MUSIC 2021.02.15

Interview: KEIJU&Neetz 現代に対するKANDYTOWNのスタンスを示す”LOCAL SERVICE 2”

EYESCREAM編集部
EYESCREAM編集部
Photograph - Houmi Sakata, Edit&Text - Ryo Tajima(DMRT)

KANDYTOWNが2月14日に配信リリースする『LOCAL SERVICE 2」。本作は2019年2月14日にリリースされた「LOCAL SERVICE」の続編とも捉えられる作品だ。収録曲のうち3曲、「Dripsoul」、「Faithful」、「One More Dance」は2020年のステイホーム期間中に制作されてYouTubeにUPされていたものが原型となる。コロナ時代におけるKANDYTOWNの姿勢を示したかのような作品について。KEIJUと本作のミキシングを担当し、収録曲6曲中5曲をサウンドプロデュースしたNeetzをインタビュー。

KEIJU_Artist Photo

Neetz_Artist Photo

STAY HOME期間中、止めずに続けた音楽制作

ー『LOCAL SERVICE 2』が2月14日に配信リリース。前作『LOCAL SERVICE』も2019年、同日にリリースされましたが、この日はYUSHIさんの命日でもあります。2月14日にリリースすることの意味について教えてください。

Neetz:『LOCAL SERVICE 2』に関しては、もっと早い段階でリリースしようと考えていたんです。コロナ禍を受けて緊急事態宣言が出された後、すぐに動いて、”STAY HOME EDITION”をYouTubeで公開して。その流れで新曲もできたからパッケージしてリリースしよう、というシンプルな流れだったんです。

KEIJU:今作(『LOCAL SERVICE 2』)に関してはそうだね。そもそも2月14日だから何かしなくてはいけないという気持ちがあるわけではないんですけど、自分たちが活動を続けている大きなきっかけとなった日が2月14日なので。前作「LOCAL SERVICE」を、この日にリリースしたこと自体も自分たちにとってすんなり決まった流れがあるんです。普段であれば、発表の時期に関しては色々と意見が分かれたりするんですけどね。今作の場合、制作していた春頃には「STAY HOME EDITION」という仮タイトルが自分たちの中にあったんです。それで作品を早々に発表し、2月14日にリリースパーティを地元のどこかでやろうかって話をしていたんですよ。2020年の春頃は、来年になればコロナも落ち着いているだろうと世間的にも思われていたので。

ー昨年の春から考えても、コロナ禍の状況がこんなに長く続くとは誰も想像できませんでした。現在もYouTubeにUPされている”STAY HOME EDITION”は『LOCAL SERVICE 2』の原型ともいえる作品ですが、制作していた当時の話を教えてください。

KEIJU:その前段の話になるんですが、一昨年辺りからKANDYTOWNのスタジオやオフィスを持とうって話をざっくりとしていたんです。その流れで2020年の3月頃、いよいよ緊急事態宣言が発令される間近に物件を借りて、メンバーが徐々に集まりだしたくらいのタイミングで本格的に移動や人との接触が制限されるようになっちゃったんですよ。その頃にIOがHolly Qと一緒にスタジオに置く家具を見にいって、その帰りにスタジオで制作した曲が「One More Dance」なんです。その頃からKANDYTOWNとしても「こんな制作をスタジオで始めているから、来れる人から集まって曲を作っていこう」って連絡を取り合うようになっていきましたね。

Neetz:とにかく制作しようっていうのが自分たちの中にあったんです。当時、2ヶ月ほどかけてに”STAY HOME EDITION”の3曲をレコーディングして一気に制作を進めていきました。

ーそこから『LOCAL SERVICE 2』へ向けて。実際の制作期間はどのような感じだったんですか?

Neetz:大体3〜5月くらいにレコーディングして、6〜9月にトラックの差し替えとミキシング、マスタリングを行いました。”STAY HOME EDITION”として発表した3曲(「Dripsoul」、「Faithful」、「One More Dance」)はType Beatなんで、そこから自分のトラックに置き換えたりする編集作業に3ヶ月ほどかかった流れですね。

ー3ヶ月間というのはKANDYTOWNとしては長い方なんですか?

KEIJU:自分としては時間をかけた印象がありますね。すごいスピード感で曲はできていたし、ラップしている側としては、何なら明日にでも発表したいという気持ちでいただろうし、自分的にもそういう作品だと思っていたんですよ。だけど、Neetzがトラックを自分で作って作品全体のクオリティをコントロールしたいって提案してきたので、一旦、Neetzに作業を任せて。

Neetz:で、そこから沼にハマってしまったんですよ。みんなには申し訳ないと思いつつ、時間をかけざるを得なかったというか。というのも、KANDYTOWNとして新しくスタジオを構えたわけなので、機材を揃えてミキシングする環境を整えるのにも時間がかかってしまって。そもそも自分でミキシングするのも久しぶりのことだったので悩む部分も多かったんです。普段、アルバムでお願いしているエンジニアさんのクオリティにも負けたくないし、とにかく音をカッコよくすることに専念して、専念した結果、沼にハマっていったという。そこで悩んでいるときにアレンジャーを入れたらいいんじゃないかという話になり、Yaffleに「One More Dance」のアレンジャーとして入ってもらったんです。

ーYaffleさんとはどんなセッションを?

