MUSIC 2021.02.08

Flex da 9th pre. 914 Freestyle Vol.01 〜円山町の片隅でフリースタイルEPが生まれるまで〜 feat.rkemishi

EYESCREAM編集部
EYESCREAM編集部
Photograph_Hidetoshi Narita, Edit&Text_Ryo Tajima[DMRT]

4月、STAY HOMEの期間中を利用して制作を開始した3人組ニューHIPHOPユニット、Flex da 9th。渋谷は円山町にあるマンションの一室で、夜な夜なトラックにラップを載っけ続ける3人組だ。本連載では、活動をスタートしたばかりのFlex da 9thが、1つのEPを完成させるまでのストリートストーリーを追いかける。第2回目は客演参加のrkemishiとの対談をお届け。

L to R_LAGO, Bones.Money, rkemishi, BLA BLA

ビートが良かったんで本当に一筆書きでリリックが書けましたね
ーrkemishi

ーrkemishi(以下、エミシ)さんが1人目の客演。みんなとの関係性から教えてください。

BLABLA:Flex da 9thの中では僕が最初にエミシと繋がりを持ったんですよね。4年前くらいですかね。その前段として、知り合いづてにDaia(沖縄出身のラッパー)を紹介されて同い年だったこともあって、すぐに仲良くなっていったんですよ。そんなときにDaiaから「紹介したいラッパーがいる」ってことで繋いでもらったのがエミシですね。その頃のエミシは1年間、月に1本MVを出すっていう結構無謀なチャレンジをしていて(笑)。しかも完全にDIYの自主プロジェクトとして。その撮影現場に遊びに行ったりして、現場にいた人とも仲良くなったり。昔から知っていた幼馴染のような関係ではないけど、同じ現場で遊んでいたり、共通の知り合いが多かったり、何かと繋がりが多かったんですよ。LAGOとエミシは僕が紹介して繋げたんですけど、その1週間後には2人でクラブに遊びにいくような関係に知らぬ間になり。いつしか自分以上に、LAGOとエミシの関係が深くなっていったんです。

エミシ:オレからしても特にフィールした2人だったんですよね。今じゃ一緒にラップもやるけどスマブラとかもめっちゃやってるもんね。

BLABLA:エミシとLAGOが仲良くなった当時、まだLAGOは普通にサラリーマンやっていて、DJやラッパーとしては活動していなかったんですよ。それがあんなにいきなり仲良くなるなんて(笑)。

エミシ:そう、それでオレがLAGOに「そんな仕事なんて辞めちまえよ」って言ったら、次の日に「辞めた」って(笑)。あのときは、え! マジで辞めたの!? って。

一同:

Bones.Money:本当に仕事、辞めたの? その日に。

LAGO:……そうっすね。

エミシ:今、オレはowlsってグループもやってるんですけど、LAGOにはそれのサイドMCもやってもらっていて。地方にライブしに行くときは一緒に行動してもらう仲になったわけですよ。

ーちょうど、今話に出たので、エミシさん自身が行っている活動について聞いても良いですか?

エミシ:2〜3年前からビートメイカーのGREEN ASSASIN DOLLERとowlsっていうグループをやってまして、2019年11月に1stアルバム、2020年7月に2ndアルバムをリリースしています。今もアルバムを制作途中で今年どこかでお披露目できたらなって考えています。ライブも都内に限らず入っているんで、こういうご時勢ですけど、開催されたら色んなところで色んな人と会えるであろうことを楽しみにしています。

ーありがとうございます。LAGOはエミシさんとも活動を共にしているわけですけど、BLABLAとは何か共に活動する接点みたいなものはありますか?

エミシ:BLABLAはPACK3ってグループでも活動していて、2020年12月にデビューアルバム『PACKQAGE』をP-VINEからリリースしているんですが、そのレーベルとの契約は制作のディレクションに携わらさせてもらいました。どんな作品を作りたいのかを明確にして、人を繋いで、といったこともやっているんですよ。音楽には一切口出ししないんですけどね。

BLABLA:企画そのものをサポートしてくれている感じですね。エミシみたいな存在はあんまりいないんですよ。アーティストのクリエイションに携わるってけっこう面倒なことだと思うんですけど、みんなが目瞑りたくなる、見たくない部分を率先して整理して、綺麗にまとめあげてくれるんですよ。

エミシ:最近思うのが、オレはラップが、とかじゃなくて、HIPHOP自体が性に合ってるって思っていて。結局、HIPHOPに絡むことであれば、何をやっても楽しいんですよ。お金を稼ぐ云々の話ではなく。

BLABLA:そんな繋がりを経て、エミシがowlsとしてやってきたことも見てきたし、ラッパーとしても純粋にカッコいいと思うし。だから、Flex da 9thのニューEPを作るにあたっての客演として誰にお願いするかって部分で、まずは声をかけなくちゃってことになったんです。快諾してくれてすぐに動いてくれたよね。

エミシ:そうだね。オレの方が年下なのに、BLABLAやLAGOと良好な関係が築けているのは2人が優しいからだろうね。オレ、我が強いからすぐに毒吐いちゃって人を怒らせちゃうけど、2人はオレが何を言っても気にしてないだろうから。

LAGO:……気にしてるよ?

