[Interview]平井 大:連続配信から生まれた珠玉のラブソング。
「よりピュアなものが受け入れられる世の中になっている」

photography_Takao Iwasawa, text_Takuya Nakatani

[Interview]平井 大:連続配信から生まれた珠玉のラブソング。
「よりピュアなものが受け入れられる世の中になっている」

photography_Takao Iwasawa, text_Takuya Nakatani

ハートフル&リラクシンな歌声と音色、ロマンチックで切ない歌詞世界で魅了するシンガーソングライター平井 大は、コロナ禍の2020年も自然体だった。「いま自分のしたいことを全力で楽しむ」という思いのもと、今年5月より“2週間に一度のペースで新曲をデジタルシングルとしてリリースする”プロジェクトをスタート。「今年の夏は人生で一度きり。(中略)”2020年の夏は最高の夏だった”と言えるように。さあ、ボクらの夏をはじめよう。」という宣言からスタートしたこの企画は、結果、第14弾の「Starbucks, Me and You」(12/16リリース)まで続き、そのなかから「Stand by me, Stand by you.」「僕が君に出来ること」といった各サブスクやTikTokでも大反響を巻き起こした楽曲も誕生。どんな状況下でもあくまで前を向いて暮らし、音楽を奏で、ノーストレスで過ごせたという2020年を振り返ってもらった。

—コロナ禍における新たなプロジェクトとして、「2週間に一度、新曲をデジタルリリースする」という連続配信をスタートさせました。この形に行き着いたきっかけから聞かせてください。

自分の作りたいときに曲を作って、それをタイムリーにリリースしていくという活動スタイルは、以前からやりたいと思っていたことだった。というのも、アルバムを作ってそれをリリースしてプロモーションしていくという通常の流れが、自分のなかでナチュラルじゃなかった。今年の、社会が変わるタイミングでレコード会社やマネジメントにこの活動スタイルを提案したら、ようやく通った感じですね。

—コロナ禍があったからというよりは、ようやく自分のしたい形ができるようになったと。

そうですね。最初は、春・夏・秋にそれぞれ数曲入りのEPをリリースするといった案もあったのですが、最終的には自分がもっとも思い描く形で実現できました。

—曲のストックもない状態で2週間に一度となると、締切に追われたりしませんでしたか?

僕のなかでは結構余裕のあるスパンでしたね。短いときだと一ヶ月でアルバムを作ったこともありますから。

—そのときもストックのない、ゼロからのスタートで?

はい。僕が、ストックするのが苦手というのはあるかもしれない。みんなマメに書き溜めたりするけれど、それができないというか、ギリギリにならないとやらない(笑)。曲を作るのは好きなのでストレスになることはないけれど、アルバム制作は生活リズムが一番崩される。だから、2週間に一度って、やっている僕としてはストレスなくいけたかな。今年はフェスもツアーも中止になってしまったからここに集中できた、というのもあったかもしれません。

—当初、この連続リリースは「夏の太陽が弱まる頃まで」としていましたが、フタを開けてみると12月まで続きました。

僕は自己中だからあまり決めきらずに、曲作るのが飽きたらやめようと思っていた。でも意外と飽きずに続けられた。三日坊主なので大体のことはすぐやめちゃうけど、楽器を触ったり曲を作ったりするのは好きなことなんだなと改めて感じましたね。

—コロナ禍もあって、デモ制作からレコーディングまで最小人数で作られたそうですが、普段とは違った制作体制のなかで、なにか気づきはありましたか?

余計なステップを踏まなくて済むので、無駄を省けたのはすごくよかったですね。最初のベースを自宅で作ったら、それをスタジオに持っていって、(トータルプロデュースを手がける)EIGOさんやエンジニアさんとは十年来の仲なので阿吽の呼吸でバーッと作って、それをすぐにリリースする。感覚としてはSNSに近いですよね。いい写真が撮れたからインスタグラムに載せようみたいな感覚で、いい曲できたから配信しようという。

—よりピュアな状態でリリースできるということですね。

すごくダイレクトですよね。ファンとの距離も、ライブで直接顔を見て演奏できない分、インターネットというものを使って縮めることができたのかなと思います。

—第4弾リリースの「僕が君に出来ること」、第8弾リリースの「Stand by me, Stand by you.」の二曲はティーンエイジャーを中心にTikTokでも大反響でした。この広がりはどう感じていますか?

すごく嬉しいですよね、やっぱり。よりピュアなものが受け入れられる世の中になっていると思う。MVやプロモーションに大きな予算をかけたとしても、そうやって無理矢理押しつけられるものやオーバープロモーションなものって、いまの世の中にあまりフィットしないんだなという。いいものはいいものとして受け入れられて、いくらがんばって無理矢理聴かせても、よくないものは聴かれない。だからすごく才能のある若手がいい曲を作ればちゃんとみんなに届けられる。より音楽があるべき姿になっていっているんじゃないかなと感じています。

—いい曲を作れば一気にチャンスが広がる世の中にはなりましたよね。

よりシンプルですよね。インターネットで複雑になっているように感じるかもしれないけれど、お偉いさんに気に入られないとリリースできないとか、大きい事務所にいないと売れないとかじゃない。もっと自由に自分の表現したいものを表現して、それが世の中にフィットすればちゃんとチャンスは巡ってくるというのはいい傾向かなと思いますね。

—今回の連続リリースを振り返ってみて、ご自身のなかでキーとなった曲はどれでしたか?

