東京を拠点として活動するBLAST JAMS!! CREW。彼らは”VINTAGE MUSIC FOR TEENAGERS”を掲げたユースDJクルーで、全国各地でパーティやDJ活動を行っている。ヴィンテージミュージックのカルチャーをユースの手で世間に伝えるべく活動しているレジスタンスたちだ。現在のメンバーは笹井トシオ、takuma、ヒラノツヨシ、ゴーゴージュリー 、Shinyah、MACHI、WOODCHUCK、7名のDJとクルーのフォトグラファーとしても活動しているYui Nogiwa。
今まではアンダーグラウンドで活動してきた彼らだが、10月11日に恵比寿のLIQUIDROOM でデカいパーティ”BLAST JAMS!! 2020″を開催する。本イベントに先立ち、ヴィンテージミュージックのカッコよさや魅力を教えてもらうBLAST JAMS!! CREWの連載”WORLD FAMOUS BLAST JAMS!! CREW”。
今だからこそフレッシュでカッコいい。そんなヴィンテージミュージックの世界をバンドとクルーの対談や写真でお伝えしたい。同時に各連載の最後に、BLAST JAMS!! CREWによるスペシャルプレイリストを掲載。音楽で具体的に魅力を届けてもらおう。
第8回目は、RESERVOIR。彼らは日本語詞を力強く歌い上げるストレートなロックバンドだ。BLAST JAMS!!のシーンにおいては少し異色な音楽性を持つバンドだが、その関係性は深く長い。両者にとって、互いはどんな存在なのか、下北沢を巡りながら、珉亭でご飯食ったりしつつ、ゆるりと話してもらった。
Vol.08 Talk session with RESERVOIR
L to R_笹井トシオ、ショウヘイナガノ(Vo&Gt)、シンペイカトウ(Ba)、サトシミヤケ(Gt)
ヴィンテージミュージックのシーンに新たな風を吹かせてほしい
ー笹井トシオ
今できることを自分たちらしく全力でやっていくしかない
ーショウヘイナガノ
ー自分から見ると、RESERVOIRとBLAST JAMS!! はいつの間にか仲良くなってた感があるんですよ。
笹井トシオ(以下、トシオ): そうですね。下北沢THREEでやっていた「第2火曜日るんるんナイト」というイベントがあるんですけど、そこで初めてRESERVOIRのライブを観たんです。クルーと繋がりの深いバンドが出演したから行ったんですけど、そこに元気印 (ショウヘイナガノ)みたいな人がいて(笑)。
一同: 笑
ショウヘイナガノ(以下、ショウヘイ): そこで初めて話したよね。しかもBLAST JAMS!!のDJ、Shinyahは自分の地元の後輩で、偶然そこで再会したんだよね。いきなり「ナガノ先輩!」なんて声かけられて、東京でそんなこと言われることないし、Shinyahも風貌がすっかり変わってたから最初は誰かわからなくてさ(笑)。
トシオ: その日のライブが良くて、うちのイベントにも出てくださいってオファーしたんです。それが2年前くらいのことです。RESERVOIRがやっている音楽は僕らのルーツとはちょっと異なるものなんでしょうけど、バンドメンバーそれぞれに確固たるルーツがあって、それを超えて新しい音楽をやろうとしているバンドなんだと思ったんですよ。だから、BLAST JAMS!!に必要な要素だと感じたんです。それにメンバーの人間性もデカかったですね。一瞬でBLAST JAMS!!のクルーや繋がりの深いバンド達とも仲良くなっちゃって。
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ショウヘイ: そう言ってくれると嬉しいよ。BLAST JAMS!!のイベントにはバンド結成から1年も経っていない頃から出させてもらっているよね。
シンペイカトウ(以下、シンペイ): 今、そういう話をトシオくんから聞けて、自分たちがBLAST JAMS!!のシーンの中にいてもいいんだって思えたよ。実はRESERVOIRみたいなバンドがいてもいいものなのかな? っていうのはちょっと気になっていた部分だったんだよね。
サトシミヤケ(以下、サトシ): しっかりとしたルーツやカルチャーを持っているBLAST JAMS!!が作る場所が、自分たちの音楽を求めてくれているのはすごく嬉しい。何よりイベントを介して色んなバンドとも引き合わせてくれたしね。
トシオ: 僕はずっと、上の世代が作り上げてきたイベントを見てきて、ある種の保守的な考えによって、シーン自体が先細りしていくように感じたんですよ。だからジャンル云々ではなく、同じ意識を持てる人と一緒にシーンを作りたいと思ったんです。
ーRESERVOIR的にもBLAST JAMS!!とマインドが共通する部分があると感じますか?
