MUSIC 2020.01.15

[Interview]Survive Said The Prophet
10年の軌跡とこの先の景色

Photography-Cho Ongo Text&Edit-Mizuki Kanno
EYESCREAM編集部
EYESCREAM編集部

Survive Said The Prophetの5枚目となるニューアルバム『Inside Your Head』がリリースされた。本作は今年10周年を迎えたサバプロのこれまでが綴られた作品であり、彼らが放つエモーショナル・ロックそのもの。夢を現実に変えるべく走り続けてきたこれまで、そしてさらなる伝説を刻んで行くこの先について、いま一つの分岐点に立たされた5人に話を聞いた。

LtoR Tatsuya(Gu)→Show(Dr)→Yosh(Vo)→Yudai(Ba,Vo)→Ivan(Gu)

“これがサバプロなんだ”という確信を
形にした作品

ー昨年は日本だけでなく、イギリスや台湾、韓国、中国、香港、タイでも精力的にライブをされていたと思います。国ごとでの反応の違いなどは感じましたか?

Yosh:SNSを通して遠い国のことも身近に感じることのできる時代ですが、実際に肌で感じたカルチャーの違いは意外なことが多くて。物理的には近いはずのアジア諸国には遠い文化を感じ、逆にUKには親近感を感じました。日本人っぽいなというか。

ーイギリスのどういったところに親しみを感じましたか?

Yosh:日本って基本的に丁寧で優しい国民性ですよね。海外の人に道を聞かれても、どうにか教えてあげようと頑張るじゃないですか。UKも同じでとても親切な人が多い国。失礼だけど、意外でした。

ーそこで得た感覚や経験はアルバム『Inside Your Head』にどのように影響していますか?

Yosh:アルバムとしては5枚目の作品になるので、海外で得たものを落としたというより、“まとめた”という感覚に近いです。海外で公演を行うことも、このタイミングでアルバムをリリースすることも、予想してあらかじめ計画を立てていたことなので。一つのチャプターを総括した作品です。日本でも海外でも感じた、“これがサバプロなんだ”という確信を、形に残しました。

Ivan:でも、海外に行くと確かにアウトプットしたい衝動にはかられます。音楽だったり、絵だったり。いろんなことを見て、感じたものを形として表現したいと思いますね。

ー今作のジャケットはIvanさんがデザインされていますよね。

Ivan:海外で公演を行う前から構想を練ってはいたんですけど、明確な答えは見つかっていなくて。向こうから帰ってきて、今のものに辿り着きました。

ーアルバムのコンセプトにも繋がる部分だと思いますが、何を表現していますか?

Ivan:僕はYoshとツアー中のホテルの部屋が一緒だったので、アルバムについてよく話していました。最初は「Absolute」がタイトルの候補に上がっていたのですが、さまざまな会話を経て『Inside Your Head』に決まりました。物事は全て“自分の考え方次第”なんです。

Yosh:“Absolute=絶対的な”というワードを、今作の軸にしていて。バンドを続けるということは絶対的なものを探す旅なのですが、“そんなものはないんだよ”っていうことを伝えたくて。その答えが『Inside Your Head』でした。「Absolut Vodka」という名前のウォッカがあるんです。そのウォッカが半分になった時点で「まだ半分もある」と考えるのか、「もう半分しかない」と考えるのか。捉え方一つで物事はプラスにもマイナスにも働く。それを僕の妄想の世界で完結させてしまうのではなく、そこからリアルを描かなくてはいけない。音楽って非現実的な要素が強いと思いますが、今作に関してはとても現実的なことを語っています。

Ivan:頭の中はさまざまな考えが渦巻いているけれど、人前に立つときは平然を装わなければいけない。テープで無理やり抑えているんですよね。

Yosh:僕らの作品の中で色をつける時って、何か特別な意味を持った印であることが多くて。外見に貼られたテープを見て欲しいのか、抑圧されている頭の中を見て欲しいのか。絶妙なところですね。

ー1曲目と2曲目でタイトルが語られていますよね。この意図を教えてください。

Yosh:「Inside」では同じ歌詞の繰り返し。「Your Head」でアイディアがばっと出てくるイメージです。内面と頭の中は別なんだよって。「Your Head」は今作の楽曲の中で一番最後にできた曲です。全曲を通して考えた上で、初めて発言した感覚です。「Last Dance Lullaby」なんて僕が16歳の頃に書いた曲。過去を振り返り、さまざまなアイディアを経て、この曲が完成しました。

