Interview:「MAKE A BOOM #1」の開催を前に
-キタニタツヤ、Dios、TOOBOE-

Photography_Yuta Kato
Text_Chinami Hachisuka
Edit_Kazuhiko Yokoyama

Interview:「MAKE A BOOM #1」の開催を前に
-キタニタツヤ、Dios、TOOBOE-

Photography_Yuta Kato
Text_Chinami Hachisuka
Edit_Kazuhiko Yokoyama

近年、ストリーミングサービス、SNS、YouTubeなど、スマートフォンから音楽のブームが起きている。そんなブームを巻き起こしているアーティストの楽曲を厳選した「BOOM BOOM BOOM」プレイリストを発信しているプロジェクトのリアルイベント『MAKE A BOOM #1 -multicolor-』が11月9日(水)にSHIBUYA WWW Xにて開催される。
今回、音楽ストリーミングサービスを中心に若者から絶大な支持を集めるキタニタツヤDiosTOOBOEの3組が出演。公演チケットは即完しているが、当日はYouTubeにて生配信を実施する。

本公演の開催に先駆け、3組からイベントに向けての意気込みを聞いた。

たなか(Dios):Diosはあと2人メンバーがいるんですけど、今日は代表して僕が来ました。

キタニタツヤ(以下、キタニ):あの2人ってあんまり喋らなさそうなイメージがあるけど……

たなか:ホント? めっちゃ喋るよ? ササマリ(ササノマリイ/Key)はちょっと緊張しいだけど、喋り出したら止まらなくて。Ichika(Ichika Nito/Gt)はゴリゴリの関西人だから超喋るし、本人は標準語を話してるつもりでも関西弁が結構出ちゃってる(笑)。

キタニ:そうなんだ! かわいい(笑)。

――キタニさんとたなかさんは面識があるけど、johnさんはお二人とは初対面なんですよね。

john(TOOBOE):はい。お二方のことはずっと気になってました。Diosの曲はもちろん聴いてたし、キタニさんはボカロP出身で活躍されてる先輩ということでリスペクトしてます。

キタニ:ありがとうございます。僕ももちろんjohnさんの音楽は聴いてるんですけど、音一つひとつから、通ってきた音楽が近そうだなと思ってました。ビジュアルの見せ方もめっちゃいい。「春嵐」(ボカロP・john名義で2019年に発表した曲)のMVのイラストってご自身で描いたんですか?

john:そうですね。

キタニ:絵もカッコいいし、グラフィックのセンスもありますよね。

たなか:確かに。僕も何かの広告でjohnさんのMVに遭遇した時、「うわ、またじゃん!」「トータルの戦闘力が高すぎるよ~!」って思いました。

キタニ:「なんでこんなにクオリティ高いのを出す?」って思うよね。僕の世代は同人音楽なんてグラフィックがダサくて当たり前だったんですよ。オタク的文脈の絵にダサいフォントがドーンみたいな。だけど今のボカロPは不器用じゃないんだなって(笑)。

john:あははは。映像のソフトもどんどん進化して、簡単に作れるようになってきてますからね。

――この3人にはインターネット出身のミュージシャンだという共通点がありますね。

キタニ:たなかは前に、俺のTwitterを見て「あ、この人はこういう人種か」と思ったって言ってたよね?

たなか:そうそう。インターネットオタクのノリというか。

john:僕はSNSあんまりやっていなくて。

キタニ:TOOBOEのスタッフアカウントしかフォローしてないですからね。

john:そういうルールにしちゃったけど、めっちゃ後悔してるんです。友達作りづらいから。ああ、ネタツイとかしたいなあ……!

たなか:あはははは!

キタニ:サブ垢作りましょう! 僕、TOOBOEというプロジェクトに関しては、「johnさんはボカロ出身なのにちゃんと顔出して歌ってて偉いな」と思ってます。前髪で顔を隠したりしてないじゃないですか。

たなか:それはそういう方々へのディスですか?(笑)

キタニ:いや、ディスではない(笑)。TOOBOEのライブ映像を観た時、俺は「あ、ちゃんとシンガーだ」と思って、そこにシンパシーを感じたんですよ。

john:ありがとうございます。はっきり顔出ししていれば、活動の自由度も上がるじゃないですか。テレビにも出られるし。あとは、逆張り精神もあります。ボカロ出身の人は前髪が重くて、つるっとしてる人が多いというイメージがあるので。

キタニ:つるっとしてるって何?

john:毛が。

たなか:だから逆張りで髭を生やしてるということですね?

john:そうです。ビジュアルを出すにあたって、「つるっとしてた方がウケがいいのかな?」と最初は迷ったんですよ。だけど自然体でいた方が自分も楽だし、髭、普通に生えるし。つるっとしてなくていいやって。

キタニ:やっべー。俺、脱毛行ってつるっとさせちゃってるわー。

たなか:(笑)。その“つるっと論争”、僕にはちょっと分からないかも。僕はインターネットの中のニコラップという小さな村から出てきたんですよ。2人は巨大都市“東京ボカロシティ”出身だから、毛色も少し違うというか。

キタニ:確かに。ニコラップ出身で顔を隠してる人ってそんなに多くないし、たなかも、ぼくりりでもDiosでも普通に姿を出してるよね。

たなか:そうそう。だから「なるほど」という気持ちで聞いてました。

――日々の音楽制作の中で今気になってること、他のミュージシャンに聞いてみたいことってありますか?

