FUTURE FOUNDATIONは、Crystal Lake、NOISEMAKER、SHADOWSの3バンドからなるプロジェクトであり、2020年6月にシングル「DAWN」を突如リリースした。超強力ラウドバンドの面々が一挙に集っていることもあり、シーンの話題を大いに集めている。そんなFUTURE FOUNDATIONが6月3、4日に東京、12、13日に大阪で2度目となるポップアップストア”FUTURE FOUNDATION TRINITY POP UP TOUR”を行うことに。特に本プロジェクトではファッション的な面から見ても、独特の統一感があり、このポップアップで展開されるアイテムもチェックしておきたいところだ。また、ポップアップストア開催の前日、6月2日には1st EP『TRINITY』がリリースされるということもあって、FUTURE FOUNDATION周辺は今、熱気を帯びている。この記事では、YD(Crystal Lake, Gt)、AG(NOISEMAKER, Vo)、Kazuki(SHADOWS, Gt)の3人をインタビュー。FUTURE FOUNDATIONの成り立ちから、新譜とポップアップストア、各々のファッション的なルーツについて、自由に話し合ってもらった。
L to R_Kazuki(SHADOWS, Gt)、AG(NOISEMAKER, Vo)、YD(Crystal Lake, Gt)
1日で1曲 そのスピード感がないとまとまらないんじゃないかな
ー来る6月3、4日にFUTURE FOUNDATIONのポップアップストアが開催されるわけですが、改めてFUTURE FOUNDATIONはどんなバンドなのか教えてください。公開されている情報としてはCrystal Lake、NOISEMAKER、SHADOWSの3バンドによる集団で、そのきっかけはライブハウスを救済すべく動き出したとありますが……。
Kazuki: 去年、コロナ禍を受けてライブができなくなり『まずはライブハウスを助けなくちゃ』って考え方に……まぁ、あの頃(2020年4、5月頃)は世のバンドマンであれば1回は考えたであろうことを念頭において、チャリティやドネーション的な活動も視野に入れてやろうって話で始まったんだよね。バンド発信ではなく、KTR(JMSの鈴木健太郎、FUTURE FOUNDATIONの発起人)が世話になってきたハコだったりを対象にして。
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ーそれで2020年6月に「DAWN」がリリースされて。
YD: うん。当時思ったのは、SHADOWSやNOISEMAKERがいるんであれば、NOって言う理由もないし。何か面白いことがやれそうだなって感覚だったかな。何か明確なアイディアがあったわけじゃないんだけど、いざ始まってみたら、すごく良い感じで制作が進んでさ。AGが「こういうメロディはどうですか?」、Kazukiさんが「こんなギターリフどう?」って。それを、みんなで「いいね〜!」なんて言い合いながら作っていった感じ。本当にバンドが始まったときの、あの高揚感があって、じゃあEP作ろうかって話になりって流れで今に至るんだよね。
Kazuki: あの頃、不謹慎かもしれないけど、「やべえ、3バンド集まったら久々に飲めるな」だとか(笑)。本当にそういうノリだったよね。で、スタジオに行ったら、実際に良い曲ができて。
YD: 「こうでなくてはいけない」っていう固定概念みたいなものもないし、本当に適当にこんな感じってギター弾いて録音してって形で直感で曲を作っていきましたよね。
AG: 本当にノリで作ってましたよね。
YD: うん、衝動で。
Kazuki: オレね、ぶっちゃけ最初は無理なんじゃない? って思ってたのよ。
AG: (制作でスタジオに入る期間が)1日ですもんね。できないだろうってオレも思ってましたよ。
Kazuki: ね。「1曲1日で作ってみようかー」って言って「できちゃった、いいじゃん、いいじゃん」ってね(笑)。そっから楽しくなっちゃったよね。
YD: そうですね。実際にどうなるかわかんなかったですよね。まず集まって1曲できて、もっとできんじゃない? って気持ちになれたかな。
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ーすごいな……。っていうか、Crystal Lake、NOISEMAKER、SHADOWS、各バンドともノープランで始まって1日で1曲できたりするもんですか?
