ART 2021.02.27

写真家 小見山峻が新作個展『なにものでもないものたちの名づけかた / my beautiful tokyo』を東京で開催

EYESCREAM編集部
EYESCREAM編集部

EYESCREAMでも連載を担当してくれている写真家、小見山峻が2年半ぶりとなる新作個展『なにものでもないものたちの名づけかた / my beautiful tokyo』を3月8日から開催する。場所は目黒区のMIDORI.so GALLERY。
昨年9月にKG+(京都haku gallery)にて発表したのち、名古屋c7c galleryにて巡回、東京にて三都市めの巡回となる『なにものでもないものたちの名づけかた』。そして、小見山自身の東京での生活をテーマにした 新作個展『my beautiful tokyo』。この2つの個展が同時開催となる。

以下、小見山峻のステートメントと作品例。

なにものでもないものたちの名づけかた

「視る」ということは、「名前を認知する」ことに限りなく近い。この世界のものはたいてい、それぞれの名前を所有している。そして、私たちのなかにごく自然と沈殿した経験と知識により、視たものの名前を無意識に思い浮かべて認知する。視認。それは、目に映ったものに無意識に名前を当てはめることによる確認である。それが固有名詞であれ、普通名詞であれ、「名前」をもってして私たちは初めて「視る」に至るのである。つまり私たちは日々、視線を振り分け、そこに映るものに名前を当てはめて世界の認識を広めてゆく。そして判断し、切り取り、選び、写真として結晶にする。
名前のないものは誰も「視る」ことはできない。自分自身が「視認」することによって生まれた写真たちから、名前を奪う作業を繰り返した。名前を失った彼らを、あなたは視ることができないのかもしれない。或いは経験に基づき名を振り分けて判断するのかもしれない。あなたがこれらの名づけ親になるとき、それはあなた自身のアイデンティティなのかもしれない。

my beautiful tokyo

夕方過ぎの吸殻のような喫茶店で
皿に残ったラズベリーソースが血の跡に見えて
柔肌のコンクリートに跳ね飛ばされる毎日に
チップ代わりの安い辟易を投げつけている

砂漠ならばまだよかった
アスファルトと違って足跡が残るから
深海ならばまだよかった
カラオケボックスよりも自分の声を聞けるだろう

ここは東京
僕の宝物が、あなたにとってガラクタにすぎない街
ここは東京
あなたの大切な人が、誰かにとって最悪な出来事かもしれない街

アンドロイドにも聴こえるような風の歌を探す
ノロマなトライアンフをコンバースで追い越して
消毒液で汚れた手でシャッターを切るとき
何かを祈った気がするが、帰り道に落としたまま届かない

ここは東京
今夜はいっそ、ボウモアとハイライトで大人になって
ここは東京
明日はきっと、コンソメパンチとスプライトで子供になって

僕らが何かを求めているのか
何かが僕らを求めてくれるのか
僕らが日々を愛すのか
日々が僕らを愛してくれるのか

ここは東京
背伸びし合う鉄骨の裂け目に、なんとか陽を探し出す街
ここは東京
この景色たちの隙間で、あなたを想う日を見つけた街
(チクショウ、それだけでお釣りがくるよな)

2020年を経て、小見山峻が何を映し出すのか。その答え合わせの場として。また、新たな発想の源泉を求めて、MIDORI.so GALLERYを訪れていただきたい。会期も3月22日までと長いので是非に。

INFORMATION

『なにものでもないものたちの名づけかた / my beautiful tokyo』

会期:2021/3/8〜2021/3/22
13:00〜19:00(入場自由)

下記時間帯は事前にご予約いただいた方のみ来場可能です。
11:00〜13:00、19:00〜21:00
希望の日時を明記の上、下記メールアドレスにご連絡ください。
定員に達した場合お断りさせていただく場合がございます。
ご予約受付用メールアドレス : i@shunkomiyama.com

場所:MIDORI.so GALLERY
東京都目黒区青葉台3-3-11 3F
http://midori.so/midoriso_gallery
ギャラリーお問い合わせ先:gallery@midori.so

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