2014年から始まった、スペースシャワーエンタテインメントプロデューシングが企画するライブイベント『LIVE HOLIC』。2025年も各地を回る本イベントは“先輩VS後輩の初顔合わせガチンコ2マンイベント” という異色のコンセプトを持っている。
そんな“はじめまして” のライブを盛り上げるべく、2マンライブ前に対談を実施! ひと足早くお互いのことを知っていただこうというわけだ。
そんな連載形式でお届けする対談、第一弾はSurvive Said The Prophet(以下、サバプロ)からTatsuya、NEEから夕日、ギタリスト同士のトークセッションとなった。
完全に初顔合わせであり、界隈も異なるところで活動していることから音楽性もバラバラなのかと思いきや、意外な方向に話が進むという事態に!
Survive Said The Prophet × NEEの『LIVE HOLIC』は10月14日(火)に岐阜club-Gで開催されるので、全国から岐阜へ集結してくれたまえ。
お互いにサイクロン出身だったなんて!
Tatsuya: 今日が完全に“はじめまして”ですね。今回対バンする『LIVE HOLIC』はそういう2マンだって聞いていたので、事前にNEEのことを調べていたんですけど、ずっと曲を聴いていたらすっかりファンになっちゃった(笑)。
夕日: 嬉しいです、聴いてくださって。僕がサバプロのことを知ったのが高校時代なんですよ。当時、ラウド寄りのバンドをやっていて、撮影してくれていたカメラマンから「絶対に聴いた方がいい!」って教えてもらったんです。それが『FIXED』(2016年リリースの2ndアルバム)でした。
Tatsuya: あ、俺が(バンドに)入ってすぐのアルバムだね。そんな前から知ってくれていたなんて嬉しいな。
夕日: それで、今回改めて他の作品も聴き返して思ったんですけど、サウンドや歌の感じが海外っぽいのに、繊細なギターのアルペジオや重いミュートの音がすごく日本人の好きな感じがするなって感じたんですよ。これは盛り上がっちゃうよなって。
Tatsuya: 細かいところまでめっちゃ聴いてくれてるじゃないですか! そうそう、楽曲ごとにメリハリを付けて一気に壮大にしたり重くしたりしようとか、そういう相談はバンド内でもけっこうしてるから、そう感じてくれたのかもしれないね。僕がNEEを知ったのは「不革命前夜」のMVで、1回聴いただけですごく耳に残るなって。今日も「最低の証」を聴きながら最後のギターのワーミーも気持ちいいなって思ってましたね。夕日くんは特にギターのカッティングが上手で心地よいタイプのギタリストだな、とか。ちょっとジャジーなアレンジもあるし、そこがカッコいいなって思いながら聴いていました。あと、インスタにTAB譜をあげてるよね。あれめっちゃいいね!