一同: いや、絶対にできない。
AG: 3バンドともメンバーがお互いを信用して、この人がそういうならいいじゃんって。その気持ちがあるからいいんでしょうね。
Kazuki: だね。変にプレッシャーもないし、今まで積み重ねてきたものがあるわけでもないしね。各々、バックグランドがあるバンドをやってきているんだけど、FUTURE FOUNDATIONに関してはないわけで。本当に初期衝動のままにできたものがすごくいい。その瞬間にまとまっちゃうっていうか。もっと突き詰めよう、もっとできるって悩むことは今のところないよね。
AG: FUTURE FOUNDATIONの曲については、誰かの反応や期待を気にせずに制作できますからね。
YD: そう、別に誰に何を言われてもいいっしょって。最近はFUTURE FOUNDATIONの新曲を作っていて、そのマインドを自分の中にもらってるんだよね。ここまできたら、誰かに何か言われることを気にするんじゃなくて、やりたいことをやればいいのかなって。そういう気持ちになれてるんだよね。
ー自分のバンドに持って帰るものがあるという。
YD: うん。そうやって適当にメロディを口ずさんだり、ギターでリフを作ってると自然とルーツもでるしね。自分が体得してきた音楽経験が表れていると思う。だからOKなんだよね。それが衝動的にマッシュアップされてミックスされて、まとまっていってるんじゃないかな。何曲かできたときも「もっと早いテンポの曲欲しくない?」とか言い合いながら。そういう極々自然発生的な制作をやってるんだよね。
ー歌詞やボーカルのパートに関してはどうなんですか?
AG: ある程度、曲の輪郭が見えてきたらボーカル3人で集まって、自分の言いたいことをバーッとメモを取り合って、仮デモを録って意見交換し合う感じですね。譜割は予め決めておいて何をメッセージとして発信したいのかを話し合いながら作っていっています。でも、そんなに考え込むことはないかな……。曲の制作陣と同様、バーっと勢いを重視して進めちゃうスタイルです
ー制作に関してはスピード感を重視をしているところもある?
Kazuki: スピード感がなかったら、逆にまとまらなくなると思う。今のところは1度もないし、その場で完結してるから何とも言えないけど、何となくそんな気がする。
一同: 確かに!
Kazuki: それにパラーっとギター弾いてても、誰かしらが良い部分を見つけて拾ってくれる。「ここ、いいですね。続きやりましょう、試しに録ってみない?」とか。そういうバイブスもいいのかもしんない。
ーみんな、それでやれちゃうし。
Kazuki: うん。そんな風に常に遊んでる流れから自然に広がっていってるのが大きいんだろうね。
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※1st EP 『TRINITY』 ARTWORK
ーなるほどなぁ。新曲の話も出てきていますが、1st EP『TRINITY』が6月2日にリリース。「DAWN」以外の新曲が3曲収録されていますが、その楽曲群はいつ頃制作したんですか?
YD: 昨年から3月にかけてって感じかな? ちゃんとは覚えてないけど、2日やったり、1日やったり。とにかく最近出来上がった曲ではあるかな。
Kazuki: そんな感じじゃない? トータルで4、5日くらい。
AG: この新曲3曲もソリッドなタイム感で制作したって感じですね。
ーちなみに、このEPはFUTURE FOUNDATIONのライブに向けての作品と考えてもいいものですか?
YD: ーというよりも、ダイレクトにライブの話じゃなく「もうちょいやってみよう、何かできるんじゃない?」って話をみんなでしながら(制作に)挑んだかな。もちろん、その先に、コロナ禍が明けて自分たちの満足できるスタイルでライブできるような状況になれば、ツアーなりライブもやりたいって話も出てるし、きっとみんなもそう思ってるんじゃないかな。ま、でもアレだな。ちょっとコピりなおさないとライブで弾けないかも。すぐに忘れちゃうから。
Kazuki: 適当に弾いてるのが曲として成立しちゃってるからね。
YD: 「はい! 録っちゃって! ギター! ハモリいれて! OK、もうよくないすか!?」とかスタジオで言い合ってますからね。
Kazuki: 自分が何弾いてたのか覚えてないっていう。
一同: 笑
※FUTURE FOUNDATION – ARTIST PHOTO
FUTURE FOUNDATIONのファンと会える初のイベント
ーあれだけしっかりとした楽曲を、そのノリで作れるっていうのが強者過ぎる。『TRINITY』リリースの直後に、2nd ポップアップ開催となるわけですね。
Kazuki: そうね。FUTURE FOUNDATIONのメンバーとして出ていくのは初めてのイベントになる。
ーどんなイベントだと捉えていますか?