ー既にライブでは披露されている「Bridges」ですが、メッセージ性の強い歌詞が特徴的で、とても頭に残っています。

Yosh:ふてくされた時にこういった歌詞が出てくるんです。Aメロなんて完全に悪口を言おうとしていますし(笑)。でも途中で「あ、このままじゃだめだ」と気が付き、“誰も見ていなくても、この頑張りはいつか役にたつんだ”という思いを綴りました。自分、そして周りに向けた曲です。

ー「Never; Saying Never」ではNewspeakのReiさんがゲストボーカルとして参加されていますよね。Newspeakとの深い関係性は以前からインタビューでも話されていますが、今回Reiさんがゲストで参加することになった経緯を改めて教えてください。

Ivan:47ツアー(Now more than ever Tour)がきっかけじゃない?

Tatsuya:何かやりたいねって話になってね。

Yosh:Newspeakは僕らの生活の中にいるし、47ツアーでもツインボーカルで唄いました。単純に彼らの音楽とReiの声が好きというところから繋がった作品です。いくつかアイディアがあったのですが、Reiと意見が一致したのがこの楽曲で。

Ivan:YudaiなんてめちゃめちゃReiと会ってるでしょ。

Yudai:週3、4くらいは会ってる(笑)。家が徒歩10分くらいの距離感なんですよ。

Yosh:もともとは僕の師匠がNewspeakのドラムのStevenと繋がりがあったので、一緒にレコーディングをしていたら、Newspeakも始動して。

Ivan:Stevenは実を言うと僕らのプロデューサー兼エンジニアなんです。本作も彼に入ってもらっていて。

ーNewspeakの存在は制作面にも大きな影響を与えているんですね。次にもう1人のゲスト、「3 A.M」のストリングスアレンジとピアノを担当されている、澤野弘之さんとのエピソードを教えてください。

Yosh:10年くらい前にIvanとこの曲を作ったときはまだ、アコースティック一本と声だけだったので、アレンジを加えていつか音源にしたいねと話していて。今回いよいよアレンジを加えようという話になって、澤野さんしかいないなと思いました。彼が作る壮大な音楽とセンスがすごく好きですし、最近は澤野さんも僕らの音楽をしっかり聴いてくださっていて、先輩後輩を超えた関係が築けたこのタイミングで、澤野さんにぜひお願いしたいなと。彼が関わる作品は彼の色に自然と染まるものが多いですが、今回は澤野さん&サバプロになる絵が見えた気がしたので、オファーすることができました。

ー「3 A.M」 から「03:01」。この01分にはどんな意味が隠されていますか?

Yosh:シンデレラって12:00を過ぎると魔法が解けてしまうおとぎ話ですよね。でも僕らは3:00を超えて周りを見てみたら、魔法より素敵なものに囲まれていた。というストーリーです。Ivanと初めて「3 A.M」を演奏した代々木公園で、サバプロのクルー全員と一緒にレコーディングをしました。その瞬間の生の音を大切にするために、一発撮りで。みんなでここまで来れたことが何よりの魔法です。

Tatsuya:確かに昔は3時までよくリハしてました。

Yudai:23時くらいから入ってね。

ーいつ頃までそのサイクルだったんですか?

Ivan:『FIXED』リリースしたくらい? 4、5年前まではそんな生活だったよね。

Yosh:今も100%準備できている訳ではないですけど、あんな過酷に練習をしていたら、普通にうまくなるでしょっていうくらいは、やり込んでいました。最近は当たり前のことを、自由にやらせてもらっているような気がします。

ーひとつのチャプターのまとめとお話していたこのアルバムのラストに、「03:01」が収録されているのはエモーショナルですね。

Yosh:音としても残したかったので。レコーディング中に未来をイメージして、泣いちゃいました(笑)。自分が70歳になった時にこのアルバムを偶然見つけて、うわーって感動に襲われた最後に「03:01」を聴く自分を想像して。

Ivan:子供の説教しながらね、甘えてんじゃねって(笑)。

ヒットを作るんじゃなくて、歴史に残る最高な音楽を作る

ー2020年で10周年を迎えられますね。この1年をどのように過ごしていきたいですか?