RESERVOIR一同: 大いにありますね。
シンペイ: 共通する考えがあるという上で、BLAST JAMS!!のイベントには強烈な個性を持つバンドが次々に登場するわけじゃないですか。この中でどうやって自分らしさを出すかってことを考えながら一緒にいさせてもらっています。そこで、最近はふりきり始めてるよね。
ショウヘイ: それはあるね。BLAST JAMS!!を介して知り合ったバンドがオレらのことを自主企画イベントに呼んでくれることもあって。例えば、THE THROTTLEがレコ発や年末パーティに呼んでくれたり。当然、対バンのラインナップを見ても自分たちみたいなバンドはいないわけです。そんなときに「オレ達、どう戦えばいいんだ?」って考えたんですけど、結局、オレ達が今やれる音楽を全力でやるしかない、振りきってやるしかない! って。フェスだって様々なアーティストが出演して、そこには色んな風が吹いているじゃないですか。そういう感じで自分たちらしくオレらはやればいいって。違うジャンルのヤツらがいたり、全然違うことをやっているバンドがいても、それがまとまって1つの場所を作ってればいいじゃんって。そういう風に考えられるようになって楽になったんだよね。
シンペイ: ちょっと迷った時期もあったよね。革ジャン着ようか、とか。
サトシ: セトリ(セットリスト)もBLAST JAMS!!の雰囲気に合わせよう、とかね。でも、そうやって割り切って考えて、自分たちにしか出来ない音楽で、自分たちらしいライブをやろうって考えるようになったね。
ーBLAST JAMS!!のイベントに出演するようになる前は、ヴィンテージミュージックをルーツとするバンドとの交流はあったんですか?
ショウヘイ: なかったんですけど、THE TOKYOとは実は7、8年前から仲良くしていたんですよ。RESERVOIRをスタートさせる前にやっていたバンドで下北沢で対バンしたりしていたんです。彼らとは密接な関係なんです。
ーこの機会なのでRESERVOIRの成り立ちについて教えてもらえますか? 結成は2018年ですよね。
ショウヘイ: そうです。まず、シンペイは下北沢の居酒屋で一緒にバイトしていたんですよ。その店にTHE TOKYOのメンバーも来たりしていて。
シンペイ: その頃は自分も別のバンドをやってたんですけど、ショウヘイのバンドのライブは観に行ったりしていて。ステージ上のショウヘイを見ていて、いつか一緒に何かをやりたいなってことをずっと考えていたんですよ。それで、いよいよ一緒にバンドを結成するかってなったときに、ショウヘイが良いギタリストがいるからって言ってきて。
ショウヘイ: それがサトシなんですけど、実はオレが初めて組んだバンドのギタリストだったんですよね。あいつは絶対に今も地元でギターを弾いているに違いないと思って、久しぶりに地元で飲む機会があったときに誘ったんです。そしたら「いいよー」って感じで、東京に引っ越してくるっていう。
ーそんな過去が(笑)。
ショウヘイ: そう。サトシはオレにルーツであるレッチリ(Red Hot Chili Peppers)を教えてくれたような男で。なんならバンドの中ではヴィンテージミュージックが好きかもね。
サトシ: そうかもね。エアロスミスやドアーズだとか、やっぱりロックの王道と言えるバンドを通ってきていて。RESERVOIRを始めてから、いわゆる歌ものと言われる音楽をしっかりと聴くようになって好きになってきています。
日本語の”楽しい、辛い、泣きそう”なら歌えると思って
ーショウヘイナガノ
ジャンル云々ではなく共通のロックなマインドを持っている
ー笹井トシオ
ーRESERVOIRが表現しているのは日本語詞のメロディが綺麗な王道の邦楽ロックだと感じます。今の音楽性になったのはどういう流れだったんですか?
ショウヘイ: 前のバンドを辞めたとき、もうバンドはできないなって思っていたんですよ。そんなときにシンペイが一緒にやろうってすごく誘ってくれて、じゃあ何だったらバンドとしてやれるんだろうって考えたんです。そこで出てきたのが、日本語で良い言葉を紡いで表現されている音楽だったんです。パンクやガレージをルーツに持つ音楽を日本語で今っぽく表現したいと思って。
シンペイ: 結成時にショウヘイが「日本語で恥ずかしいことを言えるようなバンドをやってみたい」ってことを話してくれたんで、自分としてはバンドの核となるのはそこだな、と。日本語を大事にしたいと考えるショウヘイの歌詞における言葉選びもRESERVOIRを組んでからスッと入ってくるようになりましたね。前にやっていたバンドは英語でラップするような音楽だったんですよ。それはショウヘイもそうで。
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ーそうなんですか! 英語でラップしていたのに、なぜ日本語でやろうと思ったんですか?