AG: ポップアップストアはファンとコミュニケーションを現場で取れるので好きなんですよね。SNSとかではなく、リアルな場所で来てくれる人の本当の声を聞けるっていうのはすごくいいと思う。
Kazuki: そうだね。まだ対面してないもんね、FUTURE FOUNDATIONのファンとは。
YD: ああ、確かに!
AG: ですよ。そうしたときに、オレらももらえるものがあるし、気持ち的に。それがすごく楽しみですね。
Kazuki: あとは活動資金の調達だね。
一同: 笑
ーザ・直球。ストレートっすね。
AG: ま、そうっすね(笑)。オレらにベット(BET)してほしい感覚ではあります。
YD: 自分たちもそうするように、好きなバンドのマーチを買って着たりするのと同様、FUTURE FOUNDATIONのことが好きな人はチェックして欲しいね。このプロジェクトはメンバーとそれ以外って明確に線引きがあるわけじゃなくて、デザインを担当している人や企画してくれている人、全員でFUTURE FOUNDATIONですよねって感覚でいるからさ。ポップアップに遊びに来て何かを買ってくれるって行為はライブを観て拍手を送ってくれる行動と一緒。カッコいいと思った人はどうぞって感じだよね。
Kazuki: うん。それがオレらの作品の一部になっていくわけだから。
ー展開されるプロダクトはストリートブランド然としたデザインが目を惹きますね。デザインはメンバーの意向によるものなんですか?
YD: いや、FUTURE FOUNDATIONに関わってる人が、オレらがスタジオとかで話してることをすくい上げて形にしてくれている感じなのかな?
Kazuki: うん、そうだね。
AG: レコーディングと一緒ですね、そう考えると。ストリートっぽいデザインっていうのもFUTURE FOUNDATIONの音楽性に合ってるんじゃないかと。
ファッションのルーツは音楽と仲間たち
ーこういった部分には、皆さんのファッションやアートなどのルーツが自然と表れると思うんですよね。その辺りも教えてもらえますか?
Kazuki: オレはスケート、サーフィン、横乗り系。プラス、アメカジに古着。ファッションで言ったら、その辺だよ。海の近くで生まれ育ったから、自然とそのカルチャーが根底にあったんだよね。メロディックパンクといった音楽も、自分が中学生くらいのとき、サーフィンやスケートのビデオに使われていたしね。あとはもちろん、好きなバンドマンの格好を見たりだとか。基本はそこ。
AG: オレはストリートで生まれるカルチャーやアートがルーツですよ。昔はコットンマウス・キングス(Kottonmouth Kings)にも憧れている時期があって……。
YD: 今日の帽子もその影響?
AG: いや(笑)。これはもう違いますけど。10代の頃はディッキーズのハーフパンツにロングソックスでバイトに行ったりしていましたよ。年齢を重ねると好きなものも変わって、ブランドに関わらず好きなものだけをチョイスするような感じになりましたけど。
Kazuki: そうなんだよねぇ。オレ、意外とさ。このまんまの格好で小学校からきちゃってるんだよね。
YD: あはは! ちっちゃいKazukiさんから?
Kazuki: サイズだけ上がったみたいな。なんだろうね、止まっちゃってんだな。
YD: いいじゃないですか(笑)。小一で小六にタイマンはらされたときもオーバーオール着てたっすか?
Kazuki: あのときは、ぎりミキハウス(MIKI HOUSE)だな。あとはべべ(BeBe)。
AG: いや、えっ、小一で六年に?? 勝てないでしょ?
Kazuki: いや、勝てんだよ。気合い入れていけば。根性次第よ。
一同: 笑
ーYDさんのファッション的なルーツは?
