CULTURE 2025.10.24

[Wandering Osaka]#02 植杉友恵と巡るTOLMA、su、洗濯と喫茶 廻廻

Photography_Masahiro Yoshimoto, Text_Yuka Muguruma, Edit_Michika Kuriyama, Takuya Nakatani
EYESCREAM編集部

音楽、アート、ファッション、フード、スケボー、グラフィティ、そしてなによりもストリートカルチャー。いつもなにかおもろいことが起こっている、熱気に満ちた大阪の街にフォーカスする連載シリーズ「Wandering Osaka(ワンダリングオオサカ)」の2回目。街を知るには街の重要人物(もしくは街で遊びまくっている人!)に訊くのがイチバン、てことで今回は、大阪・中崎町のセレクトショップ、TOLMAのオーナー/バイヤーでありおいしいものには目がない植杉友恵さんにガイダンスしてもらった。

Recommender of the Month
植杉友恵

TOLMAのオーナー/バイヤー。インドやネパールの伝統的な技術を取り入れたアパレルブラド、Ajwainのディレクターも務める。最近はカメラにハマっていて、休日は写真を撮りに遠出することも多い。Instagram:@plantoms

TOLMA


時を重ねてもなお愛おしさが続く
作り手の想いが息づく一着に出会う

2009年に中崎町でrroommをスタートし、ウィメンズストアとして新たな屋号で独立した植杉さんが営むセレクトショップ。「これまでいろいろな服を見てきたけど、シンプルなデザインだからって長く愛用できるとは限らない。クローゼットに残っているのは、細部まで丁寧に作り込まれたデザイナーの哲学が宿る服。そんな“大切にしたい服”を届けたい」と愛嬌たっぷりに語る。日本のブランドを軸にオリジナルや別注アイテムが並ぶほか、最近は自身のブランド、Ajwainを立ち上げ、インドやネパールの手仕事に今の気分を反映したウエアも展開する。店に足を運ばなくても服が買える時代だからこそ、デザイナーの想いを代弁してもらいながら、一生ものの一着と出会いたい。

Recommender’s Comment

「2023年にrroomm women’sからTOLMAとして独立し、移転リニューアルしました。中崎町の静かな路地に立地していて、落ち着いた雰囲気の中でゆっくり服を吟味できますよ。つながりのあるブランドの受注会などイベントも開催しています。最近は、オンラインでの販売やインスタライブにも力を入れているので、ぜひSNSをチェックしてください!」

JUN MIKAMI、Mame Kurogouchi、ERiKOKATORiをはじめとした国内ブランドのほか、Baserangeなどのインポートも取り扱う。

インドの水牛の角を使用し、加工から組み立てまで手作業で作られるKOSTKAMMのヘアアクセサリー3,540円〜。普段遣いはもちろん和装にもマッチする。

INFORMATION

TOLMA

大阪市北区中崎西3-2-21
営業時間:14:00–19:00(18:30最終入店) / 休:不定休
Instagram:@tolma_official

su


都会の喧騒を忘れさせる静かなオアシス
こだわりのナチュラルワインで昼飲みも

土佐堀川のほとりに佇むビルの2階、イタリアの郷土料理を提供するワインバー。同ビル1階にはナチュラルワインを販売する系列のショップ、il Soffioneが入居する。「調子がいい日は1人でボトルを空けちゃいます」と笑う、ワイン好きな植杉さんの行きつけだ。店主でありソムリエの三吉隼人さんがローマで食べたアマトリチャーナやシチリア伝統のアグロドルチェなど、ワインと相性のいいアラカルトの数々に、思わず「もう一杯」と頬がゆるむ。+3,300円で、1階のボトルワインを料理と一緒に味わえるのも嬉しい。内装は滋賀のNOTA & designに依頼し、信楽焼のカウンターや吉野杉を用いた木工作品をテーブルとして使うなど、まるでギャラリーのような洗練された空間にも注目したい。

Recommender’s Comment

「自宅で飲むときはもっぱらワイン派で、ぐいぐい飲める軽やかな白がお気に入り。要望を丁寧に聞きながらおすすめを教えてくれるので、ホームパーティーの手土産や知り合いのお店の周年祝いに買っていくとすごく喜ばれます。suで飲める日替わりのグラスワインは、なかなかボトルで買えない希少な銘柄も多く、毎回何が出てくるのか楽しみです」

