CULTURE 2025.09.29

[Wandering Osaka] #01 岩井祐二と巡るCity Lights : Donuts、LIGHT YEARS OSAKA、Family Tree Bottles

Photography_Masahiro Yoshimoto, Text_Yuka Muguruma, Edit_Michika Kuriyama, Takuya Nakatani
EYESCREAM編集部

音楽、アート、ファッション、フード、スケボー、グラフィティ、ナイトライフ、そしてなによりもストリートカルチャー。いつもなにかおもろいことが渦巻いている、熱気と衝動に満ちた大阪の街にフォーカスする連載シリーズ「Wandering Osaka(ワンダリングオオサカ)」、はじまります。街を知るには街の重要人物(もしくはストリートで遊びまくっているアイツ!)に訊くのがイチバン、てことでシリーズ初回は大阪・中津の名物セレクトショップ、IMA:ZINEのファウンダーである岩井祐二さんにガイダンスしてもらった。

Recommender of the Month
岩井祐二

2017年大阪・中津にセレクトショップ、IMA:ZINEを立ち上げ、2025年2月に長年暮らしてきた福島区でドーナツ専門店をスタート。編集者としてもさまざまな媒体に携わる。Instagram:@yujiiwai_8891

City Lights : Donuts

アートブックと共に味わいたい
身体にやさしい無添加ドーナツ

地元の人が行き交い、下町風情が漂う大阪・福島区の聖天通商店街に現れる和モダンな外観。ファッションやカルチャーを独自の視点で「編集」し、想像力をかき立てる雑誌のごとく提案するIMA:ZINEの新業態として開業した持ち帰りのみのドーナツ店。内装を手掛けたのは、岩井さんとも親交の深いEssential Storeだ。半月型のカウンターには、まるでオブジェのようにドーナツが陳列され、土壁の風合いが空間の味わい深さを引き立てる。中津のレストラン、34Kitchenが監修したドーナツは、もちもちの食感と無添加にこだわったやさしいおいしさ。アートブックを中心とした書籍コーナーも設けられ、岩井さん自らセレクトした本を手に取って楽しめる。ドーナツとコーヒーをテイクアウトして、甘やかなひとときを過ごしたい。

Recommender’s Comment

「ファッションと同じく“食”もカルチャーのひとつと捉え、大好きなドーナツをメインにしたお店をオープンしました。無添加にこだわったのは、僕自身も長く暮らしてきたこの街で安心・安全なおやつを提供したかったから。今では聖天通商店街の風景の一部となり、近所の人もたくさん来店してくれています。愛を込めてセレクトした本棚や、NEEDLESに依頼した別注ユニフォームにも注目してください」

レーズンの芳醇な旨みとホワイトチョコレートのコクのある甘さが絶妙にマッチ。プチプチとしたキヌアの食感がアクセントに。レーズン・キヌア・ドーナツ440円

中深煎りの豆を使ったエスプレッソがベース。ミルクのまろやかな甘みを存分に感じられるアイスカフェラテ500円

軒先に出ているこちらの看板が目印。シュガーやチョコレートといった定番に、旬を盛り込んだ季節のメニューを加えた10種類ほどが揃う。

海外のアートブックをメインに、国内外の作家の文庫本や絵本などもスタンバイ。

INFORMATION

City Lights : Donuts

大阪市福島区鷺洲2-6-20
営業時間:12:30–19:00 / 休:水曜、第1・3火曜
Instagram:@citylights_donuts

LIGHT YEARS OSAKA


手の温もりと現地の伝統が宿る
日常に馴染む国内外の品を紹介

世界各地を旅して出会った、日々に寄り添うプロダクトを厳選。ファブリックやヴィンテージ雑貨、家具といった手仕事品を扱う福岡発のショップが、本店で働くスタッフの帰阪をきっかけに2021年に大阪店をオープン。白い壁と天井に囲まれた店内には、インドのキルト製品やアフリカのスツール、モロッコガラスなどが並べられ、アートギャラリーを訪れたような余韻を醸し出す。「父が木工を趣味にしていたこともあり、昔から手仕事の温もりに惹かれてきました」と岩井さん。この日はモロッコの工房に製作を依頼したオリジナルチェアに心を奪われ、「どこか置く場所あるかな」と思案顔。空間そのものがインスピレーションを与えてくれるこの店で、時を重ねた美が息づくグッドバイブスな暮らしへのヒントを見つけよう。