YD: オレはレコードの中ジャケとか。音楽系のファンジン、雑誌だよね。まぁ、若い頃はみんなそこが入り口じゃない?
Kazuki: 雑誌、忘れてた。オレもそこからファッションの情報得てたよ。warp(ワープマガジン)とか。
AG: オレもOllie(オーリーマガジン)を見てましたよ。『いつかは表紙に……』って思ってました(笑)。地元のバンドマンの憧れでしたもん。
ー時代を作ったストリートファッション誌群ですね。私も10代の頃読んでました。
YD: そうそう。DOLL(ドールマガジン)もそうだし。若い頃はリアルパンクスみたいな格好ができなかったけど。
ーパンクスのスタイルには注目してたんですか?
YD: うん。でも、やっと革×鋲ジャンデビューしたんだよ、今年。やっといけるようになったっていうか、自分の偏差値が追いついたっていうか。ファッションとマインドのバランスがやっと取れはじめて。
Kazuki: わかる。オレもすごい憧れはあってさ。一時、マーチンを履いたりっていうのはあったんだけど、結局ブーツじゃスケボーできねぇなって。
YD: あー、なるほど。
Kazuki: だから、タイマンはるときはブーツ履いてっていう……。
一同: 爆
Kazuki: そういう実用的なものになってきちゃって。
YD: 生きるためのね(笑)。
Kazuki: 今だに鋲ジャンとか憧れるな。
YD: オレの場合は厳格なパンクスのスタイルっていうよりは、もう少しファッション性を持たせたヤツですけどね。そこに自分の好きなエッセンスを入れるっていうか。FUTURE FOUNDATIONの話じゃないけど、大人になったからゆるくなった部分もあるのかもしれない。昔はこうじゃなくちゃいけないって考えがファッションにもあったから。超厳格な生き方をしていたし、ニュースクールハードコアをやってたときも、それ以外は知らねぇよって考えだったし。
Kazuki: 本当にそうだよね。オレもそう。
YD: 最初は、そんな風に雑誌とかのメディアから影響を受けてきたし、ライブハウスに通うようになってからは、そこにいるカッコいい人や街中にいる人に影響を受けてきたし。AG(エージー、2000年代を代表するストリートブランドの1つ)のショップに徹夜する勢いで並んだりもしてきたんだ。でも、今では巡りめぐってTERUさん(元AG、現SÏVAのデザイナー)と飲みにいく機会があったりとかしてさ。なんか好きでいることって、いつか巡り合わせがあって人は繋がるなって思うっすね。だからルーツはそこかも。音楽と周りの人、仲間たち。
Kazuki: 間違いない。あと、オレはヒゲが生えちゃうから、それもルーツに影響してるかも。
AG: ヒゲに似合うスタイルってことですか?
Kazuki: 合うっていうか、これにヒゲ生えてたらちょっとヤバいなっていう。
一同: 笑
Kazuki: うん、それは確かにあったな。着たいんだけど『あれ……だめだ……ヒゲいらねぇ』って。でも生えちゃうし。
YD: あっははは!! 例えば、何が着れないってなったんですか?
Kazuki: さっきYDが言った革ジャンもそうよね。
YD: え、合いそうじゃないすか?
Kazuki: いや、ヒゲでやっちゃうとバイカーとかさ。そっちのスタイルになっちゃうのよ。オレ、バイク乗ってないからさ。そこにギャップがあるわけ。
ーリアルでない、と。
Kazuki: そう。あとはB系もそうだよね。ダボっとした格好にヒゲ生えてると、ちょっと猛者っぽいって。
一同: 笑
Kazuki: だから、何回かヒゲには邪魔されてる。
ーヒゲに合うか、合わないか。自分も痛いほどわかります。最後にFUTURE FOUNDATIONの今後について、ひと言教えていただけますか?
YD: 今はライブをやろうってマインドで進み始めたところ。そのためには曲がもっと必要だし、作らなくちゃねって感じかな。詳細はまだ言えないけど、こう書いといたらまとまりやすいでしょ。
ーめっちゃまとまる。ありがとうございます(笑)。
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