Neetz:「何が足りないんだろう」って相談をしながら、ストリングスのアレンジを提案してもらったり、フックの後に、さらにくるような展開を一緒に考えていきました。Yaffleが「One More Dance」に対して様々なアレンジを入れたヴァージョンを送ってくれて、たくさんの要素が詰め込まれた状態から引き算してミニマムな形になっていったんです。

KEIJU:時間はかかったけど、結果的によかったよね。ビートも綺麗になったし作品として整ったから。

Neetz:そうだね。

今だからこそ変わらないスタンスで音楽を届け続ける

ー『LOCAL SERVICE 2』は、これまでのKANDYTOWNと比べてもメロディックな印象が強い楽曲が多く収録されていると感じましたが、ここは意識された部分ですか?

KEIJU:原型になっているビートがType Beatだから、というのも大きいでしょうね。普段のKANDYTOWNとはちょっと違う入りになるから自然と新たな音楽表現になっていくし、そこにNeetzの色をうまく融合させるのが難しかったんだと思います。Neetzのビートは特殊で、聴けばすぐにわかるんですよ。でも、今作はNeetz一色ではないというのが、自分たちの音楽に詳しい人であればわかると思います。そんな部分も楽しんでもらえれば。

Neetz:そういった意味で、個人的にはこれまでのKANDYTOWNとは異なる新たなチャレンジができた作品だと思っています。トラックを差し替える件についてもメンバーが了承してくれたのは、自由にやっていいというメッセージとして受け取りましたからね。トラックの制作にしっかり時間をかけることで、最終的には自分独自の色を出しつつ、KEIJUが言うようにこれまでと少し風合いの異なるビートを表現できました。

ーステイホーム期間中にアイディアが生まれ、最終的に『LOCAL SERVICE 2』にまとまっていった本作ですが、作品としてはどのようなメッセージが込められていると考えられますか?

KEIJU:KANDYTOWNがもともと持っている性質なんですが、音を通じて感じてほしいというスタンスがありますし、自分たちの行動を見てどう思うかっていうこと自体がメッセージなので、受け取り方はその人次第ですね。その前提のうえで言うのであれば、オレ個人としては、この1年間、メンバーみんなの動きを見ていて思ったことがあるんです。

ーそれはどんなことですか?

KEIJU:YUSHIのリリックに「何か残せなきゃ死ねないだろ」って一節があるんですが、それをみんなからすごく感じて。明日が見えないって状況になったときに、みんなで集まって何かを作って残していこうって姿勢が自分たちにありました。それってオレたちにとっては、いつも通りのやり方であって、世界がどんな状況であっても、普段と変わらないことを大事にする。このコロナ禍においても制作を続ける。パンデミックに端を発する様々な問題が世界中に噴出しましたが、その時代においても自分たちの変わらないやり方でやろうっていうのが、オレらの意思表示でもあるんです。そういう自分たちの生き様を見てもらえたら。

ーでは最後に。今もコロナ禍にとって音楽業界は苦境に立たされています。ライブやパーティもこれまで通りに開催できない現状があり、自由に音楽を楽しめない現状があると思いますがアーティストとしてどんなことを思いますか?

KEIJU:アーティストとして人前に立つ以上、特に自分たちの場合は若い子が見てくれているわけだから、彼らを良い方向へ導けるような行動を取りたいと考えていますね。これは今までとスタンスは変わらないことで、その軸がブレないようにやっていこうと思っています。

Neetz:やっぱり自分の生活を送りながら、ひたすら制作して作品を発表して、ということを集中してやっていくと思います。これまでと変わらないことですが、それこそがオレたちのやるべきことなので。

KEIJU:それが1番だよね。いつの日かわからないですけど、コロナなんて忘れられていく日々が必ず来るわけじゃないですか。だから今こそ変わらずやり続けていくことが本当に大事だと思っていて。やっぱり音楽にのっけて届けるということ。そのために音楽を止まらず作り続けていきますし、こういう形で、応援してくれる人たちをサポートできたら、と考えています。

KANDYTOWN_Artsist Photo

INFORMATION

KANDYTOWN

2nd EP
『LOCAL SERVICE 2』
2月14日配信リリース

限定生産2EP CD
『LOCAL SERVICE COMPLETE EDITION』
2019年2月14日発売の1st EP『LOCAL SERVICE」と2021年2月14日発売の2nd EP『LOCAL SERVICE 2」の両作品を2000枚限定で初CD化した2枚組
4月21日 リリース

https://wmg.jp/kandytown/
https://twitter.com/kandytownlife
https://www.instagram.com/kandytownlife/
https://youtu.be/MfKYBFHFR34

POPULAR