Yosh:攻め方にもいろいろあるんだなということに、最近気がついたんです。常に体を動かしているからって、前に進んでいる訳ではない。僕は、自分のためにもみんなのためにも、気にかけているのは健康かな。20代はタイムレスな音楽を作るために、すごい走り方をしてきたので。スローダウンとは言わないけど、今年は自分らのことを大切にできるような時間の使い方をしていきたいなと思います。こんなスピード感でここまで来れたなら、もっと時間を使えばさらに良いものができるんじゃないかというタイミング。ヒットを作るんじゃなくて、歴史に残る最高な音楽を作る。それなりの生活とそれなりの時間が最高の音楽を書くためには必要だなって。もちろんライブもやるし、ツアーもやるけど、次のステップへの眼差しが変わった気がします。

Ivan:より広くインプットして行きたいです。音楽もアートも、カルチャーも。

Tatsuya:2019年はたくさん海外を見て、行けば行くほど面白いものと出会えたので、僕ももっとインプットしていきたいですね。いろんなところへライブで行ってみたいです。

Yosh:月を目指そう。音は空気を通って響くものだからどうなるのか気になる。

Tatsuya:トレーニングしないと。

ーでは、2020年にチャレンジしたいことはありますか?

Ivan:免許を取りたいです! 毎年言ってて、2019年こそは絶対叶えるって言ってたのに、無理でした。

Tatsuya:僕は久しぶりにスケボーを復活させたいなと思っています。海外にはスケボーパークがいっぱいあったので刺激されました。怪我したら怒られるけど。

Show:急に真面目な話になりますが、僕は音楽の考え方を整理したいなと思っています。やっぱりずっと走っていると、気付いた時には走り方がわからなくなっていて。最近それをすごく痛感しています。

Yosh:そうだよね。みんなそうだよ。

Show:だからもう一度、音楽好きだったよね? というのを自分に問いたいです。一度自分自身をリセットしようと思っています。

Yudai:誰も欠かさず、みんなでいろんなところに行ければなという感じです。スキルアップして、今後に繋げられる動きができればと思います。

Yosh:去年よりは人に迷惑をかけない。毎年思っているけど。まぁ日頃からいろんな迷惑をかけているので…….そういった意味ではShowに近いのかも。幸せってなんだっけ? みたいな。それって重要なこと。僕はそれを人に伝えることも仕事なんで。最近までは仕事として考える必要性を一切感じなかったけど、人に幸せを伝えるんだったら、自分がまず幸せを見つけられる人になりたいなと思っています。

INFORMATION

『Inside Your Head』

2020.1.15 Release

「Inside Your Head Tour」
2.21 東京 恵比寿LIQUIDROOM
2.24 北海道 釧路NAVANA STUDIO
2.26 北海道 札幌PENNY LANE24
2.28 北海道 旭川CASINO DRIVE
2.29 北海道 苫小牧ELLCUBE
3.01 北海道 函館 club COCOA
3.13 島根 出雲アポロ
3.15 岡山 CRAZYMAMA KINGDOM
3.21 新潟 新潟LOTS
3.22 富山 MAIRO
3.28 大阪 なんばHatch
3.29 香川 高松OLIVE HALL
4.11 山口 周南RISING HALL
4.12 広島 HIROSHIMA CLUB QUATTRO
4.16 青森 Quarter
4.18 福島 郡山#9
4.19 宮城 仙台GIGS
5.10 鹿児島 SR-HALL
5.11 福岡 BEAT STATION
5.13 愛知 名古屋DIAMONDHALL
5.22 東京 新木場STUDIO COAST
5.23 東京 新木場STUDIO COAST
5.31 沖縄 桜坂セントラル
アルバム購入者チケット先行応募:
2020年1月14日(火) 12:00~2020年1月19日(日) 23:59

・その他ライブ出演情報
1.16 「タワーレコード名古屋近鉄パッセ店 25周年記念イベント“サンキュー!ロックンロール!サンキュー!ミリオンズ オブ ピーポー!”」
@名古屋CLUB QUATTRO
1.25 「NO MATTER LIVE」
@SENDAI PIT
2.02 「BLARE FEST.2020」
@PORT MESSE NAGOYA
3.20 「KNOTFEST JAPAN 2020 DAY1 ROADSHOW」
5.02~05 「VIVA LA ROCK 2020」

http://survivesaidtheprophet.com/

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