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夕日: TAB譜くれってすごく言われるんで、コピーしやすいようにアップしているんですけど、誰も弾いてくれないんですよ。譜面に起こすと自分のギタープレイを再認識できて楽しいんで、結構やってるんですよね。
Tatsuya: 譜面に起こせるっていうのがすごいと思いますけどね。自分の場合、好きなバンドのTAB譜がなかったから耳コピに頼るしかなくて。自分のルーツにあるのは、2000年頃のいわゆるニューメタルが出てきた頃のバンドで、それこそSlipknotやリンプ(Limp Bizkit)、KoЯnだとか。ラウドなミクスチャー世代のギタリストに影響を受けてるんですよ。
夕日: その辺り、僕もめちゃくちゃ大好きです!というか、もともとメタルが入りだったんですよ。5年前くらいまでサイクロン(渋谷のライブハウス)やアンチノック(新宿のライブハウス)でジョン・ペトルーシの7弦ギター を弾いてたんで。
Tatsuya: やっば(笑)。
夕日: 艶消しの真っ黒いシグネチャーでした。ジェント系のバンドやってたんですよ。
Tatsuya: じゃあ、めちゃめちゃ界隈近いんだね。うちもサイクロン育ちのバンドだから対バンしててもおかしくなかったよ(笑)。サバプロ的な視点でいくと、エモやスクリーモのバンドが好きで、Story of the YearやFuneral For A Friend、The Used、Finch とかね。あの辺りのバンドを耳コピしてたんだよ。
夕日: そうなんですね。僕は音楽に目覚めたのがホルモン(マキシマム ザ ホルモン)なんですよ。だから最初に弾いたギターのチューニングがドロップCだったんです。そっから調べてSlipknotやチルボド(Children Of Bodom) とか好きになっていったんです。
Tatsuya: なるほど、そこから来てるのか。インスタを見てたら『すごくテクいことやってるな』って思ったんだよね、インスト曲で。
夕日: それと並行してレッチリ(Red Hot Chili Peppers)にすごく衝撃を受けて、ギタリストとして追いかけていくことになったんです。でも、カッティングを積極的にやるようになったのはNEEに入ってからですね。
Tatsuya: じゃあルーツはほぼ一緒っすね! 意外過ぎる展開にびっくり(笑)。
酒飲みながら話したくなってきた(笑)
ーでは、音作りへのこだわりや機材のことについて聞いてもいいですか?
Tatsuya: それ、すごく聞いてみたいかも。
夕日: 僕は今、デジタルがメインなんですよ。Quad CortexにHELIXのLine 6のループを入れている状態なんです。
Tatsuya: それはエフェクターとしてクアッド(Quad Cortex)を使っているってこと?
夕日: いえ、プリアンプ代わりに使っています。空間系、ピッチ系、モジュレーション系はHELIXのエフェクトを使ったりしています。
Tatsuya: はいはいはい、たしかにLine 6のやついいっすね。
夕日: それに入る前に直列のボードを組んでいて、最近はやっていないんですけど、ディストーションペダルの歪みを半分くらいにして、ドライミックスする感じで入れて、テンションコードとかを弾いても音がちゃんと立つようにってしていました。
Tatsuya: それに近いこと、俺もやっていました。メインがkemperでデジタルなんだけど、音感が見えるようにしたくて、半分ドライを出している時がありました。リードギターを弾くことが多いから、音の粒立ちをよくしたいっていうのはありましたね~。使っているkemperはパワーアンプ付きのやつで足元にはワウとボリュームペダル、あとはワイヤレスシステムとコントローラだけで 極力ミニマムな状態にしちゃってますね。海外ツアーも多いんで、できるだけ身軽な状態で、どこでもできるだけ同じ環境を作れるようにしていて。でも、ちょうどクアッドにも興味が出てきていて、どうなんだろうって話をしているところだったんだよ。
夕日: 僕はクアッドのアンプの音が好きなんですよ。それこそプラグインも読み込めるようになったんで本当に便利です。
Tatsuya: 俺もプラグインは使っていて。パソコンでデモを作る時なんかはほとんどプラグインかも。
夕日: ニューラルDSPのプラグインとかですか?
Tatsuya: そう、GOJIRAとかNOLLY、PLINIとか。
夕日: あー、はい! 僕も好きで買いました。
Tatsuya: にしてもHELIXねぇ……うんうん。空間系だけ使ってるってことなの?
夕日: そうですね。あとはループ4つあるんで、それのスイッチングみたいな感じです。シーン(スナップショット)機能っていうのがあって。
Tatsuya: ふむふむ。
夕日: エフェクターのパラメーターを1個のボタンにアサインできるみたいな。これを押すとリバーブのミックス値が増えたり減ったりっていう。
Tatsuya: あー! はいはい、なるほど。いや~面白い使い方だな。HELIXをどう使ってるのかもっと知りたい。どうしよう、めっちゃ酒飲みながら話したくなってきたな。これ、打ち上げの時に話しましょ。
夕日: よろしくお願いします!
一同: 笑。
はじめましてのお客さん同士がクロスオーバーしたら面白そう!