土佐堀川の穏やかな景色を眺めながらゆったりくつろげる2階のsu。カウンター席も設けられ、おひとりさまでも利用しやすい。

(左から時計回りに)ローマのショートパスタを使ったアマトリチャーナ1,500円、華やかな果実味が特徴のRadikon Pop Bianco 3,700円、深みのあるJulien Renard 6,600円、軽快な口当たりのDomaine Beau Coup de Jus 4,200円、モッツァレラチーズと共に味わう、甘酸っぱいナスのアグロドルチェ1,000円。

独特の存在感が漂う黒いテーブルは、用途を指定せず、彫刻とも家具とも捉えられる表現を行う木工作家の梅本敏明による造形作品。

ナチュラルワインを中心に、2,000種類以上がずらりと並ぶ1階のil Soffione。卸売販売も行っており、市内の飲食店からの信頼も厚い。

イタリアをメインに、フランス、チェコ、ドイツ、ハンガリー、チェコなど、世界各国のワインを用意する。小規模生産のドメーヌや、まだ名の知られていない若手醸造家のものも。

好みの味わいや飲むシーン、今の気分を伝えると、ソムリエの三吉さんがぴったりなワインをセレクトしてくれる。手土産にも人気だそう。

INFORMATION

su

大阪市北区中之島4-1-18
営業時間:15:00–24:00(23:00LO)、ボトルショップ 12:00-19:00 / 休:月曜、月2回不定休
Instagram:@su_ilsoffione

洗濯と喫茶 廻廻

「洗濯が大好きなので、いつかコインランドリーを運営して、待ち時間にお酒とコーヒーを提供したい」と佐々木さん。一風変わった店名には、そんな将来の夢を投影しているそう。

「面倒かもしれないけど、お互い気持ちよく過ごせるように」と、お店を利用するための独自ルールをディスプレイ。2回目以上来店した人は、申告するといいことがあるかも!

芋焼酎約30種類に加え、海藻やタイ産といった変わり種焼酎が揃う。バイマックル&ライムのチューハイやバタフライピーを用いたブルーの茶割りなど、気になるドリンクが満載。

独特の世界感と居心地の良さが同居する
芋焼酎と味わう新感覚のエスニック酒場

「もし僕がタイに住んだら」をコンセプトに、創作エスニック×芋焼酎のペアリングを提案する路地裏の小さな立ち飲み。少し意外な組み合わせだが、「エスニック料理特有の塩味や辛味に、芋の甘みが優しく寄り添ってくれるんです」と店主の佐々木拓朗さん。マヨネーズを使わないシャキシャキのポテサラやタマリンドソースのパッタイなど、本場の味をベースにアレンジを加えた料理はどれも新鮮な驚きを与えてくれ、「全制覇したいくらいおいしい」と植杉さんも絶賛する。黒板のメニューはTHB表記(1THB=4.6円)、店独自のルールあり……と一見クセ強だけど、ひとたび扉を開けると温もりに包まれた空間が広がり、佐々木さんの気さくなお喋りにも心がほどける。

Recommender’s Comment

「料理はどれもおいしいですが、いつもオーダーするお気に入りは、ディルの爽やかな香りをまとったポテサラです。初めて食べたとき、あまりのおいしさに感動しました。コンパクトな空間にぎゅっと収まって飲んでいると生まれる、立ち飲みならではのグルーヴ感も楽しい。一人でサクッと立ち寄れるので、飲み会前の0次会にもおすすめです!」

タイ料理のエッセンスを取り入れた“タイっぽい飯”と中国やインドなどを参考にした“タイっぽくない飯”、2種類のメニューがラインナップ。初めて来店した人は、必ずタイっぽい飯を一品注文するのがお決まり。

ほとんどのメニューにパクチーを使っているので、苦手な人はオーダーの際に申告を。

少し幅広の平たい春雨を使用。現地に比べて甘酸っぱい味付けにし、水タコを入れてアレンジ。水タコのヤムウンセン(春雨サラダ)869円。

サッと湯通しした千切りのジャガイモに、ディルやミント、バジルの爽やかな風味を効かせたユニークな廻廻ポテサラ495円。シャキッとした歯応えが癖になる。

INFORMATION

洗濯と喫茶 廻廻(ぐるぐる)

大阪市北区浪花町10-2
営業時間:17:00-24:00(日・祝14:00–) / 休:火曜、不定休
Instagram:@sentaku_to_kissa_guruguru

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