ショウヘイ: 自分で歌っても歌詞を書いても、一体自分は何を伝えたいんだろうってなっちゃっていたんですよ。「踊ろうぜ」なのか「楽しもうぜ」なのか、表現しずらさを感じていたんです。だったらストレートに「今、楽しいぜ・辛いぜ・泣きそうだ」って言葉の方がわかりやすいし、自信を持って言えて歌えると思ったんです。その方が聴いてくれる人に真っ直ぐ届いて響くから、やり甲斐があるというか。それに、自分自身、結局ポップスが好きだし、歌詞から感動することが多いので、それで勝負をしてみたいって思ったんです。
ーなるほど。では、10月11日のリキッドルームにおけるBLAST JAMS!! 2020にオファーしたときのエピソードを教えてください。
トシオ: 最初にRESERVOIRと話をしたときに「オレらでいいの?」って(笑)。他バンドはしっかりとヴィンテージミュージックをルーツを持っているのに、自分たちの音楽はそうではないし、50、60年代の雰囲気も感じられないだろうから、イベントの方向性として大丈夫なの? って話をして。
シンペイ: 最初の話に戻っちゃうんですけど、僕らが勝手に作っちゃっていた壁というか、不安が出ちゃったんですよね。
トシオ: オレが誘ったのはマインドが重要だったんですよね。これだけジャンルが色々細分化されていても、全員同じロックなマインドを持つバンドしか集めていないので、そこを説明したんです。例え、ファッション的な見た目が異なっていたとしても、同じ思いを持つ同世代のバンドしか呼んでいないから出て欲しいって。
シンペイ: 誘ってくれたときは純粋に嬉しかったですね。それにリキッドルームなわけじゃないですか。10月11日までにバンドをどこまで持っていけるかっていうプレッシャーと期待と楽しさを感じましたね。
ショウヘイ: 自分たちも気合入るし、1つの大きな目標として超えてやるっていう気持ちになりましたね。それに信じているクルーであり、好きなヤツらと共に一丸となってやるっていうのが、この上なく嬉しいと思った点でした。その反面、負けねぇぞっていうのはあるんですけどね。
トシオ: RESERVOIRには、ヴィンテージミュージックに対する古い固定概念をぶち壊して欲しいんですよ。イベントにとっても完全に新しい風だと考えています。強いてジャンル分けするのであれば、RESERVOIRはJ-ROCKなのかもしれないんですけど、50年代60年代の音楽がDJで流れていても、RESERVOIRのライブは絶対に映えるし、バンドのファンもイベントに来てくれるお客さんも楽しめるはずなので。その光景を伝えたいですね。
シンペイ: こうやって話をしていて思ったけど、僕らもそういうスタンスになってきているね。BLAST JAMS!!における新風として、胸を張って自分たちのライブをしようって。
サトシ: 僕らもBLAST JAMS!!の持つカルチャーや、そこに出演するバンドのことを意識していて。対バンで一緒になるバンドのライブを見てもハッとすることがあるよね。だから、自分達の企画にもDJとして笹井ちゃんに出演してもらっているし。バンドで話す話題もリキッドルームのことは多いよね。
より時代に対してカウンターでなくては
ーショウヘイナガノ
カルチャーの大切さや存在意義を提示すべき時期
ー笹井トシオ
ーRESERVOIRから見てBLAST JAMS!!が持つシーンの魅力はどんなところにありますか?
ショウヘイ: とにかく個性が強いところ。DJチームにしても、それぞれ異なるジャンルを担当しているっていうのも超面白いし、それだけで音楽のことが色々知れて、様々なカルチャーを見れるっていうのは唯一無二なんじゃないかなって。ヴィンテージミュージックを掲げているけど、本当に誰でも楽しめるシーンだと思う。カルチャーのフェス、みたいなイメージがありますね。
シンペイ: まさにそんな感じ。シーンを作ろうとしているし、ヴィンテージミュージックをしっかり今に落とし込んでいると思います。
サトシ: そして、すでに自分たちのシーンを持っていて、イベントに参加するバンドはもちろんだけど、来るお客さんもみんなイケてる。
ー同感です。フレッシュなカルチャーを持っていると思います。バンドとしてはリキッドルームの日はどんなイベントにしたいと考えていますか?