たなか:僕がお二人に聞きたいのは……最近、自分の好きなものと世間の好きなものの乖離が激しくなってきてるんです。そうなると僕は「もう誰かにメロディ書いてもらった方がいいかも」という気持ちになるんですけど、そういうことってないですか?

キタニ:仮に誰かにメロディを書いてもらったら自分でやる意味が薄れるじゃん? 自分でやる意味はどこに見出してるの?

たなか:表現すること、演じることかな。もちろんパフォーマンスだけじゃなくてクリエイティブにも興味はあるんだけど、自分のやりたいものが100人中1人しか「面白いね」と思わないようなものだから、大変だなって。どうしていけばいいかなって。

キタニ:その感覚は分かるかも。俺も「メロ、書かなくてもいいかも」と思う瞬間はあるし、誰かに曲を作ってもらって、自分は歌詞だけを書くのもアリだなって最近めっちゃ思う。

――つまり、キタニさんは歌詞だけは譲れないと。

キタニ:そうですね。歌詞って声に出すから、人の言葉を歌ってると精神が浸食されるような感覚になっちゃう気がします。

john:僕はむしろメロは書いていたいな。歌詞を人に書いてもらうのはアリかも。

キタニ:そうなんだ!

john:やっぱり自分の作るメロが一番好きなんですよ。midiデータで気持ちいいメロの上下を見ると「うわ、最高!」ってなるし。

キタニ:あははは! 自分の書いたメロを見て「美しい……」と思うのはすごく分かる! 俺、「敗北」のメロめっちゃ好きです。「ミーミミミレドレーミラー♪」っていう。

john:超嬉しい。ありがとうございます!

たなか:それは画面を見ることでメロが脳内再生されて「いいな」って思うんですか?

john:いや、もう配列を見てるだけで気持ちよくて。カラオケの採点モードで米津玄師さんの曲のガイドボーカルを見ると、めっちゃ気持ちいいですよ。

キタニ:やってることが気持ち悪くて最高(笑)。johnさんはメロフェチなんですね。

john:メロフェチです。ということは、この3人で共作できるじゃん!

キタニ:確かに! 俺が歌詞を書くから……

john:僕がメロディを書いて……

たなか:それを僕が歌っていいですか?

キタニ:めっちゃいい。やりましょう!

――11月9日のイベントに向けて、3組の曲を予習できるプレイリストを各種ストリーミングサービスで展開しているんですよ。このプレイリストを聴き込んで会場に来るお客さんもきっと多いと思いますが、ライブならではの楽しみといえば、どんなところにあると思いますか?

キタニ:johnさんは逆張り精神で、プレイリストにない曲をライブでやっちゃうんじゃない?(笑)

john:あ~(笑)。リリース前でプレイリストに入れられない新曲をやる可能性はあります。TOOBOEのライブはめっちゃ上手いミュージシャンの方々がバックバンドをやってくださるので、どの曲も原曲よりさらにブラッシュアップされるんですよ。例えば「敗北」は完成前にライブで披露したことがあるんですが、ライブの熱量がすごくよかったから、レコーディングし直したくらいで。そんなふうにライブ化けする曲が多いので、ライブで聴くのが楽しいんじゃないかと思います。

キタニ:いいですね。あと、曲順や曲間の繋ぎ方によって聴こえ方が変わるのもライブの醍醐味ですよね。例えば「もしかしたらこの曲とこの曲は近いことを歌ってるのかもしれない」とか、お客さんも曲の捉え方が変わると思うので、そういうものを味わってほしいなと思います。

たなか:ライブの時って音楽が一気に偉くなりますよね。普段は人々の暮らしが主役でそれに花を添えるのが音楽の在り方だけど、ライブの時だけはその主従が逆転する。

john:確かに。普段生活をしてると、音楽を聴いてるだけの時間って少ないですよね。

キタニ:音楽家の我々ですらね。

たなか:そうそう。音楽のためだけにデカい部屋があって、そこでバーンと音楽が鳴っていて、音楽に全部が支配されてる感じをライブでは楽しんでもらえたらと思います。

――最後に、ライブへの意気込みをお願いします。

キタニ:キタニタツヤのいいところを100%お見せできるよう頑張りますので、DiosのファンとTOOBOEのファンは僕のファンにもなってください! やっぱり対バンだとちょっとギラついちゃうんですよ。どれだけナメられないかだなって思っちゃうというか。

たなか:出た、ナメる/ナメられない論!

キタニ:すみませんね、ライブハウス育ちなもので(笑)。

たなか:ライブハウス育ちなのにインターネット育ちであるというねじれがね(笑)。僕は、みんながハッピーな時間を過ごせれば何よりという気持ちです。

キタニ:めっちゃいいやつやん。

たなか:最近いいやつバイブスがすごくて(笑)。

john:(笑)。ホットな3組が集まってるので、観に来た人が「俺、あの時あのライブに行ったんだ」と自慢できるような日になればいいですよね。

キタニ:そうですね。「あの3組が一堂に会してたんでござるか!?」みたいな。

たなか:ござるって何?(笑)

john:あははは。ござりましょう!

キタニタツヤ、Dios、TOOBOEによる熱狂の夜を目に焼き付けよう。
チケット完売公演なので、来れない人は生配信をチェック。

次のブームを作るのはあなただ。

INFORMATION

MAKE A BOOM #1 -multicolor-

2022.11.09 WED OPEN 18:00 / START 19:00
ARTIST キタニタツヤ / Dios / TOOBOE

イベント生配信はこちら
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BOOM BOOM BOOM プレイリスト
イベント公式サイト

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