一同:

アラビアンビートを感じさせるパーティソング感ある仕上がりに
ーBones.Money

ーでは、エミシさんは今回、客演のオファーがあったときはどう受け止めたんですか?

エミシ:「おっす。ビート、何?」って感じでしたね。正直、客演のオファーとかは最近すごく話がくるんですけど、何でも引き受けるってわけじゃなくて、この2人であればやろうってすぐに思いました。こうやって一緒に活動しているわけなんで、ま、BLABLAやLAGOが頑張っていけば、オレにとってもメリットがあるわけじゃないですか(笑)。それに、Flex da 9thの動きやMVはちゃんと見ていて、面白いなぁって思っていましたしね。自主でやっている感に懐かしさもあるし、オレ的には良さも感じているし。

ーこの後、レック作業を行う予定ですが、今日に至るまでどんなやり取りを行ったんですか?

Bones.Money:ちょっと前に参加してもらうビートを送ったら、わずか30分くらいでエミシくんがボイスメモでラップを乗っけて返してくれて。そのスピード感に感動したんだよね。それも送られてきたボイスメモのタイトルがどっかのコンビニの何とか店みたいなのだったから、送ってすぐにコンビニの前でやってくれたのかなって。その感じもまたラッパー然としていて良かったなぁ。

エミシ:あ、あれは家にいたんですけど(笑)。しかもLAGOもいたよね。ダサいビートじゃ言葉は出てこないですけど、すぐに言葉が出てくるビートだったんですよ。

LAGO:エミシは本当にラップが早いんですよ。早過ぎて一緒に作りたくない(笑)。

エミシ:そのときぐらいじゃないですか。ラッパーが頑張るのって。もちろんライブだとか色々と活動はあるけど、一気に集中してラップを書いて。ただ、本当にビートが良かったんですよね。しかも、ちょっとフザケているような遊び心あるビートで、オレの好みでもあったんですよ。やっぱり遊びがなくっちゃ楽しくないですからね。だから、けっこう変な言葉を乗せていると思いますよ。アルファインとか。

Bones.Money:アルファインって何なの?

エミシ:とある麻布にある有名ラブホテルなんですけどね。そういう言葉を入れちゃってるんですけど、その感じがビートに合うと思って。

Bones.Money:確かに。そうやって考えてくれていたんだなって思うと嬉しいな〜。

ーそんな遊び心をエミシさんが参加するビートで作ったのは、どういう経緯が?

Bones.Money:いや、こっちで用意していたビートにBLABLAとLAGOがラップを先に入れて「この曲ならエミシくんが合うんじゃないか」ってことを言っていたんで、2人からオファーしてもらった感じですね。サッと考えてくれたラップがすげーカッコよかったから、オレはすごく感心しちゃって。

エミシ:本当に一筆書きって感じでしたね。逆にリリックはそうじゃなくちゃダメな気がしていて。一気に書けないと大体、お蔵にしちゃんですよ。だからパーって書いて。意識高いリリックとかだったらちょっと時間かかると思いますけど。

Bones.Money:確かに意識高い系ではないね(笑)。いわゆるパーティソングって感じかな。今回の曲はアラビアンビートみたいなのをずっとやりたくて作ったビートだったんだけど、そこにラップがうまくハマってプロデューサー的には非常に良かったです。

エミシ:そこも良かったんですよね。最近、自分に客演のオファーがくるときのビートが、少しダウナー系というか、暗くて低いビート感のものが多かったんで、やりやすかったんです。ピッチも普通のピッチだし、トラップってわけでもないし。

ー非常にスムーズに良い感じで制作が進んだわけで、作品が非常に楽しみです。最後にゲストであるエミシさんに質問です。今後の自分の活動について、ひと言お願いできますか?

エミシ:冒頭でもお話しましたけど、最近ではowls以外にも友人やアーティストのリリースに関わっていたりと、何かとシーンで暗躍している感じではあるんですが、今後もHIPHOPしていくと思うので、HIPHOPシーンを追いかけてくれれば絶対にオレがどこかにいると思います。ラッパーとしてはもちろんですけど、フィクサー的な形でもやっていくと思うので、よろしくお願いします。

次回も連載を通じて制作していくEPに参加するラッパーとFlex da 9thの対談を展開。掲載は2021年3月を予定。その対談を通して、作品を出来上がって行く様子を追いかけたいと思う。次回もお楽しみに!

ARCHIVES
Flex da 9th pre. 914 Freestyle Vol.01

INFORMATION

Flex da 9th pre. 914 Freestyle

Flex da 9th
LAGO(MC)、BLABLA(MC)、Bon€$.Mon£¥(Beat Maker, Producer)の3人組ニューHIPHOPユニット。これまで各々活動してきた舞台をベースに新たなHIPHOPを表現する。11月中旬に1st EPをリリースし本格始動。

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