ー昨年から考えると、2バンドともバンド編成が変わっていますが、バンドのやり方について変わった部分はありますか?
夕日: 僕は180度変わりました。今まで曲を作っていなかったんですよ。去年から作り始めてリリースするようになって、それが初めてでしたからね。あと、ギターからギターボーカルになったので。普段からの曲の聴き方も変わった気がします。歌えないといけないから、曲作りに関しても制約が増えるし、今はその制約の中での作曲を楽しんでいる状況です。
Tatsuya: 自分の場合は逆に、作曲の仕方はあんまり変わってないですね。コンポーザーのYoshが持ってきた原案に対してギタリストとしてアイディアを出していく感じです。フレーズをオンライン上で投げ合うようなやり方をするのが多いです。
ーサバプロはアルバム『Luv Sux Sessions』を9月に発表。NEEは10月29日にアルバム『再生可能』がリリースになります。どんな作品になったのか、個人的に思うことを教えてください。
Tatsuya: 発売延期もあってのリリースになったので、3人ですごく悩んだ作品でもありますね。“愛なんてくそくらえ”という意味が込められているんですけど、30代後半に差し掛かるおじさんたちが「お前の愛の形はどんなのだ?」 ってことを真剣に額を寄せて酒飲みながら話して作ったような(笑)。テーマ的にはなかなかドープな内容になっていると思います。
夕日: 聴かせていただきました。めちゃめちゃかっこよかったです! あのKnosisフィーチャリングの曲なんですけど、あれってNik Nocturnalさん(ニック・ノクターナル、メタルシーンに欠かせない配信者でありミュージシャン)ですか??
Tatsuya: そうそう! 「Useless」という楽曲でブレイクダウンだけNik NocturnalプロデュースでRyo(Knosis)が参加しているんだけど、その後にアルバム全体をプロデュースしているMatt Goodに渡してるから、あの曲だけ盛りだくさんって感じかな。ブレイクダウンのリフだけ1オクターブ下がったりとか。
夕日: うわ、超いいっすね(笑)。僕らのアルバムは去年から今年にかけて作ったもので、周囲の人からの言葉やファンからの愛だとか、僕らが1年間かけて経験してきたものを全部入れようと思って作った作品ですね。ちょっとメタルっぽいブレイクダウンがある曲もあるんですよ。もう好き勝手やらせていただきましたって感じのアルバムになったと思います。
Tatsuya: 2マンの時は、そのブレイクダウンがある新曲もやったりするの?
夕日: いえ、それはリリース後になっちゃうんですけどね。
Tatsuya: 早く聴きたい! 楽しみにしています。
ー最後に、『LIVE HOLIC』での2マンライブに対して、どんなことを思いますか?
夕日: やっぱり2マンをやらないとお互いのことってわからない ものなんだと思うんですよ。お互いにロングセットでライブして、こんな風にフロアが反応するんだなってことを知ったり。相手を思ってセトリを考えたりすることができるのも醍醐味ですよね。ライブ後には打ち上げで話して、めっちゃ怖そうだったけど、こんなに優しい人柄なんだなとか。とにかく1番燃えるし、恥はかけないぞって気持ちでライブに挑むと思います。
Tatsuya: 言うたらガチンコのタイマン みたいなイメージですからね。喧嘩して仲良くなるみたいな。本気でぶつかりあって打ち上げで楽しくなって仲良くなるって感じの日になるはずなので楽しみで仕方ないです。お互いに界隈が全然違うから、お客さん同士も“はじめまして”な状態だと思うんですよ。そこが交わり合って、サバプロのお客さんがNEEのライブに感動したり、逆も然り、という感じになったらいいですよね。そこがクロスオーバーしたらすごく面白いだろうし、そうなってほしいです。
夕日: たしかに。めっちゃそれですね。
Tatsuya: ね! そして、打ち上げの時にさっきの話の続きをしよう。
夕日: そうですね(笑)。楽しみです!