ショウヘイ: 今、こんな時代じゃないですか。ライブハウスでライブすることもできないし。でも、こんなご時世だからこそ、オレ達がカウンターアクションを取らなくちゃいけないと思うし、これまで以上にやっていかなくちゃいけないと思う。オレ達は音楽で生きているぜ、音楽が必要でしょって。それを共有したいですね。
トシオ: 時代に対するアクションは人それぞれですし、状況によっては対応を考えなくちゃいけないんですけど、7月23日、25日、26日は和歌山、大阪、京都でBLAST JAMS!! TOUR 2020の開催も行いますし、それにもRESERVOIRは出演してもらうんですよ。やっぱり実際にパーティをやって、カルチャーの大切さを提示して、存在する意義を示すには今が1番適した時期なんじゃないかって逆に思いますよね。
サトシ: 本当にそうだね。BLAST JAMS!! TOUR 2020にしてもそうだし、実現に向けて行動し続けている姿勢を心から尊敬してるよ。
ーでは、トシオさんからバンドに聞きたいことはありますか?
トシオ: ちょっとバンドのことに特化した内容過ぎるかもしれないんですけど、今、RESERVOIRはドラマーがサポートメンバーじゃないですか。今後は新たにメンバーを探したりするんですか?
ショウヘイ: サポートドラマーで女性ドラマーにやってもらったことがあったんですけど、そのライブが見た目の部分も含めて評判が良かったんだよね。で、オレらとしても色々考えて、ここ数ヶ月間、女性ドラマーを探してたんだよ。この間、ついに適任を見つけて、今は一緒にやっていくための準備期間として一緒にスタジオに入っているんだよ。10月11日までのリキッドルームまではサポートメンバーでライブするけど、それ以降は、新メンバーの正式加入が発表できるかなって感じで。
シンペイ: そう。今はメンバーとして一緒にやっていくために様々な面で準備中。
ー最後に、今後のRESERVOIRについて教えてください。
ショウヘイ: 新メンバーの件もそうなんですけど、BLAST JAMS!!2020のイベントが終わったら、RESERVOIR第二章スタートって気持ちでいるんですよ。新しいバンドの形を作るために、ちょっと違ったアプローチもしていこうと思っています。具体的には、ロゴも一新したり音楽性も、今あるものをアップデートして面白くしていきたいと考えています。そして、次のステップへ真っ直ぐ進んでいきたいと思います。
以下、RESERVOIRの魅力をより知るためにBLAST JAMS!!のクルーとバンドが共作したプレイリスト。10月11日のパーティ”BLAST JAMS!! 2020″に向けた予習として。またRESERVOIRの魅力をより深く知るためのミックスとなっている。
そして、本連載のためにBLAST JAMS!!の、笹井トシオが”今月のグッド・ヴィンテージミュージック・プレイリスト”を制作してくれた。今回のテーマは”TROPICAL SOUNDS”。夏にハマる中南米のラテン〜ファンクのプレイリストだ。気持ち良くなっちゃってくださいな。
次回もバンドとの対談をお届け。公開は8月下旬を予定。
次回のWORLD FAMOUS BLAST JAMS!! CREWもお楽しみに!!
Archive
Vol.07 Talk session with JOHNNY PANDORA
Vol.06 Talk session with submarine dog
Vol.05 Talk session with THE NUGGETS
Vol.04 Talk session with Drop’s
Vol.03 Talk session with THE THROTTLE
Vol.02 Talk session with Tokyo Rockin’ Crew&NIGHT FOX CLUB&Atsushi
Vol.01 About BLAST JAMS!! CREW Interview: Toshio Sasai
INFORMATION
BLAST JAMS!! 2020
2020年10月11日(日)
OPEN,START 13:00
¥3500(adv), ¥4000(door)
-LIVE ACTS-
THE TOKYO, THE THROTTLE, JOHNNY PANDORA, ALI, Drop’s, RESERVOIR, 999999999, THE NUGGETS, submarine dog
&
FADEAWAYS, STOMPIN’ RIFFAFFS, LOS RIZLAZ, PSYCLOCKS, the GENO LONDON, UPDOWNbeats, ザ・ハイマーツ, THE MILLION DOLLAR DOGS
-DJs-
BLAST JAMS!! Crew -笹井トシオ, takuma, ヒラノツヨシ, ゴーゴージュリー, Shinyah, MACHI, WOODCHUCK-
-GUEST DJs-
Tokyo Rockin’ Crew, NIGHT FOX CLUB, And Friends
BLAST JAMS!!
https://twitter.com/BlastJams
https://blastjams.com/
笹井 トシオ
https://www.instagram.com/toshio_sasai/
Yui Nogiwa
https://www.instagram.com/nogiwarian/
LIQUIDROOM
https://www.liquidroom.net/schedule/blastjams2020_20201011