これ一曲というように決めるのは難しいですけど、一曲目の「Life goes on」は、今回の一連の流れのなかでもテーマとしてきたことで。どんなことがあっても人生は続くし、ポジティブなこともあればネガティブなこともあって、それが人生。そういったメッセージは全体にも通じるので、「Life goes on」にすべてが行き着くような気はしますね。

あと、「Stand by me, Stand by you.」に関して言えば、じつは作る期間がすごく短かった。本来は「Holiday」をリリースする予定だったところ、この曲がタイアップに決まったので、急遽違う曲を作らなくてはいけなくなって。リリースまで4、5日の猶予しかなかったから、スタッフにそのことを聞いたあと、家に帰ってきてギターを持って20分くらいでベースを作って、すぐにスタジオに入ってレコーディングした感じです。時間がなかった分、へんに考えることもできないから、自分のピュアなところが曲にそのまま反映された。自分がいま表現したいものが結局、皆さんによく聴かれたというのは、自信にもつながるし、いい気づきだったかなと思います。

—ジャケットのイラストもご自身で描かれています。シンプルな線で、曲世界を連想させるようなイラストですよね。

学生の頃から教科書に落書きするのが好きだったので、その延長線上にあるかな。だから授業中の落書きはやめないほうがいいですね、いつ役立つかわからないから(笑)。

—ご自身が手掛けるアパレルコレクション「L.W.N. collection」でも同様のイラストが使われています。今年はとくに、洋服以外にもルームシューズやマーケットバッグ、バスソルトといったアイテムも展開されていました。

音楽もそうですけど、基本的に生活にフィットするもの、皆さんの日常に寄り添えるものをリリースしていきたいという思いがある。あとは新しい部分でいうとサステナブルを意識したもの。結局、僕らも地球の一部だから、環境にも僕らにも優しいものを作っていきたいなと思いますね。

—2020年という一年を振り返って、どうでしたか?

世の中が変わっていったなかで、ポジティブな面もあればネガティブな面もある。そういう両面って常にあると思うんですよね。ただそのなかで、個人個人がどれだけ幸せを感じられるかが大事。自粛中に犬の散歩に行ったとき、平日の昼から公園でお父さんと子供が遊んでいるのを見て、すごくいい景色だなと感じたし、そういったふうに僕らの生活の根底にあるものって大切だよねということに気づけた人も多いと思う。僕も音楽を通じて、音楽に生かされているということを感じた一年になりました。

—外出自粛もあって人に会えないからこそ、近しい間柄がより近づいた一年でしたよね。

あまり人間関係を広げても必要になってくるのは大体5、6人ですからね。そこだけで完結できる深い人間関係というか、広く浅くというよりは狭く深くやったほうが最終的には幸せなんだと思う。僕の電話帳、ワンスクロールで終わりますからね(笑)。人付き合いが苦手なんでしょうね。それよりもいつもそばにいてくれる大切な人を大切にしたいなという思いがあります。

—緊急事態宣言の最中は、どういった日々を送っていましたか?

すごく幸せでしたね。家にいると褒められるっていい世の中だなと。僕の好きなものって大体、家で完結している。大好きな犬もいて、猫二匹もいて、愛するパートナーもいて、おいしいコーヒーもあるし、庭で肉も焼けるし、曲も作れるし、何も困ることない。みんな何にストレス溜めているんだろうって。忙しい忙しいって文句言っていたのに、休めるタイミングになったらなんでまた文句言っているんだろうって感じですよね。自分の苦手だったものが削ぎ落とされて、スマートで充実した一年でした。

—最後に、2021年に向けて抱負を聞かせてください。

まったくないんですよね。人生の目標で言えば、歳を取っても音楽に触れ合っていたいとかはあるんですけど、来年どうしよう、といったことはあまり考えない。いまを生きるというか、いま目の前にあるものに対して全力を注ぐことによって未来も拓けていくだろうから。その時々に自分が楽しいと思えることを自由に楽しむことによって新しい人生が拓けていく。そのなかで、みんなと一緒にシェアできる楽しいことができたらいいなとは思います。

—ちなみに年末年始はどう過ごす予定ですか?

ぼーっとしようかなと。音楽かけたり、映画観たり、肉焼いたり。基本的にデカいバーベキューセットでデカいかたまり肉を焼くんですけど、最近は七輪も買ったので、小さい肉も上品に焼いたりしています(笑)。七輪は七輪でいいですね。そうやって、ゆっくりできるときはゆっくり過ごしたいなと思っています。

INFORMATION

平井 大

12月16日(水)よりシリーズ第14弾のスターバックス初のコラボレーションソング「Starbucks, Me and You」が配信中。
12月25日(金)までの期間、全国のスターバックス店舗(一部店舗を除く)の店内BGMに!

「Starbucks, Me and You」 各配信サービス
https://DaiHirai.lnk.to/starbucksmeandyou

「平井 大 Songs」各配信サービス
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