Recommender’s Comment

「IMA:ZINEでポップアップをお願いしたこともあり、いろいろとお世話になっているお店です。他にも、小物入れとして自宅のリビングに置いている南アフリカの木製ボウルや食卓で使っているモロッコグラスなど、今回紹介したもの以外にもおすすめのアイテムがたくさんあります。とくにインドのヴィンテージキルトは壁に掛けるだけでもすてきなので、ついたくさんほしくなってしまいますね」

アーティストの個展なども不定期で実施。取材時は、自然の織りなす造形美を絵画や立体作品に落とし込むLena Fujimotoのエキシビジョンを開催。

グラスやアクセサリーなど気軽に手に取れる小物から、生活を彩る家具やラグまで幅広くラインナップ。

レジカウンターの周囲には、ユニークな造形が目を引くアフリカのオブジェがずらり。空間に独特なムードを添えている。

コートジボワール北部に暮らすセヌフォ族のスツール。植物や照明をディスプレイするサイドテーブルとして使うのもおすすめ。各26,400円〜

柳の丸太とヴィンテージラグのクッションを組み合わせた、モロッコ生まれのアームチェア各53,900円。「めっちゃええやん」と岩井さんも購入を検討中。

インドのヴィンテージキルト各30,800円〜。「ソファに掛けてインテリアのポイントにしたりピクニックのレジャーシート代わりにしたり、さまざまな場面で重宝しています」と岩井さん。

INFORMATION

LIGHT YEARS OSAKA

大阪市福島区吉野4-26-16
営業時間:11:00–18:00 / 休:火曜
https://light-years.jp

Family Tree Bottles

日本では希少なドメーヌとの出会いも
ナチュラルワインの深淵へと誘う一軒

「ワインのことならヨシくんに」と岩井さんが全幅の信頼を寄せる、藤井義之助さんが営むボトルショップ。有機栽培&無農薬のブドウを用い、化学的な添加物を使わずに醸造されたナチュラルワインのみを厳選する。「余計なものが入っていないぶん、その土地ならではの個性的な味わいを楽しめるのがナチュラルワインの魅力。軽快でやわらかな口当たりのものが多く、飲みやすいのも特徴です」と藤井さん。フランス産を中心としたワイン約500種類の中から、好みはもちろん、一緒に飲む人やシーン、合わせる料理まで丁寧にヒアリングし、ぴったりの一本を薦めてくれる。かくいう岩井さんも、ここへ訪れたことをきっかけにワインにハマったそう。まだ見ぬナチュラルワインの世界を覗いてみて。

Recommender’s Comment

「自宅の近所にあるので、時間が空いたら遊びに来て、店先のテラス席に座ってヨシくんとお喋りしながら過ごしています。料理が好きでよく作るのですが、メニューに合わせてワインを選んでもらうことも多いですね。最近は、おでんに合うワインを教えてもらいました。IMA:ZINEでのイベントにも出店してもらったことがあります」

左から、スペイン生まれの微発泡ロゼワイン。Ancestral Sumoll 2022 5,280円、一本につき1ユーロ、ダイアン・フォッシー国際ゴリラ基金に充てられるNyiramachabelli 2023 4,800円、お店の開業時から取り扱う、フランスの3兄弟によるValcabrieres de Fantine 2022 5,400円。

INFORMATION

Family Tree Bottles

大阪市福島区福島4-8-27
営業時間:14:00–20:00 / 休:月曜、木曜、祝日
Instagram:@family_tree_bottles

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