美術展示・音楽作品・アパレル・書籍など幅広いフィールドで活躍するグラフィックデザイナー・Takashi Makabeが、奈良では初となる個展を開催する。会場はならまちのアートスペースsonatine、会期は7月25日(土)から8月7日(金)まで。

Takashi Makabe
本展『The Aesthetics of Rubber Wrinkles』のテーマは、体と素材のあいだに生まれる「しわ」。私たちの身の回りにある服の折り目や紙のしわ、布がたわむことで生まれる陰影など、さまざまな「しわ」に着目し、その「しわ」をグラフィックとして捉え直すという試みだ。例えば、ラバーやPVCといった伸縮性のある素材に生まれる線や陰影を通して、予測できない豊かな表情の美しさを見つめ直している。


下記、展示ステートメントを紹介する。
私たちは日常、目に見えない社会的・時間的拘束のなかに生きている。本展は「身体を実際に拘束する」という逆説的な行為を通じ、肉体と精神の境界線に生まれる「しわ」の美学を考察する試みである。
物理的な制限にただ受動に徹すること。それは抑圧ではなく、過剰なコントロールから自己を切り離す「究極の解放」をもたらす。瞑想的なカタルシスと呼応するように、人工の皮膚(ボディスーツ)の表面には、肉体の微細な呼吸に追随する独特なしわが刻まれていく。
緊縛によって引き直される強い線は、素材を強固に圧縮し、肉体の表面にストイックに計算された三次元のグラフィック──すなわち「しわ」を出現させる。ラバーやPVCが放つ無機質な光沢が歪み、折れ曲がり、陰影のひだへと変貌するとき、生身の肉体は言葉にできない官能的な視覚の強度(ウエイト)を放つ彫刻へと昇華される。
表層の支配と服従の奥底にある、極限の信頼とストイックな設計。本展が提示する「ゴムのしわ」という究極の現象のなかに、美学の真髄を目撃してほしい。
今回は、作品展示だけでなく、Takashi Makabe自身が手掛けるアパレルアイテムやグッズも展開予定だ。奈良で初、関西でも2020年以来となる個展だけに、その世界観を体感できる貴重な機会となりそうだ。