上り詰めた。しかし彼にとってはまだまだこれからという体で、DEANは話してくれた。

「2015年のデビュー以来、僕の名前も大きくなったと言われていますが、僕自身は満足はしていないです。もっと今より高いステージに上がっていきたいですし、もっといろんな人に会って音楽を吸収していきたいと思っています」。と筆者が高まるDEAN人気について、どう感じているか聞くと、サラッとこんな答えが帰ってきた。元々飽きっぽい性格でありつつも、音楽だけは自然に続けてこれたと話す彼の名前の由来は、若くして夭逝した伝説の俳優ジェームズ・ディーンだ。今も言及され続けるアメリカのポップ・アイコンの名前を名乗る彼は、音楽だけにフォーカスし続けるつもりもないようだ。

DEANは「ミュージックビデオだけじゃなくて、僕が着る服や髪型に至るまでに、アーティストとしての哲学が入るべきだと思っています」。と、自身はトータルなアーティストになりたいと話し、トータルな人物の例としてカニエ・ウェストの名前をあげる。「例えばカニエ・ウェストは彼の発信するファッションや音楽、考え方が大勢の人に広まって、カニエを真似しようとする人も多い。僕自身も誰かの目標になるような存在になっていきたい」。と話すDEANの眼差しは静かだが、燃えるような情熱的な光に満ちている。

そんな彼の2017年の動きといえば、驚かせたのが人気バンド、ジ・インターネットのボーカリストであるシドを迎えたシングル”Love”この曲はこれまでのDEANの楽曲ともまた違う軽やかなグルーヴが展開されている。彼は楽曲制作時には一緒に制作するアーティストによって制作方法を柔軟に変化させているという。「アーティストのイメージを持って作るのは、もちろんあると思うんだけど、HeizeとZicoの違いを言うとするならHeizeの場合は、僕がプロデューサーとしての立ち位置で曲を提供したので、僕がHeizeに服を着させるみたいな感じで考えていきました。Zicoとの曲に関しては彼のプロジェクトではなくて、僕の曲にコラボする形だったから、僕の曲にZicoがどういう風に参加したらいい曲になるかというのを考えて作ったんです。そこが違いますね」。と、その制作の秘密の一部を解き明かす。

DEAN – love ft. Syd

彗星のようにシーンに登場したDEANは今年待望のファーストアルバムをリリース予定だ。自然とアーティストになっていたというこの天才にとってはアルバムなどまだまだ通過点。果たして彼はどんなアーティストに上り詰めていくのだろうか。敬愛するカニエのようにオリジナルなアーティストとしての立ち位置を確立する日も近いのは間違いないだろう。

text_Tetsuro Wada

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